不良女「……それで、どうして私を呼んだんだ?」
兄「まあ落ち着いて聞いてほしい」
兄「BLの良さを知ってもらうにあたり、とりあえず一番 無縁そうな人物に聞いてほしいんだ」
不良女「知らないよ……こっちは呼び出しくらって、てっきり喧嘩かと思ったのに」
妹「百合の良さを知ってほしいのお姉さま!」
不良女「わかったよ聞けばいいんだろう聞けば……」ハァ
BL、百合好きの方向けです
元スレ
兄「BLのなにがいけないんだ!」妹「百合は素晴らしいの!」不良女「
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340019235/
不良女「それでBLってのはアレか」
不良女「ホm… 兄「ストーップ!」
兄「始めに言っておこう! BLは決して『ホモ』ではない!!」
不良女「いや……だって、男同士でアレだ…好き同士なんだろ?」
不良女「……ホモじゃないか」
兄「断じてちがうッッッッッ!!」
兄「よく聞きたまえ、BLは…」
兄「『勿論男子なのだから女子にも興味はある! しかしっだがしかしっ! より魅力的な同性の存在が、同性などという些細な恋愛の壁を破壊するのだ!!!!!』」
不良女「……よくわかんないけど、言いたい事は理解した」
不良女「けど、魅力的な同性っていうのはどういうことだ?」
不良女「女っぽい男子って事か?」
兄「ちがうぅううぅうううううううううううううッッッッッ!!!!!」
不良女「っ!」ビクッ
兄「わかりやすく例えを出そう」
兄「『部活の練習終了後の良い汗をかいた時、先輩男子と後輩男子が肩を組んでいる』」
兄「もう妄想が止まらないだろう?」
不良女「はあ?」
兄「だから、『あの二人、絶対デキてるよね……』ってことだろうッッッッッ!!!!!」
不良女「ンだよそれ意味がわからないどうしてそうなるんだよ!」
兄「す……すまない、たしかにコチラもいきなりだった。非を認めよう」
不良女「……」
不良女「ええと、それで百合っていうのは…BLの反対で、『男子も好きだけど… 妹「ちがいます!」
不良女「?」
妹「百合は、もっとプラトニックなもなんです!!」
不良女「お、おう……」
妹「BLみたいにすぐ挿したり抜いたりなんて欲望にまみれた汚ならしいものじゃないです!」
兄「挿したり抜いたりのどこが汚ならしいのだッッッッッ!!」
妹「排泄器官に挿す事のどこが清潔なのよ!!!」
妹「お兄ちゃんは静かにしてて」
妹「それに比べて百合はー……」
妹「……こう、手が触れ合うだけでお互いの頬に朱が散ったり…」
妹「き、キスなんてもうドッキドキで……」ハァハァ
兄「キスくらいでなにを照れている」
妹「キスくらいとか言ってるからBLは不純なのよっ!」
兄「言ったな? BLが不純だと……ほほうッッッッッ!」
不良女「いまのところどっちもどっちにみえるが……」タラ
兄「第一、百合好きは少し歳上のお姉さんをすぐにババア呼ばわりするではないかッッッッッ!」
妹「っ」
兄「BLに年齢の差は関係無し」
兄「あご髭に白が混じり始めた初老のダンディーなオジサマと少年! なんと素晴らしいカップリングだろう!!」
兄「それに比べ……」
兄「百合好きは、少しホウレイ線……口元に皺が出来た妙齢の女性を対象外にし、」
兄「あまつさえ10代後半の女性すらBBA呼ばわりする始末ッッッッッ!」
妹「いっ……」
妹「一部の人だけよ!」
兄「ほほう……たとえばお前の大好きな『ストライクウィッチーズ』」
妹「……」
兄「大人しく男で再現していればいいものを……『16歳からはもうBBA』の画像を見た時は立ちくらみがしたぞッッッッッ!」
