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最終章 「これでお終いラッキースケベ」
―――運命の日
最原(……とうとうこの日がやってきてしまった。僕たちが脱出できるかどうかは、今日で決まるんだ……!)
最原(ここに閉じ込められてから色んな事があった。でも、天海くんの才能がこんな事態を引き起こすなんて誰が想像しただろう?)
最原(……色んな事があった。楽しい事も、厳しい事も、沢山あった。でも、僕たちはみんな生きている。16人全員で生きているんだ……!)
最原(そして……僕にも、この生活の中で芽生えた感情がある。不純な始まりだったけど、今ではとても大切な感情なんだ)
最原(……伝えよう、この気持ちを……僕が一番大切だと思うあの人に!)
誰に告白しますか? 失敗の場合は特にイベントはありません。コロシアイが始まるバッドエンドです。
現在、八人中三人の女の子がエンディング候補です。どうか後悔の無い決断を……
明日の0時を過ぎた段階で一番回答の多かった女の子に決定します。
554 : 以下、名... - 2017/03/23 21:12:21.74 D7q3mVcgO 829/1000魔姫
555 : 以下、名... - 2017/03/23 21:14:54.64 3mhptHdIo 830/1000ハルマキ
557 : 以下、名... - 2017/03/23 21:21:05.02 WInXdvrUO 831/1000春川魔姫
558 : 以下、名... - 2017/03/23 21:23:18.15 Peq1dGpDO 832/1000M姫ちゃんで
564 : 以下、名... - 2017/03/23 21:43:25.22 vtGZC6To0 833/1000赤松さんで
3人はハルマキと赤松さんと、あとは白銀?
567 : 以下、名... - 2017/03/23 21:57:16.64 4kOkw7BCO 834/1000圧倒的だけどそれでも赤松さんに一票を…っ!
>>564 比較的好意を持ってたみたいだから3人目は東条さんもありえるかと思ったけどそこまで愛情深まってないかな、白銀さんとかアンジーさんは個別のイベントがあんまりなくて深く追求できてないからわかんにゃい
578 : 以下、名... - 2017/03/23 22:44:34.44 kOKLLpmMo 835/1000どっちも見たいな…
585 : 以下、名... - 2017/03/24 00:09:14.49 PgpHE+X80 836/10003人目…誰だ…白銀?でも白銀だと東条と同じくらいしかイベントなかったよね…取り敢えず選択はハルマキ
586 : 以下、名... - 2017/03/24 00:11:42.55 Vn8woHFSo 837/1000アンジーでしょ
元々好感度高かったと思えば
593 : 塩 - 2017/03/24 22:14:25.89 KIHr+ucD0 838/1000
どうも塩だヨ。たくさんの投票をありがとうネ
どうやら告白相手は春川さんで決まりそうだネ。でも、赤松さんのENDを見たい人もちらほらいるのかな?
……じゃあ、見せようか?もう全ENDは書き終わってるし、今回のEND候補の中に赤松さんも居るから、ここまで付き合ってくれた皆への感謝の証として先に赤松さんEDを投稿させてもらうヨ
では、ごゆっくりどうぞ……!
最原(赤松さん……優しくて、誰よりもここから皆で出ることを望んでいる彼女に僕は救われた。彼女の温かさのおかげで、僕はもう一度前を向ける様になったんだ)
最原(たくさん回り道もしたけど……おかげでようやく自分の気持ちに気がつくことができた。僕は、赤松さんが好きだ!)
最原「……伝えよう、この気持ちを……しっかりと、彼女に伝えるんだ!」
最原「そうと決まれば赤松さんを呼び出そう。場所はどこがいいかな……ん?」
最原「……扉の隙間に何かが……?これは、手紙?赤松さんからだ!」
赤松『最原くんへ、君に伝えたい事があります。朝食の前にあなたの研究教室で待っています。赤松楓より』
最原「……もしかして、赤松さんも同じ気持ちで……?こうしちゃ居られない、急いで研究教室に向かおう!」
―――最原の研究教室
最原「あ、赤松さん!」ガチャッ!
赤松「……来てくれたんだね、最原くん」
最原「う、うん……それで、僕に話したいことってなに?」
赤松「……ここでの生活もなんだかんだで長く続いてるよね。その中で、色々な出来事があって……沢山の変化もあった」
赤松「……最近ね、君のことばっかり考えるんだ。何してるんだろうとか、明日はどう一緒に過ごそうかとか……ずっと、最原くんのことを考えてるんだよ」
最原「赤松、さん……!」
赤松「……だから、ちゃんと言っておこうと思ってさ。もし、明日またコロシアイが始まったら伝えられなくなっちゃうかもしれないから、だから……っ!」
最原「……待って、赤松さん。ここからは僕に言わせてもらえないかな?」
赤松「え……?」
最原「……僕もそうなんだ、気がつくといつも君の事を考えてる。一緒に居て楽しかった事とか、どうしたらもっと喜んで貰えるかとか……とにかく、赤松さんの事を考えちゃうんだ」
赤松「……うそ」
最原「本当だよ。ずっとずっと悩んで、迷ってたけど……僕も後悔したくないから……言うね」
最原「赤松楓さん、僕はあなたの事が好きです。僕と……付き合ってくれませんか?」
赤松「……本当、なの?最原くんは、私の事を……?」
最原「本気だよ、冗談じゃこんな事言わないよ!……ドッキリでもなんでもない、僕の本心なんだ……!」
赤松「……そっか、最原くんは、私の事を……!」
最原「………」
最原(……伝えたい事は伝えた。これで赤松さんがなんと答えようと後悔はしない……イエスでもノーでも、僕は受け止めるだけだ!)
赤松「……最原くん」
最原「……はい!」
赤松「……なんで、私以外の女の子を選んだの?」
最原「……え?」
―――――――――――――――――――――――
理解出来なかった。彼女の言っている事は、あまりにも僕の予想をかけ離れていた。
僕は赤松さんに告白したはずだ。でも、なぜか彼女は自分以外の女の子を選んだと言っている。
目の前に居るのは赤松さんのはずだ。そう自分で確認しなおした時……僕は気がついた。
「ふふふ……はは、うふふふふふふ……!」
目の前に居るのは赤松さんだ、それは間違いない。でも、今の彼女は僕が知っている彼女では無い。
浮かべている笑顔も、雰囲気も、全てがいつもの赤松さんのものとは違う……何か、狂気じみたものを感じるのだ。
「な、何言ってるの赤松さん?僕は、君の事を……」
「ふ、ふふふ……あはははは!最原くん、私が何も知らないと思ってるの?」
「え……?」
ゾクリと背中に冷たい何かが走る。いつもの温かな光が消え、ぐるぐると混沌が渦巻いている赤松さんの瞳には確かな悲しみと絶望が映っていた。
「……知ってるんだよ、最原くん……君が昨日、他の女の子とラブアパートに行ったことをさ」
「あっ……!?」
「……見てたんだよ。君が建物の中に女の子と一緒に入っていくのをさ……全部全部、見てたんだよ!」
赤松さんの瞳からは涙が溢れだしていた。彼女に対する罪悪感で何も言えないでいる僕に対して、彼女は喚く様に、だが淡々と言葉を続ける。
「……見間違いだって思いたかった……でも、君とあの子の部屋を尋ねても誰も居なくて、ずっと建物の前で待ってたんだよ?」
「最原くんにわかる?信じたくないって思いながらずっと立ち尽くしてた私の気持ちが……好きな人が、私を選んでくれなかったって言う絶望が、わかるの!?」
僕は何も言えなかった。赤松さんを裏切ってしまった事実はそれほどまでに重かったのだ。
与えられたチャンスを彼女の為に使っていればこんな事にはならなかったと言うのに……後悔しても後の祭り、全てが遅すぎた。
「……でも、しょうがないって思ったんだ。最原くんが誰を好きになろうともそれを私に責める事は出来ない……そう考えて諦めようとしたのに、なのに、君は……っ!」
「私の事が好き?他の女の子に手を出しておいて、そんな事を言うの?ねぇ、それは君の本心なの?それとも、都合の良い女を手放したくないって言う嘘なの?」
「違う……違うんだ!僕は……!」
「……もう、良いよ。大丈夫、君の事はよくわかってる。だからね……もう君の言葉を聞くのは止めにするよ」
「えっ……!?」
赤松さんが僕にあるものを見せ付ける。ドクロのマークが描かれた小瓶、それを何度か振ってみせると、赤松さんは貼り付けた様な笑みを見せた。
「……私の事が本気で好きなら、行動で信じさせてみせてよ。じゃあ、一応言っておくね……バイバイ、最原くん」
「だ、駄目だ赤松さ……っ!」
僕の制止の声も虚しく、赤松さんは毒の入った小瓶を傾けるとその中身を一気に飲み干して……そのまま倒れた。
「あ、赤松さん……?赤松さんっ!」
ぐったりと動かない赤松さんの体を揺らしながら僕は必死に叫ぶ。
「あ、赤松さん!目を開けてよ、赤松さん!」
こんなの嫌だ。ようやく自分の気持ちに気がつけたのに、なのに、こんな……
後悔と自分自身への怒りが心の中に渦巻く、もっと赤松さんを大事にしてあげれば良かったと涙を流しながら悔やんでいた僕だったが、彼女の言葉を思い出した。
「……私の事が本気で好きなら、行動で信じさせてみせてよ」
くるりと振り返り、研究室内にある毒の揃った棚を見る。急いでそこに駆け寄ると、一心不乱に解毒剤の入った容器を探し始めた。
(あるはずだ、必ず……解毒剤はあるはずだ!)
赤松さんの持っていた小瓶を見直しながら対応する解毒剤を必死に探す。時間はあまり無い、急がなくてはならない。
焦り、悲しみ、恐怖……ぐちゃぐちゃになった心のままに棚を漁っていた僕だったが、ついに目当ての物を見つけ出してそれを掴んだ。
「赤松さん、これを!」
キャップを開けて解毒剤の入った容器を赤松さんの唇に当てる。しかし、意識を失っている彼女はその中身を飲む事は出来なかった。
「……だったらっ!」
意を決した僕は解毒剤を自分の口の中に含んだ、そして、そのまま彼女に口付けし、口の中に解毒剤を流し込む。
悲しいキスだった。消えようとしている赤松さんの温もりを取り戻すためのキス。愛情はあれど、喜びも幸せも無い口付けに自然と僕の目からは涙が零れ落ちて行った。
「……お願いだよ。目を開けてよ……僕が、僕が悪かったよ……次があるなら、君の事を大切にするから……だから……!」
「……それ、本当?」
「っっ!?」
「……他の誰よりも私を大切にする?本気でそう言える?」
「うん……うんっ!約束するよ、だから、だから……」
「……じゃあ、抱きしめてよ。私が良いって言うまで……」
返事はせず、代わりに僕は思い切り赤松さんの体を抱きしめた。温もりが戻ってきた彼女の体を抱きしめながら僕は決心する。
今度こそ彼女を大切にするんだ。もう二度と、こんな事を引き起こさないように……
「……3」
僕の腕の中、目を瞑っている赤松さんが何かをつぶやく。それがカウントダウンだと言うことに気がついたのは、彼女の腕が僕の背中を掴んだ時だった。
「……2」
キリキリと首を動かして彼女の表情を見ようとする。しかし、俯いたままの赤松さんの顔を見る事は叶わなかった。
「……1」
このカウントダウンが終わった時、何が起こるのか?それは僕にもわからない。だが、何か恐ろしい事が起きる予感はしていた。
そして……
「……0」
カウントの終わりを告げる赤松さんの声と共に僕は彼女に床へと押し倒された。強かに打ちつけた後頭部の痛みを感じた僕だったが、それと同時にすさまじい衝撃と音を五感で感じ取っていた。
「い、今のは……?」
「……ここに来る前にね、食堂に爆弾を仕掛けたんだ。それが爆発したんだろうね」
「……え?」
「頑張ったんだよ。君がラブアパートから出てくるのを待つ間、頑張って作ったんだからね……!ずっとずっと、涙を流しながら作った、私の絶望がたっぷり詰まった爆弾なんだよ……!」
「あ、あ……」
「……きっと皆、木っ端微塵だね!もう生き残りは私たちだけだよ!……でも、良いよね?最原くんは私を選んでくれたんだもんね?」
「も、百田くん……天海くん……春川さん……み、皆……!」
「大丈夫だよ、きっと皆天国で仲良く友達になれてるって!だから、私たちも仲良くしようね!」
ニコニコと笑う赤松さん、その笑顔は温かく慈愛に溢れ、そして、狂っていた。
もう僕は何も考えられなかった。何が悪かったのかも、どうすれば良かったのかもわからなかった。
ただ、皆がいなくなってしまった事と、その原因を作ったのは僕だと言うことだけは痛いほどに理解していた。
「……二人きりだね、最原くん……!なんだかドキドキしちゃうね……!」
優しかった赤松さん、そんな彼女を狂わせたのも僕なのだ。これはきっと、僕に与えられた罰なのだ……
「……ああ、そっか。最原くんは急に二人きりになったから寂しいんだね?大丈夫、しばらく二人きりの時間を満喫したら、すぐに数を増やそうよ」
「……ねぇ、最初の一人目は男の子と女の子、どっちが良いかな?……どっちでも良いか。数なんか数えられなくなるくらい、沢山の子供を作ろうね、終一くん……♡」
――――――――――――――――――――
それからどれくらいの時間が経ったのかはわからない。外がどうなったのかも、このコロシアイがどうなってしまったのかもわからない。
唯一つ言える事は、僕は生きている。皆を殺した憎むべき彼女、誰よりも愛している彼女と……
「……ほら、もう少しで産まれるよ……!名前を考えないとね?」
「男の子だったらカイトかランタロウ、女の子だったらマキかヒミコにしようか?皆の名前を借りれば、もう寂しくないよね!」
狂ってしまった赤松さんを見るたびに胸が痛む。もっと良い方法がどこかにあったはずなのだ。
本当の意味でここから皆で抜け出して、皆一緒に友達になって……彼女と幸せに過ごす未来が、あったはずなのだ……
「ずっと一緒だよ、終一くん……!絶対に逃がさないからね……!」
きっと僕はこの学園から抜け出せないのだろう。ここで生きて赤松さんと子を作り、そうやって死んでいくのだ。
これが僕への罰……言うなれば、僕へのオシオキだ。逃げる事は許されない。そう、許されてはいけないのだ……
「……大好きだよ、終一くん……♡君もそうだよね?そうに決まってるよね……!」
赤松楓 狂気END『裏切りの代償』
608 : 塩 - 2017/03/24 22:37:10.90 KIHr+ucD0 848/1000……僕は言ったヨ?『愛の鍵を使われた人はその日の記憶を失う』ってサ……つまり言い換えれば、鍵を使われた人以外は記憶を失わないってことだヨ?
まさか大事なのは好感度が上下しないことだと思ったのかい?駄目だなぁ、使われた人以外が記憶を失うとは言って無いんだから、目撃されたかもと考えなきゃいけないヨ
おかげで一つ賢くなったネ。みんなの成長を促せて、僕はとても嬉しいヨ……!
さて、また機会を改めて本命の春川さんENDを投稿させてもらうネ。では、またネ……!
624 : 塩 - 2017/03/25 00:45:28.75 Nk3c8CDW0 849/1000携帯から失礼するヨ
どうやら全員分のエンディングが見たい人が多いみたいだネ。なら、春川さんのエンディングを投稿したら順次貼らせてもらおうかな?
せっかく書いたものが日の目を見ないのは悲しいし、どうせなら全部書いちゃおうかな?
ただ、そこに至るまでの内容はカットしちゃってるから、そこまでとうやってたどり着いたのかは僕からの簡単な説明と各自の想像で補って欲しいな。
626 : 塩 - 2017/03/25 00:50:04.65 Nk3c8CDW0 850/1000それと二週目だけど……やはり最原くん以外を主人公にすることは難しいんだよネ
単純にラッキースケベが一番映えるのは最原くんだし、それ以外のキャラが難しいって点もあるんだヨ
主役を変えるならいっそ1か2に舞台を移すかもしれないネ
あとは追加要素を加えた二週目を書くかだヨ、まぁ、まだ気が早い話だけどネ
642 : 塩 - 2017/03/26 20:07:16.97 pBPFGIWw0 851/1000待たせてごめんヨ。さて、本命のENDを投稿させてもらうネ
君たちと一緒に紡いできた物語もこれで一度終幕、寂しいけど何事にも終わりがありからにはしょうがないことだよネ
泣き言は後にしようか、では、始めるヨ……
最原「……ここに閉じ込められてから、色んな事があったなぁ、って思ってさ」
春川「え……?ま、まぁ、確かに、色々あったね……」
最原「笑える事もあったし、その逆の事もあった。それで、僕たちにも色々と変化があったと思うんだ」
春川「……私とあんたの関係みたいに?」
最原「うん……今でも何でこうなっちゃったんだろうって思うことはあるよ。後悔はしてないけどね」
春川「……あのさ」
最原「ん?」
春川「……私との関係を終わらせたいって言う話なら、別にかまわないよ。自分でも付き合いきれなくなってもしょうがないって思うもの」
最原「………」
春川「……あんたは良い奴さ、こんな私を見放さないでくれた。望みを叶えようとしてくれた。だから、あんたは自分と同じ位良い女の子と一緒に過ごすべきだよ」
最原「………」
春川「赤松なんかどう?優しいし、良い子だよ。もしあんたが望むなら、今度は私が協力して……」
最原「……春川さんの言う僕と君の関係って言うのが『ご主人様と奴隷』を示すなら、僕は確かにそれを終わらせたいと思ってるんだと思う」
春川「……うん、やっぱりそうだよね。こんな女なんて……」
最原「僕は……君ともっと別の関係で付き合っていきたいって思ってるんだ」
春川「……え?」
最原「……最初は友達だと思ってたんだ。春川さんを友達として守りたいって思ってた。君が苦しんでるなら、何とかして助けてあげたいって……それだけだと思ってたんだ」
最原「でも……多分違ったんだ。僕も君と同じ、前を向く事に怯えていた人間だから……だから、なんとなく君に同じものを感じて、気にかけていたんだと思う」
春川「………」
最原「……こんな風に変な関係を続けてきた僕たちだけど、それでも僕は君の事を見てきた。僕だけしか知らない、君の本当の姿を見てきたよ」
最原「いつしか僕は、君の事を大切な人だと思い始めてたんだ。ご主人様としてじゃなく、一人の男として、君が好きになってた」
春川「……え?それって、どういう……?」
最原「言葉通りの意味だよ。……僕は君が好きだ、これからも傍にいて欲しい。奴隷としてじゃなく僕の大切な人として、傍にいて欲しいんだ」
春川「……は?え?なに、言って……?」
最原「……ごめん、迷惑かもしれないけど、ちゃんと伝えたかったから……」
春川「………」
最原(……ちゃんと言いたい事は言った。僕の正直な気持ちも伝えた。もしこれで彼女が僕を受け入れてくれなくても、後悔はしない……僕は、自分の気持ちに向き合えたからそれで十分なんだ)
春川「……冗談、だよね?何かの間違いとか、もしかしてドッキリ?」
最原「………」
春川「そんな……そんなわけ無いよね?ちょ、ちょっと本気にしかけたけど、でも……」
最原「……ごめん、やっぱり迷惑だったよね」
春川「!?」
最原「……今の話、忘れて貰って構わないよ。本当にごめん……」スタスタ…
最原(……だよね。そうなるよね。うん、そうなるに決まってた。でも、どうしても伝えたかったから……皆、ごめんね……)
春川「……まっ、て……!」ギュッ…
最原「え……?」
春川「……本気、なの?だって私、私は……」
春川「あ、暗殺者だよ?今までたくさんの人を殺してきた、人殺しなんだよ?」
春川「それに自分の欲求を抑えられない変態で、あんたに迷惑をかけるのは間違いないんだよ?」
春川「無愛想で可愛げも無くて、別段スタイルも良くないし……他にもっと良い女の子なんて沢山……」
最原「……君が良いんだ」
春川「っっ……!?」
最原「例え君が今言った事実があろうと、僕が今まで見てきた君もまた事実なんだ。例え君にそんな過去があったって、この学園の中で見てきた君の事を僕は好きになったんだ」
最原「他の女の子じゃない、君が良いんだ。君が……魔姫が好きなんだ!今、君が言った事なんて吹き飛ばせる位の君の好きな所を僕は沢山知ってる!だから、だから……っ!」
春川「う、うぅ……あぁぁぁ……っ」ポロポロ…
最原「ま、魔姫……?」
春川「ぜ、絶対に、叶わないって思ってたから……私なんかが、あんたと釣り合うわけが無いって思ってたから……っ!」
最原「え……?」
春川「わ、私も……最初はこんな自分を受け入れてくれたあんたに感謝してた。良い友達を持ったって思ってた……!」
春川「でも……一緒に過ごしていく内にどんどん気持ちが膨れ上がって……ずっと傍に居て欲しいって思う様になったんだ……」
春川「そんなこと言ったら迷惑がられると思ったから、こんな私を好きになってくれるはず無いと思ったから……だから、今度こそ自分の気持ちを封じ込めて、我慢しなきゃって思ってた……でも、でもっ!」
最原「……聞かせて貰える?君の気持ちを……ちゃんと聞きたいんだ、魔姫の思いを……!」
春川「……うん、うんっ!私も言うから!あんたがしてくれた様に、私も、自分の正直な気持ちを伝えるからっ……!」
最原「………」
春川「終一……私もあなたの事が好きだよ。ずっとずっと……あなたの傍に居たいよ……っ!」
最原「はい……僕も同じ気持ちです。こんな僕で良ければ、ずっと一緒に居てください!」
春川「……ふふ、あはは……!なんだ、両思いだったんだ……。なんだよ、ずっと悩んでた私が馬鹿みたいじゃん……」
最原「ごめん……僕がもっと早く気持ちを伝えていれば……」
春川「……ねえ、もし本当に悪いと思ってるならさ……キスしてよ」
最原「え……?」
春川「……出来ないの?」
最原「ふふ……いいや、君が望むならそうしてあげるよ……」
春川「……ん♡」
―――ちゅっ♡
春川「……ふふふ、駄目だ、なんかニヤけちゃうな……」
最原「僕もだよ。……ねえ、もう一回しても良い?」
春川「ふ、ふふふ……!はい、ご主人様。あなたが望むならそうしてください……♡」
最原「ありがとう。それじゃあ……」
―――ちゅっ♡
春川「ん……ふぅっ……♡」
最原「んんっ……ぷはぁ……」
春川「……長かったね」
最原「だって、魔姫が可愛いから離すのが惜しくなっちゃったんだもの……あのさ、ずっと一緒に居てくれるって言ったけど、それって、ここを出てからもかな?」
春川「今更なに言ってんのよ。殺されたいの?……そうに決まってるじゃん」
最原「ふ、あはは……っ!ねえ、魔姫!」
春川「キスなら大歓迎、むしろ私から良い?終一」
最原「うん、喜んで!」
――――――――――――――――――――
それから程なくして、モノクマは外の世界に続く扉を開いた。事情を知っている僕以外の人たちは困惑していたけど、先頭に立って進む僕に続いて外に出る事を決めたんだ。
そして……僕たちは知ってしまった。自分たちが自ら望んでこのダンガンロンパに参加していた事や自分たちがフィクションの存在と化してしまった事、そして、今までの学園生活が全て見世物にされていた事を……
それを知った時、最初はどうすれば良いのかわからなかった。今までの記憶が全否定されて、もう戻ることも出来なくなってしまったのだから当然だろう。でも、考えようにしては悪くないこともある。
植えつけられた才能は個人の適正にもよるが基本的には本物だ。超高校級の才能を持つことになった僕たち16人は、あえてこの運命を受け入れて生きていく事を決心したのだ。
幸いにも番組の出演料と言う事で莫大な報酬を受け取ることが出来た。チームダンガンロンパは僕たちのこれからの進路も保障してくれた。
彼らのコネを使って自分の才能を活かせる舞台を得た僕たちは、それぞれの道を歩む事になった。ばらばらの道を歩む事になった僕たちだけど、固い絆で結ばれていることは確かだ。何かあったらすぐに皆で駆けつける。そう、必ずだ……!
