男「…あ゙ー、熱っぽい」ズズッ
男「鼻も詰まってるし、鼻水も凄いな」ズズッ
男「…風邪かな、とりあえず熱計ろう…」ズズッ
ピピピッ
男「…37.6゚か…学校は休まなきゃな…」ズズッ
~♪
着信 女
男「…あ゙い、もしもし」ズズッ
女『おっはよー。今日もいつもの場所で待ち合わせねっ!』
男「…風邪ひいたから今日は学校休みたいんだけど…」
女「ええっ! 大丈夫!?」
元スレ
男「風邪ひいた」 女「ええっ! 大丈夫!?」
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1332176075/
男「えっなにこれこわい」
女「ちょっと! 大丈夫なの!?」
男「今電話した所なのになんで女が俺の部屋にいるの」ズズッ
女「そんなのどうでもいいじゃない! 熱は!? 鼻は詰まってるのね?」
男「熱はあるけど寒気がやばい」
女「寒気も風邪のせいね…」
男「いやこの寒気は違う理由だと思う」
男「とにかく、今日は学校を休むよ」ズズッ
女「じゃああたしも休むよ!」
男「」
女「あんた、独り暮らしなんだから、こういう時くらい人に甘えるべきよ!」
男「本心は?」
女「体調の優れない男君に母性本能をくすぐられたい」
男「正直でよろしい」
女「今日は男君の看病をするのだー!」
男ピピッ
男「…あ、おはようございます。びっぷら高校2年の男と申しますが、担任の先生はいらっしゃいますか?」
……
……
男「…はい、よろしくお願いします。失礼します」ピッ
男「女の分のお休みも言っておいたからなー」ズズッ
女「うんーっ、ありがとう…ってこれじゃあ男にリードされてるみたいじゃんあたし!」
男「あー、別にそういうつもりじゃ…」
女「むー…あ、そうだよ! 男、さっき起きたばっかりでしょ! 朝ごはん作ってあげるー!」
男「おっ、ありがとう。女の手料理食べるの初めてかもな」
女「そういえばそうだね! この女さんに任せなさい!」
……
女「…オリーブオイルどばぁ…」
女「…荒い盛り付けっ…」
女「…高い打点からの塩コショウ!…」
女「…今日はこれで決まりっ! 男っ、おまたせー」
男「おおっ、美味そう!」
女「お先に一口…んーっ、にくいねぇ」
男「おーっ、俺も食うよ!」
女「はい、あーん」
男「!?」
女(おぉ、動揺してる)
男「いやあーんしてもいいけど風邪うつっちゃうよ」
女「別に大丈夫だよー、男は頭いいから風邪ひいたけどあたし馬鹿だから風邪ひかないし」
男「いやでもこう他人の目が気になるというか見られたら恥ずかしいというか」
女「もー、じゃああたしが全部食べちゃうよー?」
男「あ、それじゃあ俺があーんしてやるよ、それならいいんじゃないか?」
女「!?」
男「あ、動揺してる」
女「いやあーんしてあげるのは看病する側の人の鉄則というかそういうイベントじゃん」
男「いやー、そこまで元気がないわけじゃないし、女が美味しそうに食べてる所をよく見たいんだよ」
女「いやでもあたし風邪ひいてるから男に風邪うつしちゃうかもなーゲフンゲフン」
男「風邪ひいてるのは俺だよ?」
女「…ふ…ふぇぇ…恥ずかしいよぉ…」
男(あ、女ってかわいい)
……
……
男「そ、それじゃあ」
男「俺が先にあーんで食べさせてあげるから、女が食べ終わった後に俺にあーんしてくれる…でいいかな?」ズズッ
女「いいともーっ! さぁかかって来たまへ!」
男「じゃあ一口目…あーん?」
女「あ、あーん///」モキュモキュ
男「じゃあ次いっ女「もーお腹いっぱいだなぁ!」
女「はい、次はあたしが男にあーんする番ね!」
男(こいつ…)ズズッ
男「…あーん」
女「そんなブスッとしないの! はい、あーん!」
男(あーんって無性に恥ずかしいんだよな…)
男(なんでだろう、女の子のあーんは…)
男(…! しまった! 女のあーんを脳裏に焼き付け忘れた…)
女(男君が口を開けてるよぉ…ふぇぇ、かわいいよぉ、抱き締めたいなぁ)
女「…はい、おしまい。美味しかった?」
男「お粗末様でした」
女「それあたしの台詞!」
……
男「テレビでも観ようか」ズズッ
女「賛成ー、あっ、今日合唱の番組あるみたいだよ!」
男「おー、それにしよっか」
女「えーっとね、確か教育テレビだったかな」ポチポチ
~♪
男「……」
女「……」
女(…真剣にテレビ観てる男かわいい)
男「…真ん中の列の女の子かわいい」
女(…合唱部の部長だもんなぁそりゃ真剣に「えっ?」
男「えっ」
女「いやいやいや合唱聴いてたんじゃないの?」
男「いや聴いてるけど?」
女「えっ 女の子関係なくない?」
男「いやいやいや合唱はかわいい女の子がいないと成立しないよ」
女「えっ」
男「えっ」
女「ちょっと男ここに正座しなさい」
男「…」チョコン
女「あんた部長なのにそんなこと言っていいわけ?」
男「…」チョコン
女「もう少しこう綺麗な合唱だねとか気の利いた台詞とか言えないの?」
男「…」チョコン
女「そ、そりゃあたしだって男が歌ってるの格好いいと思うけどさ」
男(…必死に怒ってる女ちゃんが一番かわいい)チョコン
女「でも男は女の子の評価とかしちゃいけないと思うな」
男「えっ」
女「…な、なによ」
男「いやそれは非常に困る」
女「な、なに言ってんのあんた! だめよだめ! 女の子の評価とかしちゃだめ!」
男「いやそれは本当非常に困る」
女「他の女の子をそういう目で見ちゃだめ! 男はあたしを見ればいいの!」
男「いや女のこともかわいいって思えなくなるとかそんなの絶対おかしいよ」
女「えっ」
男「…えっ?」
女「ちょっとそのことについて詳しく説明してくれる?」
男「まずは女さんの発言について女が解説をしてください」
女「いやいや、まずは男君に釈明する権利があると思います」
男「その前にぜひ女さんの発言について詳説をお願いします」
女「……」
男「……」
女(はぁぁぁん男の必死な感じかわいいよぉぉぉ)ニヤニヤ
男(うっひょぉぉぉ女が必死に照れ隠ししてるかわいいよぉぉぉ)ニヤニヤ
女「この話は終わりにしましょう。もう十分よ」サラッ
男「おう。俺も満足だ」
……
……
男「…ZZZ…」
女「…ZZZ…」
男「…ックシュ!…」
女「…ZZZ…」
男「…同じ布団で寝ちゃってるよ。色々まずいよなぁ…」
女「…ZZZ…」
男(うほぉぉっぁぁぁ! 寝顔! 寝顔! やばい死ぬ幸せで死ぬ)
女「…ZZZ…」
男(ほぁぁぁっ! よだれが! よだれが垂れるっ!)
女「…ZZZ…」ツーッ
男(あ枕に垂れた)
女「…ZZ…Z…」
男(風邪治ったら洗濯する予定だったけど洗濯するの来週にしよう)
女(えっなにこれ男君と添い寝とか心臓がマッハなんですけど)
女(やばい男君のいい香りしかしないあたし臭くないかな大丈夫かなきゅぅぅぅ男君いい匂いだよぉぉぉ)
女「…んー、よく寝た。今何時?」
男「え…あ、あぁ、今もう2時だけど」
女「そっかー。じゃあなんかコンビニで買ってきてあげよう!」
男「おー、ありがとう」
女「やっと本来の目的を達成できそう…そういえば風邪は?」
男「朝ごはんの後に飲んだ薬がよく効いたみたい。もう鼻も詰まってないしね」
女「あら! それじゃあ一緒にコンビニ行く?」
男「えっ、だって買ってきてくれるんじゃ…」
女「それはそれ、これはこれなのよ」
女(せっかくなんだからなるべく一緒にいたいに決まってるじゃんかー…)
男「わかったよ、じゃあ着替えるから部屋の外で待っててくれる?」
……
イラッシャァセェーッ
アリアトヤシタァーッ
男「腹減った」
女「お腹空いた」
テクテク
男「……」
女「…ックシュ!…」
男(かわいい)
女「んー、誰かに噂されたかなっ」ズズッ
テクテク
……
……
男「パスタサラダこそ究極」ハムハム
女「基本に立ち返ってのファミチキ最強」モキュモキュ
男「ごちそうさまでした」
女「ごちそうさまでした」
女「んー、なんだかんだ夕方だねぇ」
男「もう部活も終わるかな、2人も休んで大丈夫だったかな」
女「大丈夫じゃない? ほら、大会もあんまりないし」
男「…んー、そうだね。よし、明日から頑張りますか!」
女「おーっ!ックシュ!」ズズッ
……
……
女「ねーねー、今何時?」
男「もう夜だよ。ってか何時までうちにいるつもりなの?」
女「今日は男の家に止まるのだーっ」コホコホ
男「えっ」
女「さぁさぁお風呂沸かして! あたしがお布団敷いておくから!」ズズッ
男「いや俺の部屋ベッドだしってか着替えは!?」
女「じゃあちゃんとベッドメイクしておくよー。男、なんか服持ってるでしょ?」
男「いや女の子がうちに泊まるのはやっぱりだめというか度しがたい」
女「まぁまぁそげな固いこと言わずにぃ」
男「んー、じゃあちゃんと親御さんには連絡するんだぞ…」
女「はーい、じゃあちょっと電話するねぇ」ピピピッ
男「あれ、そういえば女のお父さんって単身赴任中だっけ?」
女「うん、そうだよー。今はイタリアに行ってるのかな」ガチャ
女「あ、お母さん? うん、あたしだよー。」
母『あら、今どこにいるの?』
女「男君ちー。今日泊まってもいいかな?」
母「男君今日お世話になってもいいの!?」キラキラ
男「なんで俺の部屋に来るのがこんな早いのこの一家」
男「お久しぶりです。なんでこんなに早いんですか?」
母「いやねぇ男君、女とはもう幼馴染みなんだから、もっと女にも私にもフランクでいいのよ!」
女「い、いやねお母さん///」
母「はい女、あなたのお泊まりセットよ」ワタシ
女「あ、ありがとー」
男「なんでこんなに早かったんですか?」
母「男君」
男「はい」
母「深く考えちゃダメよ」
男「わかりました」
男(もう諦めよう)
母「それじゃあ、よろしくね、男君」
男「分かりました」
母「女ちゃん、男君に迷惑かけちゃだめよ?」
女「分かってるよー、もう子どもじゃないんだよ」
男「お母さん、本心は?」
母「ちゃんと既成事実を作って帰ってきなさいよ」
男「女、本心は?」
女「分かってるよー、もう子どもじゃないんだよ」
男「もう諦めたはずなのになんでこんな絶望してるんだろう俺」
男「…お母さん」
母「なに? 男君」
男「なんというか、やっぱり似てますよねお母さんと女さんって」
母「そうねぇ、背もそこまで大きくないけど、つくべきところにはついてるって感じ?」
男「いや僕はそういうところを似てると言いたかったわけではないのですが」
女「お…男は大きくないほうが好き…?」
男「……」
女「……」
母「あらあら」ウフフ
男(もうどうにでもなーれ)
男「女ちゃんだったらもうなんでもいいむしろ女ちゃんがいい」
女「えっ」
男「あっ」
母「あらあら」ウフフ
母「それじゃあ、私は帰るわね」ウフフ
母「ちゃんとお互い頑張るのよ」ウフフ
男「……」
女「……」
男「あっお風呂沸いたよ先に入ってきなよ」
女「うんそうするねなるべく早く出るからねちゃんと待っててね」ピューッ
男「どうしてこうなった」
男「夜11時」
男「…そうだ、ベッドどうしよう」
男「…俺が机に突っ伏して眠ればいいか」
男「…あっ朝ごはんどうしよう」
男「…今のうちにパンでも買ってこようかな…」
ジャー
男「女ちゃんさっきのコンビニに明日の朝ごはん買ってくるねすぐ戻ってくるよ」
女「…あうん分かったじゃあゆっくりお風呂入ってるね急がなくていいよ」
男(なんか意識しちゃうな…あんなこと言っちゃった後だと)
女(あぁぁぁ男意識してるよねあたしも意識しちゃうじゃん馬鹿)
……
……
イラッシャァセェーッ
男「…サンドイッチと…パスタサラダと…あ、お茶も買ってくか」
男「…あ、ティッシュ切らしてたんだ、買っとこ」
男「……」
男「…女ちゃん怒るかな。いや、でも…うぅ、恥ずかしいなぁ…」
男「…いいや、一番小さい箱で買っとこう…」
イラッシャイッセー
ッテンー、ッテンー 1638エンッスー
男「…あ、あとファミチキふたつお願いします」
ファミチキハイリヤスーッ
アリアトヤシターッ
……
……
女「お母さんどういうこと」
母『えー、だってその方が盛り上がるじゃない』
女「これ小学校の時のパジャマじゃない!」
母『まぁまぁ、お嬢さん落ち着いて』
女「落ち着いてられっかー! 馬鹿母!」
母『あらあら』ウフフ
女「しかもなに! 下着だって私の一番のお気に入りじゃない!」
母『? それは私、ナイスアシストだって思ってるのよ?』
女「いやナイスアシストどころか今日のMVPだけどさ!」
母『あらあら』ウフフ
男「ただいまー」
女「あっ、じゃあね、お母さん!」
……
……
男(…て、天使が今いた)
男(長い黒髪が微妙にしっとりしていて…正直すごいかわいかったぞ)
女「ね、ねぇ、男っ」
男「ど、どした!?」
女「あんた、なにか、着るもの、貸してほしいんだけど、持って、ない?」
男「あ、あぁ、いいけど、お母さんが持ってきてくれたんじゃないのか…?」
女「お、男の服が着たいな! そんな気分なの!」
男(あ、やばいかわいい)
女(ぎゃー! あたし何言ってんのこれじゃただの変態みたいじゃない!)
男「え…じゃあ、とりあえず…」アセアセ
男「じゃあ、俺のパジャマでいいか? スウェットだけど…」
男「俺は今の服装で寝るから…」
女「あ、あぁそれでいいそれでいい! とにかく早く頂戴!」
男「お、おう…ま、まぁとにかく落ち着け」
女「あ、あぁ…うん、落ち着く…」
女「扉の前に置いておいてくれる?」
男「おう、分かった」
……
……
女(ぎゃぁぁぁやばいやばい死ぬ死ぬ)
女(男のスウェット! 男のスウェット!)
