シャミ子「明日のおかずが決まりません!」
リリス「は?」
シャミ子「明日のお弁当のおかずです! 何か桃がとびきり喜ぶようなものないですかね?」
リリス「何かっていっても……あいつはお主が作ったお弁当ならなんでも喜ぶだろ」
シャミ子「確かに何を作っても毎日美味しいって食べてくれますけど……でも最近はもうそれが当たり前になっちゃってる気がするんです。 だから桃からもっと普段より良い感じな反応が欲しい! 」
シャミ子「……せ、せっかく桃のために作ってあげてるのに、桃ってばいっつも黙々と食べてるだけだし! もっとこう『私のこと、いつも考えてくれてるんだね』とか『これからも毎日シャミ子のご飯が食べたいな』みたいな、ときめくような何かあっても……」ブツブツ
リリス「あー要するにアプローチしかけたいのか、めんどくさいなほんと」
シャミ子「そ、そんなんじゃないです! ただもうちょっと、ありがたみというか! 特別感が欲しい! 」
元スレ
シャミ子「桃が浮気してました…」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1575899852/
リリス「そんなこと本人に直接聞いたらわかるだろ。 『明日のお弁当何がいいですか? なんでも愛情込めて作っちゃうぞ♡ ダーリン♡♡♡』みたいに」
シャミ子「なあっ! ち、ちがっ! だからそんなんじゃないですって!」カァァァ
シャミ子「…ただ作ってあげるだけじゃなくて、ちょっとしたサプライズ感というか…驚いてほしいんです。 美味しいとはいつも言ってくれてるけど、それだけじゃなくて…」
シャミ子「例えば、ここで何も聞かずに桃が一番食べたいものをいっぱい作っていってあげれば、きっといつもより驚くし喜んでくれると思うんです」
シャミ子「『シャミ子、何で私の食べたいものがわかったの? やっぱりシャミ子は私のこと一番わかってくれるね』みたいな……うふふ」
リリス「お、おう」
リリス「……要するに、日常と化して最近失くしつつある有り難みを味わってもらいたい。 そのために桃が一番食べたいものをピンポイントで知りたいと」
リリス「だったらお主の能力で、桃のやつがとびきり食べたがっているものを探ってくればいいのではないか? これまで記憶を探ったりなんかもしてきたし、食べたいおかずくらい簡単にわかるだろう」
シャミ子「えっ、でも…それは禁止されてて」
リリス「禁止されたのは夢の中で洗脳することだろう? おかず探しものくらいならセーフだセーフ! 探すだけで影響をあたえなければ洗脳の心配もないしな」
シャミ子「あっ、確かに…でもやっぱり勝手に覗くのは…」
リリス「だいたい、有り難みを忘れてお主を不安にさせた桃が悪いのだ。 多少の裏口くらいはやむ無しだ」
シャミ子「そうかな…そうかも……毎日作ってあげてるんだし、桃ってば人の気持ちも知らないで…」
リリス「という訳で、これも一流の夢魔になるための訓練! 早速桃の中に行って来い! そして胃袋とハートを掴んでやるのだ!」
(*桃の無意識内 )
シャミ子(……という訳で、ほんとに来ちゃいました。)
シャミ子(でもでも! 桃だって悪いんです! 私が毎日どんな気持ちでお弁当作ってるか知らないんだから!)
シャミ子(なのでこれは仕方ないことなのです。 そう、桃が喜んでくれるお弁当のために、そしてもっと良い感じになったらなー…なんて……うふふ)
シャミ子(考えてたら桃の驚く顔、喜ぶ顔がもっと見たくなってきた! 桃絶対喜んでくれるはず! これは桃のためでもあるんですから!)
シャミ子(えへへ、喜ぶ桃絶対かわいいだろうなぁ… 早く見つけて仕込みしたいな。 いつもよりいっぱい手間暇かけて愛情もこめて作ってやります)
シャミ子(……周りの風景は桃の家みたい。 生活感もあるし、多分この辺を探れば食べたいものとかもわか……)
「はい、あーんっ♡」
シャミ子(……ん?なんだろ? 話し声?)チラッ
「あーん♡ うん、美味しいね」
シャミ子(……いったい何…?)
(夢)シャミ子「はい桃、もう一口、あーんっ♡」
桃「あーんっ♡ あぁ、シャミ子の作るご飯は世界一美味しいよ」
シャミ子「!!?!!??」
シャミ子(な、な、なぁっ!? 誰!? 誰あの人!?)