……では、ここからは僕の話をしよう。正確には、僕と彼女のそれからの話だ……
――――――――――――――――――――
「………」
コツコツと革靴の足音を響かせながら僕は歩く。そう大きく無いスーツケースを片手に、硬いアスファルトを足の裏で感じながら、僕は目的地へと向かっていた。
僕たちがダンガンロンパに出演してから数年の月日が経った。僕はその時に得た『超高校級の探偵』としての才能を活かして他の探偵の下で修行を積み、一年後にはその全てを吸収して自分の探偵事務所を立ち上げた。
別段商売としてやっているわけではない。ダンガンロンパの出演料で一生遊べるだけのお金は手に入った。僕が探偵をやっているのは、ひとえに困っている人を助けたいからだ。
どんな些細な事でも良い、誰かの助けになる事をしようと決心して立ち上げた事務所にはそれなりの依頼が舞い込んで来ている。それを一つ一つ丁寧に解決しながら、僕は色んなところを飛び回っていた。
そして……魔姫もまた、そんな僕に着いて来てくれていた。助手兼ボディーガードと言う立場で僕と一緒に活躍する彼女はとても力になってくれている。
「暗殺者の才能なんてまともに活かす方法は限られてるでしょ?」……彼女は皆にそう言いながら僕に着いて来てくれた。確かにまぁ、僕たちの中で数少ない犯罪系の才能を開花させた彼女の居場所にぴったりなのかもしれない。
だがまぁ、そんなのはただの建前で魔姫が僕と一緒に居たいだけだと言う事は十分にわかっている。僕も同じ気持ちだし、傍に居るとの約束を守るためにお互いが必要なのだ。
もうほとんど結婚している様なものなのだが、あくまで僕たちは仕事のパートナー兼周囲に秘密の恋人同士である。そんな回想を繰り広げていた所、僕は自分が目的地の前にたどり着いていることにはたと気がついた。
そこまで豪華では無く、されど質素すぎない普通のホテル。自動ドアを通りフロントに行くと、愛想の良い笑顔を浮かべたホテルマンが僕を迎えてくれた。
「予約をしていたサイハラですが……」
「はい、お待ちしておりました。もう荷物はお部屋にお届けしております。こちらが部屋の鍵になります」
「ありがとうございます」
053とナンバーが銘打たれた鍵を見て苦笑をこぼす。こんなところでもこの数字にまとわりつかれるのかと思いながら、僕は先払いでホテルの料金を支払った。
「……あの、お客様?お客様がご予約されたのはお一人用のお部屋でよろしかったでしょうか?」
「はい、そうですけど……」
「ですが、その……今、受け取った代金は二人分なのですが……?」
「あ、ああ……」
ホテルマンの返答に僕はやや困った表情になる。珍しいことだ、『知らない人』がいるなんて……
「ああ、お前、その方は良いんだよ。それで良いんだ」
どう説明しようかと悩んでいた僕だったが、若いホテルマンの後ろから少し歳を重ねた別のホテルマンが現れ、適当に説明をしてくれた。どうやら彼は『知っている人』の様だ。
「は、はぁ……?」
知らない人である彼もやや納得は出来ない表情ではあるが、先輩にそう言われて従う事にした様だ。フロントから出て僕のスーツケースを持とうとする彼を押しとどめると、僕は笑顔で彼に礼を言ってから部屋へと向かう。
「……良いんだよお前。あの人はサイハラシュイチだろう?」
「え、ええ……有名な探偵である事は知っていますが……」
「……そうか、お前、ダンガンロンパV3を見てないのか、そうかそうか……」
そんなホテルマンたちの会話を耳にしながら、僕はエレベーターへと乗り込んで自分に宛がわれた部屋へと向かった。
静かな5階には僕たち以外には人の泊まって居る気配が感じられない。どうやらホテル側が気を利かせてくれた様だ。
その事に感謝しながら部屋に入る。届けられた荷物を確認し、上着を脱いだ後……僕は、持参したスーツケースを開いた。
「わっ……!?」
「ふふ……あはは……やっぱ楽しいね……♡」
瞬間、その中から飛び出してきた肌色の物体に押し倒され、僕は床へと転がった。飛び出してきた何かは僕の胸に擦り寄って満足そうな表情をしている。
「もう……危ないんだから少しは遠慮してよ」
「そう言わないでよ、こっちは一日中この狭いスーツケースの中に入ってたんだからさ」
「了承したのは魔姫でしょ?」
「ふふ……こんな楽しそうな事、私が断ると思う?」
笑顔を浮かべた魔姫の顔が近づく。僕はその動きに応えて唇を重ね合わせながらそっと彼女の頭と臀部を撫でた。
「……体、冷たくなってるよ。寒かったんじゃない?」
「少しだけね」
「まったく、服は着ておけば良かったのに……」
「そっちの方がドキドキするんだもん。それに、出てすぐヤれるじゃない?」
「魔姫、節操の無い子に育ったね……」
「そう言う女に開発したのは終一でしょ?」
赤く興奮した表情のまま笑う魔姫と二回目のキス。そのまま僕のシャツを脱がそうとしてきた彼女の手を掴んで止める。
僕のその行動に不満げな表情を見せた魔姫だったが、強めに抱きしめてあげると機嫌は直った様だ。幸せそうな表情を見せる彼女を見ながら、僕は僕たちに起きた奇妙な現象の事を思い出していた。
先ほども言った通り、僕たちの学園生活ダンガンロンパV3は余すことなく全世界に放送されていた。世界中の大半が僕たちの事を見ていたわけだ。
で、だ……その放送された内容の中には僕と魔姫のそう言った事も含まれて居たわけで……つまりまぁ、全世界が魔姫と僕の関係性を知ってしまったわけである。
ここでとても奇妙な現象が起きた。ご主人様と奴隷兼恋人同士と言う僕と魔姫の関係性を顔を見たことも無く、名前も知らない人々は知っている。だが、あの学園生活を共に過ごしたとても大切な仲間たちは知らないのだ。
全世界に露出趣味とドがつくレベルのMであると言う自分の性癖がバレたと知った時の魔姫はもうひどく落ち込んでいた。とんでもない公開処刑を自分の知らない間に行われていたのだから当然だろう。
しかし……その事実もまた僕は利用した。急ぎチームダンガンロンパに頼んで、世界中に魔姫の情報の戒厳令を出したのである。つまり、魔姫の性癖を知らない人には絶対に何も教えるなと言うことだ。
これによって王馬くんと僕を除く他13名のメンバーが魔姫の性癖を知る可能性は限りなく低くなった。ついでに何らかの事情があって53回目のダンガンロンパを見て居なかった人たちも魔姫の事を知らないままになったわけである。
こうして全世界には露見しているが大切な友人たちは何も知らないと言う奇妙な関係性を作り上げた僕たち。それは魔姫にとってある意味では理想が現実になったと言うわけでもあった。
だってそうだろう?世界はもう魔姫の秘密を知って彼女をそう言うキャラクターとして受け入れている。例え全裸で愛する人の持つスーツケースの中に入って、一日中つれまわされたところで咎める人はどこにも居ないのだ。
全世界が彼女の理解者になった。そして、僕と言うご主人様との関係性を認めている。こうなればもう、魔姫に恐いものは無しだ。
他人に迷惑をかけないようにしながら自分の欲求を現実にしていく。僕が事前にリサーチして、問題が無いと判断したらどんな変態的な事だって出来るのだ。だって彼女の真の姿は世界中が知っているのだから……
「今日はお散歩の日だよね?早く準備しようよっ♡」
そんな日々を過ごしていたら、こんなにも節操の無い女の子に育ってしまった。僕が甘やかし過ぎたのか、それとも抑圧しすぎていた本性が爆発してしまったのかはわからないが、こんな魔姫も大好きだから僕には関係ないのだ。
彼女のおねだりに応えて僕は魔姫に散歩の為の準備を施す。頭には彼女の髪の色と同じ黒い犬耳のついたカチューシャをつけ、両手両脚には肌の保護を兼ねた毛皮付きの手袋とソックスを、細い首には長年愛用している赤い首輪をつけてやる。
そして、魔姫の丸みを増したお尻からは可愛い尻尾を生やしてあげる。自分の体には無い器官を生やされた魔姫は、体を震わせながら恍惚の声を漏らした。
「くぅ、あ……この感覚、クセになってるかも……♡」
「だいぶ慣れて来たよね、尻尾。最初の頃は結構時間がかかったのにさ……」
「ふふ……♡終一の開発の賜物だね……♡」
ふりふりとお尻を振って尻尾を揺らす魔姫。彼女なりの『嬉しい』の感情表現だ
そんな魔姫の頭を撫でながら首輪にリードを取り付けた僕は、部屋の扉を開けて外へと魔姫を連れ出した。
「さぁ、楽しいお散歩の時間だよ。下には魔姫の事を知らない人が居るみたいだから、ちゃんと教えてあげないとね?」
「あはっ……♡久しぶりだね……そっか、それは楽しみだね……♡」
エレベーターを待つ間、そっと魔姫を抱きかかえる。幸せそうな笑みを浮かべる魔姫に僕は問いかけた。
「……ねえ、僕で良いのかな?僕はその、あんまり頼りないと言うか、なんと言うか……んっ!?」
唇で唇を塞ぐ、もうそれ以上は言わせないぞと言わんばかりのキスをする。
じっくり、たっぷりと楽しんだ後、私は目の前の彼に言った。
「……そんなこと言わないで、私は終一の全部が好きだよ。あんた以外の男の人を好きになんかならないし、終一以外の男の傍に居ようとも思わないんだ」
そう、私は幸せだ。恋は盲目と言うが、この人以上の男など思いつかないくらいだ。
目の前に居るのは私の一番好きな人。私を受け入れ、傍に居てくれる大切な人
あなたの幸せが私の幸せ。あなたの笑顔が私の喜び。そしてあなたの隣が私の居場所なのだから……
「約束したでしょ?傍に居てくれるってさ……今更無しにするなんて許さないから」
「……うん、僕も約束を破る気は無いよ」
「ん、なら良し。それじゃ、今日も楽しもうか?」
やってきたエレベーターに乗り込む。リードを握られ、支配される感覚に酔いしれながらも心は興奮で高鳴っている。
ちょっぴり肌寒いけれども、きっと戻ってきたら彼が暖めてくれるだろう。それは後のお楽しみに取っておいて、今は今を全力で楽しむだけだ。
エレベーターの扉が開いて、その先に一歩足を……訂正、前足を伸ばしたら今日も楽しい事が始まる。
ホテルの従業員の驚きと歓喜に溢れた声を聞きながら、私は笑顔で彼と共に宴へと身を投じたのであった。
願わくば、こんな日々が一生続いて欲しい。いや、続くのだろう。そんな確信がどこかにある。
もう一度言うが……私は幸せだ。この結末は私にとって最上のもので、そこから続く人生は喜びに満ちたものであるのだから……
春川魔姫 愛情END「幸運な少女の日々」
659 : 塩 - 2017/03/26 21:28:25.35 pBPFGIWw0 866/1000
……これが皆と紡いできた物語の終わりだヨ。どう?満足できたかな?
そうだった人も、そうじゃない人も、ここまで僕のSSを読み、そして協力してくれた事に感謝するヨ
一ヶ月近く書いてきたこのSSもこれでお終い。やっぱり寂しいものはあるネ。でも、また皆と会えると信じているヨ
またこのスレの二週目をやるのか、別の作品を書くかは未定だけど、きっとまた会えるからサヨナラはいわないでおくネ
……本当にありがとう。とてもとても楽しかったヨ。やっぱり、SSって良いよネ……!
661 : 以下、名... - 2017/03/26 21:32:09.31 TIInAeupo 867/1000乙!
SSも良かったが塩さんが一番面白かった気がするw
662 : 以下、名... - 2017/03/26 21:32:46.83 LEWVq8qK0 868/1000M姫ちゃん大勝利やな
オムツとキャリーケースで何するかと思ってたら入れるんだね…
他の子も見てみたかったけど、次のssを楽しみにしてるよ
664 : 以下、名... - 2017/03/26 21:41:48.60 on833cLDO 869/1000完走乙。変態だって幸せになる権利はあるよネ
ところで全キャラのエンドは一通り考えていたらしいけど
一番ヤバいエンドは誰のエンドだったのかナ?
白銀やアンジーと思わせておいて、実は一番ヤバい子は他にいたんだろう?
665 : 塩 - 2017/03/26 21:55:49.19 pBPFGIWw0 870/1000携帯からでごめんネ。ヤバイエンディングと聞かれると返答に困るなぁ……
人的被害ならダントツの赤松さんだネ。所謂全滅エンドだし。逆に白銀さんはそうでもないかもしれないヨ?うん、多分だけどネ
じゃあ、誰のエンディングをかを伏せてタイトルだけ貼ってみようかな?エンディング名はネ…
「裏切りの代償」
「因果応報の結末」
「それはきっと呪い」
「居場所の無い少女」
「僕だけの女神様」
「修復不能の彼女」
「負け犬志望」
「狂気の忠義」
だヨ、あ、全部狂気エンドだからネ
666 : 塩 - 2017/03/26 21:59:14.09 kB8432UxO 871/1000あ、あと誰かが言ってたけどおむつとキャリーケースは入れるために使うんだヨ。え?それだけじゃ物足りない?
……動くこけしって知ってるかな?
671 : 塩 - 2017/03/26 22:28:01.00 kB8432UxO 872/1000よくよく考えてみれば皆愛情エンドの方が見たい訳だよネ?なら、狂気エンドは張っちゃおうかな?
今日は無理だけど、明日一日かけて貼らせてもらうヨ。ちょっと待っててネ。
あと、要望が有ればボツにした春川さんのbadエンドも上げるヨ。
もしあの選択肢で皆に言うを選んでいたら……(没エンド)
最原「……ごめん、春川さん。君がなんと言おうと僕の決意は変わらない、皆にこの事を言うよ」
春川「う、ううっ……」
最原「本当にごめん、でも、こうするしかないんだ……それじゃあ、僕はこれで……ぐうっ!?」ダンッ!
春川「………っ!」グググ…
最原「はる、かわさんっ、な、なにを……!?」
春川「……しかない」
最原「え……?」
春川「バラされたくない……友達を失いたくない……ならもう、アンタを殺すしかないじゃないか……!」グググ…
最原「!?」
春川「アンタが黙っていてくれるって言えば良かったんだ……そうすれば、こんなことしなくて済んだのに……」
最原「あ、ぐあ……っ」
最原(苦しい……息が、できな……)
春川「……さよなら最原、悪いとは思ってるよ。でも……」グッ!
最原「あ……う……」
最原(もう、だめ、だ……)
王馬「そこまでだよ、春川ちゃん」
春川「えっ!?」パッ
最原「がはっ!ごほっ、げほっ!」
王馬「にしし……!間一髪だったね、最原ちゃん!俺のおかげで死ななくて済んだんだから感謝してよ~!」
春川「お、王馬……?アンタ、どうしてここに……!?」
王馬「どうして?それはこっちの台詞だよ。春川ちゃんはなんで最原ちゃんを殺そうとしたわけ?」
春川「ぐっ……!」
王馬「……まあ、予想はつくけどさ……まさか、本気で人殺しをしようとするなんて思ってもみなかったな~!」
春川「……だから何?アンタにそんなことを話す必要は無いね」
王馬「俺も殺すから?」
春川「そうだよ。今の現場を見られたからにはアンタも殺すしかない。もう私は後戻りできないんだ!」
王馬「……ふ~ん、そう。そうなんだ……春川ちゃんは本気で俺と最原ちゃんを殺すつもりなんだね?」
春川「ああ、そうだよ!だから……」
王馬「……だってさ、皆」
春川「……え?み、皆……?」
百田「は、ハルマキ……?お前、何言ってんだよ……?」
春川「も、百田……!?なんで、アンタが……!?」
赤松「う、嘘だよね?何かの冗談だよね?春川さんが最原くんを殺そうとするわけないよね!?」
春川「あ、赤松……?うそ、うそ……!?」
王馬「……二人だけじゃないよ。皆ここにいるんだ。そう、皆ね……」
春川「あ、ああ……あぁぁぁぁ……」ガクッ…
百田「答えてくれハルマキ!なんでこんな真似をしたんだ!?なんで終一を殺そうと……」
王馬「……馬鹿だなぁ百田ちゃん。それが話せたら春川ちゃんも殺人なんかしようとしないよ。まぁ、相当秘密にしたい事があるのは確かだけどね」
最原「ぐっ……」
最原(最悪だ……最悪のタイミングで全てが露見してしまった……まさか、あのカメラはもうとっくにこの教室の中に仕掛けられていたのか?その映像を見て王馬くんは様子を伺ってたんだ、だから異変にも気がついた……抜かった、僕のミスだ……)
王馬「……でもこれでわかったでしょ?春川ちゃんの本性がさぁ……!彼女は、自分の為なら人なんか平気で殺せる人間なんだよ!」
春川「あ、あぁ……ちが、ちがう……」ガタガタ…
王馬「違う?この後に及んで嘘をつくの?そんなの俺でもしないね」
春川「……い、嫌だ……嫌だよ……」
(春川さん、そんな人だったんだ……)
(人殺しだなんて近づきたくないな)
(やっぱり暗殺者だね、殺しには慣れてるんだ……)
春川「……ないで……見ないでよ……!」
(殺人者!人殺し!最低の人間だね!)
(二度と俺たちに顔を見せるな!)
(お前なんかいなくなれば良いんだ!)
春川「お願いだから……お願いだよ……っ!」
(お前なんかもう、友達じゃない)
春川「お願いだから、そんな目で私を見ないでよぉぉっ!」ダッ!
最原「は、春川さんっ!」
春川「うわぁぁぁぁぁっ!」
―――ドスッ!
最原「あ、ああっ!?」
春川「う、あ……」ドサッ
王馬「ひゅ~!心臓を一突き、見事な自殺だね!まさに鮮やかなお手並みだよ!」
百田「は、ハルマキーーっ!」
赤松「春川さん!そんなっ!?」
最原「は、春川さん!しっかりするんだ!」
春川「さい、はら……どこ……?」
最原「春川さん!僕はここだよ!しっかりするんだ!」
春川「ごめん……ね。アンタは私のために、頑張ってくれたのに……それなのに、私は……」
最原「そんなの良いんだよ!だから……っ!」
春川「寒い、よ……寂しいよ……一人ぼっちは、恐いよぉ……」
最原「は、春川さんっ!!!」
春川「わた、しは……だれかに、うけいれてほし、かった……だけ……」ガクッ…
最原「春川さん……?春川さんっ!」
王馬「……無駄だよ最原ちゃん。もう死んでるって」
最原「そ、んな……こんな事って……!」
赤松「春川さん!どうしてこんな……こんな……ううっ……」
百田「ば、馬鹿野郎っ!死んじまったら何にもならねぇだろうが!どうしてそんな簡単に死ねるんだよ……っ!」
王馬「ま、これで俺たちの中の不穏分子は消えたんだからさ、明日から安心して暮らせるよ!やったね!」
百田「お、王馬……っ!てめぇっ!」
赤松「二人とも、やめてっ!」
最原「………」
最原(僕のせいだ……僕がもっと春川さんのことを理解してあげられてたら……彼女を受け入れてあげられてたらこんな事にはならなかったんだ……)
最原(ごめん、春川さん……本当に、ごめんよ……)
BAD END
最原「……モノクマ、聞きたい事があるんだ」
モノクマ「はいはい!どうかしたのかな?最原くん」
最原「……この事件の黒幕についての推理を聞いて欲しい。その上で、君の意見を聞きたいんだ」
モノクマ「……うぷぷ!良いよ!早速聞かせてよ!」
最原「……うん、それじゃあ……」
――――――――――――――――――――
「……あ、あの……これは、どういうことですか……?」
薄暗い部屋の中で椅子に縛られ拘束されている彼女の姿が見える。別室でそれをモニターしながら、僕は成り行きを見守っていた。
「私、頑張りましたよね……?ダンガンロンパV3は成功でしたよね?な、なら……」
「……オマエ、何を勘違いしてるの?確かにダンガンロンパV3は大成功したよ。でも、それはオマエのおかげじゃない。むしろオマエは足を引っ張った存在なんだよ?」
「ひいっ!?」
突然目の前に現れたモノクマの姿に彼女の表情が恐怖に歪む。モノクマは無機質で淡々とした口調で彼女を責めた。
「白銀つむぎさん……君は今までで最低最悪のゲームマスターだったよ。なにせ、何一つとして事件を起こせなかったって言うのに、黒幕だって暴かれてしまったんだからね」
「え……?」
「……最原くんは君が黒幕だって気がついていたんだよ?だから君に告白したんだ……だってそうでしょ?君が僕ら側の人間なら、この告白を断る理由がない。ダンガンロンパV3を大団円で終わらせられるんだからね」
「そ、そんな……」
白銀さんの顔色が青く、そして白くなっていく。動揺と恐怖に彩られた彼女は、今にも倒れてしまいそうなほどに弱りきっていた。
「……さて、役立たずの上に黒幕だとバレてしまったオマエには僕らからのオシオキを受けて貰いましょう!せめてそれ位は役に立ってよね!」
「い、嫌……そんな、やめて……!」
「え~、ただいま視聴者の皆様には、『もう一度みたいおしおきベスト10』と題したアンケートをお答えいただいております!ランクインしたおしおきは全て白銀さんが受けてくれますので、奮ってご応募くださーい!」
「嫌だっ!だ、誰か!誰か助けてよっ!」
泣き叫び助けを求める白銀さん。だが、そんな彼女に救いの手が伸ばされるわけもない。
彼女が今受けようとしている罰は正当なものだ。だって、もしかしたらそのおしおきは僕たちの内誰かが受けるものだったのかもしれないのだ。
僕たちは幸運だった。誰も死なずに外に出られた。だが、だからと言って彼女の罪が消えることは無い。
これは彼女へのおしおきだ。無能な彼女へのチームダンガンロンパからのおしおき。首謀者である彼女へのコロシアイが見れなかった視聴者からのおしおき。そして、僕たちを裏切って騙していたことへのおしおきだ。
「……はい、集計結果が出ましたー!ほほう、これはなかなかエグいのが出ましたね!」
「嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!」
「ただいま準備中です!もう少しお待ちを!」
「嫌だよ!誰か助けて!お願いだから助けてよ!」
絶望に染まる白銀さんを見る僕の口元には自然と笑みが浮かんでいた。僕は湧き上がる感情のままに小さく呟く。
「ざまあみろ……!」
僕たちは今までの人生を失った。もしかしたら彼女を責めるのはお門違いなのかもしれない。
だが、恨まずにはいられなかった。危うくコロシアイゲームをやらされそうになったのだからこの感情は正当なものだろう。
でも、やっぱり彼女は仲間だ。だから僕は白銀さんを殺すことなどできなかった。
だから僕は委ねたのだ。彼女の大好きな視聴者に、彼女自身の運命を委ねた。この投票にはちゃんとおしおき無しの選択肢も用意してあった。もしもそれがランクインしたら彼女は助かる予定だったのだが……
「……残念だったね白銀さん。君が助かることを望む人は一人も居ないみたいだよ?」
その回答への投票数は0……つまり、彼女は何よりも大切な視聴者に殺されるのだ。ならば彼女も本望だろう。
そう考えた僕の耳には絶え間なく狂ったように泣き叫ぶ白銀さんの声が届いていた。
「助けて、助けて、助けてっ!」
「お願いします!もう一度チャンスをくださいっ!今度こそちゃんとしますからっ!」
「こ、殺すならせめてもっと楽な方法にしてください……お願いですから!」
必死の形相で喉も枯らさんとばかりに叫ぶ白銀さん。しかし、そんな彼女の叫びに耳を傾けるものなどどこにも居ない。
皆が期待している。彼女の無残な死に様を……彼女に罰が下るのを楽しみにしているのだ。
「……準備が整ったみたいです!では、早速行ってみましょう!今回は役立たずの黒幕である白銀さんの為に、スペシャルなおしおきを用意しましたーっ!」
「あ、ああ……止めて!止めてぇぇぇぇぇっ!!!」
「では、張り切って行ってみましょう!おしおきターイム!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
機械の起動音が聞こえる。それに掻き消されそうになっている白銀さんの叫び声もだ。
絶望に染まった彼女の全てを見届けた僕はモニタールームから出た。後はすべて彼らに任せてしまおう。
「さよなら、白銀さん……」
ちょっとだけ好きだったよ。その言葉を胸の中にしまいながら、僕は当然の終わりを迎えた彼女に背を向けて歩き出す。
僕の後ろでは、断末魔の悲鳴という言葉では表しきれないほどの叫びを上げる白銀さんの絶望的なおしおきが繰り広げられていた。
白銀つむぎ 狂気END『因果応報の結末』
最原(夢野さん……彼女の僕への依存心を利用すれば、みんなでここを出る事だって簡単なはずだ)
最原(彼女は僕の言う事には逆らわない。心苦しいけど、彼女の気持ちを利用すれば皆助かるんだ。なら、僕は彼女を利用してやる!)