妹「へ、平均年齢から見ただけ!」
妹「ババアをミーナさんって呼ぶな!!!!!」カァッ
不良女「ほう」
兄「おや動揺している様子」
兄「それに… 不良女「まて」
不良女「呼んでおいて私を放っておくとは何事だ」
兄「失礼した」
兄「そうだな……では、漫画とアニメDVDを貸す。ある程度知識を入れたら、数週間後にまた話をしよう」
不良女「なんで私が… 妹「ダメですか……?」
不良女「勿論ダ…」チラ
妹「……」ウル
不良女「……だ~っ!」
不良女「わかったよ……族の集会もあるから時間はかかるだろうけど、やってみる」ハァ
妹「ありがとうございます!」
兄「うむ。では数週間後に」
――…
弟「お姉ちゃん、なに見てるの?」
不良女「? ああ、『魔乳秘剣帖』っての」ポリ
【集会場】
ブロロロロロロロロ…
不良女「……」
後輩♀「なにを読んでるんですか? 姉御」
不良女「ん? ええと……」
不良女「……『けいおんアンソロジー』っての」パラ
後輩♀「漫画ですか? 姉御が??」
不良女「まあ成り行きでな」
不良女「放っておくわけにもいかないし」
不良女「スゲエな、絶対音感か……」ブツブツ
副総長♂「総長! そろそろ出っぱつの時間です!!」
不良女「ああもうそんな時間か……」
副総長「漫画……ですか?」
不良女「ん? 読むか」スッ
副総長♂「総長が読めと言うのならっ!!」
不良女「じゃあこれのアニメDVDあるから明日貸すよ」
副総長「はっ!!」
後輩♀「総長から貸してもらえるなんて……羨ましい」
――…【数週間後】
不良女「っよし、気合い入れて見てきたぞ」
不良女「ん?」
妹『忍たまをそんな目で見ないで!!』
兄『なにをいう! まるで人を非常識みたいにッッッッッ!』
不良女「オーッス、なにをしてるんだ?」
妹「お姉さま!」
妹「お兄ちゃんが、『忍たまは上級生が揃って来てからが本番』とか変なこと言うから」
不良女「あの教育番組のか……私も小さい時に見たことがあるぞ」
不良女「上級生なんて数えるほどしかいなかった記憶が」
不良女「それで、どうして今さら『忍たま』なんだ?」チラ
兄「…………」
不良女「……まさか」
兄「可愛いんだ、皆」
不良女「スマン。これはヒく」
兄「まだわかってもらえぬようだな」
不良女「……あのさぁ」
不良女「私はな、人が好きな物を馬鹿にするつもりはない」
不良女「ソイツの好きなもんだ。好きに好きやってろ、ってな」
不良女「しかし……」
不良女「……子供向けのアニメまでに、その……」
不良女「……まさかとは思うが、可愛いと思うだけだよな? 恋愛は… 兄「恋愛だってするさッッッッッ!」
不良女「……」ヒク
兄「可愛い男の子がたくさんいる学舎だぞ? 恋愛感情が起こってしかるべしだろうッッッッッ!」
不良女「……」
妹「お姉さま、少し距離をとりましょう」
不良女「あ、ああ」
不良女「今のところ、まだ百合の方が健全に感じるぞ」タラ
妹「そうです!」
妹「たとえば見ました? 某有名、軽音楽部漫画!」
不良女「ああ、見たよ」
妹「どうでしたっ!?」
不良女「どうって……」
不良女「ゆるい生活送ってるなぁと。悪い意味ではなく」
妹「その他には?」
不良女「その他?」
不良女「……ない、かな」
妹「ええ……」
妹「その、女の子が可愛いとか?」
不良女「よくわからないんだよなそういうの……男が見れば可愛いと思うんじゃないか?」
妹「律っちゃんと澪ってナイス夫婦ですよね!?」
不良女「夫婦……夫婦漫才はしてたような…………良い親友なんじゃないか」
妹「……良いですか? お姉さま」
不良女「な、なんだよ」