シャミ子(いや私!? 私っぽいけど私あそこまでしたことない! 私だってできないことを桃としてる私っぽい人がいる!!)
(夢)シャミ子「どうですか? 大好きな桃のために手間暇と愛情をた~っぷり込めて作ったんです!」
桃「うん、今日も変わらず最高に美味しいよ」ナデナデ
(夢)シャミ子「えへへ~♡ 嬉しいです桃~♡ すりすり~♡」
シャミ子(な、何てことしてるんだぁ!!夢の中でぇ!)
シャミ子(見た目は私っぽいけど!私あんなんじゃない! ひょっとして浮気!? 浮気ですかこれ!)
シャミ子(私というまぞくがいながら他所のまぞくに、う、浮気っ!! ……浮気じゃない? かもだけどっ!! 私じゃない私と内緒でこんなっ! こんなデレッデレなんて!)
桃「シャミ子、これからも一生私のご飯を作ってね?」
(夢)シャミ子「はいっ♡ 桃だいだいだーいすきっ♡」スリスリ
シャミ子(ぐぐぐぬぬぬぬぬ…! なんだあの人! 私っぽい声で甘ったるい言葉を言うな!私だってあんなこと言われてみたい…じゃなくて!)
シャミ子(桃……そうなんだ…浮気してたんだ…こんなところで……私じゃない私っぽい何かを相手に桃は…)
シャミ子(いやでも私っぽいならそれはセーフ…?)
桃「ふふっ、可愛いね。 私のシャミ子は」ナデナデ
シャミ子「は~い♡ 私は桃だけのシャミ子です♡」スリスリ
シャミ子(……いや! なんかムカムカする! あんなのは私じゃないのでやっぱりアウト!浮気です!)
シャミ子(今回ばかりは本気で怒りました!! 3ヶ月目の浮気なんて多めに見れません!)
シャミ子(……ゆ、許さん! 絶対許さんぞ浮気魔法少女めぇ!)
シャミ子(こうなったらおかず探しはナシ! 今日はとことん浮気調査です! 何か証拠とか掴んで現実に帰ったら突き付けてやる!)
シャミ子(…………)
シャミ子(…せっかく、おいしいお弁当作ろうと思ってたのにな)
シャミ子「……ぐすっ…」
シャミ子(…………でも!そうと決まればもっと探し回らないと!)
シャミ子(覚悟していろ魔法少女!浮気してたことを後悔させてやるからな! ちゃんと反省して私の部屋までごめんなさいしに来るがいい!)
シャミ子(うーん、でも証拠って何かあるかな…直接会って聞く訳にもいかないし、念写はやり方わかんないし)
桃「……ちゃん…」
シャミ子(……あっ、また桃の声が聞こえる。 こっちの方かな?)
桃「……お姉ちゃんっ…」
シャミ子「!」
シャミ子(甘えた声でお姉ちゃんって…桜さんのことかな?)
シャミ子(ここは桃の心の中ですもんね。 そっか…そうですよね。 お姉ちゃんに会いたいんだろうな)チラッ
桃「お姉ちゃん…頭撫でて…」
(姉)シャミ子「よしよし♡ 桃ちゃんは甘えんぼさんですね」ナデナデ
桃「ん……お姉ちゃんのナデナデすき……」モゾモゾ
シャミ子「」
桃「お姉ちゃんの膝、落ち着く…」
(姉)シャミ子「膝枕くらい、お姉ちゃんいつでもしてあげますから。 好きなだけ甘えていいんですよ。桃ちゃん♡」ナデナデ
(姉)シャミ子「じゃあ、桃ちゃんの大好きな耳かきしてあげますね」
(姉)シャミ子「ほ~ら、気持ちいいですか?」カリカリ…
桃「ぁ……お姉ちゃんそこ…」
(姉)シャミ子「ふふっ、桃ちゃんはほんとに耳かきが大好きなんですね♡」
シャミ子(また違う私とイチャイチャしてるぅ! というかなんでお姉ちゃんも私!? 桜さんじゃないんですか!?)
