律(澪も最近彼氏ができたみたいだし、むぎも婚約者がいる……)
律(もしかして、あたしって遅れてる?)
元スレ
律「え?唯ももう経験済みなんだ……」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1241061289/
律(あ、あたしも彼氏作ろうかなぁ……)
律(でも女子高だし、男子と接点ないよ……)
律(澪はどうやって付き合い始めたのかな……)
律「な、なあ、澪」
澪「なに?」
律「えっとさ、澪って今彼氏いるんだよな?」
澪「え……う、うん」かああ
律「どこで知り合ったんだよ、このこの」つんつん
澪「そ、それはその……」もじもじ
律「もしかして……出会い系みたいなやつで知り合ったとか?」
澪「ち、違う!」
澪「こ、この間散歩してたら声かけられて……」
律「……ナンパ?」
澪「そうじゃない!たまたま、たまたま散歩の道が同じだったから話すようになって……」
律(やっぱ見た目かぁ……あたしなんてナンパされたことねえよ)
律「……もうエッチはしたのか?」
澪「…………!!」
澪「な、なんで律にそんなことまで言わないといけないんだ」
澪「もうこの話は終わり!!」
律(最近初体験済ましたな……)
律(澪は恥ずかしがってもう教えてくれないし……)
律(唯……唯なら前みたいにぶっちゃけた話してくれるかも……)
律「唯~、ちょっと」ちょいなちょいな
唯「あ、りっちゃん」
唯「どうしたの?」ぽわわーん
律(……こんなやつがほんとに経験あるのか?)
律「ちょっと聞きたいんだけど」
唯「うん」
律「えっと……唯はエッチしたことあるって言ってたよな?」
唯「うん、あるよー」
律「あ、相手の男の人とどうやって付き合い始めたんだ?」
唯「え?私男の人と付き合ったことはないよ?」
律「!?」
律「で、でも経験あるって……」
唯「あはは、りっちゃんって面白いね!」
律「……」
唯「べつに付き合わなくてもエッチはできるんだよ?」
唯「あ、もしかしてりっちゃんはバージンロードをほんとに処女のまま歩くつもりだった?」
唯「そんな人今時いないよー」
律「……」
律「……唯って、そんな奴だったんだ」
唯「え?」
律「見損なったぜ!バカ!!」
唯「な、なんでりっちゃんにバカって言われないといけないの?」ぷくーっ
律(唯はダメだ、ぶっちゃけられ過ぎて……)
律(しかもあたしを馬鹿にしやがって……)
律(むぎなら、もっとオブラートに包んだ物言いで……)
紬「私の婚約者のことについて?」
律「前に婚約者がいるって言ってたじゃん」
律「普通の彼氏と違って、なんか付き合いづらくないか?」
紬「そんなことないわよ、とても優しい方だし」
紬「たまにしか会えないから、遠距離恋愛の恋人同士って感じが近いかも」
律(そっか、むぎは普通の恋愛もできないんだ……)
律(それに比べたら、あたしには選択の自由があるんだ)
律(恋愛するのもしないのもあたしの自由……焦ることはないんだ)
紬「でも身体の疼きはどうしようもないわよね」
律「……え?」
紬「この前も、カッコいい男の人がうちに来たから……」
紬「ついね♪」
律「……むぎ」
律「婚約者がいるのになんで?」
紬「あら?ご、ごめんなさい!てっきりそういう下の話かと……」
律「むぎのバカ」
律「やっぱりあたしとは住む世界が違うってことか」
律「……ぐすん」
数日後
唯「ねえねえ、澪ちゃんの彼氏ってどんな人?」
澪「え……」
唯「澪ちゃんが好きになるくらいだからきっとカッコいいよね」
澪「う、うん、まあ」てれてれ
紬「まあ、写真とか持ってないの?」
澪「い、一応写メを……」
きゃいきゃい
律「…………」
がたん!!
唯「あれ、りっちゃんどうしたの?」
律「帰る」
澪「ちょ、ちょっと律?」
律「うるさいうるさい!あたしに構うな!」
ばん!!!
紬「……なにか気に障ることをしたかしら」
唯「もう、りっちゃんなんてほっとこうよ」
唯「この前なんかひどいんだよ、私のことバカにして」
紬「……私もこの間ちょっと……」
澪「私は……彼氏のことでからかわれた……」
唯「みんなもそうなんだ」
唯「りっちゃんってまだ処女みたいだし、頭固くて嫌になっちゃうよね」
澪「頭固いっていうか……デリカシーはないと思う」
紬「男性経験がないこととあまり関係ないと思うけど……」
唯「関係あるよぅ」
紬「でも……」
唯「あるよ」
紬「え」
唯「あるよね?」
紬「……はい」
唯「部長があんなんじゃ、軽音部の士気が下がるよね」
澪「そうだな……」
紬「……」
唯「じゃあさ、みんなでりっちゃんを『女』にしてあげない?」
澪「え?」
唯「りっちゃんに男を知ってもらうんだよ!」
紬「……無理矢理ってことですか?」
唯「違うよむぎちゃん、何言ってるの?私たちでりっちゃんのボーイフレンドを作る手伝いをするんだよ」
唯「最近のりっちゃんはそーゆー経験がないせいで私たちとの間に壁を感じてるんだよ」
澪「うん……たしかにそうかも」
唯「りっちゃんだけ仲間外れなんてダメだよね?」
紬「そ、そうね……」
唯「だからみんなでやろうよ!」
澪「……でも、そういうのってどうなんだ?」
澪「恋人を作りたい、じゃなくて、好きな人を恋人にしたいっていうのが……」
唯「なに言ってるの?そんなの澪ちゃんだけだよ」
澪「え?え?」
紬「同意したいけど、誰もがそんな恋はできないと思うわ……」
澪「だって、律はべつにそんなこと頼んでないよ……?」
唯「私の言うことにさっきまで頷いてたでしょ」
澪「それは律が疎外感を感じてることに対してで……」
唯「だから私たちでりっちゃんにさびしい思いをさせずにしようって言ってるんだよ?」
澪「……」ぽろぽろ
唯「なんで泣いてるの?りっちゃんと一緒だよ、言いたいことははっきり言ってよ」
澪「だって……こんなのおかしいよ?」
澪「唯……なんだか怖い……」ぽろぽろ
唯「……ムギちゃんも?」
紬「……!!」びくっ
唯「ムギちゃんも私が怖い?」
紬「いえ……あの、私は……」
唯「ん?」
紬「澪ちゃんが潔癖すぎるだけだと思います……」
唯「ほらねぇ」
律「はあ、もう部室には行けないな……」
律「なんだかあたしだけ場違いって感じだったし……」
律「軽音部を廃部の危機から救ったのはあたしなのに……」
律「……どうしてこうなっちゃったんだろ」
律「あの日……あたしがあんなこと言わなければ……」
律『今日は帰りにどっか寄ってかないか?』
澪『おお、いいな』
唯『私駅前の喫茶店がいい!』
紬『あそこおしゃれでいいですよね。私も気になっていたの』
律『すげえ、貸し切りじゃん』
澪『駅前でひと通りが多いのに……ちょっとおかしくない?』
唯『きっと穴場なんだよ』
紬『ちょっと使い方が違うような……』
律『まあいいか、とりあえず座ろうぜ』
律『薄暗い照明の下でアンティークに囲まれてなんだか雰囲気があるなー』
澪『……』がたがた
律『わ!!』
澪『ひゃい!!?』
律『はははは!澪、驚きすぎ!!』
唯『でも、澪ちゃんじゃないけどちょっと怖いかも』
紬『そうね、あまりお客がきてないのはこの内装のせいかしら』
律『ふふふ、まあせっかく貸し切りなんだから、ここらで暴露大会でも開かないか?』
澪『ば、暴露大会?』
律『そそ、恋バナとか……いっちゃう?』
澪『べ、べつにわざわざこんなところで……』
律『こんなところだからだよ!いつも部室でするのとは違う話で盛り上がろうじゃないか!』
律(まあ浮いた話のひとつもないだろうけどなぁ)
律『まずはムギから!!』
紬『わ、私ですか?私はそんな、恋愛なんて』あせあせ
律(やっぱりなぁ)
紬『あ、でも婚約者ならいますよ♪』
律『うそ!?』
律(さすがお嬢様……)
紬『でも親が決めた人ですから、恋バナとは違いますよね……』
律『ウン、ソウダナ』
律『ええと、じゃあ次澪!!といっても昔から澪は』
澪『えと……その……』
律『!?』
律『あの……澪さん……』
澪『ごめん律……今まで黙ってたけど、私最近恋人ができたんだ……』
律『……』
律『ウゾダドンドコドン』
澪『だ、黙っていて本当にごめん!』
律『い、いやべつにあたしにいちいち澪のプライベートを報告する義務はないわけで……』
律『そ、そうか、あはははは!!ついに澪も彼氏持ちかぁ!!』
律『昔から男子に人気あったしな!!』
律(彼氏……てことはもうエッチしてるのかな?してるよね……)
唯『澪ちゃん彼氏いるんだぁ』
唯『ムギちゃんも婚約者がいるし、結構みんなやることやってるんだね!』
律『……もしかして、ゆ、唯も?』
唯『うんうん』
唯『中一のときに卒業しました』ぶい
律『!?』
澪(中一なのに卒業って……?)