妹『律×澪は正義!! 以上! 終了!!』
不良女「……」
不良女「ナメてんのかお前」イラッ
妹「すみませんすみません」
妹「こう、内面を見てください」
不良女「……内面?」
妹「はいっ」
妹「澪は、律っちゃんが好きなんです。ここまで良いですよね」
不良女「なにも良くないが」
不良女「見逃してたかなあ、そんな描写あったんだ……」
妹「ありましたよ」
妹「律っちゃんにツッコミを入れる澪…」
妹「律っちゃんを心配する澪…」
妹「……もう、大好きでたまらないんですよね」エヘヘー
不良女「……」
不良女「? 今の説明のどこに『好き』があったんだ??」
妹「だからっ、『内面を見る』んですよっ!!」
不良女「『作者の気持ちを考えろ』くらいのレベルで読み取れねえよ!!!!!」
兄「百合厨は声が大きいな全く」
不良女「アンタは男だけど、こういう女の子だけが出る漫画は見ないのか?」
兄「? 見るが」
不良女「そ、そうか」
不良女「てっきり男にしか興味がないのかと」
兄「そんなわけないだろう」
兄「俺とて男だ。エロ本も見る」
兄「勿論、女の子同士のゆるい日常アニメも見るさ」
不良女「男がBLにハマるより健全じゃないか。『萌えー』ってやつじゃ満足出来ないのか?」
兄「違うんだよ……」
兄「『可愛い』の種類が違うんだ萌えアニメと男子がいっぱいのアニメでは」フゥ
不良女「奥が深いんだな……」ゴクッ
兄「先ほど妹が言っていた『内面を読み取る』という行為」
兄「それ自体はBLにも通じる。おさえておくべき基本だ」
不良女「似た者同士ってことか 兄「ちがうッッッッッ!」
兄「BL好きは百合も許容するが」
兄「百合好きははBLを蔑視の目で見るではないかッッッッッ!」
妹「だからそれは一部の人だって!」
兄「さっき子供向けアニメの件について俺を馬鹿にしてきたが……」
兄「貴様らだって女児向けアニメにまで出張ってくるではないかッッッッッ!」
妹「っ」
妹「そ、それは……」
兄「それは……なんだ? 弁論の余地があるならばなッッッッッ!」
妹「今期もプリキュアは可愛いの! 緑総受けなの!!!!」カァッ
不良女「兄貴と一緒じゃねえか……」
兄「話を切り替えよう」フゥ
兄「うたプリは見たか?」
不良女「? ああ『歌のプリンス様』か」
兄「『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVELIVE1000%』な」
兄「『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVELIVE1000%』はイケメンばかり。そうだな?」
不良女「たしかに」
兄「では、女の貴様なら『カッコイイ!』とか思うのではないか?」
不良女「……たしかに、格好良いなとは思っ… 兄「だよな!?」
不良女「っ」ビク
兄「そうなんだよ格好良いんだよ! そうかそうかわかってくれたかッッッッッ!」
不良女「なにをテンション上げてんだよ……」
妹「オタクってそういう生き物なんですよ……」
兄「取り乱した。すまない」コホン
兄「女なら、イケメンばかりが出るアニメの方が面白いんじゃないか?」
不良女「うーん」
妹「では『アイマス』は見ました?」
不良女「アイドルマスターか。見たよ」
不良女「今さっき出たアニメの女バージョン」
妹「こら!」
不良女「?」キョトン
妹「その言い方はダメですよ……一番言っちゃいけません」
兄「うむ。放送時期のせいもあり、比較されるのもわかるが……」
妹「アイマスとうたプリとは歴史が違うんですよ歴史が」
妹「ぽっと出のアニメと比較されるのはちょっと……」