女(あ、男ってやっぱりすごいいい匂い)
女(……)スー、ハー
女(……)スー、ハー
女(……)スー、ハー
……
男(やっべぇぇぇ死にたい死にたい)
男(あれ洗ってないじゃん! 臭いじゃん!)
男(女ちゃん匂いをかがないといいけど…)
男(こ、声かけておこうかな…)
男「お…おーい、女ちゃん…?」
女(……)スー、ハー
男「も、もうそろそろいいかな…?」
女(……!)スー・・・
女「う、うんっわかったもう出るね!」ガチャ
男「」
女「ん? どしたの?」
男「」
女「なに? なんか言ってよ!」
男「お、おぉ…」
女「な…なによ…恥ずかしいじゃない…あんまり見ないで…」
男(これが見ずにいられるかっと)
男(サラサラの黒髪 端正な顔立ち ピンク色の唇)
男(スウェットを着ていながらも主張してしまうたわわな胸)
男(しかしながら身体とサイズが合っていないからスウェットがダボダボ…)
男(だが、それがいい。これはもはや芸術)
男「俺はもう死んでもいい」
女「!?」
男「女。聞いてくれ」
女「な、なに…?」
男「俺は今死んでもいいような気分なんだ」
女「…?」
男「それはもう今幸せなんだ」
男「でも、死んでもいいけど、まだ死にたくない」
男「女と一緒にいたい」
男「今みたいな時間をいつまでも一緒に過ごしていたい」
男「今までも一緒に過ごしてきただろ? でも、今までみたいな過ごし方じゃないんだ」
男「俺は女の彼氏として、女は俺の彼女として過ごしてみたい」
男「お願いします。付き合って下さい」
女「……」
男「……」
女(きゃわわわ、男カッコいい…はふぅ…)
男(…!? しくじったか!?)
女(えっ、こういう時ってどうすればいいの? 言葉で返した方がいいのかな?)
男(…この沈黙、耐えがたい…)
女(でも言葉にしてそれからそれから…んーっ、まどろっこしい!)
男(…だめ…だったか…)
女(…いいよね、男君、あたしのこと、好きなんだよね…)
女(…怒らないでね…男君…)
……
男(えっ、いきなり首の後ろに手を回されると…)
男(ち、近い! 女ちゃん近い!)
男(うっ…そんなトロンとした目で見つめられたら…)
男(えっ、顔が寄ってきた)
男(嘘だろ…いきなりチューかよ…心の準備が…)
男(あ、女ちゃん…すごいいい香り)
男(シャンプーの香り…? こんな香りだったっけ…)
男(いやいや! 確かこういう時は目は閉じたほうがいいのかな!?)
男(えぇい、ままよ!)
……
……
女(男のやつ、身長高いからこうするしかないやっ)
女(あぁぁ、男のいい香りがするよぉっ)
女(ふぇぇ、恥ずかしいけど…)
女(そう、今日はあたしがリードするのっ)
女(…でも早速チューは急ぎすぎちゃったかな!?)
女(…男、目、閉じたな)
女(ずるいよっ男、カッコいいよ)
女(あ…ちょっとヒゲ生えてる…)
女(――っ、なるようになれっ!)
……
……
……
……
男「……」
女「……」
男「……」
女「…チュー、しちゃったね…」
男「…うん…」
女「……」
男「……」
……
……
……
……
男「状況を整理しよう」
男「その…チューしてから俺は風呂に入ることになった」
男「おそらく今、女はテレビを見てるはず」
男「…今晩は寝られる気がしない…」
男「…とりあえず身体はよく洗っとこ…」
……
……
ギシ…
男「…お待たせ」
女「…えへへ」
男「…寝る気は?」
女「んー、ないかな」
男「…そっか」
女「……」
男「……」
女「…初めてだから…その…」
男「うん…」
男「…俺も初めてなんだ…」
女「…フフッ、しょうがない。それじゃあこの女さんがリードしてあげましょう!」
男「…なんじゃそりゃ。ははっ」
女「…ふふふっ。…ねぇ、あたしで…いいの?」
男「……」ドキッ
女「……」
男「……」チュッ
……
チュッ … ハァ… …ンッ
女「――っ! ちょ、ちょっと…ン…男!」
男「…? な、なに?」
女「…キス…長い…」
男「あ…ご、ごめん…」
女「もー、ほっぺたぺろぺろしちゃうからねっ」
男「…ん…く、くすぐった…あっ…んんっ」
女「こーゆーのあ…すきなの…っ…?」レロロ
男「…んっ…くすぐ、った、あっ」
女「…ふーん…」ペチャ
ペチャ … チュル…ッ …アッ…
男「…な、なぁ…」
女「…んー?」ペチョ
男「…脱がせて…いいか…?」
女「えっ! いや、んー…」
男「頼む! ってか、もう辛抱たまらない! 脱がすぞっ!」
女「ちょ…ちょっと男! がっつきす…ぎっ…!」
男「うりゃっ!」スルンッ
女「…///」
男「……」
男(なにこの下着めっちゃくちゃかわええ)
男「な…なー、こういう下着、いっつも着てる…のか?」
女「…う、うん…その…これは、一番…お気に入りだけど…」
男「…そ、そっか…なんていうか…その…綺麗だな…」
女「…ありがと」
男「…下も脱がすぞ…?」
女「…うん」
男「……」スルッ
女「…///」
男(やばい女のからだってこんなにきれいだったんだ)
男(もうどうにもならん…)
女「…も、もういいかな…」
男「…あ、ご、ごめん。…見惚れちゃって…」
女「…次はあたしの番」
女「…ほら、男、脱いだ脱いだっ!」カチャカチャ
男「ちょ…ちょっと今ズボンからはまずっ…」ズルッ
女「……!」
男「…う…うぅ…」
女(…すごぃ…パンツがはちきれそうになってる…)
女(…ふぇぇ…こんなにおっきいの…)
男「…も、もういい…? 恥ずかしいよ…」
女「…う、うん、じゃあ、その、上も…」ヌガシッ
男「…うん…」ファサッ
女「……」
男「……」
女「……」ギュッ
男「……」ギュッ
女「えへへ」
男「なんか、あったかいね」
女「…うん、男の肌、スベスベして気持ちいい…」
男「…女、いい香りする…」
女「…ねぇ」
男「…?」
女「…当たってる」
男「!?」ギンギン
女「…もう…えっち…」
男「ご…ごめん…」
女「…これってさ…その…」
男「…?」
女「…どうやったら、男は…その…気持ちよくなるの?」
男「」
男「えっと…その…」
女「…じゃあさ、いっつもさ、してるんでしょ。…オ○ニーとか…」
男「…う、うん」
女「…今してみてよ…参考にするからさ…」
男「!? …!」
男「それはちょっと不公平だよ! 女ちゃんも見せてくれないと!」
女「!?」
女「そ、それはちょっと恥ずかしいというか…その…」
男「じゃあ、俺もしないよー」
女「…う…うぅ…」
……
……
女「んっ…あっ…や、やぁ…そんなに…みない…でぇっ!」ピチャ…
男「はっ…あぁっ…だ、だって…女だって俺の…見てる…っくっ!」シコシコ…
女「お…男おっ! 男っ! き、きすしてっ! きすっ!」ピチャピチャ…
男「ん…んーっ、くちゅ…んっ…――んっ!」シコシコ…
女「――っ! はぁっ…はぁ…い、いっつもぉ」クニュクニュ…
男「…はぁっ…ふぅ…ん?」シコシコ…
女「いっつも男のこと考えながりゃぁぁあっ! あっ! あああっ!」クチュクチュ…
女「男とこういう関係になりたいって毎日オ○ニーしてたのぉぉっ!」クチュクチュ…
女「あたしっていけない娘なのぉぉっ! しゅきぃっ! おとこしゅきぃっ!!」グチュ…グチョ…
男「ん…っ! お、女! く、口あけて!」シコシコ…
女「! あーっ」グチュグチュ…
男「こ…これ頬張ってくれ…あ、ああっ!」
女「んぐっ…ふぉ…ふぉっひぃ…んぐ…」ジュポ…
男「うぐっ…で、出るっ…! がぁ…っ!」ビュルッ…
女「ふぐっ…うぐぅ…ん…ん…」ビュルビュル…
男「あがっ、―――っ!」ビュビュッ…
女「―――っ!」デロ…タラ…
男「…あ、あぁ、大丈夫!? 今ティッシュ…」
女「……はぁっ」ゴクン…
男「…えっ、だ、だいじょぶ?」
女「…んー…のどに絡む…」
男「…ご、ごめん…」
女「…むーっ…」
男「…?」
女「…ぱくっとな…♪」
男「!? …うっ…」
女「あんた今日一日寝てたんだからまだ元気あるでしょ?」ペロペロ
女「今日はとことんあたしに付き合ってもらうわよーっ!」ペロペロ
女「…あはっ、男すごいっ、もうおっきくなってるっ」
男「うっ、くはっあっ…んっ」
女「ねぇねぇ、小学校以来の幼馴染みに奉仕されてる気分はどう?かな?」
男「さ…最高…っはっ…」
女「最高かぁー、そりゃそうだよねはむっ」ジュポジュポ…
男「さ…最高だけど…お、おっ、あはぁっ!」
女「んー?」
男「お、女のおっぱい…み…見たいっ」
女「!? だ、だめぇっ!」
女「お…おっぱいは…は、恥ずかしい…かな…」
男「だめです。もう脱がせるからなっ」プチッ
女「あっ」ボロン
男「…おぉ…」
女「…やっぱり恥ずかしい…」
男「…なんというか、その…乳輪ちっちゃいんだな…」
女「…!?」
男「いや、好みなんだけどさ…その…舐めてもいい?」
女「!?」
男「そいじゃ、いっただきまーす」
女「あっ男っ! ちょっ…と…っう…」
男「んー?…えろっ…なに?…」チュルッ…
女「いきなり舐めっ…るのはあっ…は…反則…」
男「…やっぱ女ってかわいいなっ」チュルチュル…
女「ん…はああぁっ…」
女(必死でおっぱい吸ってる男かわいいよぉぉぉ)
男「…ん…おっきいなぁ…女、これって…Dくらいあるの?」チュッチュ…
女「え…あたしはいっつもCのブラ買ってるけど…?」
男(どっちでもかまわない! おっぱいおっぱい!)
……
女「ん…ふぅんっ…ね、ねぇ…お、男っ」ジュン…
男「ちゅぱちゅぱ…」
女「んんっ…ね、ねえっ!」
男「…ん?」
女「も…もうさ…かれこれ15分くらいおっぱい舐めてるけど…」
男「…うん…?」
女「そ…そろそろ…ね…」
男「…? なにかな?」
女「…その…さ…」
男「あぁ…うん、わかった」
男「それじゃあさ…下、脱いでよ…」
女「…うん…優しくしてね…」スルッ
男「パンツに糸ひいてるねかわいいよかわいい」
女「…っ! ば、ばかあっ!」
男「かわいいかわいい」
男(あ、女の子の毛ってそんなにクルクルしてないんだな)
女「ばか…そんなに見ないでよ…えっち…」
男「それじゃあ…」
男「よく見えないからちゃんと足開いてもらおうかな」
女「えっ」
男「えっ、だって見えなきゃどうしようもないじゃない」
女「そ、そうだけど! 恥ずかしい! まだ誰にも見せたことない!」
男「それじゃあ俺が初めてじゃだめなのかな?」
女「そ…それは…その……お願い…します…」
男「いいこいいこ」ナデナデ
女「ううっ…ばか…」
女「ちゃんと優しくしてよね…」
男「うん…もちろん…おぉ、こうなってるのか…」
女「ちょ…ちょっと! 顔! 顔近い! 恥ずかしい!」
女(あああぁぁぁ! 見られてる! すっごい見られてる!)
男「ひだひだがエロい」
女「ばかっ! 実況するなっ!」
女(ひいぃっ! さっき洗ったけど臭くないかなぁ!?)
男「…ん…」ペロッ
女「うひゃあぁんっ!?」
男「…ん…っ…」ペロペロ
女「だっ、だめぇっ!? おっ、おとほぉっ!」
男(ぷっくりしてるところを舐めるのが一番きくみたいだな)
男「ん…ふう…はぁっ」
男(なんか…匂いとかしないんだな。全然いける)
女「おとこぉっ! おとこぉっ! だめっ!」
男(そう言われると余計興奮するな)チューチュー…
女「ばかっ! おとこっ! …ああんあっ!」
女「…い、犬みたいっ! 男あたしのペットみたいになってりゅふぅっ!」
男(それはそれでおいしい)
女「おとこっ! かわいいっのぉっ! あっあああぁぁ!」ガクガク
男(あ、いった)
……
……
女「あ…ん…」ピクピク
男「その…ごめん、なんか調子乗ってきちゃって…」
女「…ん…」ギュッ
男「!?」
女「…こうすると気持ちいいんでしょ?」コスコス
男「ん…うん…んっ」
女「…ゴム持ってる?…しよっ」
男「…うんっ」
……
ガサゴソ…
男「…って、ゴムの付け方わかんない…」
女「えっ」
男「あ、説明書入ってた」
女「…なんか、生々しいね」
男「…まぁ、その、分かりやすければいいんじゃないかな」クルクル
女「…そっか」
男「よし、装着完了!」
女「うん…」
女(ついに! ついに男君とえっちする時が! 頭がふっとーしそうだよぉぉぉ!)