最原「……夢野さんのところへ行こう。脅しに近いけど、彼女に僕の告白を認めさせるんだ……!」
――――――――――――――――――――
果たして、僕の告白は上手く行った。僕と離れたくないと言う夢野さんの心を上手く誘導し、告白を成功させたのだ。おかげで外へと続く扉は開いた、だが……
「……夢野さん、皆待ってるよ。ほら、僕と一緒に外に出よう?」
「………」
彼女は……夢野さんだけは外に出たがらなかった。理由は単純だ、外に出たら皆離れ離れになってしまうから。仲の良い友人が自分の元から離れて行く事に彼女は耐えられないのだ。
「……ウチはここに居たい。皆と一緒にこのままここで暮らしたい……」
「そんなの駄目だよ。皆、家族が外で待ってるんだ。それは夢野さんも一緒でしょ?」
「良い、良いんじゃ……皆と離れ離れになるくらいなら、ウチはもうママにもパパにも会えなくて良い……だから……!」
搾り出すような声で呟いた夢野さんは、目の前のマグカップを手に取ると中に入ったお茶を飲み干した。僕も釣られてお茶を飲む。
温くなったお茶を飲みながら僕は後悔した。夢野さんをこうしたのは僕だ、僕が彼女の心を解きほぐしてあげればこうはならなかったと言うのに……
「……最原よ、お主はウチと一緒に居てくれるか?」
「え……?」
「ウチとずっと一緒に居てくれるかと聞いておるんじゃ」
「う、うん……もちろんだよ」
だから一緒に外に出よう……そう続けて言おうとした言葉は僕の口から出てこなかった。何故か力が抜けた僕の体が、後ろに倒れこんだからだ。
「あ、れ……?」
体が上手く動かない。痺れている様な、ふわふわしている様な感覚が全身を支配している。一体僕はどうしてしまったのだろう?その答えを探している僕の前で夢野さんが椅子から立ち上がった。
「……ウチはもう、口約束だけでは我慢できん……だから、ウチは魔法を使うことにした」
「ゆ、め、の、さん……?」
「……転子も、アンジーも……他の皆は諦めても良い。じゃが、お主だけは……終一だけは、諦めとう無い!」
被っている帽子を取ったのを皮切りに夢野さんは次々と服を脱いで行く。彼女の小さな手は震え、上手くボタンを外せずにもたついていたが、それでも彼女は自分の目的を果たすことが出来た。
「……見てくれ、最原……魔法を使うためにはそれが必要じゃ」
生まれたままの姿になった夢野さんは僕にその姿を見せ付ける。そのままゆっくりと僕に近づき、下半身に手を伸ばす。
「な、にを……?」
「あ、安心せい……この魔法はお主に害は無い、むしろ気持ち良いと聞いておる。ウチは痛いらしいがの……」
カチャカチャと夢野さんが震える手で僕のズボンのベルトを外そうとしている音が聞こえる。彼女が何をしようとしているか理解した僕は、動かない体で必死に抵抗しようとした。
「だ、めだ……!そんなの、駄目だよ……!」
「……嫌じゃ、離れとうない!この魔法は一生に一度しか使えん、しかし……これさえすれば、ウチは終一と離れなくてすむんじゃ!」
瞳に涙を浮かべながら夢野さんが叫ぶ。その泣き顔を見た僕の心に暗く重い感情が芽吹いた。
マジックで皆の笑顔を生み出していた夢野さん。そんな彼女から輝く笑顔を奪ったのは僕だ。今、彼女にこんな表情を刺せているのは、他ならぬこの僕なのだ……
後悔に包まれ、悲しみが僕を襲う。僕は彼女を利用した、だが、僕が彼女を好きだと言う気持ちに嘘はなかった。
一緒に色んな場所に行きたかった。もっと夢野さんの笑顔を見たかった……それは僕の本心だったのに、僕はそれと真逆のことをしてしまっていた。
この行為ももっと幸せに満ちた中で行いたかった。こんな……こんな泣き顔をした夢野さんに無理をさせることなどしたくなかった。
「ああ……い、痛い……痛いぃっ……!」
純潔を散らした夢野さんの泣き声を聞く、流れる赤い血を見る……それは、僕の胸を締め付けるのに十分な威力を持っていた。
こんな結末を望んだわけじゃなかった。僕もただ、彼女と一緒に居たかっただけなのに……
「……これでずっと一緒じゃ……ウチの魔法は絶対じゃからな……!」
痛みに耐えながら僕の胸に顔を押し付ける夢野さんの呟きに同意しながら、それを否定する。
確かにもう、僕は彼女と離れられないのだろう。どんなことがあっても、この胸の痛みが僕を彼女から離れることを許してはくれない。
だが、これは魔法なんかではなかった。彼女の魔法は人の笑顔を作るものだ、決してこんな悲しみと涙を作るものでは無い。
そう、これに名前をつけるのならば、きっと……
夢野秘密子 狂気END『それはきっと呪い』
699 : 塩 - 2017/03/27 12:04:05.95 gEcgMDEZ0 887/1000以上、春川さんのBADエンドと白銀、夢野さんの狂気エンドでした。
ちなみに、最初から狂気度5はたくさんの人が予想していた通り白銀さんだヨ。立場的には仕方がないよネ?
さて、ちょっと出かけるから帰ってきてからほかの女の子のエンディングを貼らせて貰うヨ。皆さん、しばしお待ちを……
最原「告白の相手……?そんなの考えるまでも無いじゃないか」
最原「アンジーさんが良いに決まってる!アンジーさん以外の女の子なんて目に入らないよ!」
最原「そうさ、僕はそうすべきなんだ。きっと彼女の言う神様もそう言ってるに違いない」
最原「ふふふ……アンジーさん、アンジーさん……アンジーサンアンジーサンアンジーサンアンジーサン……!」
――――――――――――――――――――
「アンジーさん……アンジーさん……!」
「ふふふ……終一は甘えんぼさんだね~。ほら、こっちにおいで……!」
優しく温かいアンジーさんの腕の中に身を預けた僕は、安堵の息を吐いた。温もりと幸せが僕を包み、緩やかな時が流れる。
「終一……アンジーを選んでくれて嬉しいよ……これからはアンジーがずっと終一の傍で見守ってあげるからね……!」
優しい声で囁かれ、僕は嬉しさで笑みを浮かべる。僕は今、とても幸せだ。
ほかの皆がどうなったかは分からない。ここがどこなのかも分からない。どれ位の時が流れ、あの学園生活がどうなったのかも僕は分からなかった。
だが、そんなことどうだって良いのだ。だって僕の傍にはアンジーさんがいる。僕の人生はそれだけで十分だ。
アンジーさんの為に生き、アンジーさんの言う事に従って、アンジーさんに褒めて貰い、抱きしめて貰う。なんて素晴らしい人生だろう!
「終一……神様もその生き方で良いって言ってるよ~!……そうだよ、終一はずっとここでアンジーと一緒に生きるんだよ……誰にも邪魔されずにね……!」
僕を抱きしめるアンジーさんの力が強くなる。そのせいで少し息苦しくなってしまった僕は、小さくむせこんだ。
「ああ、ごめんね終一、苦しかったね?もっと優しく抱きしめてあげないとね……」
腕の力が緩む。丁度良い力加減で抱きしめられた僕は心地よいまどろみへと誘われた。
「……終一のことは大事に大事にしてあげるね……!だって終一はアンジーのとっても大切な人だからさ……!」
「だから終一、終一もアンジーを裏切っちゃ駄目だよ?そんなことしたら、神様のばちが当たるんだからね?」
そんなこと考えるものか、この幸せを失うくらいなら死んだ方がましだ。
アンジーさんの傍が一番だ、アンジーさんと過ごす時間が一番だ、アンジーさんが一番だ……!
「よしよし……終一は良い子だね……!」
優しく僕の頭を撫でてくれるアンジーさんの声がほんの少しだけ恐く聞こえてしまった。ああ、僕はなんて駄目なやつなんだ、こんなに素敵なアンジーさんに怯えるだなんて……
「だいじょぶだよ~。終一はアンジーのもの、これからもアンジーと一緒に幸せに暮らすんだからね。神様もそう言ってるよ」
暖かい。柔らかい。幸せだ。幸せだ、しあわせだ、シアワセダ、シアワセダシアワセダシアワセダ……!
「……お眠り終一。目が覚めたら、もっと幸せな明日がやってくるからね……!」
二人でベッドに横になる。温かな彼女の体温を感じながら目を閉じる。
きっと僕は世界一の幸せ者だ……そんな風に考えながら、僕はアンジーさんに言われるがままに眠りに落ちて行った。
夜長アンジー 狂気エンド『僕だけの女神様』
最原「春川さん……言い方さえ変えれば彼女は僕の要求を呑む筈だ……でも、本当にそれで良いのか?」
最原「……いや、もう手遅れなんだ。なら、徹底的に利用してやればいいじゃないか。そうさ、皆のために心を鬼にすれば良いんだ……!」
――――――――――――――――――――
「……最原、次はどうするの?焼く?刺す?抉る?……好きな様にしてよ……」
物騒な言葉を口にしながら春川さんが微笑む。一糸纏わぬ裸体を見せつけながら自ら手足を拘束した彼女のその笑みは、文字通り狂っていた。
「……あんたのすることなら何でも受け入れるよ……。それが私に与えられた罰なんだから……」
そう呟く彼女の体には痛々しい跡が幾つも残っていた。打たれた跡、火傷の跡、切り裂かれた跡……尋常では無い数の傷跡が春川さんの美しい体を汚していた。
この全ては僕がやったことだ。彼女の望むがままに鞭を振るい、火で炙り、ナイフで傷つけた。春川さんはその度に痛みで悲鳴を上げながら、どこか安心した表情を浮かべていた事を思い出す。
「皆、皆……私に会いに来なくなっちゃった。当然だよね、こんな私に会いたい奴なんているわけないもんね……」
そう言って春川さんは自嘲気味に笑うと、寂しそうに涙を流した。本心からの涙をこぼしながら、すがる様に僕に語りかける。
「ねぇ、最原……もう、あんたしかいないんだ……私が殺そうとしたあんたに罰を与えて貰える事でしか、私は生きている事を実感出来ないんだよ……」
「だからさ、最原……あなたが飽きるまでで良いから、私を罰して。そして付き合いきれなくなったら……私を置いて、ここから出て行ってよ……」
その言葉に胸を痛めながら、僕は手にした乗馬用の鞭を振るう。手応えと共に春川さんの悲鳴が響き、鮮血が舞った。
そうさ、わかってる。こんな事、僕も望んじゃいなかった。でも……もう彼女の居場所を作れるのは僕しかいないのだ。
外に出て行った皆は思い出しライトを使われて記憶を改竄されてしまった。もう、僕の事も春川さんの事も覚えていないのだ。
そして、春川さんの痛々しい姿を見続ける視聴者も外の世界にはいない。皆、あっという間に彼女の事を過去の人物にしてしまっているのだ。
春川さんには居場所がない。外に出ても彼女を受け入れてくれる人は居ないのだ。だから、ここに残り続けると決めた。そして、罪を償うために今日も僕の手で罰を受け続けている。
「痛い、苦しい、辛い……私は、アンタにこんな事をしようとしてたんだね……?ひどい奴だね、私は……」
荒い呼吸を整えながら春川さんが言う。痛みと悲しみで涙を浮かべながら彼女は僕に懇願した。
「……お願い最原、私を殺して……あなたが居なくなれば、私は生きる意味がなくなるから……だから、いつか私に最大の罰を与えて……お前の居場所はもうどこにも無いんだって吐き捨てて、ここに私を置いていってよ……!」
その言葉を聞いた僕は、歯を食いしばりながら再び鞭を振るった。春川さんの悲鳴を聞く度に、僕の心にも傷が増えていく。
ああ、そうさ、わかっている。これが僕への罰なんだろう?いつまでもこうして、望まない嗜虐を与える続ける事が僕に課せられた罰なのだ。
「さい、はらぁ……!」
痛みを求める春川さんの声が聞こえる。最初に狂ったのは僕か、それとも君か?そんな事、もうどうだって良いのだ。
いつか君が事切れるまで、僕はこうして生きていこう。一生、ずっと、永遠に……
この広くて狭い檻の中が唯一の君の居場所、ここから出て行く事が出来ない君のために、僕は君を傷つけ続ける。
罰を与えているのは誰で、与えられているのは誰なのかも、僕にとってはどうでも良い事だった。
春川魔姫 狂気END『居場所の無い少女』
最原(入間さん……やっと、やっと彼女を救うことが出来る!もう、怯える必要は無いんだって言えるんだ!)
最原(すぐに告白しに行こう!二人で出られるよ、入間さん!)
――――――――――――――――――――
「入間さん!僕、君に伝えたい事があるんだっ!」
勢い良く彼女の研究教室のドアを開けた僕は、その勢いのまま彼女に叫んだ。伝えたい思いを伝えるために、一緒にこの学園から出て行く為に……
だが、彼女の姿は部屋の何処にも見つからなかった。いつもならこの時間帯はここに居るはずなのに、そう思いながら僕は彼女の姿を探した。
「入間さん?何処に居るの?」
二歩、三歩……明かりの消えた教室の中を歩いていた僕はあるものを見つけた。それは、大きな机の上に置かれた白い封筒だった。
嫌な予感がする……唾を飲み込み、その封筒を手に取った僕は一度入り口に戻って部屋の電気を付ける。そして、封筒の中にあった手紙を読み始めた。
『最原へ……俺様は、お前に謝らなきゃいけない。これを読んでいるって事は、全てが終わった後だと思うから詳細は書かないけど、どうか俺様の気持ちを知って欲しくてこれを書く』
意外と綺麗な字で、それは書かれていた。所々ぐちゃぐちゃになっているその手紙を僕は読み進める。
『お前はいつも俺様を励ましてくれた。きっと外に出られると、そう言って希望を持たせてくれた。その事を俺様はすごく感謝してる』
『でも……私は恐かったんだ。どんなに希望を持っても、それが全部消えていく気がしてならなかった。助けなんか来なくて、一生このままなんじゃないかってずっと怯えてたんだ』
『ここに閉じ込められた他の奴らを好きになればなるほど、その恐怖は大きくなっていった。もしかしたら明日コロシアイが再開されて、こいつらとデスゲームをする事になるんじゃ無いかって恐かったんだ』
『大好きなお前が私を殺しに来るかもしれない。逆に、大好きなお前を私が殺すかもしれない……そんな考えを否定出来ないでいた俺様をどうか許してくれ、最原』
『私はもうこの恐怖に耐えられない……どんなに虚勢を張った所で、私は弱い人間なんだ。だからもう、この生活から抜け出すことにしたよ』
『本当にごめん、最原。皆にも謝っておいてくれ、美人過ぎる俺様からの最後のお願いを聞く事になるなんて、お前は幸せ者だな!』
『……本当にごめん。それと、好きだった。こんな事書いても迷惑だろうけど、どうか覚えておいて欲しい』
『さよなら、入間美兎より』
涙が勝手に溢れて来ていた。手は震え、膝からは力が抜けて行く。
振り返りたくない。そうすれば、全てを知ってしまう。もう、入間さんがどこにも居なくなってしまったと言う事を現実だと認識してしまう……
だから僕は振り返れなかった。立ち上がることも出来なかった。
僕の後ろではただひたすらに、天井から伸びた縄にぶら下がって冷たくなった入間さんの体がゆらゆらと揺れていたのであった……
入間美兎 狂気END『修復不能の彼女』
「嬉しいわ最原くん……やっぱりあなたは私を選んでくれたのね……!」
「東条、さん……」
「これからは私があなたの為になんでもしてあげるわ!そう、何でもね……!」
ニコニコと笑って僕の手を取る東条さんを見つめ返す。その笑顔を見ながら、僕は彼女を刺激しないようにしつつ願いを述べた。
「じゃ、じゃあ……僕を、ここから出してくれないかな?」
「それは駄目よ!」
瞬間、東条さんの笑顔が消え、必死の形相になる。鬼気迫る表情になった彼女は、僕を抱きしめながら言い聞かせるようにして語り始めた。
「ああ、駄目よ最原くん……あなたは優しいわ、そしてとても素晴らしい人よ。だから、私の傍から離れてはいけないの……!」
「なぜなら皆があなたを狙ってるから……私にはわかるの、皆、あなたを殺そうと躍起になっているわ。無防備にここから出たら、あなたは瞬く間に殺されてしまうわよ!」
「そ、そんなこと……」
「いいから、私の言う事を聞きなさいっ!」
怒気を孕ませた声で叫ぶ東条さんに恐怖を感じる僕。そんな僕の怯えを見て取ったのか、彼女は泣きそうな表情になると必死に詫び始めた。
「ああ、ごめんなさい……恐かったわね、私は酷い人間ね……。でもお願い、分かって欲しいの……!」
「私はあなたの為ならなんでもしてあげる。食事も洗濯も、あなたが望むのならば性欲の処理も喜んでさせて貰うわ。でも、この部屋から出て行く事だけは駄目よ」
「ほんの少し、少しだけの我慢だから……きっと外の皆はすぐにでもコロシアイを始めるわ。学園の外に出たいが為に醜いコロシアイをするに決まってる。それが終わるまでの我慢よ……」
「私と最原くんが最後の二人になったら、一緒にこの学園から出ましょう?そして、新しい人生を歩むの。そう、二人でね……!」
そう言って東条さんは僕を抱きしめた。心地よい幸せな感覚を覚えながら、同時にすさまじい恐怖も感じる。
僕は東条さんにとって何よりも大切な存在だ。だからこそ、こうして椅子に縛られ、身動きを封じ、厳重に保管されているのだろう。
「……大丈夫よ。私があなたを守ってあげる……私はあなたのメイドだもの、あなただけに仕えるメイドよ……!」
もう、僕は外の皆を信じるしかない。この厳重な警備を突破して、僕を彼女の手から救い出してくれることを期待するしかないのだ。
だが、それは不可能な気がしてならない。幾重にも張り巡らされた警備網を見る度にそう思う。そして、目の前の東条さんに言い聞かされるのだ。
「……あなたはここにいれば良いの。私と一緒に、私のご主人様で居てくれれば良いのよ……!」
東条さんの瞳には僕しか映っていない。僕以外のものは何も映っていない。
行き過ぎた忠誠心が巻き起こす恐怖を、僕はこの身をもって知る事になった……
東条斬美 狂気END『狂気の忠義』
―――告白から数日後
茶柱「きええっ!さぁ、どうですか最原さん!?ギブアップしますか!?」
最原「あいだだだだ!も、もうやめっ……」
茶柱「きこえませ~ん!転子の耳には男死の声なんて聞こえないで~す!」
最原「そんな、あいだだだだだっ!」
夢野「んあ~、なんだか最近転子も元気を取り戻したみたいでよかったのお」
天海「ええ、少し前までは変な感じだったっすけど、今は大分立ち直ったみたいっすね」
夢野「まぁ、そのせいで最原があんな目に遭っているんじゃがのぉ」
最原「れ、冷静に分析してないで助けてよっ!」
天海「え~と……俺は死にたくないのでパスするっす」
夢野「んあ~、めんどいからパスじゃ」
最原「そそそ、そんなぁっ!?」
夢野「転子よ、最原をあまりいじめるでは無いぞ」スタスタ
天海「それじゃあ俺たちはこの辺で失礼するっす」スタスタ
最原「あ、ちょ、まっ……!」
夢野「最原よ、強く生きるんじゃぞ~……」
茶柱「はい!また後でお会いしましょう!……さて最原さん、続きを……ぐえっ!!!」
――――――――――――――――――――
無防備な転子の腹部に拳を叩き込み、僕はゆっくりと立ち上がる。そうした後、床に倒れこむ転子を蹴り飛ばした僕は彼女の腹をぐりぐりと踏みつけた。
「……痛かったんだけど」
「す、すみませ……」
「負け犬の声なんか僕には聞こえな~い」
「ぐっ、あ、あぁぁっ……!」
ずん、と足を転子の腹に沈める。苦しそうな呻き声をあげながら、彼女は一切の抵抗の様子を見せなかった。
「ひぎっ、ぎっ、ああぁぁぁっ!」
もう一度転子を蹴り飛ばして仰向けにさせると、僕は彼女の腕と肩を掴んだ。そして、彼女から習ったとおりに力を加える。するとどうだろう、いとも簡単に転子の肩の関節は外れ、大きな悲鳴が道場内に響いた。
「……うるさい」
「もうしわけ、ありませんっ……」
僕の一声に震えながら返事をした転子はやっと静かになった。うん、躾が行き届いている証拠だ。
「ほら転子、おしおきの時間だよ。いつもどおりの格好をとりなさい」
「は、はい……」
僕の言葉を受けた転子が肩を押さえながら僕の元までやって来る。土下座の様な格好からお尻を高く上げた彼女は肩の痛みに耐えながらそのままの状態で固まった。
「はい、それじゃあ行くよー」
「ひぐっっ!」
高く掲げられた転子のお尻、僕はそこ目掛けて思い切り張り手を繰り出す。張りのある大きな彼女の臀部に張り手が炸裂する度に乾いた良い音が響いた。
「なに?反省してないの?転子は痛いって泣き喚くだけなの?」
「す、すいませんっ!転子は、負け犬の癖に最原さんに暴力を振るった犬畜生にも劣る存在です!最原さんの手で躾けて貰えて、とても嬉しいですっ!」
「もう二度と調子に乗りませんからっ!許してくださいっっ!」
「ふ~ん……じゃあ、夢野さんに今の転子の姿を見て貰おうか?心から反省したなら出来るよね?」
「そ、それは……っ!」
「……出来ないんだ?やっぱり口先だけなんだね。転子は悪い子だね。もっとおしおきしてあげなくちゃ……!」
「あ……ああっ!くっ、うあぁぁっ……!」
バシン、バシンと尻を張る。悲鳴を上げて泣き叫ぶ茶柱さんを見る僕はとても愉快な気分になった。
強くて凛々しくて、男に媚びない茶柱さん。そんな彼女が僕に対して涙目になりながらお尻をぶたれているなんて誰が想像するだろうか?