兄「始まった。いつも煽るのはソッチだ」
不良女「譲れないものは誰にでもあるよな、たしかに……」フム
妹「では、お姉さまはどのアニメが面白かったですか?」
不良女「そうだな……」
不良女「『あの日見た花の名~』っていう……」
兄「あー、言う言う」
妹「皆言うよ」
不良女「? なにかダメだったか」
不良女「あと……」
不良女「『コードギア… 兄「キタァアアァアアアアアアアアアア」
不良女「まだ言いきってないぞ……」
妹「意外です。お姉さまのイメージとは違います……」
不良女「いや、『頭いいんだなーコイツ』って菓子食いながら見てた」
兄「見直したぞ」ウンウン
不良女「あー、あと」
不良女「麻雀の、全国大会のやつ。なんだよアレ笑える」
妹「! 咲ですか!?」
兄「馬鹿にされてるニュアンスだぞ、愚妹よ」
不良女「でもなんとなくわかったよ」
不良女「アレは……妹が言う『百合』ってやつだな」
妹「わかりやすいカップルが何組かいるのでさすがのお姉さまでも気がつくでしょう」
妹「アレは……燃えもあるし良いものです」
不良女「私にばかり質問するけどさあ」
不良女「二人はどんなアニメが好きなんだよ、最近ので良いから」
兄「タイバニとか……アクエリオンEVOLとか」
妹「咲スピンオフとか、夏色キセキとか……アクエリオンEVOLとか」
不良女「……」フム
不良女「じゃあ、BLとか百合抜きで好きなアニメは?」
兄&妹「……」
兄&妹『マリー&ガリー』
不良女「知らないな……」
不良女「似た者同士って事じゃないのか? 結局は」ウーン
不良女「んじゃ、私は集会があるから」
不良女「……ああ」
兄&妹「?」
不良女「ということは、男ばかりが集まるウチの族もアンタから見たらBLってやつに見えるんだろうな。ありえないけど」
兄「っ」
兄「そ……そうか、なぜ俺は今まで気づかなかったんだ……」
兄「よし、カメラを持って是非に撮影してきてほしい」
不良女「はあ?」
不良女「……嫌だよ」
兄「なに、少しだけ。ほんの少しだけ会話しているところを録ったら後は記録しないでいいから」
兄「頼むぅううぅううううううううううううううううッッッッッ!」
不良女「……何秒かだけだからなたった何秒だけ」ハァ
妹「男臭い集会なんて誰得なんですか~」
【――REC】
舎弟♂『副総長!』
副総長♂『ああ?』
舎弟♂『ぼく……お、オレ、副総長に憧れて……』
副総長♂『……勝手にしろ…』
不良女「(……相変わらず舎弟♂は副総長を慕ってるな)」ウンウン
後輩♀『あれ? 姉御、なに撮ってるんですか??』
不良女「? ああ、副総長をな」
後輩♀「副総……そうですか」
後輩♀「姉御、最近副総長にばかり構ってますね……」シュン
【――REC中止】
――…
不良女「……という具合だ。別段なにも無かったろう?」
兄「ほ……ほうけーほうけー……」ブフォッ
不良女「『OK OK』? 鼻血出すなよ」
妹「す、素晴らしいものが映ってるじゃないですか……」カアァ
不良女「……お前はどこを見ていたんだ」
不良女「そういえば」
不良女「アクセル音とクラッチ音で奏でるクラッチミュージックってのがあってさ」
不良女「ウチのチームで最近、そのクラッチミュージックで『けいおん!』の曲を弾くのが流行ってるよ」
兄「へえ。さっきの男前とショタの情報なんだが」
妹「お、お姉さま……先ほどの、お姉さまを『姉御』と呼んでいた華奢で可愛らしい女の子は?」
不良女「……人の話は聞かないのかよ」ムゥ
不良女「そうだな……」
不良女「副総長は元々一匹狼で、基本誰ともつるまないし」
不良女「舎弟♂の方はなんというか……族向きじゃないんだよな」