シャミ子(それにあのふやけきった顔! なんだあのかつてない表情は! ほにゃ~ってしてる! ほにゃ~って! ……今度膝枕してあげようかな)
(姉)シャミ子「ふふっ、桃ちゃんとっても気持ちよさそうな顔してます」カリカリ…
(姉)シャミ子「…じゃあ、仕上げに…ふ~っ…」(耳に息吹きかける)
桃「ぁ……お姉ちゃん……」
(姉)シャミ子「はい、右耳終わりました、反対を向いてくださいね」
シャミ子(……で、でも、これは浮気? お姉ちゃんって言ってるし、ちょっと甘え過ぎだけど……浮気的な感じではあんまり…)
桃「……ねえ、お姉ちゃん…私、16歳になったらお姉ちゃんと結婚したいな」
(姉)シャミ子「……わぁ、嬉しいです♡ 桃ちゃんっ」ダキッ
桃「お、お姉ちゃん、苦しいって…♡」
(姉)シャミ子「お姉ちゃん、桃ちゃんが16歳になるの待ってます! お姉ちゃんをお嫁さんにしてくださいね♡」
桃「もう、お姉ちゃんってば、スキンシップ激しいんだから…」
シャミ子(およ、およおよ、お嫁さん!? お姉ちゃんなのにお嫁さん!!?)
シャミ子(むっきーっ! これも浮気です浮気! よりによって三股だなんて!)
シャミ子(桃めぇー! あんなふやけた顔を私以外にみせるなー! というか私がみたかった!)
シャミ子(はぁ…まさか桃が複数人の私に手を出してる不埒な魔法少女だったなんて、これからどんな顔して会えば良いんだろ…)トボトボ
シャミ子(……桃、本当は私だけじゃ物足りないのかな)
シャミ子(ご飯とかけっこう頑張ってるつもりだったんだけどな…)トボトボ
シャミ子(何がいけなかったんだろ……)
シャミ子「……はぁ」
「よしよし、良い子だね」
「ぅ、にゃ…」チャリン
シャミ子(…ん? よしよし? あと鈴の音? ……ああ、桃が猫を撫でてるのかな?)
「ん、可愛いね。じゃあここはどうかな?」
「ん、んぅ…」
シャミ子(桃は猫が大好きだし、そういうのもここにあるんだろうな)
桃「喉を撫でられるの、気持ちいいんだ?」
(猫)シャミ子「にゃ…ごろごろ……♡」ウットリ
シャミ子「……………………」
シャミ子(…………へ、へんたいだー!!)
シャミ子(猫耳と首輪つけて尻尾が猫になっただけの私だあれ!)
シャミ子(なんですかこれは! 最早ただのそういうのプレイじゃないですか!)
桃「ほーら、ほっぺたもなでなでー」ナデナデ
(猫)シャミ子「みゃあ~…」スリスリ
桃「ふふっ、シャミ子? うっとりな顔しちゃってるよ? そんなに気持ちいいのかな?」
シャミ子(……桃、流石にこれはちょっと引きます)
(猫)シャミ子「みゃ~♡」ペロペロ
桃「ちょっと、ほっぺた舐めないの」
桃「もう、シャミ子ってば甘えんぼなんだから♡」
シャミ子(きさまお姉ちゃんな私に散々甘えてだだろう!)
(猫)シャミ子「かぷっ、かぷかぷっ♡」
桃「わっ、甘噛みもだめですー♡」ナデナデ
(猫)シャミ子「にゃぁ~♡」尻尾ブンブン
シャミ子(……自分の姿であんなことやってるの見せられるの正直超キツイんですが)ドンビキ
シャミ子(でも、桃幸せそう……あんな溌剌とした笑顔私の前じゃ全然してくれないのに)
シャミ子(どうしよう……まさか桃が四股してる上に猫ちゃんコスさせて飼い主プレイなんてしてる変態だったなんて……)トボトボ
シャミ子(あんなことしたかったなら……そ、相談くらいはしてくれたって良かったのに……あんな笑顔してくれるなら考えてあげるくらいは……)
シャミ子(……はぁ、なんかもう帰ろうかな。でも、もうこれまで通りにやって行ける気がしません…どうしよ…)トボトボ
「桃、お皿洗い終わりました」
「あ、うん、ありがとう」
シャミ子(ああまたなんかやってる…今度はなんですかもう…)
(夢)シャミ子「今日は予定もないですし、お部屋でゆっくりしてませんか?」
桃「そうだね。明日はまた学校だし、今日はずっとこうしてようか」
シャミ子(あれ? ソファに二人で座ってるだけ? 普通ですね?)