僕だけが知る惨めな彼女の姿に興奮を覚えながら、二度、三度と彼女を蹴り飛ばす。道場の隅に転がされた転子は、小さく呻いていた。
「……転子、汚い君を蹴ったせいで足が汚れちゃったよ。どうすれば良いか、わかるよね?」
「は、はい……っ!」
差し出した僕の足に顔を近づけた転子は、チロチロと舌をだしてそれを舐め始めた。こそばゆい感触と愉快なその光景に笑みを浮かべながら僕は転子の頭を撫でる。
「……転子、君は一体なんなのかな?」
「て、転子は、転子は……ただの負け犬です。ずっとずっと、誰かに負かされたくて合気道を続けてきた負け犬志望者なんです……」
「負かされて、ぼろぼろにされて、惨めになりたくて……その為にずっと生きてきたんです。転子は、こんな風になりたかったんです!」
その答えに僕はにんまりと笑った。そして、もう一つの質問をする。
「転子、これから君はどうするの?望みが叶ったんだよね?じゃあ、もうお終い?」
「いいえ……いいえ!転子は、もっと惨めになりたいです!もっともっと情けなくて恥ずかしい負け犬になって、色んな人の笑いものになりたいです!」
「ふ~ん、そう?それで、君はその為にどうするの?」
「お、お願いします最原さん!どうか転子を躾けて下さいっ!もっと惨めで、情けない負け犬にして下さい!その為なら、転子はなんでもします!尊厳も自由も全て最原さんに差し出します!だから、転子を立派な負け犬にして下さいっ!」
「く、くく……あははははははは!」
愉快で堪らなかった。笑いが止まらなかった。あの茶柱さんがこんな風に僕に屈服するなんて誰が想像しただろう?愉快な気持ちのままに彼女の髪を掴んだ僕は、そのまま彼女の顔を畳の床に叩きつける。
「ぶっ!」
「……良いよ、転子。君を立派な負け犬にしてあげる。惨めで、情けなくて、何処に出しても恥ずかしい負け犬に育て上げて、君の願いを叶えてあげるよ……!」
「ひゃ、ひゃいっ……!」
転子の顔を掴んで持ち上げる。ぼーっとした瞳をした彼女の目を覗きこみ、言い聞かせるようにして僕は言った。
「もう君には茶柱転子なんて立派な名前は必要ない。君は今からただの負け犬さ、良いね?」
「はい……!私はただの負け犬です……!」
「これから毎日、自分の名前も特技も誇りも忘れる様に躾けてあげるからね。嬉しいでしょ?」
「はいっ……身に余る光栄です。てん……私は、とても幸せです……!」
僕は壊れきった茶柱さんを見ながら愉悦さに浸る。お互いに壊れてしまったが、僕はしっかりと自分を保つことが出来ている。対して転子はもう駄目だ、壊れきって手の施しようが無い。
「負け犬……私は負け犬。もう転子ですらない、ただの負け犬……っ!」
転子の体を押さえつけ、僕の方が上位の存在であることを彼女に教えながら彼女の呟きを聞く。そして勝利の喜びに酔いながら満足げに笑った。
茶柱転子 狂気END『負け犬志望』
728 : 塩 - 2017/03/28 21:46:02.01 Xjgeku7O0 905/1000さて、これで全員分書き終わったかな?ということは、今度こそ本当おしまいだネ
稚拙な僕の文に励ましや感想の言葉をくれて本当にありがとう。一つ一つの言葉が本当に励みになったヨ
次に何を書くかはわからないし、また書くかも決めてないけど、それでもこのssでこうやって作品を書けたことが楽しかったのは確かだヨ
願わくばまた皆とは会いたいな。そう、また別のスレで会おうヨ
その時はまた、皆が楽しめるようなお話を書きたいな。うん、書いてみたいネ……
長々と別れの言葉を紡いできたけど、終わりが来るのは何事も同じサ。そこに納得は必要ない、だから僕は最後にこの言葉だけを残すことにするヨ
また会おうネ……!
733 : 以下、名... - 2017/03/28 22:42:42.22 5UtEBZNTo 906/1000>>624に書いてある全員分のエンディングって狂気エンドのことだったのか
楽しみにしてただけに愛情エンド見れないのは残念だけど両方書くのは大変だしね
塩の作品とても面白かったから次のスレ期待してるよ
734 : 塩 - 2017/03/28 22:53:19.40 Xjgeku7O0 907/1000なら、最後に一人だけ愛情エンドを、書いて終わりにしようか?誰がいいかな?
739 : 塩 - 2017/03/28 23:06:01.50 Xjgeku7O0 908/1000全員分を書くと1000まで行っちゃいそうなんだよネ。書けたら全員行くけど、取り敢えずアンケート取って要望が多い人から書いていくヨ。
最原(赤松さん……ずっと僕に優しくしてくれた人。僕にもう一度前を向く勇気をくれた人……彼女の優しさに僕は救われたんだ)
最原(きっと、もうずっと前から僕は彼女のことを想ってたんだ。でも、彼女に思いを伝える事に怯えていた……もし彼女に振られたら、もう二度と同じ関係に戻れないんじゃないかって恐がってたんだ)
最原(でももう逃げない!例えどんな結末を迎えようとも僕は赤松さんにこの思いを伝えるんだ!)
最原「……赤松さんを呼び出そう。場所は僕の研究教室で良いかな……」
―――最原の研究教室
最原「………そろそろかな」
―――ガチャッ
赤松「最原くん、お待たせ!それで、話って何かな?」
最原「……君に伝えたいことがあるんだ」
赤松「え……?」
最原「ここに来たばかりの頃、僕は昔のことを引き摺って下を向いて生きていた。誰かと目を合わせるのが恐くて、逃げていたんだ」
最原「でも……赤松さんと出会って、励まして貰って、僕は変われた……もう一度前を向いて歩いていける様になったんだ」
赤松「そ、そんなの、私は大したことはしてないよ!最原くんがもともと強かっただけで……」
最原「ううん、僕は弱い人間だよ。だからちゃんと自分の気持ちと向き合うのにも時間がかかっちゃった。そう、こんなにも長い時間がね……」
赤松「最原くん……?」
最原「……本当は恐いんだ。これを言ったらもう後戻り出来なくなりそうで恐い……でも、ここで言わなきゃ絶対に後悔するから、だから……勇気を振り絞って君に伝えるよ」
赤松「……!?」
最原「赤松楓さん……僕は、君のことが好きです。これからもどうか、僕の傍に居てくれないでしょうか!」
赤松「え、ええっ!?こ、これって、その……」
最原「……臆病な僕の精一杯の告白だよ。ロマンチックでは無いだろうけど、これが僕の精一杯さ」
赤松「こ、告白、だなんて……」
最原「………」
最原(伝えたいことは伝えた。これで良かったんだ。彼女の答えがなんであろうと、僕は後悔しない……ちゃんと前を向くことが出来たから!)
赤松「……本気、なんだね?最原くんは、勇気を出して告白してくれたんだよね……?」
最原「……うん、そうだよ」
赤松「そっか……あのね、最原くん。私も君に伝えたいことがあるんだ」
最原「え……?」
赤松「最初はね、君の事ちょっと頼りないなって思ってたんだよ。俯きがちでネガティブだし、どうにも覇気が無いなって思ってたんだ」
最原「ははは……手厳しいね」
赤松「……でもね、君と一緒に過ごすにつれて、その気持ちは消えて行ったんだ。君は優しくて、皆の為に一生懸命な男の人だって分かって、どんどん君の事を知りたくなって行った……」
赤松「気がつけば私は君のことを探して、君と一緒に居たいなって思うようになってたんだよ。君と一緒に笑ってたいなって思ってるんだ……!」
最原「そ、それって……」
赤松「……最原くん、君はすごく素敵な男の子だよ。だって、一生懸命勇気を出して私に思いを伝えてくれた……それがどんなに困難なことなのか、私には分かるよ」
赤松「だから今度は私の番、君のその勇気に私が応える番なんだ。だから……私の思いを聞いてください」
最原「………」
赤松「最原終一くん、私は、あなたが好きです。どうかこれからもあなたと一緒に居させて下さい」
最原「……うん……うんっ!もちろんだよ!僕も君と一緒に居たいんだ!」
赤松「私も……君のこと、ずっと好きだったよ。だから、こうして心を繋がせられた事がとても嬉しいんだ……!」
最原「僕だって!君の事が好きで好きで……ずっとずっと前から、君の事が……っ!」
赤松「……ん、そんな話は後にしようよ。今は、すべき事があるんじゃない?」
最原「えっ……?」
赤松「……もう一度勇気を出して欲しいな、終一くん」
最原「あっ……!う、うん。その……楓、目を瞑って……」
赤松「……はい」
―――ちゅっ♡
最原「んっ……」
赤松「ふふっ……!恋人になってから初めてのキスだね?」
最原「あ、うん……恋人、かぁ……!」
赤松「……ねえ、最原くん」
最原「な、何?赤松さん?」
赤松「……必ずここから出ようね。皆揃って、一緒にここから出よう。約束だよ?」
最原「……うん、出来るよ。必ず出来る。そんな気がするんだ……!」
――――――――――――――――――――
それから程なくして、モノクマは外の世界に続く扉を開いた。事情を知っている僕以外の人たちは困惑していたけど、先頭に立って進む僕に続いて外に出る事を決めたんだ。
そして……僕たちは知ってしまった。自分たちが自ら望んでこのダンガンロンパに参加していた事や自分たちがフィクションの存在と化してしまった事、そして、今までの学園生活が全て見世物にされていた事を……
それを知った時、最初はどうすれば良いのかわからなかった。今までの記憶が全否定されて、もう戻ることも出来なくなってしまったのだから当然だろう。でも、考えようにしては悪くないこともある。
植えつけられた才能は個人の適正にもよるが基本的には本物だ。超高校級の才能を持つことになった僕たち16人は、あえてこの運命を受け入れて生きていく事を決心したのだ。
幸いにも番組の出演料と言う事で莫大な報酬を受け取ることが出来た。チームダンガンロンパは僕たちのこれからの進路も保障してくれた。
彼らのコネを使って自分の才能を活かせる舞台を得た僕たちは、それぞれの道を歩む事になった。ばらばらの道を歩む事になった僕たちだけど、固い絆で結ばれていることは確かだ。何かあったらすぐに皆で駆けつける。そう、必ずだ……!
……では、ここからは僕の話をしよう。正確には、僕と彼女のそれからの話だ……
――――――――――――――――――――
「た、タクシー!止まってくれよっ!」
交通量の多い町の中で息を切らせながら手をあげる僕。しかし、目当ての車はなかなか止まってくれず、焦りが募るばかりだ。
「ああ、もう!なんでこんな時に限って運が悪いんだよ!?」
苛立ち紛れに叫ぶ僕、もう目的地まで走って行ってしまおうかと考えていると……
「……まったく、君らしく無いっすよ、最原くん」
「えっ!?」
聞き覚えのある声に驚いて顔を上げると、そこには黒い車が止まっていた。その後部座席に座っている人物の顔を見た僕は驚きと喜びで叫んだ。
「天海くん!?どうしてここに……?」
「そんなの決まってるじゃないっすか。でも、そんな話は車の中でしましょう。さ、乗ってくださいっす」
「あ、ありがとう!」
彼の好意に感謝しつつ車に乗り込む。天海くんの隣に座った僕は、さっそく彼との話に花を咲かせ始めた。
「何年ぶりかな?天海くんも僕も忙しくってほとんど顔を合わせて無かったからね」
「活躍は聞いてますよ。天才探偵最原終一……数々の事件を解決に導いてるそうじゃないっすか」
「やめてよ。僕の方こそ君の活躍はよく目にしてるんだ。なにせ人の死なないダンガンロンパの仕掛け人だからね」
お互いの活躍を称え合う僕たち、そう、あの学園生活からとても長い月日が経っていた。
ダンガンロンパV3で得た才能を活かす道を歩き出した僕たちは、それぞれ別の道を歩き始めた。僕は探偵の道を、天海くんはチームダンガンロンパに就職し、自身の超高校級のラッキースケベの才能を活かして人の死なないダンガンロンパをプロデュースし始めたのだ。
天海くんの功績は絶大で、今までのコロシアイ学園生活よりも多くの収益を上げつつ視聴者の過激な欲求に応える番組を作れているらしい。この10年近く、人の死ぬダンガンロンパは手がけられていない。それも彼のおかげだ。
「いや~、天海くんのおかげで私も首を切られずにすんだしね~!地味に足を向けて寝られないよ~!」
「あ、白銀さん!君が運転手だったの!?」
「うん!私、天海くんの部下だからね!」
運転席でハンドルを握る白銀さんはそう言って僕にウインクしてきた。彼女もまた色々とあったが、今では僕たちと和解して友人として付き合っている。
一時は本当に処刑されてしまったのでは無いかと噂されていたが、こうして元気な姿を見られて何よりだ。
「その節は本当にご迷惑をおかけしました。今は地味に頑張ってるから安心してね!」
「うん、白銀さんも元気そうで良かったよ」
昔と変わらぬ笑顔を見せた白銀さんから視線を逸らし、外の巨大モニターを見る僕。そこにも顔見知りの姿を見かけた僕は少し呆れた微笑を浮かべた。
『あ~、全世界の悪党の皆~!今日、なんか悪いことをされると俺の友達が困っちゃうんだよね~!』
『だから今日は大人しくしててくれない?もしどうしても黙ってられないって言うなら俺たちが相手になるよ!徹底的にぐちゃぐちゃになるまで相手してあげるから、覚悟の出来たやつだけ悪事を働いてね!』
モニターでは王馬くんが無邪気であくどい笑顔を浮かべながら全世界の悪人へと宣戦布告をしていた。彼なりの気遣いに感謝しつつ現在進行形でライバルである彼のことを思う。
笑える犯罪をモットーに世界で活躍する悪の組織『DICE』を本当に作り上げてしまった彼は、時折僕につまらなくない事件を起こして挑戦してくる。人的被害は無いがなんとも厄介な事件を起こすので僕も毎回困ってしまうものだ
『最原ちゃ~ん!今日は俺が最原ちゃんの代わりに正義の味方をやってあげるからさ!最原ちゃんは安心して赤松ちゃんの所に行ってあげてよね!』
「……ありがとう、王馬くん」
小さく彼への感謝の言葉を呟く僕を乗せた車は、目的地へとひたすらに走って行ったのであった。
「んあ~!遅いぞ最原!待ちくたびれたぞい!」
「そう言ってやるなよ。終一だって大急ぎで来たんだからよ」
「皆……来てくれたんだ!」
目的地である病院に着いた僕を出迎えたのはあの学園生活を共に過ごした仲間たちだった。王馬くんの姿は見えないが、彼は僕の代わりを努めてくれているのだから仕方が無いだろう。それにしても皆が集まってくれるなんて本当に驚きだ
「終一、何も心配要らないよ~!神様も安心しろって言ってるもん!」
「どうやら東条たちが付き添ってやってたらしいな。あいつらが一緒だったんならなんの心配もいらねえだろ」
「最原さん、楓さんは一生懸命戦ってます。だから、あなたも励ましてあげてください」
「……うん、ありがとう、皆……!」
皆の励ましと温もりに目頭が熱くなる。涙をこぼしそうになっている僕に対して、春川さんが呆れた表情で声をかけた。
「まだ泣くのは早いって、それはあかま……じゃなくって、楓を迎えた時に流してやりなよ」
「うん、そうするよ……!」
その言葉に頷いて涙を拭う。そうだ、まだ泣くのは早い。僕が泣くのは楓が戻ってきてからだ。そう、僕が考えた時だった。
「すいません!旦那さんはいらっしゃいますか!?」
「は、はい!僕です!」
「急いで中に!もうじきですよ!」
「は、はいっ!」
看護師さんの言葉に従って部屋の中に入る準備をする僕。後ろからは皆の励ましの声が聞こえてくる。
「最原くん、頑張ってね!ゴン太も一生懸命応援してるから!」
「……大丈夫だヨ。胸を張って自分と楓さんを信じてあげてネ」
「ダサイ原!じゃ、無くって、その……が、頑張れ!」
「入間さん、せめてもう少し何か無かったの?」
その言葉を聞いていたらほんの少しだけ緊張が解れた。落ち着きを取り戻しながら部屋に入った僕は、案内をしてくれた看護師さんに従って楓の傍に寄り添う。
「終一、くん……!?」
「楓、頑張って!皆が応援してくれてる、僕も傍に居るから!」
「うん……!頑張るよ!この子を早く皆に会わせてあげたいもの……!」
苦しそうな表情を浮かべながら、それでも楓は笑った。僕の大好きな彼女のその笑顔を見ると、何も心配ない様に思えてくるから不思議だ。
「さぁ、君も頑張ろうね……!お母さんもお父さんも、私たちの友達も、君の事を待ってるんだよ……!」
楓が必死になっていきむ。時折聞こえる苦しそうな声を耳にしながら、僕は彼女から目を逸らさずに励まし続ける。
「頑張れ……頑張るんだっ!」
……この世界は時に残酷だ。理不尽な絶望が僕たちを襲うかもしれない。
でも、そんな絶望の中にも確かに希望はある。あの学園生活の中で僕がかけがえの無い友達と何よりも大切な女性を見つけた様に、希望は必ずそこにあるのだ。
「ほぎゃぁぁぁっ!ほぎゃぁぁぁっ!」
「あ……!!!」
部屋の中に産声が響く。新たな希望がこの世界に生まれた時の福音は、確かにこの耳に届いた。
「おめでとうございます!元気な男の子ですよ!」
「はい……はいっ……!」
看護師さんの言葉に頷きながら楓の手を強く握る。長い戦いを終えた彼女は、疲れ切った体で僕の手を強く握り返してくれた。
「ありがとう、楓……!本当に、良く頑張ったね……!」
「えへへ……!うん、頑張ったよ……。やっと会えたね、私たちの赤ちゃん……!」
生まれたばかりの僕たちの子供を楓が抱きしめる。新たな家族の誕生に僕の目からはとめどなく涙が溢れた。
今、誰かに幸せかと聞かれたら僕は即答しよう。幸せに決まっていると、不幸であるはずがないと……!
「今日からパパだよ終一くん。新米だけど、一緒に頑張って行こうね」
「ああ……頑張ろう!これからもずっと一緒だよ……っ!」
優しく二人を抱きしめる。僕の幸せと希望の結晶、何物にも代え難い大切な存在を抱きしめる僕に楓が囁いた。
「うん……!これからは三人で幸せになろうね、終一くん……♡」
赤松楓 愛情END『三代目超高校級の夫婦』
最原(茶柱さん……僕だけじゃない、男子全員を忌み嫌っていた彼女とここまで分かりあえる日が来るなんて思ってもみなかった。今の僕たちには確かな絆がある。でも、僕はこれを友情で終わらせたくは無いんだ……!)
最原(僕は女の子としての茶柱さんが好きだ。彼女は……茶柱さんは、僕のことをどう思っているのだろうか?)
最原(知りたい、彼女の気持ちを……そして伝えたい、僕の思いを……!)
