1 : VIPに... - 2013/06/07 01:04:52.44 zJCggpClo 1/40

P「……そうか」

菜々「ああ、ちょっと引かないでください!!」

P「もしかしたら俺はすごい子……いや、女性をスカウトしたかもしれないな」

菜々「そこは直さなくていいんですよ! 女子高生ですから!」

P「よもやなんとなく訪れたメイドカフェにいた可愛い子が地球人じゃないとは思わなかった」

菜々「ええ! ナナはウサミン星人ですから!」

P「しかしこういうのもいいな。どうだい、改めて聞くけどうちでアイドルやらない?」

菜々「こちらからお願いしたいくらいです!
   歌って踊れるメイドアイドルを目指して頑張らせていただきます!」

P「ところで干支はなんですか?」

菜々「…………」

P「…………」

菜々「……ウサミン星には干支はありませんでした」

P「そうきたか」

元スレ
菜々「安部菜々、17歳女子高生でーす! きゃはっ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370534692/

2 : VIPに... - 2013/06/07 01:06:05.51 zJCggpClo 2/40

菜々「でもナナが本当にアイドルになれるなんて……」

P「最初から食いつきがよかったけど……憧れてたの?」

菜々「はい! はるばるウサミン星からアイドルになるためにやってきたのですから」

P「ということはオーディションとかは受けた事あるんだ」

菜々「はい。でも結果は芳しくなく……。ウサミン星人には厳しい世の中です」

P「俺はいいと思うんだけどなぁ。可愛いし」

菜々「そんな褒めないでください。照れるじゃないですか」

P「ちなみにここから電車でどのくらいなの?」

菜々「電車で……えーっと一時間?」

P「近いな。銀河鉄道はさすがだな」

菜々「え、ええ! そうなんですよ! びゅーんとひとっとびですよ」

P「横浜とかあっちのほう?」

菜々「ウサミン星です」

P「千葉のほうかな」

菜々「ウサミン星なんです……」ウルウル

P(かわいい)