不良女「後輩♀は一度タイマンでやっつけた後、ウチのチームに入ったんだ。よく言うことも聞いてくれるし、よくモテる」
兄「なんという……」
妹「お姉さま系美人と華奢系美少女なんて素敵すぎ……」ブフォッ
不良女「はなぢ鼻血……」ハァ
不良女「それで、そろそろお終いか?」
兄「そうだな……BLの事をよく知ってもらえただろうか」
不良女「ああ……色々とあるんだな…色々と」
妹「百合についても……」
不良女「そうだな。『手が触れ合うだけで頬に朱が散ったり』だっけ?」
不良女「そういうのも良いんじゃないか? たぶん」ポリ
妹「お姉さま……」
兄「……よし」
兄『まだわかってない事がわかった』
妹『"たぶん"? キッチリわかるまで一緒にお勉強しましょうね』ニコッ
不良女「……おい待て」
不良女「……わかったよ」ハァ
不良女「これもなにかの縁だ。とことん付き合ってやる……」
不良女「『もう嫌だ』なんて……言わせないからな」ニシッ
<了>
80 : ◆0f/9jKtPus - 2012/06/18(月) 23:09:50.09 9z7F/I50O 22/40第一部 完 ということで。
不良女さんは族の集会でバイクに跨がりながら漫画をパラパラめくる可愛い。
第二部 『不良女さん初コミケ』に続く――…
……なんて、どうでしょう。
乙です。
ジジジジジ…
不良女「……あつい」
ザワザワ…
不良女「黒山の人だかりとはよく言ったもんだな……黒髪率がやけに高いからまさに黒山だ」
妹『お姉さまーっ!』
不良女「? ああ、遅いぞ。入り口はこっちだ」
妹「私たちはサークル参加なのでサークルチケですんなり入れますよ」
不良女「そうなのか」
不良女「まあ待たずに済むのならそれに越したことは無い」
不良女「えっと……コミケ? だったか。並んでる本を見てウロチョロしていれば良いんだろう」
妹「甘くみないほうが良いですよ~」フッフッフ
妹「では、始めは私のサークルで売り子のお手伝いです!」
不良女「ん?」
――…
妹「500円玉はこっちに……」ジャララララララララ
不良女「この緊張感……な、なにが起こるんだ」
不良女「まあいいか、座って代金を受けとれば良いんだろう」
不良女「それにどんな本を売…」ブッ
不良女「な……なんで律と澪がキスしてるんだよ」カァ
妹「言いましたよね? 律×澪推しだって」
妹「渾身の一作です」
不良女「これを売るのか……?」
妹「ここに来る人は類友ですから。気負う必要なんてないですよ」ニコ
不良女「それはそうだんだろうが……」
不良女「……切り替えよう」
不良女「よしっ、やってやるか!」
――…
少女『あのー』
不良女「っ……は、はい?」
少女「少し読んでも良いですか?」
不良女「(試し読み?)」チラ
妹「」ニコ
不良女「あ、ああどうぞ」
少女「どうも」ペラ…
不良女「(まだ中学生なったばかりくらいだろうに……なぜこの場所にいるんだ少女よ)」
――…
不良女「すごいな……もう半分捌けたぞ」
妹「固定ファンがいるのも強みですね」エヘン
不良女「ほう……」
「あの……」
コスプレ♀「読んでも……」
不良女「あっどうぞ」ニコ
妹「(順応能力高いなぁ)」
コスプレ♀「」チラッチラ
不良女「?」
コスプレ♀「」チラ
不良女「あの……なにか?」
コスプレ♀「いやっ、その…」
コスプレ♀「……初参加なんですけど、綺麗な方もこういうの作るんだなぁと思って」
不良女「いや、私は……むぐっ」
妹「もうこの人、百合っ百合んですから」
妹「その本に負けないくらい!」
コスプレ♀「そ、そうなんですか」カァ
不良女「は、はは……」