最原「茶柱さんを呼び出そう。場所は僕の研究教室で良いかな……」
―――最原の研究教室
最原「……そろそろかな」
―――ガチャッ
茶柱「お待たせしました最原さん、転子にお話とは何でしょうか?」
最原「……君に、伝えたい事があって……」
茶柱「伝えたいこと……???むむっ!さては二人きりになって転子にいやらしいことをするつもりですね!?」
最原「………」
茶柱「図星を突かれて何も言えないみたいですね!こうなれば転子のネオ合気道でその性根を叩き直して……」
最原「……茶柱さん、お願いだ。どうか僕の話を聞いてくれないかな?」
茶柱「え……へ……?」
最原「……とても大切な事なんだ。だから、どうか黙って聞いて欲しい。頼むよ……」
茶柱「え、あの、その……さ、最原さんがそこまで言うのなら、転子は黙ってお話を聞かせて頂きます……」
最原「……ありがとう、茶柱さん」
茶柱「それで、その……お話とは、なんでしょう?」
最原「……茶柱さんは、男の人が嫌いなんだよね?」
茶柱「当然です!男死は皆ケダモノ!好きになんかなるわけが無いじゃないですか!」
最原「………」
茶柱「……でもまぁ、その……最原さんのおかげで良い男死も居ると言うことが分かりました。全員が全員、ケダモノでは無いと知る事が出来たのは転子にとって非常に重大な発見です」
最原「……うん」
茶柱「ですがまぁ、所詮男死は男死!完全に信用出来るわけが無いんですけどね!あはははははは!」
最原「……僕の事もかな?」
茶柱「……へ?」
最原「茶柱さんは僕の事も嫌いで、信用してくれて無いのかな?」
茶柱「そ、それは……その……」
最原「……僕は確かにすごく良い男子ってわけじゃない。頼りなくって情け無い、茶柱さんが嫌いな部類の男なんだろうね」
最原「でも……それでも、僕は君に伝えたい事があるんだ」
茶柱「あ、あう……」
最原「僕、茶柱さんの事、最初は恐くて近寄りにくい人だと思ってた。でも、一度仲良くなったらその印象は変わったよ」
最原「優しくて強くて……とても真っ直ぐな人だと思った。僕もこんな風になりたいって思ったんだ」
茶柱「ま、って、くださ……」
最原「一緒に過ごして、君の良い所を沢山知って、もっと近づきたいって思った。こんな僕だけど、勇気を持って君にぶつかろうって思ったんだ」
茶柱「そ、それ以上は……!」
最原「だから言うよ。これは僕の勝負だから……当たって砕けてしまっても構わない!だから、ちゃんと言うんだ!」
茶柱「それ以上は言わないでくださいっ!!!」
最原「!?」
茶柱「待ってください……そ、それ以上は、だ、駄目なんです……」
最原「茶柱さん……」
茶柱「ご、ごめんなさい、最原さん。でも、転子は、転子は……」
最原「……うん、わかったよ。こんな事に付き合わせてごめんね」
茶柱「!!!」
最原(……分かってたことじゃないか。茶柱さんが男を、それも僕みたいな奴を好きになる訳が無い……彼女にとっても迷惑な話だ、僕は間違っていたんだ……)
最原「……ごめん、茶柱さん。この話は忘れて……」
茶柱「待ってください最原さん!違うんです!そうじゃないんです!」
最原「え……?」
茶柱「転子……最近、変なんです。時々胸が痛くなったり、なんだか苦しくなったり……今まで感じた事の無い感情が転子に生まれて、どうすれば良いのか分からないんです……」
茶柱「転子にとって男死は天敵のはずです。声はおろか姿も見たくない相手のはず、なのに……転子は、ある男死ともっとお話したり、一緒に居たいと思うようになってしまいました」
茶柱「その人と一緒に居ると楽しくて、時間が過ぎるのが早くて、その人と離れると胸がズキズキ痛むんです……もっと一緒に居たいって、そう思っちゃうんです!」
最原「………」
茶柱「転子のなかのその気持ちはだんだん大きくなって、もう一緒に過ごすだけじゃ足りなくなって来てるんです!手を繋いで、抱きしめ合って、触れ合って……もっともっと、近くに感じたいって思う様になっちゃってるんですよ!」
最原「それ、って……?」
茶柱「……この感情の名前に心当たりはあるんです。でも、それを認めてしまうのが恐いんです……それを認めてしまったら、転子が転子じゃなくなってしまう気がして、とても恐いんです……」
茶柱「なのに……あなたにそんな事を言われたら、もう取り返しがつかなくなってしまいます!他でも無いあなたに言われてしまったら……もう、後戻りが出来なくなってしまう……それが、恐くて堪らないんですよ……!」
最原「茶柱、さん……」
茶柱「う、うう……ごめん、な、さい……」
最原「……ううん、良いんだ。僕は、君にそんな顔をして欲しくないんだ」
茶柱「え……!?」
最原「……気持ちをちゃんと伝えたいとは思うよ。でも、そのせいで茶柱さんが苦しんだり、悲しんだりするなら、僕はそんなことしなくて良い。僕は、茶柱さんに笑っていて欲しいんだ」
茶柱「………!!!」
最原「だから……この話はお終いにしよう。それで良いんだ……!」
茶柱「最原さん……」
最原「本当に変な話をしちゃってごめん。茶柱さんも今日のことは忘れて……」
茶柱「きえぇぇぇぇぇっ!!!」
最原「うわぁっ!?」
茶柱「はぁ……はぁ……ふう、ちょっとすっきりしました!」
最原「ちゃ、茶柱さん?急に叫んでどうかしたの……?」
茶柱「……最原さん、さっきまでの転子はいくじなしでした。自分の中に生まれた感情から目を背けて、逃げて、なかったことにしようとする弱い女子でした」
茶柱「でも……勇気をだして一歩踏み出した最原さんのおかげでそれじゃ駄目なんだって気がつけたんです。だって、そんなことをしたら、本当に転子は転子じゃなくなってしまいます。さっきまでの転子は、転子自身が大嫌いな軟弱な男死そのものでした」
茶柱「転子は自分と向き合いました。どんな感情が生まれても転子は転子……新しい自分を受け入れてこそ成長があるんです!そのことを教えてくれて、ありがとうございます!」
最原「茶柱、さん……!」
茶柱「……だから言って下さい、最原さん。あなたの思いを転子にぶつけてください、転子も全力で受け止めますから!」
最原「……うん、わかったよ!じゃあ、改めて君に伝えさせて貰います」
茶柱「はいっ!……覚悟は出来ました、かかって来なさい!」
最原「……茶柱転子さん、僕はあなたに恋をしています!僕のこの思い、受け止めて下さいっ!」
茶柱「……はい。あなたの思い、確かに転子は受け止めました!」
最原(……伝えられた。他ならぬ彼女のおかげで、僕は自分の思いを伝えることが出来た……もう、悔いは無い。後は、彼女の答えを待つだけだ!)
茶柱「……最原さん、転子は……転子は今、ようやく本当の意味であなたと向き合えました。あなたに思いをぶつけてもらって、それを受け止めて、本心から向き合えていると思えます」
茶柱「すごく……すごく、不思議な気持ちです。胸がじんじんと熱くて、それでいてぽかぽかしていて……とても幸せなんです」
最原「………」
茶柱「……最原終一さん、どうか聞いてください。これが、あなたの思いに対する転子の答えです!」
茶柱「……私、茶柱転子も、あなたに恋をしています……!転子も、あなたのことが大好きですっ!」
最原「やっ……たぁっ!やった、やったぞ!ばんざーい!」
茶柱「そ、そんなに喜ばないで下さいよ……ま、まだ、転子も恥ずかしいんですから……」
最原「……ありがとう、茶柱さん。こんな僕の思いを受け止めてくれて……!」
茶柱「う~……まさか転子が男死に心を奪われるなんて……これはきっと修行が足りない証拠です!で、あるならば……!」ギュッ!
最原「え……?うわっ!?」
茶柱「こ、ここ、これから、恋人としての修行をしますから……さ、最原さんにも付き合ってもらいますからね!嫌だとは言わせませんから!」
最原「ふふふ……嫌だなんて言う訳ないでしょ?それよりも、僕は茶柱さんが僕のことを恋人だって言ってくれたことが嬉しいな!」
茶柱「!?!?!?」
最原「……隙ありっ!」
―――ちゅっ♡
茶柱「!?!?!?!!?!?!!?!?」
最原「……ははっ、僕の先制攻撃はどう?なーんちゃ、って……?」
茶柱「はう、あ、ふぅ……っうぅ、はぁっ……♡」
最原「ちゃ、茶柱さん?か、顔が真っ赤だけど、だいじょう……」
茶柱「ま……参りましたぁ……♡♡♡」ガクッ
最原「えっ!?茶柱さんっ!?きゅ、急に気を失わないでよ!ちょっと!茶柱さーん!?」
――――――――――――――――――――
それから程なくして、モノクマは外の世界に続く扉を開いた。事情を知っている僕以外の人たちは困惑していたけど、先頭に立って進む僕に続いて外に出る事を決めたんだ。
そして……僕たちは知ってしまった。自分たちが自ら望んでこのダンガンロンパに参加していた事や自分たちがフィクションの存在と化してしまった事、そして、今までの学園生活が全て見世物にされていた事を……
それを知った時、最初はどうすれば良いのかわからなかった。今までの記憶が全否定されて、もう戻ることも出来なくなってしまったのだから当然だろう。でも、考えようにしては悪くないこともある。
植えつけられた才能は個人の適正にもよるが基本的には本物だ。超高校級の才能を持つことになった僕たち16人は、あえてこの運命を受け入れて生きていく事を決心したのだ。
幸いにも番組の出演料と言う事で莫大な報酬を受け取ることが出来た。チームダンガンロンパは僕たちのこれからの進路も保障してくれた。
彼らのコネを使って自分の才能を活かせる舞台を得た僕たちは、それぞれの道を歩む事になった。ばらばらの道を歩む事になった僕たちだけど、固い絆で結ばれていることは確かだ。何かあったらすぐに皆で駆けつける。そう、必ずだ……!
……では、ここからは僕の話をしよう。正確には、僕と彼女のそれからの話だ……
――――――――――――――――――――
「い、良いですか終一さん、やらしい真似をしたらぶん投げますからね!」
「ああ、うん。わかってるよ……」
「で、では……勝負、開始ですっ!」
転子の言葉を合図に僕たちはお互いを抱きしめ合った。何の変哲もないハグをする僕たちだが、転子にとってこれは相当な難題の様で……
「ぬ、ぐぅ……っ!ま、まだまだぁっ……!」
すでに顔は真っ赤だし、汗も大量に流している。まぁ、これでも最初に比べればましになった方だ。一番最初に手を繋いだだけで腕の関節を極められたことを思い返しながら僕はもう少しだけ転子の体を強く抱きしめた。
「はひいっ!!!」
転子の口から甲高い悲鳴にも似た声が漏れる。その様子がおかしくてつい笑ってしまった僕を転子が鋭い目つきで睨んできた。
「終一さ~ん……!いやらしい真似をしたら投げると転子は宣言しましたよね……?」
「ごめんごめん、転子が可愛いからつい抱きしめたくなっちゃってさ」
「……は、はひ……?」
可愛い、の一言に過敏に反応した転子の顔が更に真っ赤になる。ゆでだこみたいになった彼女に僕はさらに追い討ちをかけた。
「大好きな恋人を抱きしめたくなっちゃうのってそんなに駄目なことかな?僕はもっと転子と近づきたいな……」
「そ、そんなこと言って、て、転子を辱めようったってそうは……」
「……転子、顔が真っ赤だよ。恥ずかしいのに僕の為に頑張ってくれて、すごく嬉しいな……!」
「っっ~~~~~!!!」
もはや顔から湯気が出てもおかしくないほどに赤くなった転子を抱き寄せて押し倒す。まだそう言うことはしたことがないが……それでも、この状況は中々にそそるものがある。
「い、いけませんよ!寝技の修行はまだ早いです!」
「わかってるよ……でも、僕もいつまでも我慢できるわけじゃないから、早く心の準備を決めてね?」
「うぅ……。やはり男死は皆ケダモノです……!何で転子は、こんな人を好きになってしまったんでしょう……」
顔を真っ赤にしてモジモジと指を絡める今の転子の姿は乙女そのものだ、普段の凛々しさが溶けて無くなってしまった彼女のこんな姿を見られるのは僕だけなのだと思うと、自然と口元に笑みがこぼれた。
「転子……目、瞑って……!」
ビクリと体を強張らせた転子の緊張を解す様に頭を撫でながら僕は彼女の唇に自分の唇を重ね合わせる。温かい彼女の体温が唇から伝わり、甘い一時が流れた。
「ぷ、はぁ……♡」
「ふふっ……今の転子、すごく可愛い顔をしてるよ。トロトロに蕩けて、食べちゃいたいくらいだ……」
「やあ……っ♡だめ、です……♡」
駄目じゃない癖に……その言葉を飲み込みながらもう一度唇を重ね合わせる。二回目のキスを彼女も待ち望んでいたようで、たっぷりとお互いを求め合う口付けになった。
「……はぁっ、っっはぁ……♡」
「……そんな顔されたら、本気で我慢出来なくなるよ?僕、これでも結構辛抱してるんだからさ……」
熱を帯びた瞳の転子を見ながら僕は正直な本心を吐露する。男女の付き合いに対して潔癖症な転子のためにそう言ったことは必死に我慢しているが僕だって男、欲が無いと言えば嘘になる。
それでも必死にその欲望を抑えているのは転子への愛情があってのことだ。愛する人が望んでいないことを無理にするわけにはいかない。だから僕は必死に我慢しているのだ。
でも……時々こうやってその欲望を伝える事ぐらいは許されても良いだろう?大好きな彼女に素直な欲求を伝えられるのも、彼氏の特権では無いか
「……せん」
「え……?」
そんなことを考えていた僕だったが、床に倒れている転子が何かを呟いた事を聞き取り、彼女の口元へと耳を近づける。転子はそんな僕に対して、熱を帯びた色っぽい声で囁いた。
「……構いません……よ?いつまでも待って貰おうだなんて考えるほど、転子は恥知らずではありませんから……」
「っっ!?」
「終一さんが今まで我慢してくれた事はわかってます……だから、そろそろ……転子も覚悟を決めるとします……」
「……本気で言ってるの?後悔しない?」
「はい……で、でも、その……優しくしてくれると、嬉しい、です……♡」
顔を赤らめて、潤んだ瞳で僕を見上げる転子……それを見たとき、僕の中の何かが切れた。
と言うよりもあれだ、愛する彼女のこんな表情を見て理性が保つ男が居るのなら教えて欲しい。少なくとも僕には無理だ。
「え、いや、終一さんっ!?」
転子をひょいとお姫様抱っこで抱え上げ歩き出す。目的地は寝室、お布団のある場所だ。
「ま、待ってください!お風呂!お風呂に入らせてください!今の転子、体中汗まみれなんですよーっ!」
「無理、もう我慢出来ない」
「そういう変な所で男らしさを発揮しないでくださいよ!ああもう、本当に一生のお願いですから!」
転子の涙交じりの懇願に何とか理性を回復させると、僕は目的地を浴室へと変更した。その事を察知した転子が安堵の息を漏らす。
「……あ、お風呂は一緒に入るからね?」
「え……?えぇぇぇぇぇっ!?」
「……嫌なの?だったら……」
「わ、わわっ!?わかりましたよ!一緒に入れば良いんでしょう!」
「よろしい」
なにやら不満げな転子だが、もうこれ以上は譲れない。僕だって我慢の限界なのだ。
これでも結構譲歩しているのだ、彼女を愛しているからこそ必死に欲求を我慢しているし、抑えられるのだ。
転子風に言わせれば、この恋の勝負は相手をより惚れさせた方が勝ちらしい。なんとも馬鹿らしいが、同時に彼女らしいとも思う。
彼女が望むならその勝負に乗ってあげよう。そして、絶対に勝ってみせる。取りあえず今の所は互角だが……まぁ、これから先の一生で決着はつくだろう。
「きょ、今日の所は負けを認めてあげます!でも、明日は必ず勝ちますからね!」
「へぇ……じゃあ、今日は勝者としてたっぷり楽しませてもらおうかな?」
ニコニコ笑いながら僕たちはお互いを見る。温かくて楽しくて幸せなこの勝負の相手はとんでもない強敵だ。
だからこそ勝ちたくなる。でもまぁ、負けても幸せなのだけれども、勝負と言うからには負けたくないのだ。
「明日は転子の事、もっと好きにさせてみせます!いつか必ず終一さんに参ったと言わせて見せますからね!」
自信ありげに転子が笑う。僕も彼女に笑い返す。まぁ取りあえずこの後転子には思いっきり喘いで貰おうと思いながら、僕は彼女を抱えて浴室へと入って行ったのであった。
茶柱転子 愛情END『愛情いっぱい勝負の毎日』
799 : 塩 - 2017/03/30 19:45:42.47 /pY7Dhpq0 933/1000こんばんは
あともう少ししたら要望が多かった入間さんと東条さんのエンディングを投稿するヨ。
その後で、白銀さん、アンジーさん、夢野さんの順番で貼らせてもらうネ。
本当はいっぺんに貼りたいんだけど、PCの調子が悪くて長い間起動出来ないんだよネ……
許して欲しいヨ。
最原(入間さん……とても臆病で弱い人、でも、実は優しくて他人を思う心を持っている人……外に出たいとずっと泣き言を言っていた彼女はだいぶ強くなった。それには僕が関係していると考えるのは自惚れだろうか?)
最原(願わくば彼女とずっと一緒に居たい。これから先も彼女を支えて、一緒に生きて行きたい……僕はそう願っている)
最原「入間さんを呼び出そう。場所は僕の研究教室で良いかな……」
―――最原の研究教室
最原「……そろそろかな」
―――ガチャッ
入間「……よう」
最原「入間さん、来てくれてありがとう。実は、君に伝えたいことが……」
入間「……ちょっと待てよ。最原」
最原「え……?」
入間「こ、この美人過ぎる天才発明家である入間美兎様に時間取らせたいって言うんだ、ま、まずは俺様の言う事を聞くのが筋ってもんだろう?」
最原「え……?あ、ああ、入間さんが望むのならもちろんそれでかまわないよ」
入間「よ、よし……良い心がけじゃねえか。最原にしては物分りが良いな!」
最原「ははは……。それで、僕は何をすればいいの?」
入間「……俺様は、お前に言いたいことがあるんだよ」
最原「僕に……?」
入間「お、俺様は……正直恐かった。ここから出られないんじゃないかって考える度に恐くって、絶望しそうになって……ずっとずっと、恐かった」
入間「正直、今でも恐い……もう一生このままなんじゃないかって考えて眠れない時だってある。でも、そんな時、いつもお前のことを思い浮かべるんだ」
最原「僕のことを……?」
入間「……私が恐くて震えている時、お前はいつも慰めて、励ましてくれた……絶望に押し潰されそうになった時も駆けつけてくれた……恐くて恐くて堪らない時も、お前のことを思い浮かべると明るい気持ちになれるんだ」
最原「………」
入間「今、私がこうしていられるのもお前のお陰なんだ。優しいお前が居てくれたから、私はこうして生きていられる……お前は、私にとってかけがえのない存在なんだ……」
最原「入間、さん……!」
入間「だ、だから、その、お、俺様、じゃなくって私様、でもなくって……ああ、う、上手く言葉がでてこないよぉ……」
最原「……ぷ、くく……あはははは!」
入間「わ、笑うなよぉ!人が一生懸命だって言うのにぃ……」
最原「ごめんごめん!けど、嬉しくってつい、ね……」
入間「へ……?」
最原「……僕も同じなんだ。不安な時、辛い時、楽しい時、嬉しい時……そんな時間を入間さんと過ごして一緒に居る内に君のことが大切な存在になってた。僕は入間さんのことをかけがえのない人だと思っているよ」
入間「ほ、ほんとう……?」
最原「うん……だから、その言葉の先は僕に言わせて下さい」
入間「う、うん……っ!」
最原「……入間美兎さん、僕は君のことが大切です。僕と一緒にここで過ごして、ここを出てからも一緒に居てくれないでしょうか?」
入間「……く、くく……た、確かにな。うん、笑っちまうな……!お前の気持ちがわかったぜ!」
最原「それはなによりだよ。それで?返事を聞かせてくれるかな?」
入間「ひゃーっはーっ!良いぜ!耳をかっぽじって良く聞きな!お前は世界で一番の幸せ者だ!」
入間「……私も終一のことが大切だよ。あなたとずっと、一緒に居たいな……!」
――――――――――――――――――――
それから程なくして、モノクマは外の世界に続く扉を開いた。事情を知っている僕以外の人たちは困惑していたけど、先頭に立って進む僕に続いて外に出る事を決めたんだ。
そして……僕たちは知ってしまった。自分たちが自ら望んでこのダンガンロンパに参加していた事や自分たちがフィクションの存在と化してしまった事、そして、今までの学園生活が全て見世物にされていた事を……
それを知った時、最初はどうすれば良いのかわからなかった。今までの記憶が全否定されて、もう戻ることも出来なくなってしまったのだから当然だろう。でも、考えようにしては悪くないこともある。
植えつけられた才能は個人の適正にもよるが基本的には本物だ。超高校級の才能を持つことになった僕たち16人は、あえてこの運命を受け入れて生きていく事を決心したのだ。
幸いにも番組の出演料と言う事で莫大な報酬を受け取ることが出来た。チームダンガンロンパは僕たちのこれからの進路も保障してくれた。
彼らのコネを使って自分の才能を活かせる舞台を得た僕たちは、それぞれの道を歩む事になった。ばらばらの道を歩む事になった僕たちだけど、固い絆で結ばれていることは確かだ。何かあったらすぐに皆で駆けつける。そう、必ずだ……!