3 : VIPに... - 2013/06/07 01:07:21.99 zJCggpClo 3/40

P「ここがうちのプロダクションだ」

菜々「わぁ……小さい……」

P「そしてうちの事務員だ」

ちひろ「よろしくお願いします! 早速ですがお得な」

P「販促は結構です。最後にうちのアイドルたちだ」

「よろしく」

卯月「よろしくお願いします!!」

未央「よろしくー」

菜々「よろしくお願いします! 安部菜々、17歳です!」

「……じゃあ菜々って呼ぶね。私も凛でいいから」

卯月「菜々ちゃんですね! メイド服可愛いですね!」

未央「17歳……?」

菜々「少数精鋭って感じですね」

P「まだ出来たばかりだからな。
 よーし、じゃあトップアイドルを目指して頑張るぞー!!」

四人「おー!!」

4 : VIPに... - 2013/06/07 01:08:59.72 zJCggpClo 4/40

ちひろ「ひな祭りが開催されました!!」

菜々「いいですねー。華やかなイベントで」

P「お、あっちでライブバトルしてる。ちょっと見学しにいくか」

「……私達も本来あの舞台に立つべきなんじゃないの?」

卯月「凛ちゃん凛ちゃん! 雛あられおいしいよ!」

未央「よーし、お手製の雛壇でも作るかー!!」

「手伝うよ」モグモグ

P「ま、そんなに気負いすることはないさ。ゆっくりと俺達のペースで進めめばいい」

「そっか。うん、そうだね」

菜々「ひな壇のしまい忘れに注意しないといけないですね」

ちひろ「17歳なら婚期を気にする必要なんてないのでは?」ニヤニヤ

「ちひろさんはいいの?」

ちひろ「私はお金と結婚したので」

P「ひねくれた大人だな」

卯月「ちらし寿司おいしー」モグモグ

5 : VIPに... - 2013/06/07 01:10:10.92 zJCggpClo 5/40

ちひろ「プロダクションマッチフェスティバルが開催されました!!」

P「これが地獄の宴か」

菜々「そういえばうちの事務所は他のプロデューサーはいないんですか?」

P「うむ。こういう事務所単位のイベントはきついな」

ちひろ「大丈夫です! プラチナオーディションをしてエナドリを買い込めば
    一騎当千できますよ! さぁ! やりましょう!」

P「一体どれだけの犠牲を払えと言うんだ……」

卯月「まだ諦めるのは早いですよ! 出来る限りのことをやりましょう!」

未央「そうだぞー! 例えまだひよっこでも甘く見るなー!」

P「そうだな……。ま、俺達には秘密兵器があるしな」

菜々「秘密兵器ですか?」

P「見て驚くなよ……そろそろ来るんじゃないかな」

「お待たせ。どうかな」

卯月「凛ちゃん可愛いー!!」

未央「おお、新しい衣装!! かっこいい!」

P「前に来てた衣装を豪華にしてみたんだ。おかげでお金はすっからかんだ」

菜々「私もいつかあんな衣装を……!」

「みんな準備はいい? 行こうか、私達のステージへ!」

ちひろ「……その後ぼろぼろに負けた彼女たちの姿がありましたとさ」

P「変なナレーション入れないでください」

6 : VIPに... - 2013/06/07 01:12:13.15 zJCggpClo 6/40

ちひろ「花見祭りですよ! スタドリを買って走りましょう」

P「おお、綺麗に咲いてるな」

菜々「そうですね」

志乃「……」ゴクゴク

P「……志乃さん。飲むのは構いませんが歩きながらは止めましょう」

未央「お酒の匂いが……」

卯月「凛ちゃ~ん凛ちゃ~ん」

「うわ、卯月が匂いだけで酔ってる。ちょっとこっち来ないで」

菜々「未成年組に悪影響ですね」

志乃「じゃあ菜々ちゃんも飲む?」

菜々「あ、菜々も未成年なんで」

P「俺もお酒は苦手でね」

志乃「つまらない……。いや、あの人なら」

ちひろ「え、私ですか? しょうがないですね。少しだけですよ?」

志乃「ウフフ……」

~数時間後~

ちひろ「ぷろでゅーさーさんも飲みましょうよぉ~」

P「酒くせぇ!! この人酒くせぇ!!」

菜々「ナナもいるだけで酔いそうです……」

友紀「……」グデー

志乃「ウフフ……」ゴクゴク

P「なんか関係ないアイドルまで酔い潰れてるし」

ちひろ「ぷろでゅうさぁさんはわたしのスタドリが飲めないんですかぁ!」

P「タダなら頂きますよ」

ちひろ「一本百円になります」

P「なんで商売するときだけ正気に戻るんですかねぇ……」

菜々「とりあえずこの子を避難させないと……」

志乃「ウフフ……」

7 : VIPに... - 2013/06/07 01:13:38.34 zJCggpClo 7/40

P「京都なんて修学旅行ぐらいでしか来たことないな」

菜々「アイドルというよりも舞妓さんとか芸者さんって感じですよね」

未央「プロデューサー。散歩してきていい?」

P「天狗にさらわれるなよ。あと時間厳守。菜々も行くか?」

菜々「いえ、ナナはプロデューサーと一緒にいます」

「ふーん……」

未央「ほおほお」ニヤニヤ

卯月「……?」

菜々「な、違いますよ! 別にそんな意味で言ったわけじゃないですー!」

未央「そういうことにしといてあげよう。ほら、卯月行こう」

卯月「どういうこと?」

「縁結びのお守りいる?」

菜々「いーりーまーせーん!! 早く行きなさい!!」

P「……行ったか。あんまり大声出すと注目されるぞ」

菜々「ぐぬぬ。だってあの子達がナナをからかうからー」

P「年上なんだからそこは余裕を持って対処とか出来るだろう」

菜々「……たしかにナナは十七歳で彼女たちよりも年上かもしれませんけど
   女子高生だから恥ずかしいことだってあるんです」

P「女子高生なら仕方ないか」

菜々「そうですよ。花も恥らう乙女なんですから。
   そういえばさっき天狗とか言ってましたけど」

P「ああ、なんかそんなオカルトを聞いた気がするからさ。
 天狗にさらわれて時間を越えてどうのこうの。
 それになんか天狗に気をつけろのほうが京都っぽいじゃん?」

菜々「そうかなー……」

8 : VIPに... - 2013/06/07 01:15:39.70 zJCggpClo 8/40

P「そういえば凛。仕事が入ったぞ」

「へぇ、どんなの」ゴクゴク

P「CDだってさ」

未央「ぶおふぉっ」

「ふーん。というか未央驚きすぎ」ゴクゴク

未央「げっほげっほぐっほ」

卯月「未央ちゃん大丈夫?」サスサス

菜々「だってCDですよ!? すごいじゃないですか!」

「まぁそうだけどさ」

未央「げっほ……凛、いつまで飲んでんの」

「え、いや」

卯月「そうですよ。篭ってて聞きにくいですよ。口からコップを話して」

「あっ」

菜々「CDですよ。CD!」

「……」ニヘラ

未央「あっはっは。変な笑い方ー!」

菜々「素直に喜べばいいのに」

卯月「もう一杯飲む?」

「大丈夫。ありがとう。ちょっと現実感ないよね。いきなりCDって言われても」

菜々「何言ってるんですか。今までの凛ちゃんの、私達の活動が認められたってことなんですよ。
   もっと素直に喜んで。そして私達の代表として胸を張って。お仕事を受けてください」

P「ああ。さりげなく言ったが俺だって今手が震えてるんだ」

卯月「どんなCDになるのかな。楽しみですね!」

未央「凛に先を越されちゃったか。おめでとう!」

「みんな……ありがとう」

ちひろ(CDの印税ってあまり入らないんですよねぇ)