シャミ子「桃、その……いいですか……?」
桃「ん?何?」
シャミ子「だから……その……」カァァ
桃「んー、言ってくれないとわかんないかな」クスッ
(夢)シャミ子「も、もう! 今日の桃いじわるです!」
(夢)シャミ子「……ねぇ、桃…ほんとに」
桃「そうだね。ほら、おいでシャミ子」
(夢)シャミ子「もも…」ギュ
シャミ子(…………??)
桃 「シャミ子の心臓、すごいドキドキ鳴ってるね」
(夢)シャミ子「ぁ……ももぉ…おねがい……もう待てません…」ヌギヌギ
桃「…へえ、そのブラ…」
(夢)シャミ子「はい、『桃色』です……これ着けたら、桃、喜んでくれるから…だから…」
桃「ふふっ、私の喜ぶこと、考えてくれたんだ?」
(夢)シャミ子「はいっ、だから……おねがい……♡」
桃「……そうだね。頑張っておねだり、できたもんね」
(夢)シャミ子「もも……すき……」
桃「私もだよ……シャミ──
シャミ子「──ってぇ何してるんですかあぁーーっ?!?!!」
桃「!!?」
(夢)シャミ子「!!?」
シャミ子「ななななな何てことする気だあきさまぁああ!! 私そっくりな私とぉ!!何おっぱじめる気だぁぁぁ!!」
桃「え、ぁ……あれ?」
(夢)シャミ子「…………」
シャミ子「私というまぞくがいながら! 桃ってば浮気ばっかり!! どういうつもりですかぁ!!」
桃「…あ、あれ? シャミ子が…なんで?」
シャミ子「というかなんなんだぁ! お姉ちゃんとかコスプレ猫とか自分色の下着とか! 正直ドン引きすぎるんですけど!!」
桃「え、えっと……デレデレなシャミ子といつものっぽいシャミ子と二人が……ってことは!? 」
シャミ子「ぽこーー!! ぷしゅーー!!」
桃「…………」汗ダラダラ
桃「……え、えっとシャミ子……どうして私の夢の中にいるのかな? 禁止にしてたよね……?」
シャミ子「今それは関係ないです!質問してるのは私の方! その私とどんな関係なんですか!?」
桃「ち、違っ、違う!違うんだよシャミ子!この子とは決してやましい関係でなく……」
シャミ子「やましいことしてた! あんなこともこんなこともそんなこともしてたぁぁぁ!!」
桃「そ、そんなことまではしてない!」
リリス(テレパシー)『落ち着け二人とも!』
桃「ってリリスさんも来てるの!?」
シャミ子「ごせんぞ!? 来てたんですか?」
リリス『たかだかおかず探し程度に時間がかかりすぎだから、心配でテレパシーだけ飛ばしてきたんだが…これは……』
シャミ子「ごせんぞぉ…桃がぁぁ……」
リリス『いいから落ち着け! シャミ子よ、桃の意識に入ったらいろんなお主がいて、そしてその全てが例外なく桃とよろしくしていた、この意味がわかるか?』
シャミ子「ど、どういうことですか……?」
リリス『以前にも言っただろう、お主の能力は厳密に言えば 「あらゆる有情非情の無意識に侵入する能力」 と』
リリス『そしてここは桃の無意識の中、心の内に潜めたとびきり思ってること……』
シャミ子「うじょ?……えっと、なんだったっけ?」
リリス『ああうんそんなことだろうと思ってた』
リリス『……つまり、ここは桃が心の底から思っていること、おそらくは願望の層だ! そしてここにいたデレデレシャミ子たちこそが頭桃色ヘタレ魔法少女が心の底から望んでいるものである、ということだ!!』
桃「」
シャミ子「えっ、え……え?」
リリス『食べたいおかずが知りたい、と桃の願望の部分に入っていったことで、あいつの願望のシャミ子に遭遇してしまった、ということだろうな。……いやあ何時の時代も人の願望とは難儀なものよ』
シャミ子「なるほど! つまりこれまでにいた私は、桃が望むわた……え、ええ…?」
リリス『願望とは普通、食欲、物欲とかもっと誰にでもある「お金欲しい」とか「ああなりたい」とかも、色々とっ散らかってない交ぜになってる所なのだが……この階層はお主ことばかり、様々な願望がお主に直結してるということだ
リリス『そりゃあ探せばはまってるものとか趣味とか、他にも色々出てくるだろうが……相当だぞここ。ここまでのものは余も見たことない』