紬(おねしょを卒業したのかしら)
律『そ……そっか……唯もなんだ……』ぶつぶつ
律『ごめん、あたし帰るわ』だっ
澪『り、律!』
唯『……』
唯『えへへ』
律「……違う」
律「唯だ、唯が全部悪いんだ」
律「あいつが軽音部に入ってから、何かがおかしくなった」
律「あの澪に彼氏ができるなんて……今までなら考えられない」
律「ナンパに近い方法だってならなおさらだ」
律「唯が悪いんだ」ぶつぶつ
唯「りっちゃーん」とたとた
律「……!唯……」
唯「ごめんね、りっちゃん。りっちゃんの気持ちも考えないで……」
律「え?」
唯「寂しかったんだよね、私たちが男の子の話とかし始めたから」
律「…………うん」ぽろぽろ
唯「ごめんね、仲間外れみたいにしちゃってごめんね」
律「う……う……唯~!!」
唯「りっちゃん!」
だきっ
律「うわあああん!!唯!!寂しかった!!寂しかったよ!!」
唯「よしよし」なでなで
唯「えへへ」
唯「ねえ、りっちゃんに会わせたい人がいるんだ」
律「え?」
唯「すごく素敵な人だから、りっちゃんもきっと気に入るよ」
律「だ、誰?」
唯「それは会ってからのお楽しみだよ」
唯「えへへ」
紬「ここが唯ちゃんの指定したホテル……ね」
澪「……やっぱりだめだ、こんなこと」
澪「律を無理矢理……てことじゃない」
紬「りっちゃんが了承すれば……問題ないですよ」
澪「!ムギ、そういう話じゃな……」
澪「……!!なんで、なんであなたがここに!?」
澪「え……唯に頼まれて律を……?」
澪「そんな……じゃあ私に近付いたのも……唯に頼まれて?」
澪「ひどいよ!私の……初めて付き合った人がそんな……」
紬「この方が澪ちゃんの……?」
紬(……唯ちゃんにすすめられて私が契った相手が……まさか澪ちゃんの恋人だったとは……)
澪「ひどい……ひどすぎるよ……」ぽろぽろ
紬(そして今度はりっちゃんを……まさか、唯ちゃんは初めからこれを……)
唯「こっちこっちぃ」
律「ひ、引っ張るなよ」
唯「あれ?澪ちゃんだ」
律「み、澪?なんでここに?」
澪「……全部、唯の仕業だったんだ」
澪「この人を使って、私を弄んでたんだろう?」
唯「ちがうよ、私は澪ちゃんのためを思って……」
澪「うそ!!そうやってショックを受ける私たちを見て悦んでるんでしょ!!」
律「な、なんなんだよ……一体……」がたがた
唯「あ、りっちゃんはこの人と楽しんでね」
律「え?え?」おどおど
律「な、なんだよお前、気安く肩を……」
律「やだ、やだよ!!離してよ!!」
律「助けて!!助けて澪!!いや!!いやだ!!」
澪「律!!」
紬「邪魔を……しないでいただけますか?」ちゃきっ
澪「!!ムギ……、いつの間にキーボードを……」
紬「ただのキーボードじゃないですよ……」
ぱん!!
澪「ひっ!!」
唯「あはは、驚いた?ムギちゃんのキーボードには銃が仕込んであるんだよ?」
紬「琴吹家は……代々武器密輸を生業にしていましたから」
紬「武器のカモフラージュ技術は世界一です」
澪「くっ……律……」
律「うわあああん!!!いやだ!!早く助けて!!」
がーっ
唯「ホテルに入ればもうこっちのものだよ」
紬「さ、さっさとお帰りください」
澪「警察を……!!」
ぱきーん
澪「ああ!携帯が……」
唯「バラバラになっちゃったね♪」
唯「警察には言わないほうがいいかなぁ」
唯「これ、なーんだ?」
澪「?それは……?」
ぴっ
『いやぁぁぁ!!気持ちいいよぉ!!』
『中に……出してぇ!!』
『こ、こんなことするのは……君だけだからな?』
澪「あ……あ……」
唯「澪ちゃん、エッチのときはこんなふうなんだ」
唯「どうしようかなぁ、これ♪」
澪「…………」ぽろぽろ
唯「決まりだね♪」
律「この……調子に乗るな!!」
律「助けて……!!」
律「あ!!澪!!」
律「み……お……?」
ごめんね、律
憂「お姉ちゃん、軽音部って楽しい?」
唯「うん!」
唯「とっても楽しいよ!!」
第一部完
唯「ねえ、澪ちゃん」
唯「私、ギターを新調したいんだけど」
澪「うん」
唯「買って?」
澪「……う、うん」
紬「唯ちゃん、それなら私が……」
唯「私は澪ちゃんに買ってほしいの!」
紬「……すみません」
律「……」
なんか田井中さんって暗くなったよね
一時期学校来てなかったし……
噂ではレイプ……
うそ、マジ……
ひそひそ
ひそひそ
律「…………」
唯「えー、こんな安物やだぁ」
澪「……でも私の手持ちじゃこれが限界……」
唯「やったの?」
澪「え?」
唯「えんこう!」
澪「……せん」
唯「聞こえないよ?」
澪「やってません!」
唯「じゃあ斡旋してあげるから、そのお金で買ってね」
唯「これはいらないから壊すね」
ばきっ!!