男「じゃ、じゃあ、足広げて。今度は舐めないから」
女「…馬鹿」
男「…ここでいいの…かな」
女「…違う…もうちょいした…」
男「お、おう。……ここ、かな」
女「あ、入ってくる…」
男「…ゆっくり入れるぞ…」
女「あ、あ、広がる…んっ」
男「んっ…先っぽだけなのに熱々…」
女「んぬっ…あっ…あーっ…――ッ!!」
男「く…うっ…熱い…あう…まだ半分だぞ…」
女「ふんっ…うううっ…あぁ…い…」
男「ごめん、ごめんな…女…痛いか…」
女「うう…ううん…だ、だいじょ…ぶ…」
男「……」
男「…無理しなくてもいいぞ…また今度でもいいから…」
女「…あんた、馬鹿なこと言わないでよ…」
女「…あたしはこうなりたかったの…これが一番幸せなの」
男(あ、もうだめだ、歯止め効かなくなりそう…)
男「もう一気に最後までいっちゃっていいでしょうか」
女「!?」
男「ちょっと辛抱たまりません」
女「ば…馬鹿! い、いきなりは! ちょっと!」
男「」チュッ
女「ちょ…んっ…ふむぅ…はう…あぁ…」
男「」ギューッ
女「あ…奥に…奥に当たってる…男のが…」
男「もうちょっとだけ、奥に入れるぞ…これで最後だ…」
女「あ…いろんな感じが…あ…あぁ…」
男「あ…あー…あ…」
女「奥…奥にあた…ってる…のが…すご…」
男「…やば…締まる…ちょっと…動きたくない…」
女「お…男…あたしのこと…抱きしめて…お、お願い…」
男「……」ムギュ
女「……」ムギュ
男「……」
女「……」チュッ
女(あ、ちょっと動いた)
女「ねぇ、男…」
女「めちゃくちゃにしてほしいな」
女「こう…突いてほしいんだ」
女「男じゃなきゃやだ」
女「男のことだけしか考えられないようにしてほしい」
女「お願い…」チュ
男「」
女「…///」
男「…うんっ」
……
……
ズチュッ… グチュ… …ズンッ
女「…んぐっ……んんんっ…」
男「はあっ…あっ…あがっ…んっ…」
女「んん…おとこぉっ! おとこぉっ!」
男「うぅっ…おんなっ!」チュッ
女「…んふっ…はぁっ…ちゅ…ちゅーきもちいっ…」チュー…
男「んっ…あぁっ…き…きもち…いいっ…」
女「ほっ…ほんとー?…嘘だ…ったら…しょ…承知しないわよっ…」
男「ほんと…うっ…や…やばいくらいっ…」
…グッチュ ズチャ… …ヌチュ
……
……
ズチュ …ズッズッ ズッズッ
男「おんなぁっ! はあっ…うんっ…お…おんなっ!」
女「おとこぉっ! お、おとこっ、おとこっ!」
男「おんなっ! やばい…そろそろ…いくぞっ…」
女「いって! いっちゃって! お願い!」
男「あああっ! おんなぁっ! いくぞっ!」
女「んぐっうぅぅっ きちゃうっ…奥にきちゃうぅぅっ!」
男「ぐああっ…! ぬぅぅっ!」ビュルビュルッ…
女「ああああぁぁぁっ! 出てる! でてりゅうぅっ!」
男「あがあぁっ! んんんっ…」ビュビュッ…
……
女「…あっ…んん…」ピクピク
男「…ふぅ…ふぅ…」
女「…あはっ…すごい…ゴム越しでも出てるのが分かったよ…」
男「…お、おぉ…そっか…」
女「漏れたら危ないから…抜いちゃおっか…」
男「…そ、そうだね。ちょっと待って…」ズル…
女「…んっ…あっ…」ズル…
男「…うわ、こんなに出た。俺こんなに出るんだ…」
女「…なんか、えぐいね…」
男「ゴム…どうしよう…結んでおくか」
女「そだね…はい、ゴミ箱」
男「お、ありがとう。俺の家だけど」
女「えへへ」
男「どうした急に」
女「いや~、男とついにしちゃったんだなぁ、って」
男「うん…俺もちょっとまだ夢みてるみたい」
女「…えへへ」チュッ
男「」
女「…やっぱりちゅーはちょっと恥ずかしいね…」
男「…恥ずかしいというか…その…」
女「…?」
男「…正直に言った方がいいよね?」
女「! 今までとはもう違うんだよ! 隠し事は無し!」
男「…そうだよね、分かった」
女「男の願い事はなんでも叶えてあげようじゃないか!」
男「あはは、ありがとう」
女「男とあたしはもうお付き合いしているんだから!」
男「じゃあ…もう…一回…だめ?」
女「」
……
……
女「にゃ…っ…だ、だめっ、お、おとこっ」
男「ちょ…ちょっともうどうしようもないというか…」
女「ば、ばか! これでもう3回目だばかっあああぁぁぁっ」ズニュッ
男「んーっ…きついけど…さっきよりも気持ちいいんだけど…」
女「だ、だめぇぇっあっはあぁ! 気持ちいいにょぉぉっ!」
男「後ろから…だと…違う締まり…なんだなっ!」
女「こすれてるっ! きもちいいとここすられてりゅ!」
男「ず…ずっと突いてやるからなっ!」
女「うん、うんっ! あたしきもちいいことだいしゅき!」
……
……
女「ちょっと正座」テカテカ
男「はい」テカテカ
女「3回本番は初めてにしては多いのではないでしょうか」テカテカ
男「その割には女さんは喜んでいたように思いますが」テカテカ
女「それとこれとは別です」テカテカ
男「そうですか、わかりました」テカテカ
女「まだ私の質問は終わっていませんが」テカテカ
男「それじゃあしょうがないのでキスしましょう」チュッ
女「…ばか」
……
……
男「さ、少しだけだけど、寝るぞ」
女「そだね…あ、あたしの下着どこー?」
男「はい…やっぱかわいい下着着てるなー」
女「…ばか。…男ってそういう下着がやっぱり好き?」
男「…んー、女が着てるからじゃないかなー」
女「…そっかー。あ、今日はあたしがそのスウェット着て寝るんだよ」
男「あれ、お母さんに持ってきてもらったのは着られないの?」
女「…う、うん。ちょっと…ね」
男「え、でも服置いてあるじゃんこれ…」ガサゴソ
女「あ、ばか! やめろおい!」
男「」
女「…恥ずかしい…」
男「まーまー、いいじゃないいいじゃない!」ニヤニヤ
女「ばか言わないでよ! うー…」
男「あ、そうだ、ちょっと着てみてよ」
女「…胸がもう入らないのよ…」
男「…そっか」
女「だから、そのスウェット貸してちょうだい」
男「はいはい」ヌギヌギ
……
……
男「…まぁ、もうベッドで一緒に寝てもいいか…」
女「そうそう、もういつでも一緒に眠れるんだよ!」
男「テンション高いな…もう俺は眠いんだが…」
女「あらあら、男君はもうおねむでちゅかー?」
男「あぁ、そうだ。もう寝るぞー」
女「はーい、おやすみね、男」
男「うん、おやすみ。女」
女「……」
男「……」
……
……
女「…ZZZ…」
男(…かわいい)
女「…ZZZ…」
男(付き合うことが出来て、本当によかった)
女「…ZZZ…」
男(おやすみ、女。僕の彼女さん)チュッ
女「……」
……
……
チュ…ン チュン…
女「……」
男「…んー、よく寝た…もう8時か…今日は一応学校休んで病院に行こうかな…」
男(あ、そっか…昨日…)
男「…おーい、女、起きろー…」ユサユサ
女「…ん、な、なに? お、おはよう」
男「お、おう、おはよう」
男「…なんで女、よく寝てたはずなのにくま出来てるんだ…?」
女「!」キッ
女「ばかっ!」
……
男(おやすみ、女。僕の彼女さん)チュッ
女「……」
女(ふえええぇぇぇ! い、今ちゅーするの! ず、ずるい!)
女(あ、あたしもちゅー! ちゅーする! ってか一回だけなんてそんな薄情な!)
女(もっとして! もっとちゅー! 男おおぉぉぉ!)
男「…ZZZ…」
女(ずるい! 男ばっかずるい! あたしからもちゅーしたい!)
女(う…うぅ…男寝ちゃった…ずるいよ…)
女(……)
女(…ふええぇん…男ぉ…)
女(……)
女(えっちの時の男、かっこよかったなぁ)
女(…ずっと、このままがいいな)
女(…よし、頑張っちゃうぞー)
女(…もっとオシャレになって、もっとかわいくならなきゃ)
女(…男に見合うような女の子にならなきゃ)
女(…結婚とか…いつか…)
女(…付き合うことができて、本当よかったなぁ)
女(…うぅ、ねむれないよーっ!)
……
……
男「…おんなーっ、コーヒー淹れたら飲むー?」
女「う、うん。お砂糖とミルクいっぱい入れてね」
男「はいよーっ」
女「……」
男「……」
女「……ハクチュッ!」ズズッ
男「……えっ」
女「……」ズズッ
男「……も、もしかしておま…」
女「…あははっ、風邪、うつされちゃった…かも」ズズッ
男「…あとで一緒に病院行こっか」
女「うんっ!」
終
……
母「微熱に鼻づまり…完全に風邪ね」
女「うん…ぞーだね」ズズッ
男「ごめんなさいお母さん。僕の風邪をうつしてしまいました」
母「ううん、気に病む必要はないわ」
母「すぐに病院に行ってくれたのが幸いして、結構落ち着いてるじゃない」
母「薬も処方してもらったんでしょう?」
女「あっ…まだ薬は取りに行ってないんだ…」ズズッ
男「…そ、それじゃあ僕が薬を取りにお使いしてきますよ」
男「そのくらいは、させてください」
母「あら、そう? とっても助かるわ。私も家の整理するし」
女「えーっ…いっちゃうの…?」
男「はい、早めに取ってきますから。ごめんな、ちょっと待ってて」
女「…ぶーっ」
母「ええと…ちょっと待っててね…」トコトコ
女「…いっぢゃやだ」ズズッ
男「さすがにお母さんがいるところにずっといるわけにはいかないよ」
女「…ちゅー…」
男「…えっ」
女「…ぢゅー…して」ズズッ
男「…ぷぷっ…」
女「!?」
男「『ぢゅー』ってなんだよ! あはははっ!」ケラケラ
女「ば…ばかぁっ! もう部屋から出てけっ!」
男「んーっ」チュー
女「!?」
男「…やっぱ、女、かわいいよ…」テレ
女「……」プイッ
女(きゃー! きゃーきゃー! やばい! やばいよ!)
男「……」
女「……」
ガチャ
母「お待たせしたわね、男君」
男「あ、お母さん」
母「これ、多分風邪に処方される薬にはこれだけあれば足りると思うから…」
母「余った分は男君のお小遣いにしていいから、よろしくね」
男「い、いや、それは悪いですよ…ご迷惑をおかけしてしまったんですから…」
母「いいの。取っておきなさい。あなたの役に立つことに使ってくれればそれでいいわ」
男「…ごめんなさい、それじゃあ、お小遣いとしていただきます」
母「かさねがさねになるけど、よろしくね…あら、女…」
母「顔、さっきより赤いみたいだけど、どうしたの?」
女「……」ジロッ
男「は、はは…それじゃあ…いってきます…」バタン
……
……
母「…それで? 男君とお付き合いできるようになったの?」
女「…うん…まぁ…その…そうだね」
母「…そりゃあ、顔も赤くなるわけね」
女「……」
母「……」
女「…ありがどう、お母さん」ズズッ
母「…私は何もしてないわよ。あなたの意思がそうしたのよ」
母「…リビングに行ってるわね。なにかあったら携帯にメールしなさいね」スタスタ
女「…ありがとうね」
……
……
ブルブルブル
メール 女
女[さみしいよー 早く戻ってきてね xxx]
男「……」カチカチトコトコ
男[はいはい。早めに戻るよ。]
……
女宅近くのドラッグストア
イラッシャイマセー オサガシモノガゴザイマシタラー
男「あの、すみません。処方箋お願いします」
「はい、承りましたー。申し訳ありませんが先のお客様の処方を済ませてからになりますので」
「30分ほどお時間いただきます。店内でお買い物などなさってください」
男「あ、わかりました」
男「……」カチカチトコトコ
男[30分くらいかかるみたい。少し待っててねー。]
男(…さて。今晩の食事の材料でも買って待ってるか…)
ブルブルブル
メール 女
女[えー 30分もー? 長いよー]
男[我慢しなさい。そういえばさっきの「xxx」ってなに?]
女[そんなこと自分で調べなさい!]
男「…さて…」
……
……
…オクスリヲオマチノオキャクサマー ゴヨウイガデキマシタノデカウンターニ…
男「おっ…あ、すいません、このカゴ、置いておいてもいいですか?」
「あ、カゴは調剤室にお持ち込みになっても結構ですので、そのままお持ちください」
男「そうですか。ありがとうございます」
男「あのー、先程の薬の者ですが…」
「あ、お待たせいたしました。えーとですね…ご本人様ですか?」
男「いえ、代理の者ですが…」
「そうでしたか、それではですね、今からお薬のご説明をいたしますが」
「服用される方と、そのご親族の方にもこちらの説明書を必ずお渡しくださいね」
「それでこちらが…ですので……」
「……ということです。口頭での注意は以上です」
「お会計ですが、…円になります」
男「…はい、それじゃあ、これで」
「…円お預かりしましたので、…円のお返しになります。ありがとうございましたー」
男(…千円も余っちゃった…)
ブルブルブル
女[もーそろそろ帰る?]
男[薬もらったよー。うん、そろそろ帰る。]
男(……)
男[ごめんー、あと10分延長]
……
……
女(…バカ…)
女「あー暇」
女「……」
女「まひーあ」
女「……」
女「男大好きー」
女「…ん…?」
女「きすいだことお…?」
女「……」
女(…バカ…)
……
……
男「うーっ、やっぱ夜になるとまだ寒いなー」テクテク
男「……」トコトコ
ブルブルブル
女[きすいだことお]
男(…???)
男[なんのこっちゃ]
男「……」テクテク
男「…着いた」
ピンポーン
……
……
母「ごめんなさいね、ありがとう」
男「えぇ、お薬はそれ…と、あと、これを」
母「…?」
男「女ちゃんにお見舞いです。多分喜んでくれると思います」
母「あら、本当!? 嬉しいわー…女もきっと、喜ぶわよ」
男「それはよかったです。あと、最後に…これ…」
母「…?」
男「頂いたお金が千円余ったので、そのお見舞いを買いました」
男「そのお釣りです。やっぱり受け取るわけにはいかないので、お返しします」
母「あら、まぁ…そこまで言われちゃうと、ねぇ…」
男「…それじゃあ、そろそろ夜もふけてくるので…これで」
母「んー…そうね、女にも会わせてあげたいけど…」
母「また明日いらっしゃいな、お昼ごはんなら作ってあげるわよ!」
母「なにか、食べたいものある?」
男「えっ…いいんですか?」
母「あたりまえじゃない! 明日はお休みだし、そのくらいさせてちょうだいな」
男「んー…それじゃあ、なにか身体に優しくて、温まるものをお願いします」
母「…そうね、わかったわ! 男君のために私頑張るわね」
男「あはは、ありがとうございます」
男「それじゃあ、これで失礼します。おやすみなさい」
母「はい、おやすみなさい。明日はお昼頃来てね」
男「わかりました。それじゃあ、また明日に。ごめんください」
母「それじゃあね…」バタン
男「……」
男「……」カチカチ
……
女(…さっきインターフォン鳴ったからそろそろかなー…)
女(…髪とか、汚れてないかな…あっ、顔洗ってこよっかな…)トテトテ
ブルブルブル
メール 男
男[窓の外]
……
……
女「えーっ! 男君帰しちゃったのー!?」
母「そりゃそうよー。男君も病み上がりなんでしょ?」
女「そりゃそうだけどさーっ…一言くらい声かけてよー…」
母「大丈夫よ、明日来てもらう約束はしてあるから」
女「えっ! 明日また来てくれるの!?」
母「えぇ、お昼ごはんご馳走してあげる約束よ」
女「そっかー…」
……
……
母「あぁ、あなた、男君からお見舞いよ」
女「えっ!? ほんとほんと!?」
母「余ったお金は自分のために使ってねって言ったのに」
母「あなたのお見舞い買ってきてくれたのよー?」
母「あなた、ちゃんと大切にされてるわねぇ…」
女「お見舞いどこーっ!?」
母「はい、これ…もう遅いわよ、袋ごと持っていって、あなたのお部屋でいただきなさい」
女「はーい、今日はもう寝るねーっ」
母「はいはい、おやすみなさいね」
女「おやすみなさいーっ」トテトテ
……
……
女(わお! グレープ味のゼリーにポカリ!)