不良女「(知り合いに会ったらどう説明するか……)」タラ
妹「こっちは一先ず落ち着きましたね」
不良女「そうみたいだな……手がお釣りの硬貨で真っ黒だ」
妹「お兄ちゃんが待ってると思うので、向こうのベースに売り子のお手伝いに行ってください」
不良女「?」
不良女「まだ手伝うのか?」
妹「それが終わったら自由行動ですから」ニコ
不良女「う~……」
不良女「……わかったよ、いくよ」ハァ
――…
兄「待っていたぞ!」
不良女「うっす……売り子だろ、座るな」フゥ
ザワザワ…
不良女「ん?」
不良女「騒がしいな……」
兄「非常に残念ながら今年、ウチのサークルはノーマルの萌えオタ向け本だからな」
兄「美人が来たもんだからザワついてるんだろう」
不良女「はあ……」
兄「Tシャツ1枚にジーンズとは……オタの好みをわかっていないな」
不良女「動きやすくて良いんだよ」
兄「そうだ、知り合いに頼むから後でコスプレにも挑戦するといい」
不良女「……嫌だぞ」
不良女「それに、客が来ないな。人気ないサークルなのか?」
兄「相変わらずの歯に絹きせぬ態度だな……貴様が来てからだ」
不良女「……どこか行ってるか?」
兄「いやいい」
兄「『マジ? お前買ってくれたお客さんには嬉しすぎて握手しちゃうの!?』」
不良女「は?」
ザワザワ…
不良女「そういう売り方はアリなのかよ……」
兄「ただ握手するだけだ、なんの問題も無い」
不良女「は、はは……」
ニギッ
不良女「あ……ありがとうございました」
ニギッ
――…
不良女「やってられるかっ!」
兄「全売だ。ご苦労」
不良女「ったく……」
不良女「じゃあ、自由行動にするぞ」
兄「待て」
ガシッ
不良女「……なんだよ」
兄「さっきメールで頼んでおいた。コスプレを経験してこい」
不良女「絶対無理だ」
兄「……相手には既に衣装も用意して貰ったのに、そうか…せっかく用意してくれ… 不良女「わかったよやればいいんだろうやれば!」
兄「物わかりがいいな、指定の場所は……」
不良女「散々だ……」ハァ
ザワザワ… パシャパシャッ…
不良女「……」キッ
『い……一枚良いですか?』
不良女「勝手にしろ」ギラン
『ヤバい、リアル大神涼子ktkr』
不良女「んだよ……いつの時代の不良だこのコスプレ」
不良女「それに……この猫猫ナックルだかいう手袋…………」
不良女「(……買い取り出来るのかな)」
パシャッ!!
『すみません、向こうに同じオオカミさんシリーズの赤ずきんちゃんやってる子がいるんであっち行けます?』
不良女「はあ?」キッ
『す……すみませ… 不良女「どこだよ」
『え……?』
不良女「どいつがその赤ずきんってのなんだ?」キョロ
『ありがとうございます! 向こうの……』
不良女「……ああ、わかった。あの赤いヤツな」
――…
不良女「わるい、こっちのカメラ男が――…」
後輩♀『あっ、はい』ニコッ
不良女「っ?」
後輩♀「ゎ……わ……」
後輩♀「ち、ちがうんです……この格好は……」アタフタ
不良女「いや、格好の前にどうしてお前がここに……」
後輩♀「あ、姉御に見られた……し、死ぬしか……」グルグル
不良女「おい落ち着け」ペシッ
後輩♀「ぁうっ」
不良女「まずは奴さんに一枚撮らせてからだ。な?」
後輩♀「そ、そうですね……」ヒリヒリ
不良女「……似合ってるなソレ」
後輩♀「本当ですかっ!?」パァッ
後輩♀「ぁっ……」
後輩♀「で、でも……このキャラってもう少し背が低い子が…」モジ
不良女「はあ……」
後輩♀「あ……姉御もオオカミさんバッチリ似合ってますっ!」カアァ
不良女「? まあこのキャラクターは知らないんだけどな」
後輩♀「……それは、いけませんね」