澪「あ……」
憂「最近お姉ちゃん、随分羽振りがいいね」
唯「そうかなぁ」
憂「もしかして、誰かに貢がせてる?なーんて」
唯「憂、あんまりそういうこと言わないほうがいいよ」
唯「ねえ?」
憂「!!」
憂「ご、ごめんなさい」ぞくぅ
憂(お姉ちゃん、まさか……)
律「……」とぼとぼ
澪「あれは……律」
律「!」
澪「あ、あの、律、私ね……」
律「……」ぷい
澪「律……!!」
律「……」
澪「り……つ……」ぽろぽろ
澪(ごめんなさい……ごめんなさい……)
唯「へえ、まだりっちゃん喋れないんだぁ」もぐもぐ
紬「医者の話では精神的なものらしいのですが……」
唯「うんうん」もぐもぐ
紬「……唯ちゃん、もうこれ以上騒ぎを起こすといくら私でも……」
唯「えー、でもムギちゃんの存在価値って家が金持ちってくらいでしょ」
紬「……」ぴくっ
唯「だからこれからも一緒に頑張ろうよ」にこ
紬「……はい」
数ヶ月後
澪「唯……」
唯「どうしたの、澪ちゃん」
澪「に、妊娠……妊娠しちゃった……どうしよう……」ぽろぽろ
唯「ちゃんと避妊しないからだよ、自業自得だね」
澪「そんな……だって……元はといえば唯が……」
唯「人のせいにしないでよぉ」
唯「んーじゃあはいこれ」ぽん
澪「……なにこのお金」
唯「中絶費用だよ?病院はムギちゃんに紹介してもらうね」
澪「そんな……簡単に……」どくん
唯「だって誰の子かもわかんないんでしょ?」
唯「そんなの気持ち悪いよ」
澪「気持ち……悪い?」
唯「うんうん、だからこのお金でさっさとお腹の中掃除してきなよ♪」
澪「…………」
紬「ねえ、唯ちゃん……」
唯「なぁに?」のほほーん
紬「もうすぐ私たち二年生よ?」
紬「そろそろ新入生を迎える準備を……」
唯「えー、めんどくさいなぁ」
唯「そんなの部長の仕事じゃん」
紬「その部長があんな状態……澪ちゃんだって……」
唯「そういえば最近バンドの練習もしてないね」
紬「……そうですね」
唯「もう、りっちゃんは学校は来ても部室にはこないし」
唯「澪ちゃんは妊娠しちゃうし」
唯「たるんでるよ!」
唯「でも、何か活動しないと和ちゃんに軽音部潰されちゃうしね」
紬「……」
唯「そうだ!いいこと考えたよ!」
和「やめて……私が何したっていうの……」
紬「ごめんなさい……これも唯ちゃんのためなの……」
和「唯……なんで唯が!?」
紬「ごめんなさい……」
ぱん!!
唯「見て見てムギちゃん!!テレビでも和ちゃんのニュースやってるよ!」
紬「ええ……そうですね……」
唯「ムギちゃんはすごいなぁ、あんなに簡単に和ちゃんを止められるんだから」
紬(ああ……唯ちゃんが私を褒めてくれてる……)
唯「これで軽音部は安泰だよね!」
紬「それはどうでしょう……」
澪「お願いします!産みたいんです!許してください!!」
唯「……ねえ、私なんて言ったかなぁ」
唯「ちゃんとお金も渡したよね」
唯「そんな子産んでもなんの得にも……」
澪「私は産みたいんだ!!親にも話す!!だからお願いします!!」
唯「……私の承諾を得ようとするのはえらいよ?」
唯「でも、親にはどんな説明するつもりなのかな?」
澪「ひ……」ぞくぞくぅ
澪「あ……あ……」じょろろろ
唯「だめだよ、澪ちゃん、お漏らししたら」
澪「………」びくびく
唯「いいよ、産んでも」
唯「その代わり」
唯「ちょっとお願いがあるんだよ」
澪「!!」
澪(また……ひどいことやらされる?)
唯「産まれた赤ちゃん……私にも育てさせて?」
澪「え……?」
唯「澪ちゃんが産む子だもん、絶対可愛いよ」
唯「色々大変だと思うけど、私にも責任があるし……」
唯「だからお願い……」
澪「唯……唯!!」
春休み
唯「可愛い赤ちゃんだね……」
澪「……」てれてれ
紬「学校はどうするの?」
澪「散々迷惑かけることになるけど、ママに頼ることになりそう……」
唯「じゃあ学校は通えるんだね!」
唯「よかったぁ」
その夜
紬「本当に……可愛い赤ちゃん……」
紬「せっかく生まれて来たのに……可哀相な子……」
紬「殺されるために生まれてきたなんて……」
ひゅーっ
ぶちゅっ
澪「赤ちゃん……私の……赤ちゃんは?」
澪「ああああ!!!私の赤ちゃんが!!!」
唯「ひどいよ……澪ちゃんが可哀相だよ……」
澪「唯ぃぃ……」ひっくひっく
唯(中絶しないなら産ませて処分するまでだよ)
律「……」
律「…………」
律「………………」
四月
唯「新入部員は一人かぁ……」
紬「メンバー不足で新歓は演奏できなかったし……」
梓「えっと……たしか去年の文化祭でいらしたドラムとベースの先輩は……?」
唯「色々あってねぇ」
唯「あずにゃんは、彼氏いないの?」
梓「わ、私はべつに……そんなのいませんけど……」
唯「そっかぁ、じゃあいい人紹介してあげよっか?」
梓「い、いいです!いいです!」
唯「まあまあ、遠慮しないで」
梓「ほんとにいいですから……」
唯「もう、後輩は先輩に絶対服従なんだよ?」
唯「ね?」
梓「え?うそ、なにこの男の人たち……」
梓「ゆ、唯先輩……」
唯「ムギちゃんの家で働いてる人なんだって!」
唯「大丈夫、すぐ気持ち良くなるからね♪」
梓「いや……いや……」
梓「痛い……痛いよ……」
唯「すごーい、あんな小さいのに太いおちん○ん入ってるよ?」
梓「抜いて……抜いてよ……先輩、もう許して……」
唯「ダメダメ、あずにゃんは妊娠して、サンドバックにして遊ぶんだから」
唯「いいなぁ、後輩は。いくら遊んでもいいんだもんね♪」
梓「だれか……助けて……」
唯「そうだ!たしかムギちゃんに用意させた劇薬があったよね!」
唯「どこにやったかなぁ」ごそごそ
唯「あったあった!これをあそこにですね」
ぱりん
唯「あれ?」
唯「いたた……瓶が割れて手に破片……が」
唯「痛い痛い!!手が焼ける!!」
唯「だれか、水、水持ってき……」
どさどさどさ……
唯「……なんで?」
唯「なんでみんな倒れてるの?」
澪「唯……もうやめよう、こんなこと……」しゅうう
唯「澪ちゃん……」
唯「そのベース……どうしたの?」
澪「ムギの家から失敬したんだ……」
澪「銃や刀が仕込んである……すごいものなんだな」
唯「なんで?」
唯「なんでこんなひどいことするの?」
澪「どの口がそんな……!!」