9 : VIPに... - 2013/06/07 01:18:40.50 zJCggpClo 9/40

ちひろ「アイサバinテーマパークが開催しました……ってあれ? プロデューサーさんは?」

菜々「さっきまで居たんですけど」

卯月「テーマパーク中にプロデューサーさんがいますよ!」

未央「アイドルのプロデューサーはみんな同じ格好しなきゃいけない法律でもあるのかな」

「携帯も通じない……。どうしたんだろう」

~観覧車内~

「ムフフ」

P「……」

「ムフフフフ」

P「あー……日菜子」

日菜子「どうしたんですかぁ?」

P「携帯を返してくれないか?」

日菜子「もうちょっとだけ二人っきりにさせてくださいよぉ……。
    密室で二人っきりですよぉ!」

P「わかったから興奮するな」

日菜子「なんだかあまり嬉しそうじゃないですねぇ……」

P「いや、嬉しくないわけじゃないんだが……」

日菜子「抱きついてきても……ムフフ」

P「それも一考しとかないとな」

日菜子「そんな大胆な……!」

P「うわー! 揺らさないでくれ!」

日菜子「……」

P「……」ソッポムク

日菜子「……もしかして絶叫系とかダメな人ですか~?」

P「それどころか観覧車も怖い」

日菜子「それじゃあ仕方ないですねぇ。隣に座らせてもらうだけでいいですよぉ」

P「ああ、そのくらいならお安い御用だ」

10 : VIPに... - 2013/06/07 01:20:32.60 zJCggpClo 10/40

~地上~

菜々「あー! いたー!」

未央「今までどこに……日菜子も一緒だったんだ」

日菜子「むふ」

「なんかプロデューサーげっそりしてない? ジェットコースターにでも乗って来たの?」

日菜子「観覧車の密室で二人っきり、肩を寄り添いながら……」

菜々「ちょっ」

卯月「観覧車ですか! 景色よかったですか?」

「……」

未央「……」

菜々「……」

日菜子「……よかったですよぉ。むふ」

卯月「よーし! じゃあみんなで乗りましょう!」

P「俺は地上にいるよ……」

卯月「じゃあ五人で! ほら、行きますよ!!」

P「……卯月はいい子だな。ちょっとアレだけど」

ちひろ「そうですね。あ、スタドリいりますか? 有料ですが」

P「いりません」

11 : VIPに... - 2013/06/07 01:22:58.26 zJCggpClo 11/40

ちひろ「ブライダルショーが開催されました……」

P「さすがの長雨にちひろさんも弱ってるな」

菜々「こんな雨の季節に結婚式なんて大変ですよね」

「もともと外国の文化だしね」

卯月「ああ! 取っておいたアンパンにカビが!」

未央「早く夏にならないかなぁ」

菜々「まだ五月……。あれ、ジューンブライドの季節でもないですね」

P「一応終わりが六月の初めだからいいんだろう」

ちひろ「私からすれば儲かればなんでも……おっと電話ですね」ガチャ

未央「こんなイベントやってるせいで梅雨が長く感じられる」

卯月「うぅ。さよならアンパン」

「卯月、最近太ったよね」

卯月「え、そ、そんなことないですよ」

P「体重計持って来たぞ」

菜々「えーっと公表された数値だと45キロですね」

卯月「う、卯月! 行きます」ガチャァ

「…………」

「ダイエットだね」

卯月「いや、まだこの体重計が壊れている可能性も」

未央「いや、大丈夫みたいだよ。私合ってるし」ガチャァ

卯月「いや、でもおやつ。あ、服。う、卯月脱ぎます!」ヌギッ

菜々「わー! プロデューサーさんはあっち向いてて!」

「現実を受け入れて!」

卯月「おやつ食べたいよー!」

未央「あんたはかなこちゃんか!」

P「平和だなぁ」

ちひろ「プロデューサー。大変です」

12 : VIPに... - 2013/06/07 01:24:27.61 zJCggpClo 12/40

P「こっちもだ」

ちひろ「卯月さんに仕事の依頼が。それもメインとしての」

P「……衣装の詳細は来てますか?」

ちひろ「体育祭で衣装は体育服とブルマだそうです」

菜々「ブルマって随分前に廃止されませんでしたっけ」

P「卯月。ダイエットだ。成功すればお前は一躍トップアイドルになれるかもしれんぞ」

卯月「……ガンバリマス!」

~そしてスポーツ祭り当日~

卯月「頑張りました!! 一キロも余計に痩せちゃいました!」

P「あとはリバウンドに注意しないとな」

未央「いーなー。私もあーいう役したいなー」

菜々「この歓声全てが卯月さんのためになんですね」

「行っといで。みんなの歓声に答えるために」

卯月「はい! 卯月、行きます!」

ちひろ「これが後に語られるナタマラ事件と卯月ガチャの始まりです」

P「ちひろさんどこにむかって喋ってるんですか」

13 : VIPに... - 2013/06/07 01:25:59.39 zJCggpClo 13/40

ちひろ「アイサバin動物園ですよ!」

菜々「ああ、ウサギ可愛い……!」

P「可愛いなぁ……」

未央「キリン首長いなー」

卯月「あんなに長いと寝るとき大変そうですね」

「……あのまるまってるのって寝てるのかな」

卯月「すごい! あんな風に私は寝れませんよ」

未央「いつから卯月はキリンになったの」

「ところでプロデューサー」

P「なんだぁ……」

「三船さんをいつまで見てるの?」

美優「……」カァー

P「恥らう姿も可愛いじゃないか」

菜々「ぐぬぬ。ナナにはない大人の色気……!」

P「三船さん。がぉって言ってください」

美優「えぇっ……!?」

P「ほら! せっかくの衣装なんですから! ほら!」

美優「が……がおー……うぅ、恥ずかしい」

P「女神か」

菜々「ほら! プロデューサー! ウサミミナナですよ! 構ってくれないと寂しくて死んじゃいますよ!」

P「仕方ないなぁ。ほーら、よしよし」ナデナデ

菜々「えへへ……」

美優「あの……私はそろそろあっち行っても……」

P「だめ。ポーズ決めてがおーって言って」

美優「えぇっ……!?」

「大丈夫なのかな。このプロデューサー……」

未央「りーん! トラ見に行こー!」

14 : VIPに... - 2013/06/07 01:27:57.28 zJCggpClo 14/40

ちひろ「七月はイベント盛りだくさんですよ! さぁかk」

P「水泳大会にサマーライブ。そして総選挙か……」

菜々「水泳大会ってポロリもあるんですかね」

P「ないだろう。時代的に」

菜々「そ、そうですよね! ありませんよね! 時代的に!」

未央「新しい水着買わないと」

卯月「え? 学校のがあるじゃないですか」

「いや、さすがに学校のはちょっとないかな」

卯月「そうなんですか?」

P「俺に聞かないでくれ。菜々も水着買うか?」

菜々「……見たいですか?」

P「……見たいかな」

菜々「そ、それじゃあちょっと買いに行かないとですね!」

P「ついでに選挙の投票もするか」

未央「誰に投票するの?」

P「四枚あればみんなに一票ずつが出来たんだが……二枚だ」

「……」ドドド

菜々「……」ゴゴゴ

未央「……」ドドドドドド

卯月「?」

ちひろ「回していただければ四枚と言わず四十枚でも四百枚でも」

P「いや、回さないしこの投票券は……茄子さんと三船さんに上げよう」

未央「オー、ウェイトウェイト。プロデューサー」

「三船さんはまだわかるけど……なんで鷹富士さんが?」

P「俺さ……今年初詣行ってないんだ」

菜々「投票券はお賽銭じゃないんですよ!?」

P「でもご利益ありそうじゃないか」