不良女「?」
後輩♀「コスプレをするからには、そのキャラに心からなりきるのが礼ってもんです」ズイッ
不良女「ほ、ほう……」
後輩♀「……でも、こうして姉御と一緒にコスプレしてるなんて夢みたいです」チョン、チョン
不良女「……一応、聞いておくけど」
不良女「お前って、オタク?」
後輩♀「……」カアァ
後輩♀「…………はい」キュウ
不良女「……まあ、しょうがないよな」
不良女「人の好きなもんをとやかく言うつもりは無いよ」
ナデ
後輩♀「あ……姉御ぉ」ウル
――…
不良女「おいーっす」
兄「一日目はどうだった」
不良女「何日もあるのかよ……まあ、そこそこ楽しめたかな」
不良女「……ありがとう」
後輩♀「姉御は素直かわいいです」グッ
兄「……で、ソチラさんは?」
後輩♀「お初目にかかります。姉御の子分の後輩♀と申します」ペコ
妹「……」パクパク
不良女「? どうした妹」
妹「き、きた……」
妹「これは奇跡だよ……」
妹「後輩♀さん!」
後輩♀「?」キョトン
妹「私、不良女さんとの事……応援してますから!」
後輩♀「」ブッ
後輩♀「な、ななななんのことですかかか……」カァッ
不良女「?」
兄「なぜこの場にいたのが女人なのか……」ハァ
――…
ピコピコ
弟「お姉ちゃんがゲームなんて、どうしたの?」
ピコピコ
不良女「ん? ああ、後学のためらしい」
不良女「ああっ、ファルコン強いな……」ムゥ
弟「ピカチュウも強いキャラだから……頑張って」ニコ
不良女「よし、次だ次」
ピコピコ…
弟「今日はお友達のところに行かなくていいの?」
不良女「? ああ」
不良女「私はもう『卒業』らしい…」
不良女「……なにからの卒業なんだろうな…………」ハハ
ピコ…ピコ……
弟「……お姉ちゃん」
――…【学校】
不良女「……」
不良女「」チラ
妹「あ……」
不良女「よう、元気にしてるか?」
妹「あの……すみません…」スタスタ…
不良女「……」
――…
不良女「あっ」
兄「……」
不良女「……よ、よう」
兄「……」チラ
兄「……」スタスタ…
不良女「……」
不良女「んだよ、なにかしたか? 私……」
――…
後輩♀「……私にはわかりませんね」
不良女「そう……だよな」
不良女「わるい、変なこと聞いて」ニコ…
後輩♀「姉御……」
不良女「……」
不良女「ダメだ、ウジウジしてるのは性に合わない」
不良女「……よし」キッ
――…
ガラッ
不良女「兄はいるかっ!?」
ザワッ…
『あ、兄くん……呼んでるよ』
兄「……すまない、騒がせたな。授業には少し遅れるかもしれない」
兄「……用件は大体わかり。どこに付いていけばいい」
不良女「……」
――…
妹「……」オド
兄「……」
不良女「私が呼び出した理由はわかるな?」
不良女「……」
兄「……ああ」
不良女「どうして急に避けるようになったんだ?」
兄「不良と一緒にいると我らの素行まで疑われるだろう」
不良女「……」
不良女「なんだ、そういうことか」ニッ
妹「っ」ウル
兄「……」
不良女「私が二人を怒らせるような事したんじゃないかって、ずっと考えていた」
不良女「……けど」
不良女「良かった……そんな理由なら、好きにすればいい」
妹「お姉さ… 兄「……言いたい事はそれだけか?」
兄「なら、帰らせてもらう」
不良女「……ああ、それと」
兄「暴力か? やるなら…… 不良女「ありがとうなっ」
不良女「私は……この数ヶ月、楽しかった」ニコッ
不良女「はじめは……意味わかんねえ奴らに絡まれたと思って、少しウザいとも思った」
兄「……」
不良女「一人はBLなんていう、男のくせにホモ…じゃなかったな」
