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「第40位。HKT48。チームH、田島芽瑠」

 速報82位からの、見事な巻き返し。テレビカメラの向こう側で見守るファンへ、満面のアイドルスマイルを見せた。

 「今日まで戦ってくれて、ありがとうございました。今までで一番ってくらい、みなさんとの絆を深められました」

 これまでにないほど、強い思いで臨んだ雪辱戦。目標の25位には届かなかったが、限られた時間の中で言葉を紡いだ。

 「票数も順位もアップした。またステージに上げてもらって、感謝しています」

 昨年の、自身4度目の総選挙。前進し続けてきたはずの「大一番」で、ついに初のランクダウンを味わった。感情を抑えきれず、大観衆の前で落涙した。9thシングル「バグっていいじゃん」では、まさかの選抜落ち。デビューシングルで「初代センター」に抜てきされた逸材の惨状は、誰よりも本人の心に深い影を落とした。「どう頑張っても先が見えない」。今の自分を否定されたような感覚さえ芽生えた。

 それでも、少女は諦めなかった。「神様は、乗り越えられる試練しか与えないんだ」。心から信頼を寄せるファンとなら、必ずはい上がれる。前だけ見て進むために、メールに弱音を吐き出した。

 「いやだ」

 「怖い」

 「逃げたい」

 「でもだめだ」

 暗くなりすぎないように、すべての語尾に「(笑)」をつけ、羅列した。それは悲鳴であり、決意でもあった。

 親戚に、友人に、頭を下げて回った。「かっこ悪い」が大嫌いだった少女が、体裁をかなぐり捨てて戦った。

 本当は、ちょっぴりネガティブ。弱い自分を振り切るように、がむしゃらに走った先に、光明のような2万4458票が待っていた。

 司会の徳光和夫氏にうながされ、病床にいる98歳の曽祖母に思いを伝えると、初めて表情をゆがませた。

 「今年の冬は乗り越えられないかもって言われてるんですけど、私のうれしい報告があれば、頑張れるってお医者さんが言ってた。今は、ひいおばあちゃんに(結果を)伝えたいです」

 明けない夜はない。輝きを取り戻し始めた「博多の太陽」が、南国の夜空に「アイドルの夜明け」を告げた。



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