……では、ここからは僕の話をしよう。正確には、僕と彼女のそれからの話だ……
――――――――――――――――――――
「……なあ、良いだろ終一ぃ……?そろそろ、な?」
ベッドの上で寝転がる美兎が扇情的なポーズで僕を誘う。胸元を大胆に広げた服を着る彼女は、いつにも増してセクシーだ。
「お前だって溜まってるだろぉ……?我慢する必要なんて無いんだぜ……?」
ゆらりと妖しく笑いながら僕に語りかける美兎。僕は彼女のその言葉に微笑みを浮かべると……
「駄目に決まってるでしょうが!」
「いだーーーっっっ!!!」
彼女の頭に思いっきり拳を振り下ろした。
「な、なにすんだよぉ!?これはDVだぞ!」
「毎回毎回、口をすっぱくして言ってるよね?君のそのだらけた生活習慣が治るまでは赤ちゃんは作らないって!」
「ううっ!……い、良いじゃねえかよぉ……金なら腐るほどあるし、生活には困らねえんだからよ……」
涙目になりながら僕に抗議する美兎。僕はそんな彼女を睨みながら強い口調で言い聞かせる。
「そういう問題じゃ無いでしょ?そんなだらけた生活をしてたら、赤ちゃんが出来て困るのは君なんだよ?」
「うぅ……そこはほら、子供が出来たら意識を変えると言うか……」
「美兎のことだから、赤ちゃんが出来たらそれを理由に動かなくなるつもりでしょ?僕をこき使って生活するんじゃないの?」
「うっ……」
図星を突かれた美兎が顔を青くする。その様子に溜め息をつきながら僕は最終的な結論を彼女に告げた。
「とにかく今は赤ちゃんは作りません!どうしても欲しかったらまずは君が努力してください!」
「うぅ……なんだよぉ……。終一は俺様との愛の結晶が欲しく無いって言うのかよぉ……?」
なおも涙目のまま納得していない視線を僕に送る美兎。僕はそんな彼女にもう一度大きく溜め息をつくと……正直な思いを告白した。
「欲しいに決まってるでしょ?だからこうして君に言ってるんじゃないか」
「へ……?」
「……ちゃんとした知識と生活習慣が無いと出産はとても危険なんだよ?産まれてくる赤ちゃんも、美兎も危険なの、分かる?」
「う、うん……」
「何か問題があったら、文字通り命取りになるの。美兎や赤ちゃんに何かあったら、僕は……」
「あ、あああ……ご、ごめん、終一!私が悪かったよぉ……!」
「……本当に分かってくれた?」
「あ、ああ!もちろんだぜ!……そうだよな、いくら美人過ぎる上に天才の俺様でも、赤ちゃんは一人じゃ作れないもんな……」
「そうだよ。僕たち二人でちゃんと考えて準備して、その上で努力しなくちゃいけないんだからね?」
「ああ、わかったぜ!」
美兎がようやく納得してくれた事に笑う僕。美兎も僕に笑顔を向けてくれる。
そう、赤ちゃんだけでは無い。これから先の未来も一人だけでは作れない。僕と美兎、二人で共に幸せな未来を作り上げていくのだ。
「よし!そうと決まれば新しい発明を作らなきゃな!名づけて、『寝ながら運動不足を解消できるマシーン』だ!」
「……君は何も分かってないみたいだね?これはお説教コースかな?」
「えっ……!?」
結構本気でショックを受けている美兎の表情を見た僕は頭を抱える。だがまぁ、これはこれで幸せだ。こう言う意見のすり合わせも新婚生活の楽しみだろう。
「……ま、良いか。たまにはのんびり話そうよ。二人でごろごろ寝ながらさ……」
「お……おう!流石は終一、俺様が惚れた男なだけあって話がわかるじゃねえか!ひゃーっはっは!」
大声で笑う美兎の笑顔を見ながら、僕は二人で作り上げてきた幸せを実感していたのであった。
入間美兎 愛情END『今までは一人で、これからは二人で』
最原(東条さん……色々と皆の世話を焼いてくれた超高校級のメイド、僕は彼女を完璧な人間だと思っていた。でも、本当はそうじゃなかったんだ)
最原(彼女と関わって、その内面を知る内にそのことが分かってきた……東条さんも一人の女の子で、ただの人間なんだ)
最原(……僕は今、彼女に傍に居て欲しいと思ってる。メイドとしてじゃなく、一人の女の子として傍に居て欲しいんだ……)
最原「……この気持ちを東条さんに伝えよう。僕の研究教室に呼び出すんだ……!」
―――最原の研究教室
東条「………」
最原「……思ったより早かったね、東条さん。来てくれてありがとう」
東条「………」
最原「……僕は、君に伝えたいことが……」
東条「それ以上は駄目よ。最原くん」
最原「えっ……!?」
東条「……私はメイドよ。人の感情を読み取ることなんて些細なこと、あなたがなぜここに私を呼び出したのかなんて分かっているわ」
最原「じゃ、じゃあ……」
東条「でも……いいえ、だからこそ、その先を聞くわけにはいかないの」
最原「な、なんで……どうしてさ!?」
東条「……私はメイド、不特定多数の人々に仕える存在よ。そんな私が、たった一人の特別な存在を作るわけにはいかないの」
東条「それをしてしまったら最後、私は超高校級のメイドではなくなるの……だってそうでしょう?主以外の人間に全てを捧げるなんてこと、メイドはしてはいけないのよ」
最原「………」
東条「……最原くん、あなたの気持ちはすごく嬉しい、これは本当よ。でも……これ以上は駄目、私たちはこのままの関係で居ましょう?あなたが望むなら、そう言った依頼も特別に受けて……」
最原「……そんなの、間違ってるよ」
東条「え……?」
最原「おかしいよ。そんなのおかしい……だって東条さんはメイドである前に一人の女の子で……人間じゃないか!」
東条「……!?」
最原「東条さんにも幸せになる権利はあるよ!僕じゃなくてもかまわない!誰か素敵な人と結婚して、家庭を持って、母親になる……そんな普通の幸せを掴む権利はあるはずなんだ!」
東条「わ、私の幸せは誰かに仕えることなの……それで良いのよ!」
最原「なら、僕に告白されても困らないじゃないか!自分の幸せはメイドであることだからと言って断れば良い!そうしないで告白される前に釘を刺すのは、君だって迷っているからじゃないの?」
東条「っっ……!」
最原「……こう考えるのは僕の自惚れなのかもしれない。でも、君が生き方を縛られる理由なんてどこにも無いんだ!だから、東条さん……」
東条「もう、やめてっ!」
最原「!!!」
東条「……最原くん、もう止めて頂戴……!私だって辛いのよ……!」
東条「もしここであなたに好意を告げられたら、きっと私はその思いに応えたくなる……そうしたらもう、二度とメイドの私には戻れないわ。同時に二人以上の主を持つことなんてメイドとしてあってはならないことなのだから!」
東条「だから……だから……っ!」
最原「……なら、何も問題いらないよ」
東条「……え?」
最原「僕は……東条さんの主になりたいわけじゃないんだ。だって、僕が傍に居て欲しいのは『超高校級のメイド』としての東条さんじゃなくって、『ただの女の子』としての東条斬美なんだから……」
東条「あ……!?」
最原「敬わられて、奉仕される主としてじゃなく、対等なパートナーとして君の傍に居たい。君に傍に居て欲しい……僕は、そう思うよ」
東条「最、原くん……!」
最原「……僕のこの思いが迷惑なら振って貰って構わない。だから、どうか聞いて欲しいんだ、僕の思いを……」
最原「東条斬美さん……僕は、あなたが好きです。メイドとしてではなく、恋人として僕の傍に居てくれませんか?」
東条「………」
最原(……この思いが彼女の重荷になるのかもしれないと言うことは分かってる。でも、東条さんに自分の生き方を縛って欲しくない……どうか届いてくれ、この思い!)
東条「……ずるいわよ、最原くん……!」
最原「……!」
東条「ずっと自分の心に蓋をして、押し殺して、この思いを封じてきたのに……あなたにそんなこと言われたらもう我慢出来ないじゃない。ただの女の子としての私が出てきちゃうじゃないの……!」
最原「東条さん……!」
東条「でも……それで良いのよね?あなたの傍でならそれを許されるのよね?あなたが望むのはそんな私なんだからね……」
最原「うん、そうだよ。だから……」
東条「分かってるわ……私も、ちゃんと言葉にしてあなたに伝える。私自身の気持ちを……!」
最原「………」
東条「……私もあなたの傍に居たい。メイドとしてではなく、ただの女として、あなたの傍に居たいわ……これが始めてのわがままだから、どうか受け止めて、最原くん……!」
最原「……もちろんさ。君が望むなら、どんなわがままも受け止めるよ」
東条「ふふ……ありがとう、最原くん……。それじゃあ、抱きしめて貰っても構わないかしら?」
最原「うん、喜んで……」ギュッ…
東条「……ああ……温かいわ……。女の子としての幸せってこんなにも甘くて温かいのね……」
最原「……そう、感じて貰えて嬉しいよ」
東条「ええ……ねえ、最原くん。あなた今、したいことがあるんじゃなくて?」
最原「えっ……!?」
東条「メイドだもの、わかるわよ。……あなたが私を受け止めてくれたんだから、今度は私が受け止める番……あなたのしたいこと、どうか私にして頂戴。ね?」
最原「……うん、それじゃあ……」
―――ちゅっ♡
最原「んっ……ぷはぁ……」
東条「ふふ……胸の中がもっと温かくなった……不思議ね、なんでこんな幸せから逃げようとしていたのかしら?」
最原「……たぶん、変わることが恐かったんだと思うよ。でも、人は変わっていく生き物だから……誰かと過ごすことで変わって、誰かの傍で生きていくのが人間なんだよ」
東条「……ええ、そうね。私も変わったわ、最原くんのおかげでね……きっとこれは、良い変化なのよね?」
最原「きっとそうだよ。うん、そうに違いないさ……!」
東条「ええ!……ねえ、もう少しこのままで良いかしら?この温もりをもう少しだけ感じて居たいから……」
最原「……少しと言わず東条さんが満足するまでこうしていようよ。僕もそうしたいからさ」
東条「そうね……!二人でもっと、こうしていましょう……」
――――――――――――――――――――
それから程なくして、モノクマは外の世界に続く扉を開いた。事情を知っている僕以外の人たちは困惑していたけど、先頭に立って進む僕に続いて外に出る事を決めたんだ。
そして……僕たちは知ってしまった。自分たちが自ら望んでこのダンガンロンパに参加していた事や自分たちがフィクションの存在と化してしまった事、そして、今までの学園生活が全て見世物にされていた事を……
それを知った時、最初はどうすれば良いのかわからなかった。今までの記憶が全否定されて、もう戻ることも出来なくなってしまったのだから当然だろう。でも、考えようにしては悪くないこともある。
植えつけられた才能は個人の適正にもよるが基本的には本物だ。超高校級の才能を持つことになった僕たち16人は、あえてこの運命を受け入れて生きていく事を決心したのだ。
幸いにも番組の出演料と言う事で莫大な報酬を受け取ることが出来た。チームダンガンロンパは僕たちのこれからの進路も保障してくれた。
彼らのコネを使って自分の才能を活かせる舞台を得た僕たちは、それぞれの道を歩む事になった。ばらばらの道を歩む事になった僕たちだけど、固い絆で結ばれていることは確かだ。何かあったらすぐに皆で駆けつける。そう、必ずだ……!
……では、ここからは僕の話をしよう。正確には、僕と彼女のそれからの話だ……
――――――――――――――――――――
「……おはようございます、ご主人様。朝食の準備は整っております」
「うん、ありがとう」
いつもと変わらぬ朝、目覚めた僕は身なりを整えると朝食を食べに居間に向かった。もうすでに東条さんは僕の起きて来る時間を見計らって朝食を作ってくれていたらしい。
「この後、10時には依頼者が参ります。まだお時間には余裕がありますので、ゆっくりと食事をお楽しみください」
「うん、そうだね。今日の依頼人はその人だけかな?」
「そのように記憶しています。無論、飛び入りで依頼が入ってくることも考えられますが……」
「そっか、ありがとう」
僕が笑顔を向けると東条さんは恭しく礼をした。この探偵事務所を開業してから幾度と無く繰り返されたこの行為にも親しみを覚える。
才囚学園を脱出した後、僕は与えられた探偵の才能を活かして探偵業を始めた。無論、最初は他の探偵事務所に修行に出て、勉強をこなしてからだ。
その後、自分の探偵事務所を設立した僕は、毎日仕事の忙しい日々を送っている。そんな僕を公私共に支えてくれているのは東条さんだ。
彼女は僕の仕事のスケジュールの調整から毎日の生活の世話まで面倒を見てくれている。忙しい毎日を無理なく送れるのは間違いなく彼女のお陰だ。
「……あの、ご主人様?まだ何かご不明な点がおありですか?」
「いや、特には」
「では、なぜ朝食に手をつけないので?」
「ああ、それね。それはやっぱり、メイドと一緒に食事は嫌かなーって」
僕はそう言うと悪戯っぽく笑った。その笑顔を見た東条さんはしばらく目を瞑っていたが、諦めた様に笑うと僕の反対側の席に腰掛ける。
「そうね……なら、ここからは恋人として一緒に食事をするとしましょうか?」
「うん!……でも、斬美は真面目だよね。仕事とプライベートは分けなきゃ駄目だ!って言って、普段はメイドとしてきっちりしてるんだもん」
「当然よ。私はメイドとしても恋人としても完璧にすることを選んだの。どちらか一つを不完全に行うことなんて許さないわよ」
自分で作った食事を口に運びながら斬美が言う。器用な様で不器用な彼女の生き方に苦笑しながらも、それが彼女らしいなと僕は思った。
「……僕は幸せ者だな。こんなに美味しい食事を毎日斬美に作って貰えるんだもの」
「当然でしょう?だって私は……」
「超高校級のメイドだから?」
「……いいえ、違うわ」
僕の言葉を短く否定した斬美はカップを手に取りコーヒーを啜った。そして、ふわりと優しい笑みを浮かべながら答える。
「……あなたの恋人なのだから、ね」
優しい微笑み、彼女の、斬美の僕だけしか知らない穏やかな表情に胸がときめく。
まるでコーヒーにミルクと砂糖を溶かした様な甘い日々。とても幸せな恋人との生活を思いながら、僕たちはいつも通りの穏やかな朝を過ごしていったのであった。
東条斬美 愛情END『ある穏やかな朝、恋人としての二人』
最原(アンジーさん……最初は彼女が何を考えているかわからなくて不気味に思っていたけど、一緒に過ごして行く内に彼女のことがわかってきた。アンジーさんは、皆のことが大好きなんだ)
最原(大好きだから傍に居たいと思う。大好きだから一緒に居ようと思う……彼女は、ただひたすらに純粋な人だったんだ)
最原(僕も……彼女とは同じ気持ちだ。だから、ちゃんと言葉にして伝えよう。僕自身の気持ちとして、アンジーさんに伝えるんだ)
最原「アンジーさんを呼び出そう。場所は、僕の研究教室でいいかな」
―――最原の研究教室
最原「……そろそろかな」
―――ガチャッ
夜長「やっはー!終一、アンジーにお話って何かなー?」
最原「……アンジーさんに伝えたいことがあってさ」
夜長「おー!なにかな?なにかなー!?」
最原「……僕はアンジーさんが好きだって、伝えたかったんだ」
夜長「……んー、わかったよ~。……それで?終一はアンジーのどこが好きなのかな~?」
最原「……たくさんあるよ。たとえば、今みたいに無邪気に笑う所とか、皆のことが大好きで、構って欲しくて色々しちゃう所とか……」
夜長「んふふ~……あとはあとは~?」
最原「知りたいことがあると目をキラキラさせる所とか、元気いっぱいの笑顔とか、悲しんだり苦しんだりしてる人に寄り添える優しい所とか……まだまだ、いっぱいあるんだ」
最原「君の事をここまで好きになったのは、神様のおかげじゃないよ?僕がアンジーさんを見てきて、僕自身がそう思ったんだ。誰かに言われたからじゃなくて、僕の本心から君が好きなんだよ」
夜長「……ふふふ!終一ってば面白い告白をするね~?でもでも~、アンジーも終一のそういう所が好きだよ~!」
最原「………」
夜長「アンジーにたくさん構って遊んでくれる所も、アンジーの事を気遣ってくれる所も好き。アンジーとくっついた時に恥ずかしがってもちゃんと応えてくれる所も好きだよ」
夜長「アンジーの頭を撫でてくれる手が好き、アンジーの事を抱きしめてくれる腕が好き、アンジーの声を聞いてくれる耳が好き、アンジーの事をまっすぐ見てくれる瞳が好き………アンジーは、終一の全部が大、大、大好きなのだーっ!」
最原「………」
夜長「……だからね、神様と相談して、終一をアンジーのものにしちゃおうって思ってたんだ。大好きな終一をアンジーのものにしちゃえば、ずっとずっと一緒に居られる……とっても素敵だって考えてたんだよ。でもね……」
夜長「それじゃ駄目だって気がついたんだ。だって、終一はものじゃないもん。自分で考えて、どうするか決められる人だもん。だから、アンジーの勝手で終一を縛っちゃいけないって思ったんだ」
夜長「神様はそんなこと無いって言ってたけど……それでも、アンジーは自分の考えに正直になったよ。初めて神様に逆らって、自分の思いを押し通した。きっと、ばちがあたって終一はアンジーの事を好きになってくれないって思ってたけど、それでも良いって思ったんだ……」
夜長「だから、だからね……今、終一がアンジーの事を好きって言ってくれて凄く嬉しいんだ!涙が出てくる位に嬉しいよ!大好きな終一が、アンジーの事を選んでくれて凄く幸せなんだ!」
最原「……うん、僕は君を選ぶよ。いつも笑顔で居てくれる君が好きだから。傍に居たいと思うから……!」
夜長「ありがとう、終一……ねえ、一つ約束してくれる?」ギュッ…
最原「え……?」
夜長「アンジーとずっと一緒に居てくれるって、傍に居てくれるって約束して……そうすれば、もう何も恐くないから……」
最原「……んっ」
夜長「あっ……!?」
―――ちゅっ♡
最原「……今のキスが約束代わりだよ。僕は君の傍に居る……きっと、ずっと、傍に居続けるからね……!」
夜長「……うん!じゃあ、代わりにアンジーも終一の傍に居てあげるね!終一の神様みたいに傍に居続けるって約束するのだ~!」
最原「……ずっと一緒だよ。アンジーさん……!」
夜長「もっちもち~!約束を破ったら、ばちが当たるからね~!」
最原「あはは!それは恐いなぁ……それじゃ、しっかり傍に居続けないとね!」
夜長「そうだよ~!絶対だからね~!……終一、大好きだよ。神様と同じくらい……ううん、きっと神様よりも好きだからね……♡」
――――――――――――――――――――
それから程なくして、モノクマは外の世界に続く扉を開いた。事情を知っている僕以外の人たちは困惑していたけど、先頭に立って進む僕に続いて外に出る事を決めたんだ。
そして……僕たちは知ってしまった。自分たちが自ら望んでこのダンガンロンパに参加していた事や自分たちがフィクションの存在と化してしまった事、そして、今までの学園生活が全て見世物にされていた事を……
それを知った時、最初はどうすれば良いのかわからなかった。今までの記憶が全否定されて、もう戻ることも出来なくなってしまったのだから当然だろう。でも、考えようにしては悪くないこともある。
植えつけられた才能は個人の適正にもよるが基本的には本物だ。超高校級の才能を持つことになった僕たち16人は、あえてこの運命を受け入れて生きていく事を決心したのだ。
幸いにも番組の出演料と言う事で莫大な報酬を受け取ることが出来た。チームダンガンロンパは僕たちのこれからの進路も保障してくれた。
彼らのコネを使って自分の才能を活かせる舞台を得た僕たちは、それぞれの道を歩む事になった。ばらばらの道を歩む事になった僕たちだけど、固い絆で結ばれていることは確かだ。何かあったらすぐに皆で駆けつける。そう、必ずだ……!
……では、ここからは僕の話をしよう。正確には、僕と彼女のそれからの話だ……
――――――――――――――――――――
「ここには~、これを置きたいな~!」
「うん、じゃあもっとスペースを広げて、こうして……」
「お~!流石は終一!やるね~!」
学園の見取り図を見ながら僕はアンジーさんと話し合う。この才囚学園をどう改造しようかを話す僕たちの話が尽きる事は無い。もっともっと楽しい場所にしようと考えて、実行中だ。
僕はここから出ないことにした。外の世界に出られる切符を放棄し、この学園の中で一生を過ごす事に決めたのだ。無論、それはアンジーさんも一緒だ。
当初の彼女の考えどおり、この学園を楽しい世界にして住み続けると言う案を取った僕たちは外に出て行く皆を見送ってから早速行動を開始した。二人だけの作業は大変だと思ったが、なぜかモノクマーズも手を貸してくれたおかげでだいぶ捗っている。
「いつか逆に外の世界の人たちがここで過ごしたいって思うような天国にしちゃうよ~!」
そう言って張り切るアンジーさんと付き合いながら僕は生きている。彼女が作ったオブジェクトを学園の至る所に配置し、構造を考えるのは僕の役目だ。
考えるのは娯楽だけでは無い。食料や水、いざと言うときのライフラインは自分たちで賄っておかなければならない。そう言ったことを二人で考えていると、なんだか生きている実感がするのだ。
新しい世界を作る作業……そこで生きていく為に知恵をしぼり、行動し、明日につなぐ。愛する人と生きると言う幸せを胸いっぱいに感じながら、僕は今日もこうして過ごしている。
「ねえ、終一。本当はね、アンジーは恐くて寂しかったんだよ?ここから出られないことが恐くて、島の皆に会えないって考えると寂しかったんだ」
そっと、指を絡ませながらアンジーさんは僕に言った。その言葉の先を促すようにして彼女の頭を撫でてあげれば、アンジーさんは僕の大好きな輝く笑顔を見せてくれた。
「でもね!終一が一緒に居てくれるならもう何も恐くないよ!寂しくもない!アンジーは、世界で一番大好きな終一と一緒に居られて幸せなのだー!」
「うん!僕も世界で一番大好きなアンジーさんと居られて幸せだよ!だから、もっと幸せになろう!二人で一緒にさ!」
「もっちもち~!アンジーと終一なら、外の世界の誰よりも幸せになれるよ!」
小さくて可愛いアンジーさんの体をたくさんの幸せと一緒に抱きしめる。どんなことがあっても僕たちは幸せだ。きっとそれは、神様だって覆せやしないのだろう。
「……終一、アンジーが思う終一の好きな所、もう一つあったよ」
「ん?なあに?」
「んとね~……アンジーにキスしてくれる、この唇!」
アンジーさんの人差し指がぷにっと僕の唇に触れる。悪戯っぽい笑みを浮かべた彼女に強請られるまま、その小さい唇に僕の唇を重ね合わせる。
甘く蕩ける幸せの味、温かくて太陽みたいな彼女の体温、愛しい人と過ごすこの瞬間………それはきっと永遠に続くのだろう。そんな確信がある。
何回だってキスをして、何度だって抱きしめあって、呆れるほどに愛を叫んで……僕たちはまた、新しい幸せを見つけて行く。
ここは僕と彼女だけの幸せの国。たった一つの望むものである『愛しい人』が居る僕たちの天国だ。
きつく抱きしめ合いながら笑う僕たちは、溢れんばかりの幸せと愛情を感じながら空を見上げ、また笑ったのであった。
夜長アンジー 愛情END『僕たちだけの天国』
最原(白銀さん……いつも通りに見えていたけど、ある日を境に彼女は何かが変わった。それが何かはわからないけど、本当の彼女を見せてくれている気がしたんだ)
最原(素の彼女……普通の女の子って言っていいのかはわからないけど、何かの皮を被っていた白銀さんは消え去って、本当の彼女を見ていたんだと僕は思う)
最原(僕はそんな彼女が好きだ。僕の見てきた嘘の無い白銀つむぎさんが大好きなんだ。だから、ちゃんとこの思いを伝えよう)
最原「……白銀さんを僕の研究教室に呼び出そう。そこで話をするんだ……」
―――最原の研究教室
最原「……そろそろ、かな」
―――ガチャッ
白銀「……最原、くん」
最原「白銀さん、来てくれてありがとう。嬉しい、よ……?」
白銀「………」
最原(なんだ?白銀さんの顔色がおかしいぞ、なにかあったのか?)