女(男、分かってるぅ!)
女(……)
女(あれ、メール来てる。誰だろ…)
メール 男
男[窓の外]
女「!?」
女「え、もう20分前…!?」
女「や、やばっ! ま、窓のそ、外っ!」シャーッ
……
……
男「おーっ、やっと開いたっ」
女「あっ…あーっ、あのさっ…」
男「早く風邪治せよーっ、お見舞いちゃんと受け取ったかー?」
女「あ、あぁっ、う、うんっ!」
男「それじゃあ俺、行くからなーっ! 明日、またお邪魔するからなーっ!」
女「うんっ! うんっ!」
男「じゃあなーっ! またいつでもメールしろよーっ!」ダーッ
女「あっ! お、男っ!…」
女「……」
……
……
女(…もう…やだ…)
女(…男がかわいいしカッコいい…)
女(…あの時もっとましなこと言えなかったのかなあたし…)
女(…うん、しか言えなかったな…)
女(…涙出てきた)
女(…外でずっと待っててくれたんだよね…)
女(…なんだろ…どうすればいいんだろ、あたし)
女(……)カチカチ
女(今日はもう寝よう…)
……
……
男(…あれでよかったかな)
男(…さすがにあんな大きな声は近所迷惑か…)
男(…だめだなぁ、俺って)
男(…女も喋りたいことありそうだったのに…)
男(…メール来ないや…)
男(…怒っちゃったかな…)
男(…もう…寝よう…)
……
ブルブルブル
メール 女
女[明日朝起こしてくれる? よろしく]
……
……
男「…ZZZ…ん…ふわぁ…」
A.M. 11:48
メール 1件
男「…!? やべぇっ!」
……
ピンポーン
母「はーい…あら、男君、こんにちは」
男「こ…こんにちは。ごめんなさい、ちょっと遅くなりました」
母「いいのよー、時間があった方が都合もよかったし」
男「そ…そうなんですか? ともかく、ごめんなさい」
母「うふふ、さ、上がってちょうだいな」
母「あ、ちょっとまだ支度が済んでないから、客間で待っててくれる?」
男「はい、わかりました」
……
男「…そういや、メールまだ見てないな」
メール 友
友[おい、風邪大丈夫か。来週からはちゃんと登校しろよ]
男「……」
男「…返信はしない、と…」
女「…お、おとこ…?」
男「お、おはよう…」
女「お、おはよ」
女「…そ、そんな目で見ないでよ。恥ずかしい…」
男「…ご、ごめん。昨日はごめんね」
女「う…うぅ、あたしが先に謝るつもりだったのに…」
男「えっ」
女「えっ」
男「いや、昨日は俺がその…なんというか押しつけがましいことを…」
女「いや、昨日はあたしが早く気付かないのが悪いわけで…」
男「…あ、そういえば…風邪、良くなったみたいだね」
女「…うん、お見舞いと薬のおかげかな」
男「…それはなにより」
女「ありがとうね…」
女「……」
男「……」
女「そ、そう! 多分そろそろお昼の用意も出来るから」
女「食卓に行きましょ! 美味しいわよ!」
男「あ、あぁ! 朝食べてないからもう腹減ってるんだ!」
女「じゃあ…行こっか」
男「うん…?」
女「……」ギュッ
男「!? ちょ…」
女「…ありがと、男」チュッ
男「…///」
……
……
母「パンは行きつけのお店の焼き立てを朝買ってきたのよ」
母「あとサラダはこの大皿から自由に取ってね」
母「あ、ごめんね、うちドレッシング置いてなくて」
母「オリーブオイルと塩と胡椒を自由に使って味付けしてね」
母「それで、これが厚く切ったベーコンと、野菜を一杯使ったコンソメスープ」
母「さ、二人でいただいちゃって! 私、ちょっと用事が入っちゃって」
母「夜には帰ってくるわね。火とガスには注意してね」
男「すみません、お母さん。ご馳走になります」
母「いえいえ、メニューがお粗末さまですけど、病み上がりの体には効くはずよ」
母「それじゃあ、ちょっと行ってきます」スタスタ
女「いってらっしゃーい!」
男「お気をつけて」
母「じゃあねー」バタン
男「…美味しそうだね。1人だとこういう料理は食べる機会ないからなぁ」
女「…さっ、食べちゃお! うん、食べちゃおー!」
男「そだね、いただきます」
女「いただきます」
……
ブルブルブル
メール 女お母さん
……
……
男「うん、パンがほのかに温かくて、香りもいいしすごく美味しいけど…」
男「このスープ、すごい美味しい! お母さん料理上手だよね!」
女「う、うんっ、うちのお母さんは料理もなんでもこなしちゃうんだから!」
男「んー…美味しい…。どうやって作るんだろ。実家に帰ったら作ってあげたいな」
女「ねー、おとこっ」
男「ん?」
女「はい、あーんっ!」
男「!?」
女「あーん、はいっ?」
男「あ…あー…」ハムッ
女「うん、いい子いいこっ!」
……
……
男「ふーっ、おなかいっぱいやでぇ」
女「そっかそっかぁー、いっぱいあーんしてあげたけど、いっぱい食べてくれたもんねっ」
男「自分で食べたのと、あーんで食べたのと、同じくらいだったなぁ…」
女「じゃあ、ちょっと、洗い物するねー。テレビでも見ててよ」
男「おー」
女「……」トテトテ
男(あ、メール来てる。誰だ?)
メール 女お母さん
母[昨日のオーダー、女のためよね? ごめんなさいね。]
母[また今度、男君の食べたいものを食べに来てくださいね。]
母[あと、秘密にしてたことがあるの。]
母[今日の料理、作ったのは私じゃなくて、女が作ったの。]
母[だから、このメールを見たらちょっとは褒めてあげてね。]
母[私からしても、結構上出来な料理だったから。]
母[それじゃあ、ゆっくり過ごして下さい。]
……
男「……」
女「……」ジャー
……
……
男(不思議な感じだ)
男(洗い物が終わった女はなにを言うわけでもなく俺の隣に座って)
男(別にとりとめのない羅列が流れてるテレビを見てる)
男(いつもの俺だったらなにか言うんだろうけど)
男(なんだろう、もうちょっとこのままでいようかな)
男(なに話しかけていいかわかんないし)
男「……」
女「……」
アリガトウゴザイマシターッ パチパチパチ…
……
……
女「……」
男「……」
女「…なんか、眠くなってきちゃった…」
男「…そっか…」
女「ね、このままテレビ見ててもしょうがないし、あたしの部屋、いかない?」
男「…うん、そうしよう…」プチッ
女「…なんか持ってくー?」
男「任せるよー。先に部屋、行ってるね」
女「ふぁーい」
……
……
男(そういえば確かに小学校からずっと一緒だった)
男(ただ、お互いにはお互いの友達がいたし)
男(まぁ、班が同じとか、その程度で…)
男(なんか、こう…中学校も一緒で…)
男(まわりは違うけど、女は変わらないというか)
男(友達の延長線上で女を彼女にしちゃったのかな)
男(もっと、こう料理のことも気づいてあげられなかったのかな)
男(…やめよ、こういうの。考え込んでいい結果になったことがない)
男(女が、好き。たまらなく好き。これで十分だろう)
女「…おまたせーっ」
男「おー、ありがと」
女「うん、紅茶とチョコレート」
男「うん、ありがとう」
女「……」
男「…あのさ、その。お昼ごはん、ごちそうさま」
女「えっ…あぁ、あれはお母さんが…」
男「お母さんからメールで聞いちゃった。ごめんね」
女「…そっか。なんか、恥ずかしいな」
男「いやいや、すごく美味しかったよ! ありがとう!」
女「あの…その…うん…」
女「…おとこぉ…」グズッ
男「!?」
女「ふぇぇ…」グスングスン
男「な、なんだ! どしたの!?」
女「ごめん、ごめんね、おとこっ…」エンエン
男「…うん、うん」ギュッ
女「ふぇええぇぇ…」
男「……」ギュウ
男(やっぱり、大好きだ)
男(俺が、守らなきゃ)
……
……
女「…男に昨日待っててもらったから…その分を今日のご飯で…」
男「償おうって?」
女「…まさにそれ。ごめんね、恥ずかしくて、言いたくなかった」
男「…隠し事はだめだよー」
女「…うん、ごめんね」
男「…なんだ、まぁ、話したいことはいっぱいあるけど…」
女「…眠くなってきた?ふふっ、おなかいっぱいだもんね」
男「…まさにそれ。」
女「紅茶飲んだら寝ちゃおっかーお昼寝お昼寝……」
男「おー…そうしようそうしよう…」
……
……
……き…て… …お……っ
男「…ZZ…Z…」
…お…ろ…… …きろぉっ!
男「!?」
女「やっと起きた!? もう夜の7時よ!」
男「えっ!? なんやと!?」
女「関西弁使ってる場合じゃない! はわわ…もっといっぱいしたいことあったのに!」
男「んー、これは、時間の無駄遣いをしてしまいましたね」ニカッ
女「ばかーっ! 男のばかぁーっ!」
……
……
母「…それで、今日はあれからすぐに寝てしまった、と」
女「…はい」
男「…面目ない」
母「あはははっ、まーったく、まぁ、またおいでなさいな。」
男「まぁ、今日は、もう帰ります」
女「えーっ、今日は泊まって行ってもいいよねっ?」
母「泊めてあげたいけど…んー…今日は帰りなさい、男君」
男「そうします。またゆっくりお邪魔してもいいですか?」
母「あたりまえじゃないの! 大歓迎よ!」
女「…ぶーっ」
男「それじゃあ、お世話になりました」
母「いえいえ、こちらこそ、迷惑かけちゃったんじゃないかしら」
女「そうだよー、だからお詫びに泊まっていけばいいんじゃないかな!」
男「それはだめ。 じゃあ、失礼します。おやすみなさい」テクテク
女「あっ、じゃああたし送ってく!」
母「いってらっしゃーい」
……
……
……
……
男「うん、ここまででいいよ。ありがとう」
女「あーっ、まだ半分くらいじゃん! ちゃんと男の家まで送り届けるのだーっ!」
男「…今日は大丈夫だよ。また今度送ってくれる?」
女「…ぶーっ、今度がいつになるか分からないじゃん!」
男「じゃあ、下校の時とかさ。一緒に帰ればいいと思うよ」
女「…そっか…うん、じゃあ今日はここまで」
男「いい子いい子」ナデナデ
女「んん…照れるよ…」
男「ははっ…それじゃあ、また。いつでもメールしてね」
女「うんっ、男、だいすきっ」
チュッ
終
男「春休みです」
女「はい」
男「例年と比較するとやや寒いですが、春休みは春休みです」
女「はい」
男「やや咲き始めた桜が開く季節でもあります」
女「はい」
男「えーと…あ、桜もちが売り出される季節でもあります」
女「はい」
男「んーと、えーと、あー…」
男「…桜を見に行きましょう女さん。どこか遠くに」
女「!?」
女(ぬひょおぉぉ! りょ、旅行! 旅行ってことでいいのかな!?)
女「はいそうですねぜひ男君とはゆっくり話し合いたいと思っていました」
男「えっ」
女「これを機に少し将来のことについて考えを深めていくのもいいかもしれませんね」
男「ちょ…女?」
女「いや決して私は一姫二太郎とかそういう話をしたいわけではなくてですね」
男「おーい女ー…」
女「その将来設計と言いますか私たち二人の結婚観について一度話を」
男「そうじゃなくて、普通にどこかにデートに行こうよって話なんだけど…」
女「…そ、そうだねっ。ごめんごめん、あたしとしたことがちょっと暴走しちゃったよ」
男(デートに誘っただけなのに結婚まで盛り上がっちゃう女かわいいようんかわいい)
男「…で、でも、なんで急にそんな思いつめたというか、重い話を…」
女「い、いやっ、そ、その、最近、あんまり学校とかでもさ」
女「付き合ってるカップルが話すようなこととか話してなかったからさ」
女「その、たまにはそういう方面のことを話してもいいかな―…って」
男「…ぷっ…あははっ、飛躍しすぎ」
女「!? わ、笑うなぁーっ!」ポコポコ
男「あ、あんまり騒ぐなって! ここ、喫茶店だぞ!」
女「! …。…んでさ、どこ、いくの?」
男「んー、いや、付き合ってからデートらしいこと、したことなかったから」
男「プランとか考えてなくって…その、とにかく、女とデートしたくて…」
女「…うんっ、素直でよろしいっ」
女「デートねぇ。普通、どういう所行くのかねー…」
男「んー…あ、そうだ。友に相談してみるか」
女「あ、いいんじゃない? メールでちょっと聞いてみてよ」
男「うぃ」ポチポチ
男[お前だったらデートする時どういう所に相手を誘う?]
男「これでいいかな?」
女「うん、多分大丈夫じゃない?」
男「でも、まー、友のことだから変なところ提案して来るかもな」
ブルブルブル
メール 友
男「おっ、早速だ」パカッ
友[お前ら、今駅前の喫茶店にいるよな?]