未央「まぁ確かにありそうだけど」

P「来年はちゃんと初詣行かないとなー。さてと水着買いにいくぞー」

「え、今から行くの?」

P「お前らもそこそこ予定詰まってて四人揃う日も少なくなってきたからな。
  ちゃっちゃと行っちまおう。それで経費はプロダクションに」

ちひろ「自費でお願いします」

P「ですよね……。って、ちひろさんも着いていくんですか」

ちひろ「ええ。私もたまには、ね」

15 : VIPに... - 2013/06/07 01:29:56.95 zJCggpClo 15/40

ちひろ「ついにこのプロダクションから! 二人目のCDデビューです!」

卯月「どやぁ!」ドヤァ

「おめでとう、卯月」

未央「ぐぬぬ」

菜々「ぐぬぬ」

卯月「ついに私もトップアイドルの仲間入りなんですね!」

P「いやいや、まだまだだぞ。アイドルの道は険しいんだ」

「私達はやっと入り口に立ったんだよ」

未央「ぐぬぬ」

菜々「ぐぬぬ」

卯月「どんな曲なんでしょうねぇ」

「卯月だし元気な曲なのかな」

P「王道っぽい曲じゃないか?」

未央「ぐぬぬ」

菜々「ぐぬぬ」

卯月「大丈夫です。未央ちゃん。菜々ちゃん。きっと、いや、絶対にCDデビュー出来ますよ!」

未央「卯月……」ウルウル

菜々「卯月ちゃん……」ウルウル

卯月「ただ私が少し早かっただけですよ!」ドヤァ

未央「卯月いいいぃぃ!!」

菜々「髪の毛ぐしゃぐしゃにしてやるー!!」

「なんだかんだで仲いいよね」

P「そりゃな」

卯月「やめてくださいー! 髪がー! あ、脇はだめぇ!」

未央「コノヤロー! おめでとうー!」

菜々「おめでとー!」

卯月「ありがとー! ぐしゃぐしゃとくすぐりやめてー!」

16 : VIPに... - 2013/06/07 01:32:14.13 zJCggpClo 16/40

菜々「見てください!! この衣装!! 可愛いですよ!!」

P「……」

菜々「ほら! 晶葉ちゃんが作ったウサちゃんロボもすごいですよ!」

ちひろ「……」

菜々「ああ、こんなにお月見が楽しみだなんて初めてです!!
   ……どうしました? もしかして引いてますか?」

P「……」

菜々「? なんで上見てるんですか? ナナを見てくださいよー」

ちひろ「菜々ちゃん」

菜々「はい?」

ちひろ「今はそうさせてあげなさい」

P「……」

菜々「はぁ……。あれ、もしかしてプロデューサー……」

P「……な゛な゛」ナミダゴエ

菜々「ははっ……ひどい声ですね」

P「おめでどう」

菜々「やめてくださいよ……なんナナまで泣けて来ちゃいましたよ……」ウルウル

ちひろ「菜々ちゃん。おめでとう」

菜々「うっ……ぢひろざん……うわああああん」

ちひろ「よしよし」ナデナデ

P「……クッ」

~ビル屋上~

卯月「入って祝ったほうがいいですよ」

「ほんっとに卯月は卯月だね」

未央「今はあれでいいんだよ。今は」

卯月「?? よくわからない……」

未央「しっかし菜々さんにも先越されちゃったか……」

「未央……」

卯月「大丈夫ですよ。未央ちゃんも来ますよ!」

未央「……もちろんだよ。きっと攻コス比1000越えで片面単色攻撃極大アップが!」

「未央。その発言は良くないと思う」

17 : VIPに... - 2013/06/07 01:34:25.99 zJCggpClo 17/40

卯月「トリック!」

「オア」

未央「トリート!」

菜々「さぁ選んでください」

ちひろ「ガチャを回すかドリンクを買うかを!」

P「ちひろさんはちょっと黙っててください。ほら、お菓子……。
 いや、いたずらしていいぞ」

菜々「ちょちょっちょ。そのお菓子出せばいいんですよ?」

P「いやいや、お菓子惜しくなったからさ。いたずらどうぞ」

卯月「何をすればいいんだろう……」

未央「携帯の言語設定を英語にするとか?」

「……菜々。ちょっと」

菜々「なんですか…………へっ!? いや! 無理ですよ!」

「じゃあ私がやるね」

菜々「だめぇ!!」

卯月「え、何をやるんですか? お茶にぞうぎんの絞り汁を入れるとか?」

未央「卯月すごいこと言うね」

「そんなことじゃないけど……どうする?」

菜々「うぅ……ナナが……ナナがいきます!」

P「さぁ来い! 俺を倒してみるがいい!」

菜々「あ、ちょっとしゃがんでもらえます?」

P「はい」

菜々「……えいっ」ダキッ

P「えっ、なに。抱きつきというかちょっと顔近いんじゃ」

菜々「……ガブ」

P「」

菜々「耳、噛んじゃいました」

P「」

菜々「あ、あれ? プロデューサー?」

未央「なんか幸せそうな顔で固まってる」

卯月「どうしちゃったんでしょう」

(本当はキスだったんだけどね)

菜々「プロデューサー? 起きてください。プロデューサー?」

P(幸せだ)

18 : VIPに... - 2013/06/07 01:36:18.03 zJCggpClo 18/40

ちひろ「祝一周年! 記念セット販売中ですよ!」

P「一年かぁ」

卯月「あっと言う間でしたね」

未央「なんかもっと経ってる感じがする」

「思い返して見れば色々あったね」

菜々「本当に色々ありましたね……」

P「個人的には菜々と出会ったことが一番大きいかな」

菜々「またまた~」

P「いや、マジで」

菜々「真顔で顔見ながら言わないでください。照れるんで……」

「菜々が二回目の京都で迷子になったり」

卯月「菜々ちゃんが合宿で夜中にお菓子食べているのがバレて怒られてたり」

未央「菜々さんがアメリカで外人に囲まれてテンパったり」

三人「色々あったねぇ」

菜々「待ってください。なんで私の失敗談ばかりなんですか」

P「それだけ菜々が愛されてるってことさ」

菜々「それは嬉しいんですけど! こういういじられかたはちょっと!」

未央「菜々さん。これからも楽しみにしてるよ!」

菜々「その楽しみは何を期待しているんですかね……!」

19 : VIPに... - 2013/06/07 01:38:20.09 zJCggpClo 19/40

未央「へへ、お待たせ。似合ってるかな?」

P「未央……。ああ、似合ってるぞ。立派になったな」

未央「ずいぶん待たせちゃったね。ちょっと準備に手間取っちゃってさ」

P「長い準備期間だったな」

未央「うん……でもそのおかげでこんな素晴しいステと特技のSRになれたよ!!」

「未央……」

卯月「その発言はちょっとダメですね」

未央「いやーテンション上がっちゃってさー!
   でもこれで胸を張ってニュージェネレーションって言えるよ!」

P「うん。本当にいいアイドルになれたな。本当に……」ホロリ

菜々「プロデューサーって結構涙もろいですよね」

P「そりゃ最初にスカウトした三人娘の晴れ姿なんだぞ。感動もするさ」

未央「えっへっへ。ほらー、娘の晴れ姿だよー」クルクルー

P「あと胸がでかい」

未央「食らえ! 天性の魅力!!」

P「ぐぇふぇっ」

未央「平然とセクハラ発言するな!!」

「天性の魅力って飛び蹴りだったんだね」

卯月「腹部にめり込みましたね」

菜々「プロデューサー、大丈夫ですか?」

P「」チーン

菜々「ダメそうですね……」

「ま、プロデューサー置いて未央のお祝いしに行こうか」

卯月「そうですね! どこに行きましょうか!」

未央「というかこの時期に普通の店って空いてるのかな」

菜々「適当に買って事務所で祝うって手もありますよ」

ちひろ「それなら経費ぐらいは出しましょうか」

四人「わーい!」

ちひろ(プロデューサーの給料から天引きですけど)