白銀「あ、ああ、ごめんね!ちょっとぼーっとしちゃってさ!お話があるんでしょ?何の話かな?」
最原「え?あ、うん……君に話したいことがあってさ……」
白銀「……!?」ビクッ
最原「……今まで君を見てきて、僕は思うことがあったんだ。だから、ちゃんとそれを君に伝えたくてさ……」
白銀「あ、あぁ……っ」ビクビク…
最原「白銀つむぎさん、僕は、君のことが……」
白銀「……なさい」
最原「えっ……?」
白銀「ごめんなさい、ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!」
最原「し、白銀さん!?どうしたの!?」
白銀「わ、私は、許されないことをしました……今更謝っても許してはもらえないだろうけど、それでも、謝らなきゃ……そうしなきゃ、私は……!」
最原「白銀さん、落ち着くんだ!一体君はなにを……?」
白銀「……思い出したんだよ、昨日……全部を思い出したの……」
最原「思い出した……?一体、何を思い出したの?」
白銀「……私は、黒幕の一人だったんだよ……私は、皆を殺し合わせようとした黒幕の仲間だったんだよ!」
最原「!?」
白銀「何でこの事を忘れていたのかもわからない……でも、間違いないんだ。私は、皆をここに集めた黒幕の仲間だったんだよ……」
最原「そん、な……そんなことって……」
白銀「……最原君もその事に気がついたんでしょ?だから私をここに呼び出して問い詰めようと……」
最原「ち、違う!僕は、僕はっ!」
白銀「……僕は?」
最原「君が好きなんだ
最原「君が好きなんだ!そう伝えたかったんだよ!僕は、白銀さんが好きだって言いたかっただけなんだ……」
白銀「……う、うぅ……うぅぅ……なんで、このタイミングなの……?」
白銀「あと一日早ければ、その告白を喜んで受け入れられた……何も知らないまま、幸せを受け入れられたのに……」
白銀「そして、あともう一日遅ければ、私はこの世に居なかったはずなのに……この罪の意識を抱えたまま、死を選んだって言うのに……!」
最原「そ、そんな、駄目だよ白銀さん!自殺なんか……」
白銀「でももう耐えられないんだよ!苦しいんだよ!逃げ出したいんだよぉっ!」
最原「!?」
白銀「……このダンガンロンパでコロシアイが起きなかったのは、だた私が無能だったからに過ぎないの……なにか一つでも歯車が噛み合っていたらコロシアイは普通に行われていた。私は、大好きな皆を死なせる役目を担っていたはずなんだよ!」
最原「し、白銀さん……!?」
白銀「私にとって皆は、ただのゲームの駒に過ぎなかった……このコロシアイを盛り上げる駒として見てて、それだけだったはずなのに……」
白銀「黒幕だってことを忘れた私は、普通の女の子として皆と過ごして、皆を好きになってた……大切な友達として、大好きな皆と一緒にここから出ようって、昨日まで本気で思ってた!なのに……なのに!」
白銀「私は裏切り者だったんだよ……大好きな皆を死なせようとした悪魔、人でなしの最悪の存在……私は、皆から友達だって思って貰える様な人間じゃないんだよ!」
最原「………」
白銀「ごめんねぇ、最原くん……こんな女だって知って幻滅したでしょ?もっと早く全てを思い出していれば、君にそんなつらい思いをさせずにすんだのに……本当に、ごめんね……!」ポロポロ…
最原「……ふざけるなよ……っ!」
白銀「……そうだよね。そう思うよね……。怒って当然だよ、私は、皆を……」
最原「……僕たちのことを甘く見ないでよ……!僕たちは、君の事をそんな風に思ったりなんかしないよ……!」
白銀「……え?」
最原「確かに白銀さんは黒幕の仲間だったのかもしれない。僕たちを裏切っていたのかもしれない……でも、ここで過ごしたあの日々はなんの嘘も無いはずさ!」
最原「全てを忘れていたからこそ、僕たちは本当の白銀さんを見ることが出来た。僕たちが友達になったのは黒幕としての君じゃない。正真正銘、なんの飾り気も無い白銀つむぎって言う女の子なんだよ!」
最原「そしてもちろん、僕が好きになったのは本当の君だ!そこになんの嘘も隠し事も無い!たとえどんな過去があろうとも、僕は君が好きなんだよ!」
白銀「で、でも……私は……!」
最原「……もし君が全てを思い出した時に何も感じないで黒幕の側に戻る様な人だったら、僕は君のことを好きにならなかった……でも、そうじゃないでしょ?今、白銀さんが感じている苦しみも、流している涙も全部本物だ……縁起なんかじゃないんでしょ?」
最原「だとしたら、僕は君を許すよ。そして、皆も君を許すに決まってる……君の事を友達だと思ってる僕たちは、本気で自分の過ちを後悔する人を見放す人間なんかじゃない!だから、僕たちを甘く見るなよ!」
白銀「さい、はらくんっ……!」
最原「それに……僕も隠していることがあるんだ。皆には言えないでいることがある。だから、一緒に全てを話しに行こう?そして、皆に許して貰うんだ」
白銀「……許して貰えるかな?私、とてもひどいことを……」
最原「……信じてよ。僕たちのことを……君が大好きになった友達のことを、どうか信じて欲しい。そして、新しい一歩を踏み出そうよ」
白銀「……うん、分かったよ。恐いけど、この秘密を抱えたまま死を選んだりなんかしたら、それこそ皆への本当の裏切りだよね……信じてみるよ、皆と、最原くんのことをさ……!」
最原「……行こう。皆に全てを告白するんだ!」
――――――――――――――――――――
そうして、僕たちは全てを皆に告白した。白銀さんの知る全ての情報と、僕と天海くんが行っていたラッキースケベの数々を包み隠さずに皆に話した。
皆は突きつけられた真実に驚愕し、動揺した。まさか自分たちの中に裏切り者がいるだなんて考えても見なかったのだろう。そして、自分たちがフィクションの存在になってしまったことにもショックを受けていた。
でも……最後には笑顔を見せてくれた。今まで隠し事をしていた僕たちを笑って許して、大切な友達だと言ってくれたんだ。
怒られたり、悲しまれたりすると思っていた。でも、そんなことは一切無くて、皆普通に僕たちを受け入れてくれた……僕たち16人はこの日、本当の意味で友達になれたんだ。
これから先、どうすれば良いかは分からない。でも、皆で一緒に居られたら何も恐くないと思える。そう、大丈夫だ、この絆さえあれば……!
――――――――――――――――――――
「……皆に許して貰えちゃった……なんか、まだ実感が無いな……」
夜、中庭のベンチに座りながら星空を見上げていた僕の隣で白銀さんが呟く。やや無気力で、だがどこか嬉しそうなその声に僕は微笑んだ。
「言ったでしょ?皆、君を許すに決まってるって」
「うん……!私、良い友達を持ったんだね……」
しみじみと感慨深そうに呟いた白銀さんは、空に向けて手を伸ばした。まるで星を掴むかの様に開いた手を握り締め、自分の掌を見る。
「……私、ダンガンロンパの社員って言う立場は失っちゃった。けど、それより大切なものを掴めたよ……だから、後悔は無いんだ」
「……白銀さんがそう思えるのなら、それで良いんだよ。今までよりもこれから、過去よりも未来のことを考えて行こうね!」
「うんっ!」
僕たちは顔を合わせて笑いあった。ゆっくりと流れる穏やかな時間に幸せを感じていた僕だったが、不意に顔を赤くした白銀さんが立ち上がったのを見て、視線を移す。
「……そういえば、私まだちゃんと返事して無かったね、最原くんの告白に、さ……」
一歩、二歩とベンチから離れて歩みを進める白銀さん。その背中を見つめながら僕は息を呑んだ。
「……改めて、ちゃんと返事をさせて貰うね。最原くん……!」
振り返った彼女は恥ずかしそうな表情で笑っていた。頬を染め、まっすぐに僕を見ながら口を開く。
「……最原終一くん、私は……」
……人は、時に間違える。その事を悔やんだりして、俯いてしまうこともある。
でも、人はいつでもやり直せる。前を向く勇気と、支えてくれる誰かが居れば、いつでもやり直すことが出来るのだ。
これは彼女にとっての第一歩、前を向いた白銀さんが、自分の意思を僕に伝えて、歩き出すと言う出発の合図だ。
これからは僕が彼女を支えよう。そして、一緒に歩いていこう。そう心に決めながら、僕は白銀さんに優しく微笑んだのであった。
白銀つむぎ 愛情END『あなたと歩いていきたい』
最原(夢野さん……孤独を恐れ、何かにすがろうとしていた彼女も今では普通に笑えるようになった。優しくて明るい女の子として、僕を笑顔にしてくれている……)
最原(きっと、あの笑顔があったから僕も強くなれたんだ。夢野さんを守ろうって、ずっと一緒にいようって思える強さを僕は彼女から貰ったんだ)
最原(だから……ちゃんと届けなきゃいけない。僕の感謝の気持ちと、正直な思いをちゃんと伝えるんだ!)
最原「夢野さんを呼び出そう。場所は、僕の研究教室で良いかな……」
―――最原の研究教室
最原「……そろそろかな」
―――ガチャッ
夢野「んあー……ウチが来てやったぞ、最原。して、何の用じゃ?」
最原「………」
夢野「もしかしてウチと遊びたいのか?よかろう、ウチも暇じゃったし、特別に魔法を見せてやっても良いぞ!」
最原「………」
夢野「それとものんびりとお昼寝でもするか?まったりと過ごすのも悪くはないじゃろうて……」
最原「………」
夢野「……んあー!なんじゃ黙りこくって!ウチに用があったのではないのか!?」
最原「あ、ああ、ごめんごめん!どう話を切り出そうか迷っちゃってさ……」
夢野「……やめんか、お主に嫌われてしまったかと思って心細くなってしまったではないか」
最原「えっ……!?」
夢野「……お主には感謝しておる。ウチはお主から繋がりの大切さを教えて貰った。例え皆と離れても、心は繋がっている……そんなことを教えて貰ったから、ウチは皆と離れることが恐くなくなったんじゃ。その事を教えてくれた最原には感謝しておるんじゃぞ」
最原「夢野さん……!」
夢野「じゃから……お主に嫌われてしまったら、ウチはとても辛いんじゃ。胸がチクチクして、涙が出てきてしまう……これは、ウチの魔法でもどうしようもないんじゃぞ……」ポロポロ…
最原「………」
夢野「ふ、不安にさせるでない……ウチは、ウチは……わっ!?」ギュッ!
最原「……本当にごめん。そんなつもりじゃ無かったんだ」ギュッ…
夢野「さ、最原……?」
最原「僕が夢野さんのことを嫌いになるだなんてこと、ありえる訳が無いよ。そう、ありえないさ……!」
夢野「そ、そうなのか……?」
最原「うん。僕ね、夢野さんの笑った顔が大好きだよ。見てるとぽかぽかして、幸せな気分になる……もっとずっと、この笑顔を見ていたいって思うんだ……」
夢野「え……?」
最原「……君が大好きだよ、夢野さん。僕は、その事を伝えようと思ったんだ。なのに、君の事を泣かせちゃってごめんね」
夢野「……ウチのことが、好き?最原が、ウチの事を……?」
最原「そうだよ。だから泣かないで……夢野さんが泣いてると僕も悲しくなるんだ。どうか、僕の大好きな笑顔を見せて欲しいな」
夢野「………」
最原(……夢野さんの体、震えてる……温かくて小さなこの女の子に僕の思いが届くと良いな……)
夢野「……不思議じゃの、とても不思議じゃ」
最原「……何が?」
夢野「さっきまでウチの心はざわついて、悲しい気分だったんじゃ。でも、最原に抱きしめられて思いを伝えられたら、たちまちそんな気分はどこかに吹き飛んでしまった……お主、ウチに魔法を使ったのか?」
最原「あはは!僕は夢野さんみたいに魔法は使えないよ!……でも、そうだね。夢野さんみたいに誰かの笑顔を作ることは出来るかな」
夢野「そうじゃのう……うん、ウチもそう思うぞ!最原よ、お主は魔法は使えんが、ウチの笑顔を作ることは出来る!これはウチを笑顔にした褒美じゃ、よ~く聞くが良い!」
夢野「……大好きじゃぞ、最原!ウチもお主が大好きじゃ!」
最原「……うん。やっぱり夢野さんの笑顔は素敵だよ。僕も心が温かくなってきた」
夢野「か~っかっか!当然じゃ!何せウチは魔法使い!誰かを笑顔にする事が大得意じゃからの!」
最原「ふふふ……うん、そうだね。夢野さんの笑顔があれば、誰だって笑顔に出来るよ!」
夢野「んあー、褒めても何も出んぞ……。でも、嬉しいのぉ……」
最原「……あの、さ……その、夢野さん……」
夢野「……わかっておる。そ、その、ウチはこう言う事は初めてじゃから、優しくするのじゃぞ?」
最原「うん……それじゃあ……!」
―――ちゅっ♡
夢野「……んっ」
最原「……はぁっ」
夢野「……すごく幸せな気分じゃ。胸の中が温かくって、ぽかぽかする……!」
最原「……僕もだよ。これ、なんて言う魔法かな?」
夢野「……ウチにも分からん。じゃから、何度かしてみて調べてみんか?」
最原「あはは、賛成……!それじゃ、二回目行くよ……」
夢野「ん……っ♡」
――――――――――――――――――――
それから程なくして、モノクマは外の世界に続く扉を開いた。事情を知っている僕以外の人たちは困惑していたけど、先頭に立って進む僕に続いて外に出る事を決めたんだ。
そして……僕たちは知ってしまった。自分たちが自ら望んでこのダンガンロンパに参加していた事や自分たちがフィクションの存在と化してしまった事、そして、今までの学園生活が全て見世物にされていた事を……
それを知った時、最初はどうすれば良いのかわからなかった。今までの記憶が全否定されて、もう戻ることも出来なくなってしまったのだから当然だろう。でも、考えようにしては悪くないこともある。
植えつけられた才能は個人の適正にもよるが基本的には本物だ。超高校級の才能を持つことになった僕たち16人は、あえてこの運命を受け入れて生きていく事を決心したのだ。
幸いにも番組の出演料と言う事で莫大な報酬を受け取ることが出来た。チームダンガンロンパは僕たちのこれからの進路も保障してくれた。
彼らのコネを使って自分の才能を活かせる舞台を得た僕たちは、それぞれの道を歩む事になった。ばらばらの道を歩む事になった僕たちだけど、固い絆で結ばれていることは確かだ。何かあったらすぐに皆で駆けつける。そう、必ずだ……!
……では、ここからは僕の話をしよう。正確には、僕と彼女のそれからの話だ……
――――――――――――――――――――
「秘密子、今百田くんから返事があって、必ず出席するからって言ってたよ!」
「そうか!アンジーと転子も来ると言っておったわい!これでまた全員出席じゃな!」
愉快そうに秘密子が笑う。とても嬉しそうなその笑顔を見ていた僕の口元にも自然に笑みが零れ、幸せな気分になった。
あれから数年、僕たちはそれぞれの道を選んでバラバラになってしまった。あるものは宇宙へ、あるものは海の向こう側へ、またあるものは日本を拠点に腰を据えて……と言う様に、顔を合わせる事がめっきり減ってしまったのだ。
お互いの活躍はメディアを通して目にすることもある。だが、やっぱり皆で顔を合わせる事は難しい。そんな時、その問題を解決しようと動いたのは秘密子だった。
「年に一度、大きな大きなショーを開く!そこで皆が顔を合わせれば良いんじゃ!」
皆が一同に集まれる機会を作る……そんな目標を掲げて立ち上がった秘密子を僕は懸命にサポートした。スポンサーを集め、人々を説得し、興行としての宣伝を行う。その甲斐があって、第一回目のマジックショーは無事に開催され、その場で久しぶりに皆と会うことが出来た。
そうして開かれる夢野さん主催のショーもこれで四回目だ。二回目からは他の皆もショーに協力してくれている。赤松さんがピアノの演奏を披露したり、アンジーさんが自分の作品を展示したりと、皆思い思いの形でショーを盛り上げようとしてくれているのだ。
「……終一よ、また今回もお主に頼ってしまうことになるが……疲れてはおらぬか?」
「大丈夫だよ。皆と会う為、なにより秘密子の為だもん!」
「んあー……そうか、でもやっぱり悪いのぉ……」
少しだけしょんぼりした秘密子が俯く。やや暗い雰囲気を放つ彼女を見た僕は、わざとっぽく溜息をついた。
「んー……やっぱり疲れてきたかも?あー、疲れちゃったなぁ……」
「んあっ!?だ、大丈夫か終一!?」
「あ~……駄目かもしれないなぁ……誰か、僕を魔法で癒してくれないかなぁ~?」
「……お主、それが目的じゃろ?」
「……ふふふ、何のこと?」
くすくすと笑う僕に恨みがましい視線を向けた後、秘密子は咳払いをすると……
「……ほれ、ウチの魔法じゃ。思う存分回復するが良い」
ちゅっ、と可愛いキスを僕の頬に落として
ちゅっ、と可愛いキスを僕の頬に落としてくれた。温かい秘密子の唇の感触に笑みを浮かべた僕は、そのまま彼女を抱きしめる。
「んあーっ!こ、これ、放さんかーっ!」
「やーだよーっ!あはは、やっぱり秘密子は可愛いなぁ!」
じたばたともがく秘密子だが、本気で嫌がっている様子は見受けられない。ただの恥ずかしさから来る抵抗だと理解している僕は、そのまま何度か彼女にキスをした。
「むー……まったく、ウチにちゅっちゅっと気安くキスをしおって……」
「……秘密子は僕とキスするの、嫌?」
「誰もそんな事は言っておらん、ほれ、もっとするが良い!」
照れと幸せが入り混じった秘密子の笑顔。とても眩しくて僕の大好きなその笑顔を見る度に僕の心には温かなものが生まれる。
この笑顔を見るだけで疲れなんて吹っ飛ぶし、この笑顔があれば何だって出来る気がする。秘密子の笑顔の為なら、どんな不可能だって可能にしてやろうと思える。
そして何より……僕は、この笑顔には逆らえないのだ。光り輝く秘密子の笑顔を見ながら僕はやっぱり彼女は魔法使いだったのだと思い、笑顔を浮かべると……彼女の望み通り、キスの雨を降らせてあげたのであった。
夢野秘密子 愛情END『その笑顔は魔法』
857 : 塩 - 2017/04/01 20:07:25.06 LwKJSixB0 976/1000これでお終い……だと思ったかしら?
まだラッキースケベは続くわ、どうかこの子にもう少しだけ付き合ってあげてネ……
―――朝
最原「……う~ん」
―――昼
最原「う~ん、う~ん……」
―――夜
最原「う~ん、ううう~ん……」
―――深夜
最原「UUNNNNNN……」
モノクマ「あ~もう!なにやってんのさ、最原くん!」
最原「うわっ!? な、なんだよ人が必死に悩んでるのに……って、あれ? もうこんな時間なの!?」
モノクマ「そうだよ! 人がせっかく与えてあげた脱出のチャンスを不意にして! 何で今日、告白しなかったのさ!?」
最原「し、仕方がないだろう……誰か一人に告白なんて、出来やしないよ!」
モノクマ「まったく、チキンだなぁ……」
最原「違うって!誰か一人を選ぶことが出来ないんだよ!僕は皆が好きなんだ!」
モノクマ「……はぁ?」
最原「赤松さんも春川さんもアンジーさんも夢野さんも入間さんも茶柱さんも東条さんも白銀さんも好きなんだよ!誰か一人だけなんて選べやしないって!」
モノクマ「は、はぁ?つまり最原くんは、告白する勇気がなかったんじゃなくて、誰に告白するかで延々悩んでたってこと!?」
最原「そうだよ!皆可愛いんだもの!一人だけを選ぶなんて僕には無理だよ!」
モノクマ「はぁ~……なんだか予想の斜め上を行く答えに驚いちゃったな~……まあ、そういうことならもう一日だけ猶予をあげるけど……どうするつもり?」
最原「無理だ!僕には一人だけなんて選べない!皆のことを同じ位好きなんだもの!」
モノクマ「……そこまで言うなら皆に告白しちゃえば?」
最原「……は?」
モノクマ「皆に告っちゃえばって言ってんの!皆のことを同じ位好きなんだったら、それが一番いいんじゃない?」
最原「……モノクマ」
モノクマ「あー、はいはい。わかってますよ。冗談冗談、そんなことするわけが……」
最原「それだ!」
モノクマ「……は?」
最原「なんでこんなに簡単な事に気がつかなかったんだろう!?そうだよ、皆に告白すれば良かったんだ!」
モノクマ「ちょ、最原くん?正気!?」
最原「ありがとうモノクマ!さっそく明日、皆を呼び出して告白するよ!さ~て、そうと決まったら寝~ようっと!」バタンッ!
モノクマ「……マジかよ。最原くんってあんなに馬鹿だったっけ?」
モノクマ「まあ、良いや!そんな告白が上手く行く訳が無いし、皆にこっぴどく振られて終わりでしょ!視聴者も面白いものが見れるし、コロシアイが再開されることは確定的だし……万々歳、だよね!」
―――翌日 最原の研究教室
最原「……と言うわけで皆!僕と付き合って欲しいんだ!」
赤松「……え、ええっと……?」
東条「と言うわけで、と言われても……」
夢野「脈絡もなくそう言われてもよく分からんわい」
白銀「あ、良かった。最原くんの言っていることが分からない人って、私だけじゃ無かったんだね」
入間「天才の俺様でも何を言ってるのかわからねえよ……」
春川「………」
最原「あ、ごめんごめん。分かりやすく言うとね……僕は皆が好きだから、僕と付き合って欲しいんだ!」
赤松「ご、ごめん最原くん……余計に分からなくなったんだけど……」
白銀「つ、つまり、最原くんは私たちでハーレムを作りたいってこと?」
茶柱「な、なんて破廉恥なっ!これだから男死は!」
最原「えっ!?ぼ、僕はそんなつもりは無いよ!ただ皆と付き合いたいだけなんだ!」
夢野「んあー……それがそうじゃと言っておるんじゃがのぉ……」
春川「………」
赤松「真面目に考えてみようよ最原くん、それって八股だよ?そんな事に付き合う女の子がいると思う?」
最原「だ、駄目なの……?」
茶柱「駄目に決まってるじゃないですか!浮気を認める女子なんてそうはいませんよ!」
最原「う、浮気だなんて……僕はただ、皆のことが大好きなだけなのに……」
春川「………」
東条「最原くん、あなたがどう思おうと勝手だけれど、私たちもそんな風に扱われれば傷つくわ。この話は聞かなかったことにしてあげるから、もうそんな馬鹿な考えは捨てて頂戴」
最原「ううう……」ショボン…
茶柱「……まったく、こんな人を信用していたのかと思うと虫唾が走ります。やっぱり男死は信用なりません!」
赤松「じゃあ、話も終わったみたいだし、私たちは行くね?ばいばい、最原くん……」
夜長「うんうん!楓、皆、ぐっばいなら~!」
白銀「……ん?」
東条「あ、アンジーさん?あなたも一緒に行くのよ?」
夜長「え~?なんで~?アンジーはここに残って終一とお話しするよ~!だって、アンジーと終一は恋人同士だもんね!」
夢野「んあっ!?」
赤松「え?え?どういうこと!?」
夜長「どういうことも何も、そういうことだよ~!アンジーは、終一の提案に乗って、終一の彼女になるのだ~!」
入間「え……えぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
茶柱「あ、アンジーさんは浮気を認めるおつもりですか!?そんなの不潔です!」
夜長「え~?そうなの~?でもでも~、アンジーの島ではそんなの普通だったよ~?」
茶柱「な、なんですと……!?」
白銀「それってもしかして、一夫多妻制ってこと?」
夜長「うん!アンジーの島では男の人一人に何人もの女の人がついて、ハーレムみたいになってたのだ~!」
赤松「え、ええっと……つまりアンジーさんは、今の最原くんの提案にそこまで拒否感は無いってこと?」
夜長「そこまでどころか全然無いよ~!むしろ大歓迎だよ~!」
夢野「ほ、本気かっ!?本気なのか、アンジー!?」
夜長「……むしろなんで皆が拒否するのかわからないよ。だって皆仲良く終一といられるんだよ?どこに不満があるって言うの?」
白銀「え、ええ……?」
最原「わーい!アンジーさんは僕の提案に賛成してくれるんだね!」
夜長「もっちもち~!終一、ほかの皆は残念だけど、アンジーは終一の恋人になるよ!やったね~!」
赤松「……むぅ」
茶柱「……ま、まあ、アンジーさんは我々と違った常識を持った方と言うわけで納得して、我々は退散を……」
東条「……言われてみればそうね」
茶柱「!?」
東条「ここがどこだか分からない以上、私たちの知る法律は適用されないと考えるべきね。だとすればこの場でのルールは唯一つ……私たちが納得するかどうかよ」
白銀「……私たちが納得すれば、最原くんがハーレムを作っても問題ないってこと?」
茶柱「そ、そんなの駄目です!破廉恥すぎます!」
東条「……ごめんなさい、皆。私は気が変わったわ、私も最原くんの恋人になる!」
入間「え、ええっ!?」
東条「……この道を選べば、普段は皆に仕えるメイドとして過ごし、最原くんに求められた時に恋人になると言う私の理想の生活が送れるの!独占しないと言うことはメリットにもなるわね」
茶柱「と、東条さんまで……!?ばんなそかなっ!?」ガビーン!