男「…えっ」
女「えっ」
男「…ちょっと作戦会議を開きましょう」
女「はいそうしましょう。早急に考えるべき事案だと思います」
男「そもそも、なぜ友は『お前』ではなく『お前ら』で返信してきたのか」
女「あたしが考えるに結論はひとつですね」
男「おそらく同じ回答が僕の中にもひとつだけあります」
女「…友君は私たちが喫茶店に仲睦まじく入っていく様を目撃している」
男「…まぁ、仲睦まじいん…だろうな…」
女「仲睦まじいのです。そこに異論をはさむとはなんたること!」
男「…ごめんなさい」
女「わかればよろしい」ニコッ
男「…もう友、呼んじゃおっか」
女「えっ」
女(いやだよおおぉぉぉ! 男と二人きりなのにいぃぃ! ふええぇぇん!)
イラッシャイマセー オフタリサマデスー
女(なんとか阻止しなければ! なんとか友の侵略を防がねば!)
アノセキデモイイデスカネ ダイジョウブデスヨー
女(どうすればいい! あたし、考えろ! 無い知恵絞れ!)
オーオトコー、ナンダデートカ ナンダ、イマカラヨボウトオモッタノニ
女(そ、そうだ! 喫茶店から出てあたしの家に男を誘えばいいんじゃないかな!)
友「おい、女ー」
女「あ、あっ友君! ど、どしたのこんな所で!」
女(何で来ちゃうのよー! 友の馬鹿野郎!)
女「あ、あれ…? い、委員長さん…?」
委「やぁ、女さん。学校の外でお会いするのは初めてだね」
女「え、えぇ、そうね。」
男「おい、なんで友と委員長さんが一緒にいるんだ? 友がなんか悪い事でもしたのか?」
友「ん、あれ、お前らには言ってなかったか?」
友「俺達、付き合ってるんだぞ」
男「!?」
女「!?」
委「うん、どうやら二人とも知らなかったみたいだね」
男「な…なぁ、あのさ…い、いつから付き合ってんの?」
友「ん…もうそろそろ一年くらいか?」
委「そうだね、あと一週間くらいじゃなかったかな」
女「え…そ、そうだったの」
委「まぁ、僕達の付き合いだと学校で話す機会も少ないし、皆気付かないんじゃないかな」
友「そうだな。俺と委員長じゃ、少しキャラクターも違うしな」
男「い…いやいや、全然違うから! 少しとかじゃないだろぉ!」
女「そうよ! 委員長さんが真面目なキャラクターなのは分かるけど!」
男「お前、いっつも先生にちょっかい出して指導室送りにされてるキャラだろ!」
友「あー、あれなー…別に俺は大したこと言ったつもりじゃないんだけど、なぁ」
委「確かに君の言うとおりだけど、あれは少し言い過ぎだよ」
女「…なんか、意外過ぎて、ちょっとまだ着いていけてないんだけど…」
委「あぁ、そうかい? …なんで君たちは二人でいるんだい?」
男「あぁ、ちょっとな」
友「もう付き合ってるんだろ?」
女「!?」
男「…さすが、友だなぁ。うん、付き合い始めた」
女「!?!?」
委「なんだ、そうだったのか…それじゃあ提案なんだけども」
委「今度、あぁ、そうだ。僕達の一年記念の時がいい、四人でどこか旅行に行かないかい?」
女「!?!?!?」
友「あぁ、それ、いいかもな。さっき男からメールが来た時の文面も」
友「デートの場所に困ってるって内容だったし、ちょうどいいんじゃないか?」
男「え、いいのか。二人の邪魔になっちゃうんじゃ…」
委「いや、そのだね、二人だとまだ少し恥ずかしいんだよ…」
友「んー、そうだな。俺達二人で遠出するより、四人でワイワイしてる方がなんだか新鮮だしな」
女「ちょ…ちょっと男! 作戦会議! トイレ前に集合!」
……
……
男「どした急に…おうふ」
女「……」ギュッ
男(…まぁ、ちょっと入り組んだ場所だし、他のお客さんには見えなさそうだし、いいか…)
男「…どした?」
女「…もうちょっと男と二人でいたかった…」
男「…ごめんな、メールしないほうが良かったか…」
女「…ううん、だって、メールを送っても送らなくても、あの二人はあたし達の居場所を知ってたからさ」
女「…うん、作戦会議はこれだけ」
男「え? 旅行のことについてどう思うか? とかの作戦会議じゃなかったの?」
女「あはっ、あたしは男と一緒にいられるなら、どこにでも喜んで行くわよーっ」
女「そうじゃなくて…その…」
男「?」
女「一年も付き合ってる人達が周りにいて…その…ね?」
男「…?」
女「あぁっ、もう、にぶいっ! うらやましくって、ちょっと男に甘えたくなっちゃったの!」
……
委「すまない、少しお手洗いに行ってくるよ」
友「おぉ。…あいつらの邪魔はしないようにな」
委「うん、分かってるよ…」
……
……
男「そ…それじゃあ、そろそろ離してくれるか…?」
女「やーだっ」ギュウ
男「ほら、その…他のお客さんとかも来るかもしれないしっ」
女「んー…」
男「あっ、こらっ、ちょ…」チュ
女「…えへへー、じゃあそろそろ、戻ろっか?」
男「ったくー…あんまり外でイチャイチャするのはだめだ」
女「えー…あ、じゃあこの後男の家行きたい!」
……
……
委「たっ…ただ、いま」
友「どうした? 顔も真っ赤だし、どう考えても早いじゃん」
委「いっ、いや、そのだね、使用中だったんだよ!」
友「…そうかい。まぁ、空いたらまた行ってこい」
委「う、うん、そう…するよ」
男「ごめんな、二人とも。ちょっと『会議』が手間取って」
友「いやいや、途中で邪魔したな?」
男「? …まぁ、その、なんだ。旅行、行くか!」
友「おっ、商談成立、ってやつか」
女「うん、そんなところね、よろしく、友君、委員長さん」
委「う、うん、そうだね、よろしく」
友「そうだな…行く場所なんだが、ひとつアテがあるんだ」
友「そのあたり、少し俺に任せてくれないか?」
男「お、いいのか。助かるよ。ちゃんと出すものは出すからな」
女「…そうだ、これから一緒に旅行するなら、メールアドレスくらい交換しようよっ」
友「あぁ、そうだな。…悪いけど、スマホなんだ、バーコードリーダーで頼む」
女「うんっ…なんか、友君のメアドって、予想してたよりよっぽどかわいいねっ」
友「よく言われる」
委「僕も、いいのかい? 僕は赤外線だけど…」
女「もちろん!」
……
……
チャリーン アリガトウゴザイマシター…
女「バイバーイッ」ブンブン
男「…さてと…じゃあ、うち、行くか?」
女「うんっ夕食ぐらいはご馳走してもらわなきゃなー」
男「じゃあこれからスーパーで買い出しだな。もう少し歩けるか?」
女「ふっふー。さっきも言ったじゃないか! 男の行くところはどこにでも喜び勇んで行かん!」
男「ははっ、ありがとう。…よしっ、ちょっと奮発しよっか!」
女「うんっ! 男と一緒に食べる夕飯は必ず美味しい物なのだー!」ニカッ
男(多分俺はこの笑顔のために生かされてきたんだと思うおぉありがたやありがたや)
……
……
男「んー…じゃあ夕食はパスタにしようかな…あれ、女? どこ行った…?」
男「…まぁ、女には女の買いたいものがあるのかな…」
……
男「…あ、いた」
男「…それにしても、お菓子売り場で小学生に混じって駄菓子を選んでるのは」
男「……」
男(いやかわいい! あんなに目を輝かせて選んでる! これは少し観察させてもらおう!)
……
男(さて…そろそろ買い物に戻るか…もう、なんだかんだ6時に近いもんな…)
……
……
男「…あれ、女が駄菓子売り場にいない」
男「…どこ行ったかな…」
男「…あ、いた」
男「…おーい、女ー」
女「…あっ、探したぞ男!」
男「それはこっちのセリフだ」
女「…えっ」
男「あのなぁ…あれ、なんか買うものあるのか?」
女「あ、うん、これー」
男「…歯ブラシ?」
女「うん、歯ブラシー」
男「ほう…じゃあ、このカゴに入れておいて」
女「りょうかいー」
男「よし、それじゃあ会計するぞ」
女「あ、夕食はなになに?」
男「パスタだ!」
女「!? アルデンテ!? アルデンテ!?」キラキラ
男「おぉ、もちろん!」
女「きゃっほぅーいい!」
……
……
男「あと10分くらいかなー」テクテク
女「ほーい…ねぇねぇ男」トテトテ
男「…ん?」
女「…あたし達も、一年付き合った記念には、なにかしたいな」
男「…んー、そうだなぁ」
女「なんか些細なことでもいいよ! おっきなケーキ二人占めするとか!」
男「ふふっ…二人占めかぁ…」
男「うん、悪い案じゃないよ」
女「あ、本当!? じゃあ来年に頼むケーキ、何にしよっか!」
男「んー…王道のショートケーキはどう?」
女「んー分かってるねぇ! でもあたしはー――…」
……
……
男「高い打点から鍋にかけての塩!」
男「茹で終わった麺にオリーブオイルどばぁ」
……
男「…よしっ、これで!」
男「おーい、女ー。出来たぞー」
女「…わぁお。お店みたいだね」
男「そりゃありがと。さ、食べよ」
女「いっただっきまーす」
男「いただきます。…よし、いい感じのアルデンテになってる」
女「…熱い自画自賛…」ボソッ
男「……?」
……
……
女「ご馳走様でしたー」
男「お粗末さまでした」
女「んー、食後にベッドへダイブするのってやっぱ気持ちいいねーっ」
男「そうかい…って、俺のベッドなんだが」
女「細かいことを気にすると髪の毛白くなるよー?…あ、そうだ、買ってきた歯ブラシどこー?」
男「ん、そのビニール袋の中」
女「おー」ガサゴソ ビリリッ
男「え、今開けるの? 自宅用じゃないの?」
女「へっへー、これから男の部屋でくつろぐことが多くなると踏んだ女ちゃんは」
女「歯ブラシを男君の家に置かせてもらうのが一番だと考えたのです!」ビシッ
男「」
女「……」
女(あれ!? 外した!?)
男「」
女「……」
女(…ふぇえぇ…なんか喋ってよー…おとこぉ…)
男「」
女「……!」ビシッ
男「」
女「……!」ビシッ! ビシビシッ!
男(もうちょっとこれ観察してよう。今日は眼福やありがたやありがたや)
……
……
女「……」シャコシャコ
男「……」シャコシャコ
女「……」グチュグチュ ペーッ
男「……」グチュグチュ ペーッ
女「……」
男「さっきはすいませんでした」
女「はい」
男「こう女ちゃんがかわいかったのでちょっと放置してみようと思ったんです」
女「それじゃあ私は放置プレイを喰らったわけですね」
男「言い方は下品ですがその通りです」
女「それじゃあ次は私が男君に放置プレイをしかける番が来てしまいました」
男「そうですか。わかりました」
女「私はこれから男君の喋ることに一切反応しませんのでそのつもりで」
男「わかりました」
女「……」
男「……」
女「……」
男「……」
女「……」
男「……」
……
……
5分後
女「……」
男「……」
……
10分後
女「……」
男「……」
……
……
15分後
女「…あ…のですね、男君?」
男「……」
女「……」
男「……」
女「…お、おとこぉ…」
男「……」
女「…ふ…ふ…」
男「……」
女「…ふええぇぇ…」
男「!?」
女「お、どご…っ…ふぇぇぇ…無視しちゃやだあぁぁ…」
男「え、あ、その…ご、ごめん」
女「…うわあぁん…」
男「あ…う、ご、ごめんって…」
女「…グスッ…」
男「…ごめん、ごめんね」ギュッ
女「^^」
男「おいその顔本当に泣いてたのか嘘泣きだったのか区別つかなくなるからやめろ」
……
……
女「えー、今日帰んなきゃだめー?」
男「そりゃそうだろう。明日も学校だぞ?」
女「ぶー」
男「ぶー言わない。そら、もう9時だぞ」
女「…もうちょっとだけ」
男(うおおおぉぉぉ! 女が俺に駄々こねてるかわいいいぃぃ!)
男「…じゃあ、10時までな」
女「! ありがとー男!」チュッ
男「んっ…ばかやろっ」ギューッ
……
……
チルッ …ペロッ チュッ
男「んん…っはぁっ…」
女「…男のってさー…」
男「…ん…っ?」
女「…その…結構、あたしで感じてくれるじゃん?」ベロッ
男「あっ…それ…やばっ……そ、そうかも…?」
女「…いや、だからどうってことじゃないんだけど…嬉しいなって」
男「…んぐっ…い、じ…自分でするより…断然いいという…っか…」
女「あー、付き合い始めてからも自分でしてるのー?」
男「…う、うん、時々…」
女「だめっ、1人でするくらいならあたしが付き合ってあげるからっ」ギュッ
男「あはぁっ! そ、そこ握るの…は、反則…」
女「……!」ピコーン
女「無駄に出すくらいならあたしが全部受け止めてあげるからっ」ギュッ ギュッ
男「ぐっ…お、女っあぁっ! な、舐めて! お願いだっ!」
女「――ったくー。わがままなんだからっ」アムッ
男「んんんんっ! あーっ、やばっ、あっ!」
女「……」ジュポ ジュポ
女(必死に耐えてる男かわいいなぁ…)
男「ああっ、はあぁっ、や、やばあぁっ、で、出る、でるっ!」
女「……」ジュッジュッ
女(自分でも腰振ってる…なんか、こういうの本当かわいいなぁ)
男「い、いくっ、はぁっ…はぁあああっ! いくっ! んぐうぅっ!」ズルッ
女「…あっ、ちょ、男っ!ちょっと待っ…」
男「…っがぁっ! ――っ!」ビュ、ビューッ
女「ん、んーっ…」
男「…んっ…はぁっ…はぁ…」
女「んー…んむー…」
男「ふぅ…っ! ご、ごめん、て、ティッシュ! はい!」
女「…顔に出していいとは言ってないんだけど…」フキフキ
男「ご、ごめんって!」
女「ふふっ、別にいいよこのくらい…はむっ」
男「!? ちょ…ちょっと…き、汚いから!」
女「んー……はい、ごちそーさまっ」チュパッ
男「…むー…」
女「これで今日無視されたことはチャラにしてあげよう!」
男「…なんか、ごめんね、俺ばっかり」
女「いいのだよー男君、あたしは好きでやっているのだから!」フンス
……
……
女「えへへ…あ…もう10時かぁ…」
男「さ、明日も朝から学校だし、今日は帰ろう」
女「…うん…わかった…今日は急にごめんね…」
男「いやいや、このくらいだったらいつでも来ていいんだよ」
女「グリーンダヨー」トテトテ
男「はいはい、じゃあ…また明日」
女「うん…じゃあ、またねっ」
男「……」
女「……」
男「……」チュッ
女「……」テヘヘ
……
……
友[旅行先の目処がついた。温泉街に泊まりで行くことにしよう。]
男[りょーかい。なんか悪いな、ありがとう。]
委[叔父さんの経営してる旅館かい? 叔父さんにはくれぐれもお礼を伝えておいてくれ]
女[りょうかいっ! 細かいことは、友君に任せようっ]
……
委[なんだか、申し訳ない。僕達のわがままに付き合わせてしまう形になってしまって]
女「いいんだよ、あたしも男と旅行に行けたら嬉しいし、委員長さんとも仲良くなれたらなって思うよ」
……
……
友[部屋は女ちゃんと男、委と俺で分ける。2部屋でいいか?]