P「」

20 : VIPに... - 2013/06/07 01:39:52.24 zJCggpClo 20/40

P「明けたね」

菜々「明けましたね」

P「ああ、このまま寝転んでいたい」

菜々「事務所にこたつはよくないですよ。やっぱり」

P「もう一回寝ようかなぁ……」

バンッ

「プロデューサー。初詣行くよ」

卯月「行きますよ」

未央「行くよ!」

P「おお、元気だな。三人娘」

「ほら、立って。菜々も新春ライブがあるんでしょ?」

菜々「ありますねぇ。だからぼけっとしてられないんですよ。よっこらしょっと」

卯月「新年早々ライブなんていいですね!」

未央「とは言っても私達も仕事があるんだけどね」

菜々「毎日レッスンで大変ですよ。それじゃあ行きますか」

P「おー……。菜々、それじゃあさすがに寒いだろ。ほれ、これも着とけ」

菜々「え、これプロデューサーのコートじゃないですか。プロデューサーはどうするんですか」

P「俺は別のを着るよ。それとも菜々が別のにするか?」

菜々「いえいえ! ナナはむしろこれがいいです!」

P「そうかそうか。んじゃ俺はこれを着てと……」

「結構混んでたから時間かかりそうだよ」

卯月「その間に何をお願いするか決めておきましょう」

未央「私はCDデビューかなー」

P「それならもう決まってるぞ」

未央「えっ?」

P「決まってる。まだ言ってなかったっけ」

未央「聞いてない聞いてない。そうなんだ。嬉しいけど寒すぎてテンション上がらないよ」

卯月「戻ったらお祝いですね」

「未央のお願いもう叶ったね」

未央「ほんとだよー。神様に感謝しないと」

菜々「ナナもCDデビュー出来るように祈ろう……」

P「そうだな。凛、卯月、未央と来てるし次は菜々かもな」

菜々「でもその前に新春ライブが成功するように祈りましょう……!」

21 : VIPに... - 2013/06/07 01:41:13.59 zJCggpClo 21/40

ちひろ「バレンタインですよ。バレンタイン。プロデューサーは担当アイドルから
    さぞかしたくさんのチョコを貰うんでしょうねぇ」

P「0です」

ちひろ「えっ?」

P「0です」

ちひろ「……いります?」

P「さすがに自分用のチョコを買いたくはないです」

ちひろ「ちっ」

「プロデューサー。チョコ貰ってないの?」

P「おう。意外か?」

「うん。菜々が上げると思ってたから」

P「ああ、菜々なら『手作り用意しようとしたら失敗しました』って虚ろな目で言ってきたぞ」

「そっか。そうなんだ……」

P「別に失敗してもいいと思うんだけどな」

「……Pさん」

P「え?」

「あの、これ……心を込めて作りました。これからも私のチョコを貰ってください!」

P「」

「……あれ? プロデューサー?」

ちひろ「フリーズしてますね」

未央「簡単に固まるなぁ」

卯月「壊れかけのPCみたいですね」

「でもこれだけ恥ずかしい思いしてやった価値はあるの……かな」

未央「やっぱり凛がじゃんけんで負けて正解だったね」

「ほんっとに恥ずかしいんだからね」

卯月「ふふ、凛ちゃん顔真っ赤」

P「……はっ。なんだ罰ゲームだったのか」

ちひろ「復活した」

「ま、ね。でもこれ一応手作りだから」

未央「はい、私も」

卯月「私もですよ。プロデューサー」

P「ああ、ありがとう。三人とも。大切に食べるよ」

バタッ

22 : VIPに... - 2013/06/07 01:43:12.63 zJCggpClo 22/40

菜々「プロデューサー……」

P「どうした、菜々」

菜々「ナナはチョコを失敗しました。なのでナナをプレゼントしようと思います!」

P「」

菜々「なーんて冗談でちゃんとチョコができまし……あれ、プロデューサー?」

「また固まった」

未央「今更だけど大丈夫なのかな。このプロデューサー」

卯月「大丈夫ですよ! 私達のプロデューサーなんですから!」

菜々「おーい? プロデューサー? 起きてくださーい」

23 : VIPに... - 2013/06/07 01:45:09.83 zJCggpClo 23/40

P「イタリアかぁ……」

「水の都だね」

未央「ところであそこで外人に囲まれてる二人を助けなくていいの?」

P「いいんじゃないかな。本人達も楽しそうだし」

「菜々も卯月もなぜか外人に人気だよね」

未央「あ、歌い始めた。日本の歌だけどいいのかな」

P「盛り上がってるなぁ……」

未央「アカペラでよく歌えるなぁ」

「行く? 私達も」

未央「どうしよっか」

P「行ってきてもいいけどほどほどにな」

「わかった。行こっか」

未央「よーし、歌うぞー!」

P「街中で歌っていいのかな……。まぁライブバトル起きるぐらいだしいいのかな」

P「しかしこうやって異国の地で異人から歓声を受けるようになったんだな」

P「最初の頃は日本でさえまともに客が集まらなかったのに」

P「思えば大きくなったもんだ」

P「とは言っても路上ライブとお仕事ライブを比べたらダメか」

P「…………」

P「昼飯何食べよう……」

24 : VIPに... - 2013/06/07 01:46:47.53 zJCggpClo 24/40

「で」

卯月「で」

未央「ででん!」

菜々「プロデューサー!」

P「四人揃ってどうした」

菜々「もうネタは上がってるんです!」

未央「さぁ出してもらいましょうか!」

卯月「総選挙の投票券を!」

P「ああ、もう出したよ」

「えっ」

P「もう投票した」

未央「ええええええええ!!」

菜々「そ、そんな! せっかくジャンケンで勝ったのに!」

卯月「誰に投票したんですか!」

(良かった。じゃんけんで負けたから私の分なかったし)