白銀「……じゃあ、私もなっちゃおうかな?ハーレム要員……」
茶柱「し、白銀さん!?常識人のあなたまで、なぜっ!?」
白銀「……なんかね、そっちの方が幸せだって気がするんだよ……こう言うときの私の勘って、三割の確立で当たるんだ!」
茶柱「そ、そんな不安定なもので決めないでくださいよ~!」
白銀「それに……最原くんのことは地味に好きだし、ハーレムだなんて二次元でしか体験出来ないじゃない?いい機会だと思うんだよね!」
茶柱「そそそ、そんなぁ~……」
最原「わーい!東条さんと白銀さんも恋人になってくれた!二人の事も大事にするからね!」
東条「……ええ、よろしくお願いね」
白銀「ハーレム計画、大成功だね!リトくんもびっくりだよ!」
夜長「にゃはは~!斬美、つむぎ、仲良くしようね~!」
茶柱「はわ、はわわわわ……!」
春川「………」
入間「な、なんだよこの状況……お、お前ら、頭おかしいんじゃねえのかよ!?」
夜長「……あっそ、じゃあ美兎は終一の恋人にはならないんだね?」
入間「……え?」
東条「残念ね……仲良くなれると思ったのに……」
入間「え、え……?」
白銀「まあ、拒否する人もいて当然だよね……仕方が無いよ」
入間「え、え、え……!?」
最原「……僕、入間さんと一緒に過ごしたかったな……グスン」
入間「ちょ、ちょっと待てよ……なにも俺様はそこまで……」
夜長「じゃあね美兎、ぐっばいなら~!」
東条「私たちは最原くんと幸せになるわ」
白銀「地味に残念だよ~……」
入間「う、うう……待てよ~!俺様を除け者にするなよ~!」
入間「わ、私だって終一と一緒に居たいよ~!終一の恋人にならせてよ~!」
最原「うん、もちろんだよ!ぜひ僕の恋人になって、入間さん!」
入間「あ、ああ!まあ、ハーレムに俺様みたいな超絶美人がいれば、最原の格も上がるってもんだからな!ひゃーっはっは!」
夜長(ちょろいよ~)
東条(ちょろいわね)
白銀(ちょろいな~)
茶柱「は、半分の女子が最原さんに誑かされてしまうなんて……なんて悪夢!恐ろしすぎます!残っている皆さんは転子の後ろに!どんなことがあろうとも転子がきっちりとお守り……」
赤松「……ねえ、最原くん。一つ聞いても良い?」
最原「なあに、赤松さん?」
赤松「……もし、ここにいる皆が最原くんの恋人になったとして……最原くんは、皆を平等に愛してあげられる?誰一人として、後悔させたりなんかしないって約束できる?」
最原「……うん、もちろんだよ!僕は皆が大好きなんだ!だから、その皆を悲しませる様な事は絶対にしない!約束するよ!」
赤松「……そっか、言い切れちゃうんだ。そっかぁ……」
茶柱「……あ、赤松さん?ま、まさか……」
赤松「……うん、決めた!私、最原くんの恋人になるよ!ちゃんと約束を守って、皆一緒に愛してね!」
茶柱「き、きえぇぇぇぇぇっ!?!?!?」
最原「赤松さん……!うん、やるよ!僕、皆を大事にする!約束だよ!」
茶柱「そ、そんな……!?赤松さんまでもがこんな馬鹿みたいな提案に乗るなんて、そんな……!?」
夢野「……本気で馬鹿だと思うか?転子よ……」
茶柱「!?」
夢野「ウチは……そうは思わん。最初はふざけていると思ったが、よくよく考えてみればこれは良い話なのではないか?」
茶柱「ゆ、夢野さん……?」
夢野「だってこの話に乗れば、ウチはアンジーや転子を悲しませないで済む。ウチが最原を取ってしまっても、悲しむ人がいなくて済むんじゃ!」
白銀「あ、地味に夢野さんが選ばれることは前提なんだね」
夢野「のぉ、転子……お主も本当は良いと思っておるのでは無いか?」
茶柱「そ、それは……」
夢野「正直になってみよ、誰も笑いはせんわい」
茶柱「うぅ………わかりましたよぉ」
茶柱「本当は……転子も良いんじゃないかって思ってますよ。夢野さんとも最原さんを取り合わずに済みますし、一緒に仲良く好きな人と居られるんですからね……」
最原「そ、それじゃあ!」
夢野「ウチらも最原の恋人にならせてもらうぞい!良かったの、最原!」
茶柱「でも!もしも誰かを悲しませたら許しませんからね!ネオ合気道の餌食にしてやりますとも!」
最原「そんなことしないよ!僕は皆を幸せにしてみせる!必ずさ!」
茶柱「……そこまで堂々と言えるのなら大丈夫でしょう。その気合を信じて上げます」
最原「ありがとう、茶柱さん!」
東条「……さて、これで7人ね。残るは……」
春川「………」
赤松「は、春川さん……」
白銀「うぅ、最後にラスボスが残っちゃったよ……!」
茶柱「さっきから何も喋っていませんし、相当怒っているのでは無いでしょうか……?」
夢野「んあー……こ、恐いぞ……」
春川「………」
入間「な、なあ、春川の奴、終一の事を殺したりしないよな?」
東条「ありえない、と言い切れないのが恐いわね……」
夜長「ん~……残念だけど、魔姫は諦めた方が良いかもね~!」
春川「……ふふふ、ふふふふふ……!」
女子「!?」
春川「ふふふふふ……!あはははは!あははははははは!」
入間「ひ、ひぃぃぃっ!急に笑い出しやがった!」
夢野「恐い!恐いぞぉっ!」
夜長「もしかして~、あんまりにも怒りすぎて、壊れちゃった?」
赤松「え、ええっ!?」
白銀「なにその恐怖設定!?」
春川「ひ~っひっひ!あはは、あは、あはははははは!」
茶柱「ま、不味いです!これは不味いですよ!」
東条「最原くん、私の後ろに下がって!」
最原「あ、大丈夫だよ。問題ないから」
赤松「え……?」
最原「……大丈夫だよね、魔姫?」
春川「ああ、うん……ごめんごめん、あんまりにも嬉しくて笑いが止まんなくなっちゃってさ……」
白銀「え?え?」
最原「気持ちは分かるよ。で、魔姫はどうするの?他の皆は納得してくれたみたいだけど……」
春川「ふふふ……そんなの決まってるじゃん」ポフッ
春川「……私がアンタに逆らうわけ無い……そうでしょ?ご主人様……♡」
女子「え、えぇぇぇぇぇぇぇっっ!?」
最原「あはは!やっぱり魔姫は可愛いなぁ!」ナデナデ
春川「わふぅ……♡」ビクンビクン…
茶柱「え?魔姫?ご主人様……?あの、それって一体……?」
赤松「も、もしかして、二人は元々恋人同士、とか……?」
春川「違う、奴隷とご主人様」
夢野「んあー!もっといかがわしい関係じゃった!」
東条「ね、念のために聞くけど、そのご主人様ってメイドとかそう言う意味でのものでは無いのよね……?」
春川「んふぅ……♡だから言ったじゃん、奴隷だって」
夜長「……どっちが奴隷なのかな~?」
春川「は?私に決まってんじゃん、殺されたいの?」
入間「つ、つまり貧乳春川は、最原の雌豚ってことなのぉ……?」
春川「違う、雌犬!もしくは玩具!」
白銀「春川さんはなんでそこまで胸を張ってそんな事を言えるのさ!?」
春川「だって、ちゃんと事実を伝えないとご主人様の品位に傷がつくじゃん……」
白銀「いや、春川さんを奴隷にしてる時点で品位もなにもあったもんじゃ……」
春川「ちーがーう!私が奴隷にさせてもらったの!むしろ喜んで奴隷になったの!」
茶柱「だ、駄目です……頭がくらくらしてきました……」
夜長「ん~……まあ、知らなきゃいけないことは一つだよね~!ねえ、魔姫~!」
春川「ふあっ……♡ふぅ……なに?」
夜長「終一とえっちしたの?」
女子「!?」
春川「……ふふっ、して無いよ。えっちな事はたくさんしたけど、えっち自体はしてない。これは断言できる」
夜長「お~!なら全部だいじょぶだよ~!魔姫は良い子だね~!」
最原「うん!魔姫は良い子!」ナデナデ
春川「はぁっ……♡ふ、うぅっ……♡」ビクンッ
赤松「……なるほどね。なら、問題ないか」
夜長「うん、そだね~!……それじゃ終一、さっそく行こっか?」
最原「え?行くって、どこへ?」
春川「……ふふふ、決まってるじゃん。凄く楽しい事をする場所だよ……!」
―――黒幕の部屋
モノクマ「……嘘でしょ?成功しちゃったよ……最原ハーレム、これにて完成だよ……マジで!?」
モノクマ「……ま、良いか!視聴者の反響も上々だし、コロシアイが起きた時よりも視聴率は良いし、収益も上がった!最原くんには感謝しないとね!」
モノクマ「さーてと……そいじゃ皆さん、最後のお楽しみタイムと行きましょうか!張り切って行ってみよーう!」
―――ラブアパートの一室 以下 最原の回想
ピンク色の壁、いかがわしい内装、大きくていやらしい雰囲気のするベッド……その上に放り投げられた僕の前では、この世の天国とも言える光景が広がっていた。
「終一~!初めてはアンジーが良いって神様も言ってるよ!今ならポイント10倍……いや、100倍サービス中だよ~!」
いつものパーカーとスカートを脱ぎ、完全に水着姿になったアンジーさんが僕に抱きついてくる。その豊かな胸を押し付け、小動物の様に僕に甘えて擦り寄ってくる。
「んあー!ずるいぞアンジー!抜け駆けは無しじゃ!こういうのは背の順って決まっておるんじゃぞ!」
そんなアンジーさんを押しのけて近づいて来た夢野さんは、いつぞやに買ったあの白い勝負下着を身に着けていた。可憐な彼女に合ったデザインと、そんな彼女に似つかわしくない淫秘な雰囲気が見事に調和し、僕の興奮を誘う。
「お二人とも、下がってください!男の欲望は果てがありません、転子がそれを受け止め、最原さんを落ち着かせます!」
夢野さんとアンジーさんを抱きかかえて後ろに下がり、代わりに前に出てきたのは茶柱さんだ。紫色のスポーツブラとショーツを纏った彼女は、顔を真っ赤にしながらもそれを隠す事無く僕に見せ付けてきている。
「お、俺様の事も見ろよ~!こんな姿、終一にだけしか見せないからさぁ……!」
そんな茶柱さんに並んで姿を現したのは入間さんだ。黒いブラジャーとショーツは大人な雰囲気を醸し出し、この中で一番スタイルが良い彼女の体を見事に引き立てていた。
「まったく、二人とも恥ずかしいのなら無理はしちゃ駄目よ……。最原くん、まずは私がリードするから、そこで女の子の扱いを覚えたらどうかしら?」
恭しく頭を下げながら東条さんが僕にそう提案して来た。大人な彼女の雰囲気に似合った紫の下着は、高貴さと色気を同時に振りまき、僕を興奮させてくる。
「最初はスタンダートに裸だよね!最原くん、二回目からは好きなコスプレで相手をしてあげるから、楽しみにしててね!」
ぐいっと僕に自分の胸の谷間を見せつけながら顔を近づけるのは白銀さんだ。地味な彼女の積極的なアプローチは効果抜群で、彼女の大きな胸に僕の視線は吸い寄せられてしまった。
「……私は何番目でも良いよ。最初でも最後でも、ご主人様の望むままにして……♡」
荒い息を吐きながらうっとりとした声を出す魔姫。幸せそうな表情をしている彼女に僕が触れると、嬉しそうに体を震わせた。
「……さあ、最原くん……残った服は、君が脱がせてね……」
頬を赤く染め、上目遣いになった赤松さんが僕に言う。今の彼女の表情は非常にそそるなと思いながら、僕は彼女の言葉に頷いた。
「それじゃあ、早速……私からお願いね、最原くん……!」
赤松さんのその言葉を聞いた僕はゴクリとつばを飲み込んだ。そのまま彼女の言うことに従ってブラジャーのホックに手を伸ばす僕。
カチャリと音がした気がした。同時に赤松さんが恥ずかしそうに顔を伏せる。ドキドキと鳴る胸の鼓動を感じながら僕は、そのまま彼女たちの下着を外して行き……そして、見た。
赤松さんのたわわに実った大きな胸を見た。
春川さんの最近の行為で育ってきた胸を見た。
白銀さんの地味に大きい柔らかな胸を見た。
東条さんの包容力溢れる素敵な胸を見た。
入間さんの抜群の大きさを誇る胸を見た。
茶柱さんの女性らしさ溢れる胸を見た。
夢野さんの小ぶりながら整った形の胸を見た。
アンジーさんの褐色の胸を見た。
そして……彼女たちの女性を司る部分を見て、正真正銘、彼女たちの生まれたままの姿をこの目に焼き付けた。
「あはは……良かったね最原くん、こんなにたくさんの女の子たちの裸が見れるなんて、幸せ者だね……♡」
「でもでも~……見るだけじゃ終わらないよ~……♡」
僕を取り囲む女子たちの輪が縮まって行く。美しい裸体を晒す彼女たちが、その体を見せ付ける様にして僕に近づいてくる……
「た、たくさん触ってくださいね……転子たちは、その為にこうしているんですから……っ♡」
「恥ずかしいが、同時に心地良くもある……ウチらは幸せじゃぞ、最原……♡」
彼女たちがベッドに乗る。手を伸ばせば届く距離に皆の体がある……
「まずは私たちに身を任せて頂戴……大丈夫よ、思う存分気持ち良くしてあげるわ……♡」
「け、経験は無いけど、俺様たち、頑張るから……♡」
艶やかな唇が、揺れる胸が、そして淫らな光を湛えた彼女たちの瞳が、僕の官能を刺激する。もう、僕自身も自分の欲望を抑えることが出来なくなってきていた。
「ご主人様……私たちの事、たくさん愛してね……私たちもご主人様の事をたくさん幸せにするからさ……♡」
「……さあ、スタートの合図は君が出すんだよ?沢山楽しもうね、終一くん……♡」
四方八方を囲まれる。裸の美少女たちに囲まれる。男の夢を現実にしたこの部屋の中で、僕は欲望を解き放った。
目の前の少女の体に手を伸ばし、唇を奪う。それが合図だったかの様に、全員が僕に襲い掛かった。
8人の美少女が僕に体を寄せてくる。丁寧に、優しく、自分の体の感触と温もりを僕に教えるかの様に裸体を押し付けてくる。
僕は皆を平等に扱った。同じ様に時間をかけ、同じ様に愛する。不平等無く彼女たちを抱きしめ、キスをする。
「しゅう、いちっ♡ すごい、よぉっ♡」
「あはぁっ♡ こんなハーレムエンドもありなんだねっ♡」
「そんなっ♡ そんなに優しくされたら、転子は、転子はぁっ♡」
「んあぁ……♡ 終一の温もりが、ウチの、中にぃっ……♡」
「ああっ♡ 駄目よ終一くん、奉仕するのは私の方……ああぁっ♡」
「ひぃぃぃっ♡ なんだよ、これぇ……? 体が、もう、訳分かんないぃっ♡」
「んはぁ……もっと♡ もっとして、ご主人様ぁ……♡」
「温かいよぉ……気持ち良いよぉ……♡ 大好きだよぉ、終一くん……♡」
皆の喘ぐ声が聞こえる。不思議と、どんなに頑張っても疲れる事は無かった。
当然だ。僕は皆が大好きなのだから、皆が喜んでくれる事に疲れを感じるはずが無い。温かい彼女たちの体を抱き寄せれば、ビクッと可愛く震えてくれる。そんな彼女たちを愛おしく思いながら、僕はキスの雨を降らせた。
「ひやぁぁぁ……っ♡ 終一、だいしゅきっ♡ 大好きだよっ♡」
僕もだよ、と囁きながらアンジーを抱きしめる。とても素直に快感を表してくれる彼女が愛おしい。
「あっはぁ……♡ ああ、もう、何も考えられないよ……♡ 終一くんの事だけ考えてれば良いかなぁ……♡」
それで良いよ、とつむぎを肯定しながら体に触れる。その行動に笑顔で応えてくれる彼女が愛おしい。
「て、転子のっ♡ てんこの負けれすっ……♡ もう、終一さんの好きにしてくらはい……♡」
お望みならば、と転子を組み敷く。負けてしまったと言うのに幸せそうな表情を浮かべる彼女が愛おしい。
「ん、あぁぁっ♡ 凄い、凄いっ♡ こんなに気持ちよくなれる魔法、ウチはしらないっ♡」
なら教えてあげる、と秘密子に快感を叩き込む。とろとろに蕩けながらも、可愛い笑みを見せてくれる彼女が愛おしい。
「ふ、あぁ……♡ これが、奉仕される悦び……♡ こんなにも、幸せだったなんて……♡」
感謝の気持ちだよ、と斬美に精一杯の奉仕をする。いつもの凛々しい表情を崩して、素の表情を見せてくれる彼女が愛おしい。
「しゅう、いちぃ……♡ ぎゅっ、って♡ してくれよぉ……♡」
もちろんだよ、と美兎の望みに応える。甘える様に体を摺り寄せる彼女が愛おしい。
「ご主人様っ♡ 終一っ♡ 私の事、ずっと可愛がってくれるよねっ♡」
当たり前じゃないか、と魔姫の頭を撫でる。僕に頭を撫でられる度に目を細めてうっとりとする彼女が愛おしい。
「あぁ……♡ 終一くん……♡ 愛してるからね。とってもとっても、愛してるから……♡」
ありがとう、と楓にキスをする。舌を絡ませ、体を重ね合って体温を感じさせてくれる彼女が愛おしい。
皆が愛おしい。皆が大好きだ。一生、ずっと、幸せにしてみせる!
「皆……これからもずっと、僕の恋人でいてくれる?」
僕のその言葉に皆はぐったりとしながらも頷いてくれた。その事を喜ぶ僕は、更に興奮してしまう。
でもどうしよう?皆疲れているのにこれ以上相手をして貰うのは申し訳ない。僕がそう考えていると……
「……終一、なに遠慮してるのかな~?」
「私たちは終一くんの恋人だよ?なんにも遠慮する事は無いんだよ?」
「愛してくれるのならば、どんな苦難も乗り越えられます……だから、終一さんが迷う必要なんて無いんですよ?」
「んあー……終一よ、お主はしたいようにすれば良いんじゃ」
「終一くんの欲求を受け止めるのが私たちの役目……恋人としての、私たちの役目よ」
「躊躇うなよ終一……そっちの方が俺様たちには堪えるんだぜ?」
「好きな様に扱ってよ、終一……少なくとも私はそうして貰えると嬉しいよ……!」
「さあ、終一くん……もう一度、愛し合おうか?」
爛々と目を輝かせた彼女たちの言葉に深い感動を覚える。僕が彼女たちを愛している様に、彼女たちも僕の事を愛してくれているのだ。
なら、僕も彼女たちの愛に応えなければならない……僕が皆を好きだと言う気持ちを、もっともっと知って貰わねばならない。
高鳴る胸の鼓動のまま立ち上がる。そして、彼女たちの傍に行く。
愛しい笑顔を向けてくれる彼女たちに愛を伝える為、僕はそっと彼女たちを抱き寄せた。
ダンガンロンパV3 ハーレムEND『超高校級のラッキースケベ』
894 : 塩 - 2017/04/03 00:54:45.33 szkn3inH0 997/1000……これで、本当にこのssはお終い。ここまで付き合ってくれた皆、本当にありがとうネ
楽しかったヨ、掛け値なしに。嬉しかったヨ、たくさんの感想が。それは僕も姉さんも同じ気持ちサ
このssで書きたかったことは全部書けた。だから、僕にはもう未練はないヨ
……さて、名残惜しいけどお別れの時間だネ。僕は少しだけ眠るとするヨ。
また、どこかのスレで出会うことがあったら、その時はまた楽しい話を聞かせることを約束するヨ
本当に楽しい一ヶ月だったヨ。それじゃあ、また会おうネ……!
896 : 以下、名... - 2017/04/03 01:07:30.94 Yy1finAO0 998/1000こっちとしてもみたいもの全部見れたからほんと満足です
正直ここまでサービスしてくれるなんて思ってなかったからほんと嬉しい
一ヶ月の間ありがとう
904 : 以下、名... - 2017/04/03 04:41:21.65 WxsZXhgDO 999/1000乙。本当に最後まで全部書き切ったな、恐れ入る
しかし塩はやはり塩なんだネ
このハーレムエンド、行動安価を取った数で見たら絶対に実現不可能
いわば「バグでも使わないと見れなかったデータ」なんだヨ
安価的にはM姫ちゃんを完成させて、その後に協力プレイで
後1人ギリギリ落とせたぐらい?二股エンドまでが実現可能レベルだったのかナ?
でもそういう茶目っ気も好きよ
次スレでもそれとなく「あ、こいつ塩だ」と分かるようにしておいてくれ
絶対読みに行くから
907 : 以下、名... - 2017/04/03 08:08:23.29 Fu8GSLNxo 1000/1000>>904
あまりに最原に都合良い終わりだから正直最原の妄想オチでいいと思うw
つまり我々に対する塩のラストサービスだ
ありがとう、塩!