澪「ムギが全部白状した。唯の命令で私の赤ちゃんを!!」
唯「ムギちゃん……使えない沢庵だよ。まさか武器まで取られるなんて……」
時間は少し遡る
紬の家
紬「ふふ……私は唯ちゃんの命令ならなんでもやった……」
紬「和ちゃんも澪ちゃんの赤ちゃんも殺した」
紬「これで唯ちゃんは私の……」
律「独り言はダメだぜ」
紬「!?」
律「誰かに聞かれたら困るだろ?」
紬「りっちゃん……なぜ……」
紬「あの厳重な警備をどうやって!」
律「……『裏不無(リズム)』」
紬「!!」
律「得意技だろ?琴吹の人間なら……」
紬「あなた、やはりただのドラマーではなかったようね」
紬「喋れないのも演技だったわけ?」
律「まあな」
律「このドラム……とベースはもらっていくぜ」
紬「私がこのまま逃すとでも!!」
律「澪!!こいつを持って学校へ行け!!」
律「新入生が危ない!!」
澪「うん!!」
紬「くっ……!澪ちゃん!!」
律「お前の相手は私だぜ」
律「これが私のライブだ!!」
律が音をかき鳴らすと、それに呼応して各ドラムから小型ミサイルが発射される
紬「ふ……こんなもの……」
対して紬は側にあったグランドピアノに飛び付き、演奏を始める
紬「これが私のコンサートよ!」
ドラムから発せられたミサイルと同等数の砲弾がピアノから放たれる
律「な……!!」
紬「ふふふ……私の本質は『キーボード』ではなくピアノなの」
律「……そうだったな」
律「まさか私のドラムの『裏不無』でも読み切れないとは」
紬「澪ちゃんは逃がしましたが、りっちゃんにはここで死んでもらいます」
律「やれるもんなら……!!」
唯「やっぱりムギちゃんはダメだなぁ」
唯「練習不足にもほどがあるよ……」しゅおおお……
澪「手が……再生?」
唯「『裏不無』のこと何にも知らないんだね、澪ちゃん」
唯「『裏不無』は琴吹の人間が編み出した、楽器に偽装した武器を操る戦闘術……」
唯「生命のリズムを自在にコントロールすることでこれくらいの傷ならほら」ぺかー
澪「なるけど、色々応用がきくみたいだな」
唯「私の本質はギター……」
唯「斬撃主体の」
唯「ギー太!!」しゃきん
澪「……私も『裏不無』が使えれば」
澪「あの子の……心の傷くらい癒せるかもしれない」ちら
唯「よそ見はダメだよ澪ちゃん!!」
ざくっ
澪「速い!!」
唯「私って絶対音感があるみたいで!!」
びゅん
澪「きゃあ!!」
唯「『裏不無』を会得するにはもってこいだったんだ……て!!」
ずばっ
澪「ひ……」
唯「あはは!!澪ちゃん弱いよ!!もう死んで……」
ぱぁぁん
唯「……あれ?」
梓「はあはあ……」がたがた
唯「それ、そのギター、なに?」
梓「知りません……私が前から使ってたギター……」
梓「なんで、こんな機能が……」
唯「……『裏不無』による楽器の武器化……」
唯「私より……すごい……」どさっ
澪「……勝った?」
数週間後
唯「ムギちゃん、このお菓子美味しいね?」
紬「ええ、それは私が作った自信作よ」
律「それにしても眠いなぁ」
澪「ちょっと、寄り掛かるな!」
梓「あのぉ、先輩方、早く練習しましょうよ……」
さわ子「いいじゃない、のんびりやれば」
唯(まだ……まだ始まったばかりだよ)
唯(今度は、沢庵じゃなくて梓ちゃんを……)
唯「えへへ」
第二部完
律「あ……この店……」
澪「この店が……どうかしたのか?」
律「いや!なんでもないよ!」
澪「変なの……」
律「なんか…やだなこの店」
律「軽音部恒例の合宿だ!」
澪「って、またムギに頼る気だろ」
律「てへへ」
紬「私は構いませんよ?」
律「さすがムギ!!話が早い!!」
梓「律先輩、遊びに行くんじゃないんですよ!」
律「わかってるよぅ」ひらひら
梓「むぅぅ」
唯「まあまあ」
唯「海!!」
律「海!!」
唯・律「わああい」
澪「結局遊びが先なんだよな……もう」
梓「澪先輩、いいんですか?」
澪「言ってもきかないからな。私らも楽しもう」
梓「は、はい……」
梓(澪先輩……胸大きいな……)どきどき
律「水が気持ちいい!!」
唯「りっちゃん、あそこにヤドカリがいるよ!!」
澪「まったく、呑気だなぁ」
梓「……」じーっ
澪「ちょ、ちょっと梓!どこ見てるの!!」ばっ
梓「……あ!ご、ごめんなさい!!」
梓(いいなぁ、澪先輩……あの胸に顔を埋められたらどんなに幸せだろう……)
梓(そうだ、今日はここで一緒に寝泊まりするんだ)
梓(もしかしたら、澪先輩と……)
梓「でへ、でへへへへ」
澪「梓……暑さで頭がおかしくなったのか?」
澪「そうだ、梓日焼け止めちゃんと塗ったか?」
梓「ひ、日焼け止めですか?」
澪「そう。ちゃんと塗らないとお風呂入るとき染みるぞ」
梓「お風呂……澪先輩と……?」ぷしゅううう
澪「ちょっと梓!煙が!!」
梓「でへへへへ、お風呂~」
夜
澪「ちょっと律!練習は?」
律「今日は疲れたからいいよぅ」
唯「いいよぅ」
澪「毎度毎度あんたたちは……」
紬「まあまだ初日だし、明日からでも……」
澪「そうやって甘やかすからこいつらは!」
梓(お風呂お風呂お風呂お風呂お風呂お風呂お風呂お風呂)どきどき
唯「ねえ」
梓(お風呂お風呂)
唯「ねえ!!」
梓「!!な、なんですか唯先輩」
唯「ご飯終わったら、ちょっと散歩しよっか?」にこ
梓「え?」
唯「いい気持ちだねえ」
梓(どうせなら澪先輩と散歩したかったな)
唯「ねえあずにゃんは澪ちゃんのこと好きなの?」
梓「え!?」
唯「ふふ、やっぱりね♪」
唯「でもダメだから」
梓「な、なにがダメなんですか?」
唯「澪ちゃんは私のだから、盗っちゃダメだよ」ずい
梓「……うそ」
唯「うそじゃないよ、私は澪ちゃんとキスしたり裸で抱き合ったりするよ?」
梓「……澪先輩はそんな破廉恥なこと」
唯「まあ信じなくてもいいけど」
唯「とりあえず私の澪ちゃんをいやらしい目で見ないでね」
梓(……うそだよ。唯先輩は私をからかってるだけなんだ)
唯「えへへ、澪ちゃーん」すりすり
澪「こら、どうしたんだ唯」
きゃいきゃい
梓「…………」
梓(澪先輩……まさか本当に唯先輩と?)
梓(やだ、そんなのやだ……)
梓(唯先輩……なんて……いなくなればいいのに……)
就寝後
梓(唯先輩……邪魔だなぁ)
梓(どうすれば唯先輩がいなくなって、澪先輩が私のものになるんだろ?)