P「それは秘密かな」

未央「ええい! 正月にちゃんと初詣行ったから鷹富士さんには入れてないよね!」

P「そんな算段で誘ってたのか。ぷろでゅーさーかなしいですぅ」

「キモい」

P「あ、はい。三票貰いましたが全部同じ人に入れました」

菜々「誰ですか!」

P「ええっとだな。背が低くて、特徴があり、キュートのアイドルだ」

「それって」

未央「もしかして」

卯月「私!?」

菜々「いや、ナナですよ!」

P「そう。桃華ちゃんだ」

未央「ちょ! 菜々さんストップ! ストップ!」

P「」

菜々「なんでそこで櫻井さんに飛んでいくんですか! このバカプロデューサーは!」

P「いてて、いや、こうやって喧嘩することは予測出来たからさ。
 桃華はうちに所属はしてないけど知り合いだからいいかなって」

「今回は四人でジャンケンして上位三人に入れてもらう予定だったのに」

卯月「ちょっと期待しちゃいましたよ。がっくし」

菜々「もう! 期待したんですからね!」

P「ごめんね。次回四枚配られたらみんなに一票ずつ入れるからさ」

ちひろ「……」

P「回しません」

ちひろ「……ちっ」

25 : VIPに... - 2013/06/07 01:48:42.15 zJCggpClo 25/40

菜々「プロデューサー。大事な話ってなんですか?」

P「遅かったな! 菜々ぁ!!」

菜々「どうしたんですか。なんかすごい嬉しそうですけど」

P「CDデビューが決まったぞ!」

菜々「誰のですか?」

P「YOU!!」

菜々「ナナの?」

P「そうだよ! やったなー!!」

菜々「え、そんな。嘘……ぷ、ぷろでゅーさー……」

P「な゛な゛あぁぁぁ!!」ボロボロ

菜々「ぶろでゅーざー!!」ボロボロ

ダキッ

二人「うわあああああん」

ちひろ「……菜々さんはいいとしてプロデューサーどれだけ嬉しいんですか」

P「そりゃ自分の好きな人がこんなに立派になれば嬉しいに決まってるじゃないですかー!」

ちひろ「そ、そうですね」

菜々「アイドル目指してよがっだぁぁぁ!!」

「おはよ……なにこれ」

未央「なんで抱き合って泣いてるの?」

卯月「えっと……屋上行ったほうがいいですか?」

ちひろ「ちょっと落ち着くのを待ちましょうか」

26 : VIPに... - 2013/06/07 01:50:38.98 zJCggpClo 26/40

P「いやー、恥ずかしいところを見せたな」

菜々「見せちゃいましたね」

「いいんじゃないかな」

未央「菜々さんおめでとう!」

卯月「これで四人みんなCD出しましたね」

P「ああ、これでみんなようやくトップアイドルの一歩が踏み出せ……うぅ」ボロボロ

未央「また泣いてる」

卯月「涙もろいですね」

「でもまだ一歩。ここから私達の物語が始まる」

菜々「そうですよ。夢の終わりには新しい夢の始まりが待っているんです。
   次のナナの夢はでっかいステージの上で女子高生アイドル四人組のライブをすることですよ!」

卯月「そうですね! 頑張りましょう!」

未央「……いいのかな」

「女子高生かは置いといて四人でライブしたいね」

菜々「そこは普通に賛同してくださいよ!
   ナナは17歳女子高生なんですから!!」

27 : VIPに... - 2013/06/07 01:52:11.77 zJCggpClo 27/40

以上。
菜々 CDデビューおめでとう!!

菜々のアイプロはこれからだ!!
正月あったけど。

以下 SF

28 : VIPに... - 2013/06/07 01:54:15.83 zJCggpClo 28/40

花の匂いがする。これは何の花だっただろうか。

「そこのキミ。ちょっといいかな」

アイドルを目指して幾星霜。私の運命はあの人と会って変わった。

「安部菜々、17歳女子高生でーす! きゃはっ」

小さなプロダクション。そこに所属する駆け出しのアイドルたち。

私は夢への一歩を踏み出した。なのにどうしてだろう。

夜になるとなぜか心が不安になる。

何か大切なことを忘れているような気がする。

なんだっただろうか。

29 : VIPに... - 2013/06/07 01:56:54.62 zJCggpClo 29/40

ちひろ「ぷろでゅーさーさんも飲みましょうよぉ~」

P「酒くせぇ!! この人酒くせぇ!!」

菜々「ナナもいるだけで酔いそうです……」

菜々「……とりあえず姫川さんを避難させないと」


ちひろ「アイサバin動物園ですよ!」

P「可愛いなぁ……」ナデナデ

菜々「……」ナデナデ

P「菜々? どうした?」

菜々「いえ……ウサギ可愛いですね……ぎゃ、この黒いのは!!」


菜々「アイプロで京都に来たのはいいのですが……。
   ここはどこでしょう」

菜々「うー。頼みの携帯も圏外……。こんな竹林で迷うなんて」

菜々「幸いにも今日がオフですから仕事に送れる心配はないですけど」

菜々「ってナナは誰に説明しているんでしょう。はぁ、歩き疲れましたしあそこで休みましょう」


菜々「北海道はでっかいどう」

P「……」

「……」

未央「……」

卯月「……」

菜々「すみません。北海道に来てテンション上がってました。深くお詫びします」

31 : VIPに... - 2013/06/07 01:59:18.73 zJCggpClo 30/40

菜々「今年は去年よりひどいですね」

P「ああ、おもにあそこにいる元警察官のせいだろうけどな」

菜々「とりあえず未成年組は避難させました」

P「じゃあ……逝ってくる」

菜々「ああ、プロデューサーが酔っ払いと戦っている……」


P「CDデビューが決まったぞ!」

菜々「誰のですか?」

P「YOU!!」

菜々「ナナの?」

P「そうだよ! やったなー!!」


菜々「CDデビューかー……むふふ」

菜々「はー。菜々もこんなに大きくなれるなんて」

菜々「お父さんとお母さんになんて言おう……」

まただ。なんだろう。この花の匂い。懐かしいような気がする。

なんだっただろうか。何かを忘れているような……。

32 : VIPに... - 2013/06/07 02:01:19.06 zJCggpClo 31/40

小さなプロダクション。初めて来たはずなのに懐かしい感じがする。

古びた建物の匂いが記憶を刺激しているのだろうか。

いや、17歳ですけどね?