不良女「男同士のいきすぎた友情が好きやつで……」
妹「……」グスッ
不良女「もう一人は……なにかあれば百合、百合…もう頭の中それで一杯って感じのやつ」
不良女「けどさ、一番始めにアンタが言っていた……」
不良女「『一番無縁そうなヤツ』確かに、私ほどそういった趣味に無縁な人間もいないだろう」
不良女「だからこそ、楽しかった」
不良女「『百合の良さを知ってほしい』……そう言ったのはお前だぞ――…妹」
妹「っ」ヒック
不良女「『BLの良さを知ってほしい』……そう言ったのはアンタだ――…兄」
兄「……」
不良女「正直、まだよく分からないところもある――…」
不良女「……だから」
不良女「二人に、まだ――…教えてほしいんだ」
不良女「私の……知らない、色々な事を」ニッ
妹「お姉さま……」グスッ
兄「……」
兄「……そうか…」
不良女「ああ……だから、もう一度――…」 カチッ
不良女「?」
兄「……」クク
不良女「??」
妹「お姉さま……私、嬉しいです」ヒック カチッ
『……だから』 『二人に、まだ――…教えてほしいんだ』 『私の……知らない、色々な事を』
不良女「……??」
兄「言質は取った」ニィ
不良女「?……??」
兄「録音もしたし、暫くはこれで逃げられないだろう」
妹「お姉さまっ! 私もっ、お姉さまの事が大好きです!!!!!」ダキッ
不良女「???」
兄「……仕方ない」
兄「では貴様の望み通り、これからも我らの指導を受けさせてやるっ!」
不良女「……あー、なるほど」
不良女「そういうことか……」ニッ ポキ、ポキ…
兄「おい待て……これはだな、これから先、エロゲや諸々に差し掛かったら確実に貴様は拒絶するだろうからと…」
兄「……その前に我らとの関係をまだ続ける決心を――…や、やめろ来るなっ!」
不良女「……大丈夫」
不良女「言ったんだろ? 『授業には遅れる』って」
不良女「じゃあ……戻れるくらいの元気は、残しておかないとな」ニコッ
\ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーー/
――…
不良女「な、なんで私がハードモノのBLゲーを……」 カチッ
『……だから』 『二人に、まだ――…教えてほしいんだ』 『私の……知らない、色々な事を』
兄「貴様がこう言うとわかっていたから、やはりあの作戦はやって正解だったようだな」
不良女「……ぐぬぬ」
妹「お、お姉さま……」モジ
不良女「ああ、この次は百合の本なりなにかか?」
妹「あの……」
妹「リアルと言いますか……」チョン、チョン
不良女「?」
妹「私とゴーイングベッドしましょうっ!」カアァッ
不良女「ことわるっっっ!」
妹「ふぇ~ん、失恋したー」ワーン ダキッ
不良女「それで私のところに来るのはどうだろうな……」
不良女「……でもまあ、選んだのは私だ」
不良女「だから――…」
兄「BLの良さがわかったか」ニィ
妹「百合は素晴らしいですよねっ」ニコ
不良女「――…BLも百合も、どっちも良いって……付き合ってくれよ」
不良女「言ったろ?」
不良女「『嫌だなんて言わせない』――…ってさ」ニシッ
<了>
168 : ◆0f/9jKtPus - 2012/06/19(火) 02:38:58.43 G/5KT4z0O 40/40保守&支援ありがとうございました。
不良女さんはバッチリキメた外出用オシャレ服で待ち合わせ中に百合本読む可愛い
第三部 【不良女さん、朝起きたら両脇に妹と後輩♀がいて『昨日はスゴかったです』と二日酔いで回らない頭に言われる】――…
……に続くと可哀想な気もするので一先ず 了といたします。
乙です。