梓(……そうだ)
梓(邪魔ならお片付けすればいいんだ♪)
梓「……」がちゃがちゃ
梓(鍵がかかってる……)
梓(マスターキーは紬先輩が持ってたはず)
梓(もらってこなくちゃ)
梓(あ、でも紬先輩を起こしたら今からすることがバレちゃう)
梓(あ、でも紬先輩も片付ければいいのか)
梓(そうだよ、じゃあついでに律先輩も片付ければ)
梓(澪先輩は私だけの……先輩になるんだ)
梓「紬先輩!!」どんどん
がちゃ
紬「梓ちゃん、どうしたの?」
梓「えっと、あの、唯先輩の部屋からすごい物音がして」
梓「気になるから様子をと思いまして」
紬「まあ、じゃあマスターキー持っていくわね」
梓(唯先輩が熟睡してるのは確認済みよ)
紬「唯ちゃん?開けるわよ?」
がちゃ
ぎいいいい……
梓「え?」
紬「きゃ……」
紬「きゃああああ!!!」
そこには全身をバラバラにされた変わり果てた唯先輩の姿がありました。
紬「きゃああああ!!澪ちゃん!!りっちゃん!!」どたどた
梓「…………」
梓「綺麗……」ほう
律「ひどいな……これは」
澪「…………」がくがくぶるぶる
澪「やだ……もうおうちに帰りたいよ……」ぽろぽろ
梓(澪先輩可愛い)
律「とにかく警察に電話!!」
紬「ダメ……電話が壊されてた……」
律「!?携帯は!」
紬「圏外よ」ぽろぽろ
律「くそ、町まで行くには船が必要な離れ小島だぞここは」
紬「…………」
律「……閉じ込められたのか、これ」
紬「迎えの船は一週間後にしか来ない」
紬「私が……合宿中は干渉しないように釘をさしたからおそらく予定を早めたりはない……」
律「は、ははは、絵にかいたようなクローズドサークルじゃないか」
澪「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!こんなところにもう一秒だっていたくない!!」
律「……とはいえ、犯人はもう決まってるんだ。迎えまでそいつを縛っておけばいい」
梓「犯人がわかったんですか?」
律「少し考えればわかるだろ。唯の部屋には鍵がかかってた。鍵を開けるには中からか、マスターキーを使うしかない」
律「お前が犯人だ、ムギ!!」ばーん
紬「そんな!私は違う!!」
律「うるさい!!お前以外に考えられないんだよ!!」
澪「ムギが……唯を……」
律「マスターキーはこいつが肌身離さず持っていた」
律「部屋の窓にも鍵がかかってたし、決まりだろ」
紬「違います!!」
律「みんな!!ムギを縛れ!!」
紬「むぐ……」
律「こいつ……こいつが唯を!!」げしっげしっ
澪「…………」
梓(なんか……ひっかかるな)
律「このマスターキーは私が預かる」
律「ムギはラウンジに縛って、交代で見張りだ」
澪「わ、わかった」
梓「はい」
律「じゃあ最初は私が見張る」
律「お前らは寝ろよ」
三時間後、午前三時二十分
梓「律先輩、交代の時間……」
梓「!?」
律「あ、悪い寝ちゃった……」
律「え?」
今度は紬先輩。
縛った縄ごと切り刻まれ、無惨な姿の紬先輩がもの言わぬ肉塊となって転がっていた。
律「ち、違うよ。私じゃないよ!!」
梓「……信じられません」
律「寝ちゃったのはほんの十分くらいだよ!私が寝てる間に誰かが!!」
梓「……」
律「あ……あ……」
澪「うそだ……ムギまでそんな……」
澪「律がやっただなんて、信じられないよ……」ぽろぽろ
梓「でも実際二人の人間が殺されてるんですよ?」
澪「う……おええ」げろげろ
澪先輩は血の臭いにあてられたのか、もどしてしまった。
無理もない、別荘にはすでに二つの死体が出来上がっている。
そして澪先輩はそのまま気を失ってしまった。
梓(澪先輩は……ほんとに可愛いな)
床にまき散らした吐瀉物を舐める。
消化しきれていない美味しそうなニンジンやジャガイモ……これが先ほどまで澪先輩の中にあったかと思うと、いてもたってもいられない。
梓「美味しい」もぐもぐ
満足した私は、澪先輩を抱き抱えて部屋へと帰投する。
梓「さあ先輩、脱ぎ脱ぎしましょうね」
梓「やっぱり大きいなぁ……この胸、誰にも渡したくない」
梓「澪先輩……澪先輩……」もぞもぞ
その日、私と澪先輩は一つになりました。
澪「う……ん……」
澪「!?わ、私なんで裸なんだ!?」
澪「そ、それに梓がなんで同じベッドに?」
澪「あ……そうだ……この別荘には死体が!殺人鬼が!」がたがた
澪「いやぁぁぁ!!!!」
梓「大丈夫ですよ、澪先輩」だきっ
澪「あ……!!あ……!!梓!!怖いよ!!助けてよ!!」ぶるぶる
梓「大丈夫、大丈夫です。澪先輩は私が守りますから」
澪「う……う……う……そ、そうだ、律は!?律はどこ?」おろおろ
梓「…………」いら
梓「……律先輩は地下の物置に閉じ込めましたよ」
梓「状況からみて、紬先輩を殺したのは律先輩しかありえないですから」
澪「で……でも、唯が……殺されたのは……」ぽろぽろ
澪「うわあああん!!!怖いよぉぉ!!!!」
梓「よしよし」なでなで
梓(そこが問題なのよね、唯先輩の部屋は密室だった)
梓(密室を解くには紬先輩が持つマスターキーが必要……)
梓(そして一番妙なのは……)
澪「なあ……梓……」
梓「なんですか、澪先輩」
澪「律を……放してあげて」
澪「律は人を殺したりなんかしないよ……」
梓「…………」いらいら
澪「なあ、梓」
ぱちーん
梓「ダメですよ、澪先輩」
澪「あ……いたい……」ぽろぽろ
澪「うぐ……えぐ……いたい……いたいよ……」
梓「先輩は私の言うことだけきいていればいいんです」
澪「いやだ……こんな梓はいやだ……」
梓「……」
澪「もとの梓に戻ってよ!!こんなのおかしいよ!!」
梓「私は……!!」
きゃあああああああ
梓「!!悲鳴……」
澪「外から……?」ぶるぶる
梓「行きましょう」
澪「ま……まって。腰が……抜けた……」へにゃああ
梓「こ、これは……」
梓「さわ子先生……?」
澪「う……う……おええええ」びしゃびしゃ
梓「……悲鳴を聞いてから約五分で駆け付けた……」
梓「そんな短時間でこんなにバラバラにできるものなの?」
梓「それよりもどうしてさわ子先生がここに……」
梓「……まさか、律先輩!!」
梓「……物置が開いてる……」
梓「なんで……しっかり鍵はかけたのに……」
澪「……梓」
澪「死体……片付けよう……」
梓「せん……ぱい?」
澪先輩は気の抜けた人形みたいだった。
あまりの恐怖に感情が抜け落ちたみたいだ。
あんなに怖がっていた死体の片付けも率先して行なっている。
嘔吐することもなくなった(残念だ)。
梓「あの、先輩さっきは……」
澪「……いいんだ、私も取り乱して悪かった」
澪「年上の私が、しっかりしないといけないのにな」
梓「……」
澪「それに物置に閉じ込められてた律も消えた……律が疑われるのも当然だ」
澪「でも私は信じるよ、律はやってないって」
梓「律先輩が……好きなんですか?」
澪「……幼馴染みだからな」
澪「一緒にいるのが当たり前だった」
澪「今までもそうだったからこれからも……ていうのは子どもの考えだけど」
澪「梓」
梓「は、はい」
澪「もう一度、殺人現場を調べてみないか」
梓「え……?」
澪「律の無実を証明したい……唯、ムギ、先生を殺した犯人をつき止めたい」
梓「……それって私を疑ってるってことですか?」
澪「違うよ、私は軽音部の中に犯人がいるだなんて思っていない」
澪「第三者がいる……この島には」
澪「侵入の形跡を調べるんだ!」
梓(み、澪先輩カッコいい!)
感情が抜け落ちたなんて勘違いもいいところだった。
澪先輩は今、犯人に抗う気持ちで燃えている。
私も萌えてきた。
澪「でも早くしないと……律は犯人だと疑われるのが怖くて逃げ出した可能性と」
梓「犯人が……連れ去った可能性ですか?」
澪「うん。少なくとも鍵を開けたのは律ではないと思う」
梓(やっぱり私疑われてるのかな……)
澪「とにかく唯の部屋に行こう」
澪「唯の部屋も私たちの部屋と構造はまったく同じ」
澪「扉も窓も中からしか鍵はかけられないし、開けられない」
梓「扉のほうの鍵はマスターキーがあれば施錠も開錠も可能なんですよね」
澪「……ん?この窓壊れてるぞ」
澪「鍵がかかってるように見えるけど、ほら、半分くらい開いてしまう」
梓「律先輩ちゃんと調べなかったんですね……」
澪「大雑把な奴だからな……」
梓「でもここから中に侵入するのは無理ですよ」
澪「確かに人一人入るには狭すぎる……」
澪「あ……!」
梓「わかったんですか?」
澪「犯人は小さな妖精さん……?」
梓「ちょっと先輩!!」
澪「じょ、冗談だよ……」
澪「でも、あらかじめバラバラにした死体をこの部屋に投げ込むのには使えそうだよ」
梓「そっか、違和感の正体ってこれだったんだ」
澪「違和感って?」
梓「澪先輩、最初に唯先輩の死体を発見したときは吐きませんでしたよね?」
澪「う、うん……」
梓「澪先輩は死体を直視できなかったから、今までは血の臭いで気分が悪くなってたんです」
梓「唯先輩の死体は……血がほとんどありませんでした」
梓「つまり、血を抜かれ、バラバラにされてこの部屋に投げ込まれたのでは」
澪「そうか、それならマスターキーなしでも密室ができる!」
梓(でも、窓が壊れてるという偶然に頼ってるところがネック……)
梓(いや……このためにわざと壊してあった……?)