男[俺たちは大丈夫だと思う]
女[あたし達は大丈夫だよー…多分]
委[友がいいなら、いいんじゃないかな]
……
委「……」
ブルブルブル
メール 友
委「…おや、メールだ…ん、友じゃないか…」
友[部屋は女ちゃんと男、委と俺で分ける。2部屋でいいか?]
委「!?」
委「そ、そんなっ…友とふたりっきりで一晩過ごすなんて…」
委「…そんなの無茶だよ…」ポチポチ
委[それぞれ1人一部屋でいいんじゃn…]
委「……」ポチポチ
委[…うーっ…]ポチポチ
委[友がいいと思うならそれでいいと思うけど、僕としては1人一部屋がいいt…]
委「……」ポチポチ
委「……」ゴロンゴロン
委「……」ポチポチ
委[友がいいなら、いいんじゃないかな]
委「…///」バタバタ
……
……
デスカラココニイマショウメイサレタテイリにシタガッテ…
男「……」ポチポチ
男[遂に明日から旅行だね]
女「……」ポチポチ
女[うんーっ 明日は寝坊しちゃだめだよ]
男「……」ポチポチ
男[今日、うちに泊まりに来るか?]
ハイー、ジャアエンシュウヲトイテミマショウ エート、ソレジャアイチバンヲ…
女「……」ポチポチ
女[えっ、いいのいいの!? わーいわいわい]
…ゴバンヲオトコクン、ソレジャアコクバンニカイトウシテクダサイ。
……
……
男「…ただいまー」
女「おかえりなさいー」
男「今一緒に入った人にお帰りと言われることはおそらくもうないんだろう」
女「おっ、男の初めてをどんどんいただいてしまっています罪なあたし!」
男「ははっ…よしっ、さっさと準備して、飯食いに行くか!」
女「あたしはもう準備できてるからねー」
男「そかそか…まぁ、1泊2日だし、そんなに荷物もないからなぁ」
……
男「…よしっ、多分これで大丈夫。…ご飯行こっか」
女「わーいわーい! あ、お母さんに連絡するねー」
男「うん、よろしくー」
……
……
イラッシャイマセエー サンメイサマデスネー、コチラニドウゾー
母「さて…まずは、明日からよろしくね、男君」
男「はい…お嬢さんはなにがあってもお守りします」
母「うふふっ、変に格式ばらなくてもいいのよ」
女「おとこかっこいいぞー」ケラケラ
男「いーだ…でも、事故には遭わないように気をつけないと」
母「そうねぇ…もし、万が一があったら、すぐに連絡ちょうだいね」
女「はーい、そろそろメニュー決めようよっ! あっ、あたしこのグラタンがいいーっ」
男「むぅ…じゃあ僕はこのハンバーグセットにします」
母「それじゃあ私はリゾットにしましょう。えーっと、あ、すいませーん…」
……
……
男「すみません、ご馳走様でした…」
母「いいのよー、このくらい」
女「美味しかったねー」
母「ふふっ、そうね。…じゃあ、私はこっちだから」
男「今日はありがとうございました」
女「おかーさん、また明後日ね!」
母「そうね、ちゃんと気をつけて行ってくるのよー? …男君、よろしくね」
男「はい、もちろんです」
母「それじゃあ、またね。なにかあったら携帯に連絡してね」
女「はーい、じゃあ、またねー!」
……
……
男「あったかくなったなぁ」テクテク
女「そーだねぇ…」トテトテ
男「……」
女「……」
男「…あ、そうだ」
女「……?」
男「…手、繋ごっか」
女「…あぁ! なんか今更!」
男「あはは、でも確かにそうかも」
女「ぶーっ、そうだよ、ずるいずるい!」
男「ごめんごめん」ギュッ
女「あっ…」
男「えっ…」
女「……」
男「……」
女「なんか…」
男「…?」
女「…結構、手をつなぐのって…いいもんだね…」
男「…うん…」
男(…願わくばいつまでもこの手を握ることが出来るように…)
女(…いつまでもこうしていたいな…離れたくないな…)
……
……
男「ただいまー」
女「おかえりー」
男「本日2度目だな、それ」
女「えっへへー、これから男が数えるのを諦めるまで続けてやるーっ」
男「そうかい…手、離すぞ?」
女「…えー…」
男「……」
女「……」
男「…もう少し、外歩いてこよっか」
女「…! うんっ」ニコッ
……
……
男「おかえりーっ」
女「あぁっ!? それあたしの台詞ーっ!」
男「時々は俺が言ったっていいだろー?」
女「……」
女(あたしが夜疲れて帰ってきたときに男があたしを迎えてくれる…これは)
女「男君の言うとおりですね」
男「ふふん、だから言ったろ?」
女「よーしっ、手も十分繋いだし、今日は歯を磨いて寝ましょーっ」
男「おぉ、そうだな」
女「歯ブラシ歯ブラシー…あれ、洗面台にコップって2つも置いてあったっけ?」
男(ふふん)ドヤ
女「…? あっ…まさか…!」
男「おっ、気付いた?」ニヤニヤ
女「……」プルプル
男「んー、どうしたー?」
女「……」プルプル
男「どしたどしたー?」ニヤニヤ
女「…男なんか嫌いー…」
男「!?」
……
……
女「要約しましょう。ちょっと頭が追いつきません」
男「はい、そうしてください。僕は女さんが分かってくれるまで付き合います」
女「つ…付き合うだなんてそんな…///」
女「…って! 閑話休題です。まず、男君は私になにかサプライズがしたいと画策しました」
男「はい、そのとおりです」
女「そこで男君は、私が歯ブラシを男君の家に置かせてもらうことに目をつけました」
男「異論ありません」
女「そこで私のために男君はお揃いで色違いのコップを探し、私にプレゼントしてくれた」
男「相違ありません」
女「私には内緒で他の人のためにこのコップを買った」
男「いいえ、違います。それは女さんの妄想です」
女「……」ドヨン
男「…いや、まぁ…何も言わずにこっそりやるのが駄目だから…」
女「……」ドヨン
男「…そんなに落ち込まないでいいんだよ…?」
女「…ぐりーんだよ…」ドヨン
男「……」ドヨン
女(やっちゃったよ…男がわざわざ時間を割いてまで買ってきてくれた初めてのプレゼントなのに)
女(あたしの勝手な言いがかりで嫌な雰囲気にしちゃった…)
男(…こんな変な小細工せずに、普通に渡せばよかったな…)
女「…はぁ」
男「…もう…寝よっか…」
……
……
友「おい、どうした。なんかお前と女ちゃん、様子が変だな」
男「あ、あぁ…うん、まぁ、昨日ちょっと色々あってね…」
友「…そうか。まぁ、せっかくの旅行だ。早めに仲直りして、一秒でも多く旅行を楽しむべきだな」
男「…おう…」
……
女「……」ドヨン
委「…お、女…君? ど、どうしたんだい?」
女「…あ、あぁ、委員長ちゃん…ぐりーんなんだよ…」ドヨン
委「…今の君はどう見てもブルーなんだが…」
……
……
デンシャハッシャシマス シマルトビラニゴチュウイクダサイ
友「…なぁ、あいつら、なにがあったんだ?」
委「ん、きっと喧嘩じゃないかな。詳しい話を聞いていないから、あまり憶測で話をしたくはないけれど」
友「…そうか。そういえば、俺達、喧嘩したことないな」
委「…確かに、そうだね。僕が淡泊すぎるのかもしれないね。君に対しても、何に対しても」
友「…いや、お前はそれでこそお前だ。それでいい」
委「…そう…かい…例えばの話をするけど」
友「お前が例えばの話をするのも珍しいな」
委「…例えば、僕と他の男の子が仲睦まじく話していたとするよ。その時、君は僕に妬いてくれるかい?」
友「…お前にはお前の生活がある。だから異性と仲良くなることがあっても不思議でもないな」
委「…そう…か…」
友「…多分、妬くけどな」
委「…その一言で僕は嬉しくなれるんだ…ありがとう」
友「そうか」
……
男「……」
女「……」
エーマイドゴジョウシャアリガトウゴザイマス ゴアンナイサセテイタダキマス…
……
……
……
……
委「思いのほか、早く着いたね。もう旅館に行っても大丈夫なのかい?」
友「あぁ、大丈夫。俺がさっき電車を降りる前に叔父さんに連絡を入れておいた」
男「…ありがとうな、友…」
女「…さっ、行こっかー…」
友「……」(オイ、イインチョウ)
委「?」
友「……」(スコシサキニイッテテクレ コノフタリガコノママナノハ、コイツラノタメニヨクナイ)
委「…あぁ、分かったよ。男君、女君、友が少し案内したいところがあるそうだ」
委「実は僕、少し疲れてしまってね。申し訳ないが先に旅館で一息つかせてもらうよ」
……
……
友「ここに来るのは1年ぶりだな。おっさん、元気か?」
「あぁ、今日も友達を連れてきたのか?」
友「あぁ、そうだ。奥のテーブル使うよ」
「じゃあ、コーヒー、3杯でいいな?」
友「…いや、俺の分はいらない。2杯でいい」
……
友「ここのテーブルは普通の席から離れてるから、割と落ち着いて話し合える席なんだ。叔父さんの家に遊びに行った時は必ず通ってたんだよ」
男「…なんか、上品な雰囲気の喫茶店だね。地元にこんなお店があったらきっと通うよ」
女「…うん…それにコーヒーも美味しい…」
男「…そうだね…」
友「……」
友「じゃあ、俺はもう行くぞ。携帯と財布は自分で持ってろ。後の荷物は俺が旅館に運んでおく」
男「えっ」
女「えっ」
友「俺は言ったぞ。このテーブルは落ち着いて話し合える席だ、ってな」
友「お前ら二人になにがあったか詳しく聞くつもりはない。だから俺がお前らの仲介をしよう、という気もない」
友「ただ、お前らが仲たがいしたままこの旅行を過ごしてしまうのは、巻き込んでしまった俺としては男と女に申し訳がない」
友「だから、旅館に入る前に、自分達の問題は自分たちでゆっくり話をつけてくれ。俺はお前らに有意義な旅行を楽しんでもらえるなら、なんでもしたい」
男「…なんか、ごめん…」
友「いいんだよ。お前らなら、すぐ元通りになれるさ」
女「…じゃあ、これがあたしの荷物。よろしくね」
男「…俺のはこれ、よろしく」
……
……
ガラッ
委「…ん、ごめん。先にお茶、飲ませてもらってるよ」
友「いや、いい。俺にも入れてくれないか」
委「…あの二人をあの喫茶店にエスコートしたのかい?」
友「そうだ。1年前、一緒に行ったな」
委「そう、初めてブラックコーヒーを飲ませてもらったよ…とても豊潤で、コーヒーってこんなに美味しいものか、と思ったね」
友「…男は元来、コーヒーが好きなんだ。そんな男ならもし女がコーヒーを飲めなくてもきっと手ほどきできるだろうと思って、そこに連れ出したんだ」
委「…そうかい。僕は君のそういう所に惹かれたんだ…はい、お茶、入ったよ」
友「…あぁ、ありがとう」
……
……
男「…なぁ、女。もう終わりにしよう、こういうの」
女「…うん、そうしたい…」
男「…やっぱり俺は女と笑いあってるのが一番楽しい」
女「……」
男「だんまりしあうのは、にらめっこの時だけでいい」
女「…ふふふっ」
男「…にーらめっこしーましょ!」
女「…あっぷっぷ!」プーッ
男「…ぷ…」
女「…く…くっ…」
……
……
男「友ー、入っていいか?」
友「…おう。入って大丈夫だ」
ガラッ
男「ありがとうな。仲直りできたよ」
友「それはよかった。…さて、なんだかんだで、もう夕方だな」
女「友君っ、美味しいコーヒーありがと!」
友「おう、そりゃよかった」
委「女君も、コーヒー飲めるんだね?」
女「んー、いつもはお砂糖とミルクをたーっくさん入れるんだけど」
女「あそこの喫茶店のコーヒー、ブラックでも飲めちゃったんだよ!」
友「そうか。あそこのコーヒーは特別なんだ…俺にとっても…」
男「美味かった…。あのコーヒー、またここに来たときに飲みたいな」
委「…さて。少し街に出ようか。行ってもいい場所ははくさんあるんだが、この旅館の夕食はぜひ二人に食べてほしいんだ」
友「あぁ、ここの夕食はぜひ食べてほしい。ただ少し時間もあるし、委員長の言うとおり、どこかに出かけよう」
女「んー、じゃああたし、委員長ちゃんとお買い物したいな!」
男「あのなぁ、女、二人が一年付き合った記念に旅行してるんだから、二人にさせてやろう…」
友「いや、その必要はない。お前たちがコーヒーを飲んでる間、俺たちは十分二人で過ごした」
委「……」
男「…そうか? …わかった。じゃあ、俺と友、女と委員長で少し散策するか」
友「よし…それなら、6時にこの旅館の入り口に集合しよう。それでいいな?」
……
……
男「…枯山水、ってやつか。なるほど、初めて見たけど、これほど見事とは…」
友「…親が、好きでな。よくこの寺には連れられて来たんだ」
友「懐かしくてな…時々一人で来るんだ」
男「…なんか、渋いんだな、友って」
友「…寺だから、宗教とか、って思うだろうが、俺は特定の何々を信仰したりはしないからな」