でも最近は。特にこのプロダクションに来てからいつもこうだ。

なぜこんなに既視感を感じるのだろう。

P「よーし、じゃあトップアイドルを目指して頑張るぞー!!」

四人「おー!!」


菜々「この観覧車結構高いところまで来ますね」

卯月「あんな遠くまで見える……あ、あれってうちのプロダクションの入ってるビルじゃないですか!」

「うちのプロダクション反対だから」

未央「プロデューサーがあんなに小さい」

日菜子「むふふ」


菜々「よっこいしょっと」

「お疲れ。菜々も女子寮に引っ越したの?」

菜々「ええ。立地もいいですし家賃も安いですからね。
   ……せまいけど」

「でも女子寮が出来るって結構すごいことだよね」

菜々「どこかのプロダクションと共同で借りてるんじゃないんですかね」

「アイドルだらけの女子寮か。……気をつけてね」

菜々「セキュリティは大丈夫でしょう……多分」

33 : VIPに... - 2013/06/07 02:03:18.92 zJCggpClo 32/40

菜々「クリスマスも近いのになんでこんなに走り回って……」

P「見つけたぞ! ライブバトルだ!」

未央「冷静に考えなくても街中駆け回ってライブっておかしいよね」

「愚痴をこぼしても仕方ないよ。行くよ!」


未央「仙台と言えば!」

菜々「牛タン!」

卯月「おいし~」

「……また太るよ」

卯月「……大丈夫です!」


菜々「CDデビューを祝ってたらすっかり遅く……」

菜々「この花の匂い……どこからするんだろう」

菜々「懐かしいような……何の花だっけ」

菜々「こっちのほうかな……」

菜々「でもなにか大切な事を忘れているような……」

34 : VIPに... - 2013/06/07 02:05:32.39 zJCggpClo 33/40

晶葉「ふふふ。どうだ! ウサちゃんロボだぞ!」

菜々「こ、これは……! すごい!」

晶葉「ふふん。バックダンサーもこなすし団子も配るし……完璧だ!」

菜々「……」

晶葉「ん? どうした? 何か不満か?」

菜々「あ、いえ。ロボは完璧なんですけど……」

晶葉「……なにか悩み事か」

菜々「その……前にもこんなことがあったような気がするんです。
   頼子ちゃんと夕美ちゃんと晶葉ちゃんと四人でイベントやって……」

晶葉「ふぅむ? 既視感というやつか。だがそんなものはよくあることだろう」

菜々「ずっとなんです。特にスカウトされてから。初めてなのになぜか懐かしく
   いつも何かを思い出しそうになるんです……」

晶葉「残念だが私の分野とは違うから的確なアドバイスは出来ないが……。
   確か既視感というのは未だに原因不明の現象だ。色々と仮説は出されているが
   まだ解明には至っていない。現象自体は一般人にも日常的に起こりえるものだから
   そう珍しいものではないと思うんだが……。
   それだけ頻発しているということは既視感を引き出している他の原因があると考えられる」

菜々「既視感を引き出す他の原因……」

晶葉「例えば脳の誤認識とか精神的な病とか」

菜々「脳!? 精神!?」

晶葉「例えばの話だ。記憶系統に障害が出ているとしたら疑われるのはまずその部位になる。
   とは言っても他に症状があるわけでもないしそういう原因でもなさそうだな」