澪「あとの問題は……」
梓「律先輩が見張ってる中どうやって紬先輩を殺したか」
梓「さわ子先生はどうやってこの島にたどり着き、殺されたか」
梓「マスターキーなしで律先輩をどうやって物置から解放したのか」
澪「先生は……もしかしたら私たちがくるずっと前からこの島に来てたんじゃないかな」
梓「な、なんのために?」
澪「……驚かしたりするのが好きな人だったから」
梓「あー」
梓「律先輩はどうして紬先輩が惨殺されてるのに気付かなかったんでしょうか」
澪「梓が律を疑ってるのはそれが一番の要因なんだよね」
梓「はい」
澪「律は……大雑把な奴だから……」
梓「あー」
澪「今日はもう寝よっか」
梓「でも、犯人がどこにいるかわからないし」
梓「まだ未解決な問題が……」
澪「でも、一週間も眠らずに過ごすのは無理だ」
梓「……交代で見張りを」
だきっ
梓「澪……先輩……」
澪「怖いんだ……」
澪「お願い……一緒に……」
梓「……はい」
澪先輩の大事な部分が丸見えだ。
あの時は暗くてよく見えなかったが、今は綺麗なピンク色のぷりぷりした秘部が私を求めている。
梓「美味しそう……」
舌を這わせる。
澪先輩の甘い汁が、私の味覚を刺激する。
澪「あ……!!ダメ、梓そんなところ……!」
梓「だって、先輩のここトロトロですよ?」
私は舌に加えて指も使い、澪先輩に快楽を与える。
澪「はあ……はあ……ああ!」びくびく
澪「いや!いやだ!!」じょばああ
噴水のように溢れ出すおしっこ……私は貪るように口をつけて飲み始める。
梓「ごくごく……ご馳走さまです」
澪「う……う……恥ずかしいよ……」
梓「今度は私のも舐めてください……」
私と澪先輩は69の体制になる。
私のまだ毛も生えていない性器を見て、澪先輩は「可愛い」と言ってくれた。
それだけで私は準備万端だ。
冷房もつけずに行為に耽ったため、部屋の中は色々な液体の混ざった匂いが漂っている。
しかしまったく不快感はない。
汗だくになった私たちは、お互いの匂いを感じ、エクスタシーをさらに高めあう。
夢にまで見た澪先輩の胸は私が独占している。
澪先輩の乳首をちゅうちゅう吸いながら、私は眠った。
生暖かい。
全身を包み込むこの暖かさは澪先輩の身体?
私は目を覚ます。
鉄……いや血の臭いが私を現実へと引き戻す。
私が口に含んでいた乳房は澪先輩のもの?
わからないけど、多分そうなのだろう。
乳房の部分だけ切り取られていても、美しさは変わらない。
私はバラバラになった澪先輩に包まれていた。
梓「……澪先輩……」
律「やっぱりお前なのか……犯人は」
梓「律先輩……」
違う、私じゃない。
確かに私は澪先輩と一緒にいたけど、気付いたときにはもう……。
律「私に罪をなすり付けて……一体何が目的なんだ……?」
私じゃない。
ワタシジャナインデス。
律「お前がみんなを……!!」
ごとん
梓「え?」
律先輩の首がとれた。
ゴロゴロとこちらに転がって、ベッドに当たって止まった。
律「あ……が……なんで?」
律先輩の首なしのボディから血がスプリンクラーのように噴出す。
唯「あはは、りっちゃんももろいね」
梓「どうして……唯先輩……」
唯「あはは、私が死ぬわけないよぅ」
唯「あずにゃんなら知ってるよね?私の妹の憂は」
梓「ま、まさか……」
唯「うん♪あの死体は憂だよー」
梓「でも……律先輩を逃がしたのはどうやって……!!」
唯「マスターキーを複製したにきまってるよ」
唯「ムギちゃんったら私の頼みは断れないから」
梓「どうやって……紬先輩や澪先輩を気付かれずに……」
唯「私のギー太の切れ味はすごいんだよ」きらーん
唯「『裏不無』で気配を絶つのも簡単だしね!!」
唯「それにしてもあずにゃんは可愛いよね」
唯「澪ちゃんに嫉妬しちゃうよ」
梓「……え」
唯「そうだよ、全部あずにゃんを手に入れるために私が仕込んだことなんだよ!!」
梓「うそ……そんな……」
唯「あずにゃんが可愛すぎるから……みんな死んじゃったんだよ?」
唯「ねえ、私にも澪ちゃんみたいなことしてよ?」しゅるしゅる
梓「いや……こないで……」
唯「えへへ」
唯「梓ちゃん……大好き」
梓「え……?」
憂、どうして?
第三部完
ここで……私、琴吹紬から『裏不無』についての解説を行いたいと思います。
『裏不無』は琴吹家が編み出した戦闘術。
基本は暗殺のために行うので、気配を絶つのが主な使い方です。
この世に存在するあらゆるものにはリズムがあります。
どんな物にだってそれを構成する分子のリズムというものがある。
『裏不無』とはそれらを自在に操る魔法のようなものです。
特に絶対音感を持つ唯ちゃんは、戦闘に特化した『裏不無』をなんなく使いこなす。
対して妹の憂ちゃんは……。
憂「お姉ちゃん、私お姉ちゃんのことならなんでも知ってるよ?」
唯「……」
憂「でもね、最近知らないことが増えてきちゃったんだよ」
憂「『裏不無』ってなに?ギターに仕込んである刃物はなに?なんで澪さんたちのエッチな写真を持ってるの?」
唯「…………」
憂「答えてよ、お姉ちゃん?」
憂は誰よりも唯を理解していた。
いや、理解していたつもりだった。
憂はいよいよ唯を自身の半身として執着するようになった。
そして……。
憂「あれ?私はお姉ちゃん?憂?唯?あれ?どっち?」
唯「あれ?そっかぁ、私が平沢唯なんだ」
唯「じゃあこれは誰?そっか妹の憂だ」
唯「こんなのいらないよね」しゃきん
紬「あれ?ティーセットは……?」
律「あああれ?活動の邪魔だから捨てたよ」
紬「そ、そんな……」
唯「だってあれがあるから私たちもつい練習サボっちゃうもんね」
唯「べつにいいよね、ムギちゃんはお金持ちだしティーセットの一つや二つ」
紬「……黙って捨てるのはどうなの?」
梓「紬先輩練習の邪魔ですよ。もうティーセットなんていいじゃないですか」
紬「…………」
澪「黙って捨てるのはひどいと思うけど」ぼそっ
唯「澪ちゃん、この写真なんだと思う?」
澪「それ、合宿のときの……!」
唯「あずにゃんと二人でなにしてたのかな?」ひらひら
澪「あうう……あれはお酒の勢いで……」
律「まったく誰だ酒なんて持ち込んだのは!!」
澪「お前だろ!!」
紬「…………」
唯「あ、ムギちゃん、これからもお菓子だけは持って来てね」
紬「?でもティーセットは……」
唯「いやだなぁ、私が持って帰って食べる分だよ」
紬「…………」
唯「今日はもう帰ろっと」
律「そうだな、邪魔なティーセットの処分で疲れたぜ」
澪「そ……そうだな」
梓「このキーボードも邪魔ですよね」ぼそっ
がん
紬「わ、私のキーボード蹴らないで!」
梓「足が当たっただけですよ」
梓「自意識過剰ですよ先輩は」
次の日
紬「ひどい……どうして?」