男「そっか…俺にもよくわからないけど…」
男「ただ、この庭の良さは、なんとなく分かるよ」
友「…そうか」
男「…昼もいいんだろうが、夕方に見る枯山水もきれいなもんだ…」
友「…そうか」
友「…俺は…」
男「……」
友「…俺は、たまらなく委員長が好きだ」
男「……」
友「どうしようもなくいとおしい」
友「だから、なにに代えてでも委員長を守りたい」
友「だが…俺にその資格があるのかわからない」
友「…委員長に表現するのが苦手なんだ。愛してる、って、好きだ、って、言えないんだ」
友「いや、正確には、言い出せないんだな。口に出したら嘘になりそうな気がして、な」
友「…安っぽく言葉を使う。これは、相手に対しての冒涜だと俺は思う」
男「……」
男「…でも、俺には委員長さんのことがいとおしいって言うじゃないか」
友「それはそうだ。直接伝えるのが、それが難しいんだ」
男「……」
友「……」
男「…泣いてるのか」
友「…言うな」
男「…泣きたければ、泣くといいんじゃないかな」
友「……」
男「…枯山水の魅力って、俺は研ぎ清まされた空気だと思う」
男「いらないものを省いた、極限の表現方法、かな」
男「例えば、あそこの岩…あれが少しでも大きかったら、この庭全部の調和を乱すことになるだろ?」
男「…言葉も、同じじゃないかな」
男「ありのままを伝える。過不足なく、正直に」
男「…あの岩が完全な球体じゃあ、味気ないだろ?」
男「…お前の無骨な、正直な言葉なら、きっとそれは嘘じゃないさ」
男「……」
友「……」
男「…もう少しここにいるか」
友「…すまない…」
……
……
女「ねーねー、委員長ちゃん! おみやげ買っていこうよ!」
委「あぁ、そうだね。…君は誰に買うんだい?」
女「んー、お母さんとー学校の友達とー…そのくらいかなー」
委「…男君には買わないのかい?」
女「んー、男はいいかな。一緒に来てるし、またいつか一緒におそろいのアクセサリーとか買いに出ればいいや」
委「…そうかい…うらやましいな」
女「ん? どうして?」
委「ん、なんというか、友がそういうの好きそうじゃないというかね」
女「んー、そっか」
委「…僕には魅力がないから、かもね」
女「えー、そうかな。どうしてそう思うの?」
委「そうだな、僕ってこんな話し方じゃないか。これって女の子らしくないだろう?」
委「それに女の子にしては体にも魅力がないと思う」
委「…実は僕たち、まだキスすらしたことないんだ」
委「好き同士付き合ってるはずなのにキスもしないなんて…」
委「…なんというかっ…虚しいよねっ…」ポロポロ
女「っ!? い、委員長ちゃん!?」
委「…んっ、ふっ…ううっ…」ポロポロ
女「い、委員長ちゃん! とりあえず、旅館に戻ろっか!」
……
……
男「…んで、今委員長さんは友と一緒に部屋にいるわけか」
女「うん…なんか、なんて声かけていいのかわからなくて…」
男「そっか…まぁ、しょうがないよ。変に刺激しちゃったらややこしくなっちゃうし」
女「……」
男「……」
友「おーい、男、女、入っていいか?」
男「! あぁ、いーぞ」
ガラッ
友「女ちゃん、ごめんな。委員長は疲れたみたいで今ちょっと寝てる」
女「…ねぇ、友君…」
……
……
男「この刺身美味い」モグモグ
女「このだし巻き玉子どうやって作ってるんだろう」モグモグ
男「天ぷらサクサク。これは持ち帰りたいくらいだ」サクサク
女「お吸い物がすごい。こんなお吸い物、お吸い物じゃないみたい」ズズーッ
男「たんぽぽ食べる?」サシダシ
女「それ食用菊だよー。あたしいらないや」モドシ
男「おっ、茶碗蒸しすごいプルプル。はいアーン」
女「はむっ。…ほんとだ、すごいプルプルなのに優しい味」
男(女相変わらずかわいい)
男「んー…これはやっぱりお酒だね」クンクン
女「あーっ、いけないんだー男!」
男「一口だけっ」ゴクッ
女「あっ! ずるいずるいっ! あたしも一口!」ゴクッ
男「…うん、なんか、お酒は、もういいや」
女「…そうだね、大人ってよく飲めるね、こんなの」
男「いやー、でもこんなに美味しいものがたくさん出てくるなんて、殿様になった気分」
女「んー、じゃああたしはお姫さまだね」
男「部屋も落ち着いた雰囲気だし、うるさくないし、言うことないね」
女「今度お母さんと一緒に来たいなー」
シツレイイタシマス オサゲシテモヨロシイデショウカ…
……
……
男「はい、浴衣。そろそろお風呂行こっか」
女「おー、ありがとう…――っ! 委員長ちゃん誘おーっと!」
男「ん、どうだろー。やめておいた方がいいんじゃないかな」
女「えー、だって一人で入っても仕方ないじゃんー。大丈夫、委員長ちゃんもお風呂入りたいと思うよ!」
男「…うん、じゃあ行ってきなさい!」
友「男ー、女ちゃん、風呂行くかー?」
男「おー、今行くー」
女「いざゆかん!」
ガラッ
委「……」モジモジ
女「おっ、委員長ちゃん! 今誘いに行くところだったんだよ! さっ、行こう行こう!」ギュッ
委「あっ、そ、その僕は後でいいかなって…ああっ!?」ダーッ
女「いいのいいの! お風呂はいろんな人と入るのが楽しみでもあるんだよっ!」ダーッ
友「…女ちゃんって、いっつもあんなに元気なのか?」
男「ま、まぁな…」
友「…俺たちも行くか」
男「…あぁ、そうだな」
……
女「あれーっ、ここどこーっ!?」
委「お、お風呂はもう通り過ぎちゃってるよ!」
……
……
委「///」モジモジ
女「」
委「な…なんだいっ! そんな…そんなに見ないでくれっ!」
女(あらかわいい)
委「み…みるなぁっ…」
女(じーっ)
委「…ううっ…恥ずかしい…」
女「いやー、委員長ちゃん、こりゃええ体してますのう」
委「…なんだか、誉められてるのは嬉しいのに、女君の言い方がおじさんくさいのが引っ掛かるんだが」
女「気にしない気にしない! さっ、からだ洗っちゃおう!」
委「なんか引っ掛かるけど…うん、そうしようか」ジャバー
女「お、髪の毛から洗うタイプかい?」ジャバー
委「? 女君は違うのかい?」シャカシャカ
女「うんー、あたしは顔からだよー。なんかスッキリするじゃん」
委「ふむ。それもいいね、次はそうしてみよう」
女「……」ジャバー
委「……」ジャバー
女「…ふふふ…」
委「? どうした、女君?」
女「委員長ちゃんのからだはあたしが洗ってやるのだーっ!」
委「!? だ、だ、だめええぇぇっ!」
……
……
委「…///」ブクブク
女「いやー、恥ずかしそうにしてる委員長ちゃん、かわいかったなーっ、いや、女ちゃんは嬉しいよっ」テカテカ
委「…お…」
女「? なんだね、言ってごらん?」
委「…お嫁に行けない…」ブクブク
女「あはっ、それじゃあ委員長ちゃんは友君ではなくあたしがもらうのだーっ!」
委「!?」
女「さぁさぁさぁ、委員長ちゃん! いや、委員長! 結婚式はハワイがいいかい!?」
委「ち、ちょっと!」
女「いや、委員長のことだから純日本風かな? いや、教会で二人ともウェディングドレスっていうのもなかなか…」
委「ちがっ、あたしは教会で式あげたいけど…じゃない!」
女「あっ、まずご両親に挨拶か!」
委「そうじゃない! 僕は友のお嫁にしてもらうんだ! それが僕の夢なんだ!」
女「……」
委「…え…」
女「……」
委「…あの、女君?」
女「…ほら、やっぱり友君じゃないですか!」ニヤッ
委「…ん…///」
女「考えすぎちゃダメだよ、委員長ちゃん。あたしの目から見る委員長ちゃんは、十分魅力的だよ」
女「うん、だって、端から見てるだけだけど、皆に分け隔てなく自然に接する人、委員長ちゃんくらいだよ」
女「それってすごく素敵なことじゃない? すごく羨ましいな」
女「それに、自分の体が何々って言ってたけどさ」
女「友君と委員長ちゃんって、そういうことも気にしない仲になってる気がするんだ」
女「だから、いいんだよ。友君なら、委員長ちゃんの全部を受け入れてくれるよ」
女「知り合ってまだ間もないけど、二人が本当に仲良しだ、って、あたしにも分かるくらいだもん」
委「…///」
女「……」
委「…///」
女「…う゛ーっ! ずるいずるいずるいっ! 男に会いたいっ! 委員長ちゃん! あたし先出るねっ」ザパッ
女「…あっ、委員長ちゃん!」
委「…/// ――っ?」
女「さっき委員長ちゃん、自分のこと『僕』じゃなくて『あたし』って言ったよね?」
委「え、ええっ!?」
女「その時の委員長ちゃん、すっごいかわいかったよっ!」
委「ええっ! ぼ、僕が、かい!?」
女「ふふっ、じゃあ、おっさきー!」
委「……」
委「…あたし…」ボソッ
委「――っ///」ジャバジャバ
……
……
男「おー、女…」
女「あっ! 男! コーヒー牛乳いいなっ!」
男「」
女「一口もらうよーっ…ゴクゴクゴクッ…」
男「」
女「――っぱぁっ! いやー、あたしってお風呂上がりはポカリ派なんだけどさーっ、コーヒー牛乳もいいもんだねっ」
男「」
女「…おーい、男ー」
友「男がそうなるのも、分かる気がするよ」
女「おおっ、友君!」
男「…分かってくれるか! 友!」
友「…ちゃんと幸せになれよ、男!」
女「あ、そうだ友君。委員長ちゃんだけど、まだお風呂に入ってるってー」
友「おぉ、そうか。…じゃあ俺はここであいつを待ってるよ」
女「そういえば友君はお風呂上がり何派? 友君、お水が一番っていいそうだなー」
友「…フルーツ牛乳…」ボソッ
女「…ぷっ…」
友「…笑うな」
男「…じゃあ俺たちは部屋に戻ってよっか」
女「…うん、そだねー。じゃあ友君、またねー!」
……
……
ガラッ
男「ただいまー」
女「おかえりー…ねーねー、さっきなんであたしのこと見て放心してたの?」
男「ん…そうだな、浴衣姿を見るのは初めてだから、かな」
男(言えない、女の浴衣姿がかわいすぎて抱き締めたくなったなんて恥ずかしくて言えない)
女「んー…そっか。男もかっこいいよ、浴衣姿」
男「おー、そりゃありがと」
女(そうなんだよな浴衣姿なんだよカメラ持ってこなかった携帯でいいかいやでも画素数良くないからどこかで買ってこよ)
女「あっ! そうだ! そうだよ!」
男「?」
女「男! 買い出し行くよっ!」
……
……
委「や、やぁ、すまない。友。待たせてしまって」
友「…ん」
委「やはりまだ寒いから眼鏡が曇りやすいね」
友「…そうだな、からだも冷える前に、早く部屋に戻るとしよう」
委「うん…あぁ、友」
友「どうした?」
委「…そのだね、僕がだよ、僕がもし、一人称を『私』に変えたらね…」
委「…友は、こんな僕を可笑しがるかい?」
友「…また、もしの話か」
委「…すまない」
友「…『あたし』は違うだろう」
委「…?」
友「いや、色々考えてるんだ。委員長が一人称を変えたときのことを」
友「『あたし』は、女ちゃんがよく使う一人称だ。活発な女ちゃんだから、よく似合う」
友「『僕』もいいと思うが、少しボーイッシュな感じもする」
友「『私』…か」
委「……」
友「……」
委「…いやっ、僕はぼくの」
友「いいんじゃないか。俺は委員長が『私』って自称するの、結構…その、かわいいと思うぞ」
委「…じゃあ、私、これから自分のこと、私って呼ぶよっ」ニコッ
……
……
ガラッ
友「…ふぅ…さ、布団敷くか」
委「そっ、そうだね。あ、私、友君の分も敷いておくよ」
友「…ん、いいのか」
委「うん、このくらいは私にやらせて…」
男「おーい、友、開けていいかー?」
友「…あぁ、いいぞ」
ガラッ
男「お邪魔するぜー」
友「ん…その両手のはなんだ」
女「えっへへー」ヒョイ
委「あ、女君」
男「これはな…せめてものお礼、だよ」
友「?」
女「ふっふー、二人が付き合いはじめてそろそろ一年なんでしょ?」
男「だからな、お前らのお邪魔をしちゃったから、少しだけだが、お菓子とジュースの差し入れだ!」ドヤッ
女「どやっ!」ドヤッ
友「……」
委「……」
男(あれ、外した!?)
女(あれ、外した!?)
友「…なんというか」
委「…言葉もでないよ…本当にありがとう」
男「お、おぉ、そりゃよかった」
女「…よかったぁ、外しちゃったかと思ったぁ」
友「随分いっぱい買ってきてくれたんだな…本当ありがとう」
男「ほら、お前専用のフルーツ牛乳だ」ドン
友「…くっ、はははっ」
委「ふふふっ、友は嬉しいだろうね」
女「あーっ、後であたしにも少しちょうだいねっ!」
……
……
シツレイイタシマス トモサマ イラッシャイマスカ?