菜々「ナナは正常デスヨ?」

晶葉「あとはそうだな。SF的観点から見れば本当に体験しているとかな」

菜々「つまり同じ時間を繰り返している……?」

晶葉「そんなことが出来るんだったらむしろ私にやってほしいくらいだ。
   タイムマシンのきっかけになるかもしれない」

菜々「確かに同じ時間を繰り返していると考えれば色々納得は出来ますが……」

晶葉「だったらどこかで時間遡行のポイントがあるはずだしそこを越えれば
   もう既視感を感じることもなくなるんじゃないか?」

菜々「時間遡行の先……。未来……」

晶葉「あまり深刻にとるなよ。どうしても気になるなら助手に言って
   ちゃんと専門医に見てもらったほうがいいぞ。
   もっときちんとした回答が貰えるだろう」

菜々「時間遡行をうまく使えば……永遠の17歳に……ウヒヒ」

晶葉「おい、戻ってこい。本当に病院にいったほうがいいぞ」

35 : VIPに... - 2013/06/07 02:08:10.38 zJCggpClo 34/40

でも本当に。もしも本当に時間が戻せるなら。意識的にそれを操れるとしたら

ナナは多分……。

菜々「花の匂いがする……」

ラベンダーではない。何の花の匂いだろうか。

忘れていた何かを思い出させる。そして不安にもなる花の匂い。

お月見のイベントに晶葉ちゃんが言っていた時間遡行のポイント。

それはきっとこの匂いに関係しているのだろう。

プロデューサー。ウサギはとても臆病なんです。

いつも目の前にある不確定な未来を見るたびに足がすくんじゃうんです。

だから例えそれが変えられない過去だとしても。そこに確定した幸せがあるなら。

菜々「この匂い……。女子寮の裏手のほうからする……。確かあっちには山があったっけな」

ごめんなさい。プロデューサー。一緒にCDデビュー喜んでくれたのに。

でもナナは選びます。繰り返される時間の中で何度もアイドルを目指し

そしてプロデューサーと出会うことを。


声をかけられた時。とても懐かしい気がした。

初めて会うのにこの人のことを信用していいと直感できた。

だからナナは自分を隠さずに自己紹介をする。

菜々「安部菜々、永遠の17歳女子高生でーす! きゃはっ」

36 : VIPに... - 2013/06/07 02:10:18.12 zJCggpClo 35/40

以上
アイプロSF編

以下 おまけ

37 : VIPに... - 2013/06/07 02:12:08.71 zJCggpClo 36/40

菜々「アイプロで京都に来たのはいいのですが……。
   ここはどこでしょう」

菜々「うー。頼みの携帯も圏外……。こんな竹林で迷うなんて」

菜々「幸いにも今日がオフですから仕事に送れる心配はないですけど」

菜々「ってナナは誰に説明しているんでしょう。はぁ、歩き疲れましたしあそこで休みましょう」

菜々「一本道だからここを歩いて行けば竹林からも出れるはずなんだけど……多分」

菜々「あ、雨が降ってきちゃった。傘もないし、ここで雨宿りかな」

菜々「そもそも迷子にならなければこんなことには……。ああ、三人娘にからかわれる未来が見える!」

菜々「トホホ。プロデューサーにプレゼント買うために一人歩きなんて……おや、あちらに人影が」

菜々「地元の人なら道を聞いてみよう」

「ちょっと横失礼するよ。この雨には参ったもんだね」

菜々「あ、はい。どうぞ」

菜々(変わったトランクを持ってる。地元の人ではないのかな)

菜々(あれ……。でも前にもこの人と会ったような……)

「ん? どうした?」

菜々「あ、いえ。すみません。地元の方……ではないですよね」

「ああ、旅をしてる」

菜々「そうですか。実は道に迷ってしまって地元の方なら道を尋ねようと思ったのですが……」

「奇遇だな。俺も気付いたらこんな道に入ってて。まぁ一本道だから行けば抜けれるだろう」

菜々「ですよね。……あのつかぬことをお尋ねしますが前に会った事ありますか?」

38 : VIPに... - 2013/06/07 02:14:59.76 zJCggpClo 37/40

「あんたとか? ないと思うが」

菜々「じゃあやっぱり気のせいですかね。なんか前にも同じことが合った気がするんですよ。
   竹林の一本道で雨宿りしてたらあなたに出会って……」

「……最近同じようなことを言う人間にあったな。ずっと既視感に悩まされていると」

菜々「そうです! 初めてなはずなのにずっと見た事あるような気がして」

「で、夜に花の匂いを嗅ぐと不安になると」

菜々「ええ。そうなんです。何か忘れているような。そんな気がして」

「廻陋に囚われているのかもしれないな」

菜々「カイロウ……ですか?」

「花のような匂いを出して、虫やけものを誘い込む漆黒の筒状の蟲だ。
 誘いこんだ獲物の時間を円環状に歪めると言われている」

菜々「蟲ですか……」

「それなら色々と納得出来るんじゃないか」

菜々「そう……ですね。つまりナナは同じ時間を繰り返し体験しているということですか」

「ああ。そしてこの先どこかで再び廻陋に出会い、再び時間を繰り返す。
 最も本当にそうであるかは確認しようがないがな」

菜々「……本当にいるんですか? それ」

「信じる信じないはあんた次第だ。だがそうやって繰り返すたびに既視感が強くなっていくとしたら
 いつか違う過去を辿るようになるかもしれない。もしかしたらそのうちくぐりすぎて
 廻陋そのものと同化するかもしれん。何一つ言い切ることは出来んが……
 まぁ夜に花の匂いがする暗がりを見つけたら入らないことだな」

菜々「一応用心します。ありがとうございます」

「さてと……雨も小降りになったし行くとするかな」

菜々「そうですね。ナナも行きますか」

「それじゃあ達者でな」

菜々「そちらも旅のご無事をお祈りします」

39 : VIPに... - 2013/06/07 02:16:59.43 zJCggpClo 38/40

花の匂いがする。あの花の匂いだ。

菜々「女子寮の裏手に来たもののあっちのほうかな……」

菜々「あれ、こんなところに穴が。防空壕かな。でも花の匂いが中からする……」

菜々「そうだ。ナナは何度もこの穴を通って戻ってたんだ。ずっと。ずっと……」

菜々「円環状の蟲か。妖怪か何かの一種ってことなのかな」

菜々「ここを潜ればまたナナは昔に戻れる。もしかしたら過去をやりなおせるかもしれない」

菜々「でももしも過去に戻ってやり直したらプロデューサーに出会えないかもしれない」

菜々「今は積み重なった過去の結果なのだから。あの時のナナが居たから今のナナがいる」

菜々「……そう。全てが確定した過去ならば怯える必要はない」

菜々「もう先の見えない暗闇の未来を模索する必要なんて……」

菜々「ごめんなさい。プロデューサー。ナナは臆病なんです。だからまた過去に戻って」

菜々「ナナをプロデュース……」ブーブー

菜々「……メールですか。誰でしょう」

菜々「プロデューサー? えーっと、『寄り道しないでさっさと帰って来い。女子寮で宴会してるぞ』」

菜々「事務所であれだけ飲んだのに……。またやってるんですか」

菜々「……そうですね。帰りますか。呼ばれてることですし」

菜々「さようなら。カイロウさん。もしも何かあったら今度は……プロデューサーに助けてもらいます」

40 : VIPに... - 2013/06/07 02:18:02.07 zJCggpClo 39/40

~女子寮~

菜々「ただい……酒くさい!」

P「うぇーいwwwwwwwww」

菜々「わぁ……バカがいる……」

友紀「あー菜々ちゃんやっと帰って来たー」

菜々「こっちも酔ってるなぁ……」

「宴会がええんかい……ふふっ」

志乃「うふふ……」

早苗「ほら、もっと飲みなさいよ」

美優「えぇ……っ!? もう飲めませんよ……」

菜々「ひどい惨状ですね」

P「うぇーーいwwwww」

菜々「そもそもなんで女子寮にプロデューサーがいるんですか」

「菜々ちゃんも、ね?」

菜々「飲みません。
   だってナナは17歳女子高生なんですから!!」

41 : VIPに... - 2013/06/07 02:19:20.69 zJCggpClo 40/40

以上。
最後に改めまして
菜々 CDデビューおめでとうございます。

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