机が破壊されていた。
黒板には悪口が書かれていた。
部室のキーボードももちろん粉々だった。
財布も盗まれた。
眉毛は剃られた。
制服も靴もなくなった。
紬は裸で、床に座って授業を受けた。
教師は琴吹家を畏れていたので注意ができなかった。
下手に関わると面倒だからだ。
紬「どうして……私だけ……」
唯「ねえムギちゃん、今度はこのダイヤ買ってよ」
紬「でも……」
唯「買ってよ」
唯「ね?」
紬「はい……」
億単位で金を貪られる。
不審に思った家の者が問いただしても、紬は黙っていた。
紬(私の個人資産はすでに底をつき始めている……)
紬(いえ……お金はまだいいんです……私がなにより辛いのは……)
唯「それー!!クレイジーダイヤモンド!!」
唯はダイヤの指輪をメリケンサックに見立てて紬を殴打するのがお気に入りだった。
唯「すごいよ、ムギちゃん!ダイヤモンドは砕けないよ!!」
紬「ぐ……はあ……」
腹を殴られ、紬はトイレも満足にできないほど疲労した。
部室で思わずお漏らしするなどザラだった。
じょろろろ
紬「う……うええええん」
唯「見て見てりっちゃん!!またムギちゃんお漏らししたよ!!」
唯「もう部室が臭くてたまんないよ、いつも通り綺麗にしてね」
紬は床に這いながら自分の小便を舐める。
最初はひいていた軽音部の部員たちも、もはや紬を人間として見ていなかった。
唯のように笑いこそしないが、哀れんだり同情したりもしない。
ただ「そのような動物」であると思うだけだ。
たまに蹴飛ばしたりして遊ぶことはあったが。
唯「軽音部だけじゃなくて、もう学校中がムギちゃんのこと人間だと思ってないよね」じゅじゅうう
紬「熱い!!やめて、やめてよ!!」
唯「動いちゃダメ!!ムギちゃんは今灰皿さんなんだから!!」ぷんぷん
唯「やだ……トイレ行きたくなっちゃった」もじもじ
唯「…………」
唯「……………………」
唯「そうだ!」ぴーん
唯「ちゃんと口開かせててね」
紬「むがー!!むがー!!」
律「早くしろよ、あと私の手にかけるなよ」
唯「大丈夫だよ、私のは細いから」
唯「んんんん!!」
ぶりぶりにゅにゅにゅぽとん
びちゃっ
ぶぶぶぶびびびびびびぶりりりりぶすんすん!!!!ぼん!!
唯「あはは、ちょっと下痢気味だったよ」
律「うわあ!!手にかかったぞくせえ!!」
唯「ごめんごめん」
唯「どう?ムギちゃんうんちの味は?」
紬「お……お……」
紬「おええええ!!」げろげろびしゃびしゃ
唯「汚いなぁ、うんことゲロの臭いが混ざってさ……」
唯「澪ちゃん!!」
澪「……え?」
唯「ムギちゃんが口からこぼしたうんちを食べさせてあげてよ」
澪「や、やだよ……そんなこと……汚いし」
唯「あーあ、澪ちゃんもムギちゃんの仲間か……」
澪「!?」
唯「がんばれえ」
澪「わかった、わかったよ……」
澪掃除用のゴム手袋をはめ、はこぼれた汚物をせっせと紬の口に運んだ。
しかしいくら口に入れても紬はふきだしてしまう。
紬「おええええ!!」
びしゃっ
澪「あ……顔に……!」
澪「汚い……顔についた……!」ぎろっ
澪「律……たしかソーイングセット持ってたよね?」
律「う、うん」
澪「ハサミ、貸して」
唯「すごい、澪ちゃん面白いこと考えるね!」
澪「この……!!」
ざくっ
紬「え?え?」
じょきんじょきんじょきん
ぶしゃあああああ
紬「あぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
澪「この穴に詰め込めば……ほら!!」
びちゃびちゃっ
澪「あとは糸で縫えば……」
紬「あおおおおオオおお!!!!!!」
澪「律!!梓!!ムギを押さえて!!!」
唯「やりすぎだよ、澪ちゃん」
唯「ムギちゃん動かなくなったじゃん」
澪「…………」ぽろぽろ
唯「"また"澪ちゃんの番だよ……」
澪「いや!!それだけは!!それだけは許して!!」
澪には紬を殺してしまった罪悪感など微塵もなかった。
あるのは次は自分が酷い目にあうかもしれないという恐怖心だけだ。
唯「んーでもさっきの澪ちゃんはすごく可愛いかったし」
唯「私をあんな感じで楽しませてくれたらいいよ」
澪「本当か?」
唯「うん!!」
律「澪……返して……返してよ……」
律「私の……腕と足ぃぃぃ!!!!」
澪「麻酔効いてるし、止血もしたからしなないぞ」にこ
澪「唯が喜んでくれるんだ、律も協力してくれるよか?」
律「いやだあああああああ!!許して!!私の手足戻してよ!!!」
澪「これ、全部ビデオに撮ってるんだよ?」
澪「殺したら今度は私が唯に苛められるから……」
澪「しばらくの間がんばろうな、律!」
律「もう……ドラムも叩けないよ……」ずびーっ
澪「ああ、律鼻水が……」
澪「はい、ちーんして」
ちーん
澪「ふふ、世話が焼けるな」
唯「…………」
澪「ど、どうかな唯」
唯「なにこれつまんない」
澪「え」
唯「つまんない!つまんない!」
唯「りっちゃんをダルマにしたのはいいけど、あとは甲斐甲斐しく世話焼いてるだけだよ」
唯「つまんなーい」ぶーっ
澪「ああ……そんな……」
律「なあ……澪……最近私、このままでもいいかなって思うんだ」
律「み、澪と一緒にいられるし、私のために面倒みてくれるし……」かああ
律「澪……」
ずがん!!
律「ぐが……!!」
ずどん!!ばどん!!
律「澪……やめて……!!」
澪「これで!!これでいい?唯?」
澪「これなら面白いよね?」
澪「ダルマさんが……」
澪「転んだ!!」
ばきっ
律「ひゅー……ひゅー……」
澪「どう……かな?」
唯「……」
澪「うう……」
唯「さすが澪ちゃんだよ」
澪「え?」
唯「手口は単純だけど、信頼させておいて暴力を振るうなんて」
澪「ああ……唯……」
唯「この調子でがんばってね!」
澪「うん♪」
澪は唯に支配されていた。
初めは唯から苛められることを恐れるだけだった。
しかし、いつしか唯に褒めてもらいたい、もっと喜んで欲しい、そう思うようになっていた。
唯「ムギちゃんに代わって手に入れた駒……思ってた通り使いやすいよ」
唯「早く早く」
唯「もっと澪ちゃんは酷いことをしてよ」
唯「今回こそ、私は私になるんだから」
澪「どうしよう唯……律が死んじゃったよ……」
唯「……知らないよ、そんなこと」ぷい
澪「え」
唯「死体を焼くなり埋めるなり自分でなんとかしてよ」
唯「警察が最近うるさくてたまんないからまいっちゃうよね」
澪(だめだ、律みたいに監禁したら唯にも迷惑がかかるんだ)
澪(いやだ、唯に嫌われたくないよ!)
澪「今度は……うまくやらないと」
澪「あ、梓」
梓「澪先輩……どうしたんですか?」
澪「……」
澪(唯……唯ならどんな面白いことを梓にするだろう?)