友「? …はい、どうしました?」
ガラッ
委「…そうそう、友の叔父さんの話はしたっけ」
男「んー…いや、聞いたことないな」
女「きっと友君のご家族なら、渋い人に違いない! 委員長ちゃん、違う!?」
委「あはは、いや、実は私も叔父さんにお会いしたことはないんだよ」
女「?」
男「?」
委「あれ、どうしたんだい…あっ…ああう…///」
女「ふっふっふー…委員長ちゃん、一段と可愛さに拍車がかかったんじゃないかな?」
委「…いいんだ、友との約束だから…」
女「おっ、熱いね熱いねーっ」
委「はっ、はやし立てないでくれないか!?///」
女「いやー、眼福眼福。ありがとね、委員長ちゃん」
男「…まぁ、そんなにからかってやるなよ」
ガラッ
友「……」
委「…お、おかえり…///」
女「おかえりなさーい」
男「あれ、なんだそれ」
友「…これ、な」
女「…?」
委「…?」
男「…?」
友「…まぁ、単刀直入にいえば、酒だな」
男「えっ」
女「えっ」
委「ふむ…一応高校生だけども、ね」
友「…叔父さんの差し入れ、だとさ」
委「さて、どうしたものか…」
友「……」
男「…お酒は気が進まないけど、差し入れとしていただいてしまったなら一口!」グイッ
女「あっ、男っ、ずるいっ、あたしもっ!」ペロッ
委「…それじゃあ、私たちも飲むとしようか?」
友「…あぁ、そうだな」
男「! さっきの食事の時のお酒よりこっちの方が好きだな!」グビッ
女「こっちも美味しいよ! なんかジュースみたい!」ゴクゴク
……
……
女「…ZZZ…」
男「…女も委員長ちゃんも、寝ちゃったな」
友「…まぁ、一年前も委員長は飲んですぐ寝たからな。弱いんだろう」
委「…ZZZ…」
男「……」グイッ
友「……」グイッ
男「…ほら」トクトク
友「…おう、お前のも」トクトク
男「……」
友「……」
カチャン
カチャン
委「まぁ…まずは乾杯って所だね」
友「おう」
委「…でも、びっくりしたよ。まさか友君が僕を好きになってくれるなんて」
友「…言うな、恥ずかしい」
委「はははっ…なぁ、友君、どうして僕と付き合う気になったんだい?」
友「……」
委「……」
委「…だって、変じゃないか。高校に入って右も左もわからない僕は、君に質問攻めして、普通は辟易するものじゃないか」
委「…実は僕、冬の講習の時に、君が僕に缶コーヒーをくれた時から、ほとんど一目惚れみたいなものなんだ」
友「……」
委「…だから、僕は…嫌われてもいいから、君と話したかったんだ」
委「だから、メールしたり、電話してたんだよ」
委「直接話しかける勇気はなくてね…いや、卑怯者だよ、僕は本当に」
委「…今冷静に考えても、うん、無器用すぎるし、ね」
友「…薄々は…」
友「…薄々は気付いてた」
委「…君も人が悪い」
友「すまんな。…それで、なんだっけか」
委「…どうして、僕と付き合ってくれたんだい?」
友「……」グイッ
委「……」コクン…
委「…結構、辛い、お酒だっ…ね…」ポーッ
友「……」グイッ
委「……」ホワーッ
友「…なんでだろうな。…一番思うのは…」
委「……」ウツラウツラ
友「…守りたくなったから、かな」
委「……」
友「…委員長のことを、なにがあっても守りたいから」
委「…ZZZ…」
委「…ZZZ…」
委「…ZZ…Z…」
委「…ん…んんう…」
委「…!…」
委(まずいよ、今年も酔った勢いで眠りほうけてしまった!)
委(…友が布団、敷いてくれたのかな…)
委「…あの」
友「……」
委「…寝てしまってるのかい?」
友「……」
委(…私には分かるよ、まだ君は起きているんだろう?)
委「…なんだ、まぁ、うん」
委「…君の布団、入るよ」モゾモゾ
委「……」
友「……」
委「…///」
友「……」
委「…///」ギュウ
友「……」
委「…な、なぁ、友、こっちを向いてくれないか…?」
友「……」グルン
委「…ふふっ…こんなに顔が近いの、初めてかもね」ギュッ
委「……」ギュッ
友「……」
委「……」ギュウ
友「……」ギュッ
委「!?」
友「……」ギュウ
委「……」ギュウ
友「……」ギュウウウ
委「んっ…と…友、くる…くるし…」
友「あ…す、すまん」
委「…ふふっ、いや、でも嫌じゃないよ」ニコッ
委「…できれば、もう一回お願いしたいんだが…」
友「す…すまん、まだ、慣れてなくて」ギュウ
委「…うん、まだ…まだ大丈夫」
友「…このくらいはどうだ?」ギュウウ
委「…もっと…」
友「…大丈夫か?」ギュウウウ
委「んっ…う…」
友「や、やめておくか?」ギュウウ
委「…いや、まだ、だめ。もっと…」
友「…んんっ…」ギュウウウウ
……
……
友「…ちょ、ちょっと休憩…」ギュウ
委「…たまにしか言わないわがままなんだ、あともう少しだけ…」
友「…ん」ギュウウ
委「…♪…」
友「…じゃあ、強くするぞ?」ギュウウウ
委「…んんっ…あ、あぁ…くぅ」
友「…そ、そろそろやめるか?」
委「だ、だめだ! もっと君を感じたいんだ!」
委「君が私を抱き締めた、今の感覚を私は忘れたくないんだ!」
委「いつまでも残るように、君との記念を…この体に染み込ませてくれないか…?」
友「…わかったっ…」ギュウウウウ
委「あああっ、き、きつっ…ぐううっ」
友「…んんっ…」ギュウウウウ
委「…あっ、も、う、もういい…十分だ…」
友「…そうか…」
委「…ふふふっ、なんか、締め付けられてた感じだ…」
友「…ははっ」
委(うん、きっと私はこれでいいんだ)
委(これが私にとって、十分すぎる幸せ)
委(これ以上を求めたりなんかしたら、きっと私じゃなくなっちゃう)
委(今、今が一番幸せ。付き合えて…本当によかった)
委「…ごめんね、付き合わせちゃったね」
委「…私は布団に戻るよ…」モゾモゾ
友「……」ガシッ
委「!?」
友「…行かないでくれないか…」
委「…お化けでも怖がってるのかい?」
友「…まぁ、そんなところだな」
委「…そうかい」モゾモゾ
友「…俺もひとつだけ…わがままを言ってもいいか?」
委「…なんだい?」
友「…キス、させてくれないか」
委「…僕でいいのかい…?」
友「…委員長が嫌なら、拒否していいんだからな…」
委「……」
友「……」
委「…ギュッてして…」
友「……」ギュッ
委「…うん…」
友「……」ギュウ
委「……」
友「……」
……
……
チュン チュン
男「…ZZZ…」
女「…んー…っ」
男「……」
女「…ふふっ…」
女「……」チュッ
男「…ZZ…Z…」
女「……」ギューッ
男「…ん…」
女「…んー…」チュ
男「…ん、おはよ」
女「えへへ…おはよ」
男「…ん、昨日もかわいかった」
女「…ばか」
男「ん…」チュッ
女「ううっ…あ、あ…今何時だろー…」
男「…んー、まだ6時だね。朝のお風呂に入って、それから食事にしよっか」
女「うん、さんせー…」モゾモゾ
女「んん…こ、腰、いた…い…」
男「そんな、まだ若いんだから…」モゾモゾ
男「…うん、痛い。…あと5分だけ横になろっか…」
……
……
男「…んまかった!」
女「…んまかった!」
友「ごちそうさま」
委「うん、ごちそうさま」
男「んー…さて、もう帰らなきゃな。週末旅行の寂しいところだ」
女「えー、あともう一泊だけ泊まりたいなー」
男「…じゃあ学校に直接行くのか?」
友「さすがにそれはできないな…できるならもう一泊したいところだが」
委「…うん、そうだ。確かこの近くの神社でお祭り、やってたね?」
女「? お祭りなんてあるの!? 行きたい!」
委「あぁ、たしか花祭りで、出店もたくさんあったはずだよ」
男「…行ってみたいな。友、何時ごろから始まるか知ってるか?」
友「ん…そうだな、お昼に行けばちょうどいいんじゃないか?」
委「うんうん…我ながらいい提案をしたね。MVPだと思うよ」
男「よし、じゃあチェックアウトしたら、そのお祭りに行ってみるか!」
友「そうだな…あ。緑茶かコーヒーか、もらってくるけど、どうしたい?」
男「俺はコーヒーかな」
女「あたしお茶がいい!」
委「うん、私も緑茶をもらえるかい?」
友「わかった、待っててくれ」スタスタ
女「…ねぇねぇ、委員長ちゃん!」
委「…ん、どうしたのかな?」
女「昨晩はおたのしみでしたね!」ニヤニヤ
男「ブッ」
委「!?」
委「…///」
女「おぉ、図星かなっ」
男「この馬鹿っ」ポカン
女「うわー、男が殴ったぁ」
男「当たり前だバカヤロウ!」
委「…ま、まぁ、なんだ」
男「すまん、委員長。馬鹿なこと言っちまって」
女「ぶー、男の方が馬鹿だもん」
男「今は余計な口をきかない!」
委「は、はは、まぁ、女くんにも悪気があった訳じゃないだろうし…」
女「ほらー、委員長ちゃんもこう言ってるもん!」
男「あのなぁ…」
委「そ…それにだね、女くんにはいずれ話さなきゃならないことだし、今になってもいいんだよ」
女「ん、なになに?」
男「……」
委「…ん、その、だね…」
男「あー、えーと、すまん…ちょっと席外すぞ?」
男「友はどっちに行ったっけ?」
……
……
友「…おう」
男「…二人は今、女の子同士の話で盛り上がってるよ」
友「…そうか…立ちながらで無作法だが、コーヒー、どうだ?」
男「おっ、ありがとう」
友「……」
男「……」
友「…美味い」
男「…美味いな」
友「…さて、お祭りに行かなきゃな」
男「…おう、お互い、いいところ見せなきゃな!」
……
……
ピー ヒャラルル ドンラ ララハル
女「んーっ、お祭りって感じのお祭りだねーっ」
男「んー、そうだな。これで浴衣だったら完璧に夏祭り、だな」
委「うん…やっぱり活気があっていいね、お祭りって」
友「ちょっとウキウキしてきた。…射撃やりたい!」
男「案外定番なやつが好きなんだな、友って」
女「ギャップがあっていいと思うよー」
委「うんうん、そういうところもいいよね」
女「……」ニヤニヤ
委「…! …べっ、別にいいじゃないかぁ!」
女「あははっ! やっぱり委員長ちゃんかわいーっ」ムギュッ
委「んむふぅ…ち、ちょっと、女く…んっ」ジタバタ
ガヤガヤ ヒトツゴヒャクエンダヨー オツリチョウダイ!
友「…あれ、男は?」
女「…あれ?」
委「…ん?」
友「…人も多いし、はぐれたか?」
委「んー、男くんのことだ。少し離れてしまっただけですぐに合流するだろう。はぐれた、というほどじゃないと思うな」
女「…おとこー?」キョロキョロ
友「……」
委「……」
女「……」
オジョウチャン イッカイヤッテカナイ? オカアサンアレホシイー
友「……」
委「……」
女「……」
トントン テケテン タカタカ ピードンパッパ
委「…男くんに、電話してみようか」
友「…お、わかった。すぐ電話する…」
友「……」prr..
友「……」prr...
友「…だめだ、つながらないみたいだ」ピッ
委「…そうかい…」
女「…おとこぉ…」キョロキョロ
女「…なんか、ごめんね」
友「女ちゃんが謝ることじゃないぞ」
委「そうだよ。この状況だったら、私も皆とはぐれていたかもしれないんだ。だから謝る必要なんかないよ」
女「うん…でも…」
女「じゃあ、あたし、一人で男探すよ」
友「ん……」
友「…それでいいのか?」
女「うん。君たち二人で回るのも、たまにはいいでしょ?」
委「ふふっ、ありがとう…でも男くんと合流出来次第、すぐに私たちに連絡してくれよ」
女「うん、もちろん」
……
……
女「……」キョロキョロ
女「……」キョロキョロ
女「……」
女(あっ、焼きそばだ。美味しそうな香り)
女(こっちはたい焼きだ。カスタードあんも作ってくれるんだ)
女(わたあめだ…あとで絶対食べよっ)
女「……!」キョロキョロ
女「おとこーっ!」
男「……!」
母「……!」
?「……!」
女「……っ!?」
男「おー、どしたー?」
女「どうしたー、じゃないよ!」
母「いやねぇ、別にいいじゃない」ニコニコ
女「よくない! みんなで探してたんだよ! それよりなんでここにいるの!」
父「ただいまーっ、我が娘よーっ!」
女「なんで帰ってきたの! いや、別に帰ってきてくれたのは嬉しいけど! おかえりなさい!」
男「あ、そこは思ったよりナチュラルな反応だ」
母「いや、昨日の夜の便で帰ってきたみたいなのよ」
父「二人をビックリさせようとお父さん色々と頑張ったんだぞー」
父「…でも女ちゃんがいなかったからなぁ。だから今日二人で女ちゃんたちの旅行先に遊びに来たんだよ!」
母「こういう考え方は結婚する前からなのよー、男くん」
男「あ、そうだったんですか。てっきりお母さんがそういう風に昔から行動されてたのかと思ってました」
父「いやー、今では母さんの方が上手くやるからなぁ」
女「ちょ、ちょっと! 分かったから! とりあえず話を聞いて!」
母「あら、二人だけの方がいい?」
父「そうだなぁ。娘の顔も見れたし、後は母さんと一緒に散歩できたら俺は満足だなぁ」
男「え、いいんですか? 僕は適当にブラブラするので三人で散策したらどうですか?」
母「いいのよー。お父さんもすぐに向こうへ戻る訳じゃないみたいだし」
父「そうだなー。次に戻るのは一ヶ月後だなぁ」
母「ね、大丈夫なのよ。あ、男くん、またお夕飯食べにいらっしゃいな。四人で食べましょうよ」
男「いいんですか? みなさんがいいと言ってくださるならお邪魔したいです」
女「もう…はい、男くんは委員長ちゃんと友くんに合流するからここでお別れねー」ギュッ
父「お、手を繋いだな母さん」ニコニコ
母「ええ、そうですね」ニコニコ
男「んー…じゃあそろそろ行かなきゃならないようなので、これで失礼します」ペコッ
母「いいのよー。またうちに遊びに来てね?」ニコニコ
父「うん、それがいい。戻る前に遊びに来てくれな」ニコニコ
女「はいはい、お父さん、お母さん、また連絡するね…それじゃ、行くよ、男?」トコトコ
男「うん…それじゃあ、失礼します」テクテク
母「はぁい」
父「またなーっ」
母「……」ニコニコ
父「…さっ、向こうの方に行ってみようか…」
……
……
男「……」ギュッ
女「……」ギュウ
男「…人、多いな」
女「…うん、またはぐれちゃいそう」
男「手、離すなよ」ギュッ
女「うん、離さない」ギュッ
男「…あ、あそこ、友と委員長じゃない?」
女「あ、連絡するの忘れちゃってた…」
男「大丈夫だろー…」
女「ねぇねぇ」
男「ん? どした?」
女「……」チュッ
男「…!」
女「…えへへっ」
男「…あ、あのなぁ…」
女「……」
男「……」
女「…つぎ…」
男「…?」
女「…これ以上言わせないでよ」プイッ
男「……」クスッ
男「…なぁ、女」
女「…はい」
男「…こっち向いてくれよ」
女「…はーい」クルッ
男(あ、こいつ本当かわいい)
女(男、本当かっこいいなぁ)
男「…なんだ、その…」
女「…へへーん」
男「…なんだよ?」
女「…んー、なんでもない」
男「…そっか…仕切り直し!…なぁ、女」
女「…はい」
男「……」チュッ
女「…えへへ…」
男「…愛してる、女」
おわり
725 : 1 ◆HQulO2S2Ks - 2012/05/01(火) 02:00:29.19 Px0cuI+rO 241/241
保守支援などなどなど、本当にありがとうございました。
お目汚し失礼しました。