澪(周りに不審に思われずに……)
澪(そうだ……)
澪「梓」
澪「ちょっと頼みがあるんだ」
梓「…………」
澪「どうだった?あず」
ばん
梓「お金……これが欲しかったんですよね?」
澪「…………」
梓「ひどい……私……澪先輩のこと……ひぐっ……えぐっ……」
澪「梓……」
澪「ビデオ撮ったから」
梓「……え」
澪「部屋に仕掛けておいたんだ」
澪「大丈夫、言うこと聞いてくれれば誰にも見せない」にこ
澪「え?妊娠した……?」
梓「はい……」
澪「じゃあはいこれ」ぽん
梓「なんですか……このお金」
澪「中絶費、おろすだろ?」
梓「……わ」
梓「私は……」
梓「私は……う、産みたいん」
どかっ
梓「がっ……」
澪「どれぐらいお腹殴れば流産するかな」
梓「げほ……ごほ……」
澪「梓は一番の稼ぎ頭なんだから、出産なんてダメだ」
梓「……だってこれは澪先輩が……」
どごっ
梓「おえ!!」
澪「違うだろ、これは梓が自分の意志でやってるんだよな」
澪「はい、いつもの言って」
梓「わ、私中野梓は……」
梓「身体を売って」
梓「お小遣いをもらう……」
梓「淫乱な女の子です……」ぽろぽろ
澪「ふふ、梓はなんとか中絶させた」
澪「まったく、あれほどピルを飲んどけって言ったのに」
澪「しかたない、埋め合わせは純にしてもらうか」
唯「あ……澪ちゃん」
澪「!」
澪「唯……」
澪「唯、どうしたんだ。最近姿見ないけど」
唯「そ、それはこっちの台詞だよ」
唯「最近軽音部に顔出さないし……」
軽音部?
あれ、私は軽音部だっけ?
唯「りっちゃんなんてカンカンだよ。そっちから来るまで許してあげないって」
りっちゃん……律?
あれ?律は、
私が
コロシタハズジャ……
唯「あずにゃんも来ないし……どうしたの?」
澪(なんで?)
澪(わ、私は唯に喜んでほしくて……梓を……)
澪(……違う、私は自分の)
澪(自分の意志でひどいことしてるんだ……)
さわ子「秋山さん」
澪「せ、先生」
さわ子「警察の方が見えてるわよ」
澪「!?」
さわ子「どういうことか……わかってるわね?」
澪「なんで……なんで……」
澪「おかしいよ……全部唯が悪いのに……」
唯「え……なに言ってるの澪ちゃん」
唯「澪ちゃん、警察に呼ばれてるってどういう……」
澪「お前が!!」
唯「あぐっ……」
澪「お前が全部仕組んで……!」ぎりぎり
さわ子「澪ちゃん!!離しない!!」
澪「なんで私だけ悪者になってるんだ!!」だっ
さわ子「待ちなさい!!」
澪は屋上が飛び降りた。
援助交際を斡旋して荒稼ぎをしていた少女として、ニュースでも取り上げられた。
唯「澪ちゃん……なんで……」
憂「お姉ちゃん……澪さんは梓ちゃんや純ちゃんにも手をかけたんだよ?」
憂「許されることじゃないよ……」
唯「憂……憂……うわあああん!!!」
憂「よしよし」なでなで
憂(これでお姉ちゃんは何にも悪くなくなったよ)
憂(全部澪さんに押し付けて)
私(唯)は私(憂)になれた。
お姉ちゃんも元のお姉ちゃんに戻れた。
905 : 以下、名... - 2009/05/01(金) 23:20:44.95 IP2GA3M+O 176/189
今更だけど梓は紬のこと「紬先輩」とか言わないよな……
「ムギ先輩」に脳内変換しといてね
(>ω・)v
始まりはなんだったのかな。
そうだ、お姉ちゃんが初体験を済ましたあの日から、すべてが始まったんだ。
唯「ふんふん♪」
憂「お姉ちゃん、どこか行くの?」
唯「うん、実はメル友とこれから会うんだ~」
憂「め、メル友って?」
唯「なんだかよくわからないけど、携帯に送られてきたアドレスから登録したんだよ?」
唯「いっぱいお友達ができるんだって」ぽわわーん
憂「お、お姉ちゃんそれって出会い……」
唯「じゃあねえ」
ばたん
憂「…………」
お姉ちゃんはその日の深夜に帰ってきた。
憂「お姉ちゃん、どうしたの!?」
唯「…………」
無言で部屋まで行くお姉ちゃん。心なしか歩き方がぎこちない。
目は赤く、涙が頬を伝った形跡も見えた。
憂「お姉ちゃん……」
なにがあったのか、容易に想像できた。
翌朝、お姉ちゃんはすっかり元気になっていた。
なんだ、私の思い過ごしか。
安心していた私は、お姉ちゃんの異変に、気付けなかった。
憂「え?お姉ちゃんが?」
純「うん……なんだか怖そうな男の人と歩いてたよ……」
いかがわしい男と遊び始めたお姉ちゃん。
次第にそれはエスカレートしていき、ウチに連れ込むことも多くなった。
お姉ちゃんは変わった。
表面上は変わらないけど、私に対して平気で悪態を吐くようになった。
唯「憂って私にベタベタしすぎだよねぇ」
憂「そ、そうかな」
唯「うん、恥ずかしいからあんまり外では話しかけないで欲しいかな」
唯「あ、家でもちょっと静かにしててよ♪」
憂「うん……ごめんね」
唯「じゃあ私遊んでくるから」
憂「こ、こんな時間に?ご飯は」
唯「いらなーい」
唯「あんまり美味しくないし」
憂「…………」
悪い噂も聞くようになった。
お姉ちゃんがどんどん壊れていく。
なんとかしなくちゃ、なんとかしなくちゃ。
紬「あの……憂ちゃん」
憂「紬さん……」
そして私は紬さんと出会い、お姉ちゃんを救うために動き始めた。
軽音部という小さなコミュニティを利用して、お姉ちゃんの悪行を浄化するために……。
律さんを利用した。
悪いけど一番純真そうだったから。
澪さんが適任かと思ってたけど、普段からいじられてるらしいから効果が薄い。
律さんのおかげで、軽音部内でお姉ちゃんが暴走を始めた。
お姉ちゃんはお馬鹿さんだから(そんなところが可愛いんだけど)、私が少年漫画を見て思い付いた設定を簡単に信じちゃった。
紬さんが用意してくれた薬も使い、お姉ちゃんは人の生き死に対して曖昧になっていった。
お姉ちゃんの頭の中では常に人が死んだり生き返ったり。
軽音部の人に対して悪さしたり、自分を陥れようとする妄想に憑かれている。
そして私はお姉ちゃんを監禁し、別荘での茶番を行なった。
そのとき、お姉ちゃんは憂だった。
お姉ちゃんは私だった。
そして死体だった。
第三者の目で私(唯)を見て、いかに自分が愚かなことをしているか知ってもらいたかった。
紬さんは最後まで協力的だった。
お姉ちゃんのことが好きだったのかな?
なにはともあれ、紬さんのおかげで、お姉ちゃんは徐々に正気を取り戻してきた。
あとはお姉ちゃんの罪を誰かになすり付けるだけ。
……澪さんだ。
澪さんにすべてを背負ってもらおう。
澪さんをお姉ちゃん(私)に依存させ、人を傷つけることをさせやすくした。
そして少しずつ、自分の意志でやらせる。
援助交際を無理矢理やらせるなんて、いかにもチープでありふれた悪行。
澪さんはまんまとハマってしまった。
澪さんは屋上から飛び降りて死んじゃった。薬の効き目が薄くて、正気に戻ったみたい。
でも仕方ないよね。
お姉ちゃんを助けるためだもん。
お姉ちゃんは私がいないとダメ。
私もお姉ちゃんがいないとダメ。
澪さんはそのために犠牲になってくれたんだ、ありがとう。
唯「憂……憂……」
憂「よしよし」なでなで
今までこうやって私は駒たちをなだめてきた。
でもやっぱりお姉ちゃんの頭を撫でるのが一番気持ちいい。
さて、これからどうしようかな。
とりあえず、ベースが抜けた軽音部にでも入部しようかな。
最終部 完
原作者に謝れ
それと二度と他人のキャラ使ってSS書くな