桃「……ちょ、ちょっと待って! 願望を浮気って理不尽じゃない!? ただでさえ勝手に好き勝手覗いておいて!」
シャミ子「私っぽい願望さんたちだけど、でも私以外私じゃない!、よって不倫です!」
桃「なんか私がゲスっぽく聞こえるからやめて! というか不倫じゃない!」
桃「というか勝手に私の心の中に入ってきたシャミ子にも責任あるよね!?」
シャミ子「なっ、浮気しておいて私のせいにするんですか!? 往生際が悪い!」
桃「リリスさんの話聞いたよね!? これ願望の中だから浮気とか言われたって……」
(夢)シャミ子「……ちょっと待ってくださいっ!」
シャミ子「!?」
(夢)シャミ子「さっきから何なんですか! 私たちの幸せな時間を邪魔しておいて願望だなんだって!」
(夢)シャミ子「私たちはつ、つき、付き合ってるんですっ!ラブラブです! 相思相愛なんですっ!」カァァ
シャミ子「なっ、なんてぇ!? 付き合っ!!?」
桃「ちょ、待ってシャミ子……! あ、いやこっちのシャミ子であって……」
(夢)シャミ子「だから! 私たちの邪魔しないでください! 現実がどうとか知らないけど、ここで桃の彼女は私です! 他の誰にも渡しません!」ギュッ
桃「!?」
シャミ子「……なっ、なんなんですかあの人っ! 人の眷属にちょっかい出しておいてっ! 言うに事欠いて相思相愛!? しかも何ちょっと照れてるんですか! 偽物なのに!」
リリス『落ち着けシャミ子よ! あれは無意識下の桃の願望が生み出した理想のシャミ子との関係の幻影だ! 妄想と言っても良い!』
桃「……照れが欲しいとか独占欲強めであって欲しいとか気持ち悪いこと考えてましたごめんなさい」
(夢)シャミ子「とにかくっ! ここにいる限り桃は私のものです! 」
(夢)シャミ子「桃っ! あんな人たちの言葉に耳を傾けないで……」ギュッ
(夢)シャミ子「桃の恋人は私です。 そして、ここは桃が望んだものだけがある場所なんです。 何にも考えないで、私と好きなこと、好きなだけしてれば良いんですよ」
シャミ子「あ、あの私ぃ…あくまで桃を唆す気ですか…」
(夢)シャミ子「そうだ、あの人たちのいない、もっともっと奥の方に行きましょう?」
桃「ぇ……?」
(夢)シャミ子「あっちに行けばお姉ちゃんな私も、猫ちゃんな私も、他にも桃のお望みのいろんな私がいーっぱい、桃を待ってます」
(夢)シャミ子「……ぜーんぶ、桃の好きにしていいんです」ギュッ
桃「わっ、シャミ子……」
リリス『あいつ、ナチュラルに胸を押し付けている! なかなかやるぞあの妄想! さては桃のやつかなりムッツリだな!』
シャミ子「ぐぬぬ…悪い女……私の顔してあんな……!」
(夢)シャミ子「ね、桃? 早く?」ギューッ
桃「……あ、そうかも……奥の方に行けば、もっといっぱいのシャミ子と…いろんなこと……できるよね?」(虚ろな目)
(夢)シャミ子「そうです、ほら、早速行っちゃいましょう!」
シャミ子「も、桃! 行っちゃダメです!」
リリス『桃の意識が願望の中に再び引き戻されつつある! 相当あの女に入れ込んでるぞ桃のやつ!』
シャミ子「どどどどうしましょうごせんぞ! このままじゃどこの馬の骨とも知れない私たちに桃が取られてしまいます!」
リリス『まあどうせこれ心の中の話だし、ここで取られたって現実でも誰かに取られるわけではないのだが』
リリス (というか深層心理の中ですら自分が求められている事を喜んでいいのだが)
シャミ子「それでも! たとえ私でも私以外の誰かに桃が取られるのはイヤです!」
リリス『自分の幻影に嫉妬するのか……お主も大概面倒くさいな桃のことになると』
(夢)シャミ子「もも……あっち行ったら続きしませんか……?」スリスリ
(夢)シャミ子「変な邪魔が入っちゃいましたけど……私、もう我慢できないです…」
桃「シャミ子……そうだね、待たせちゃったもんね」
(夢)シャミ子「もんもっ♡」ギューーッ
シャミ子「ごせんぞ!どうしたらぁ……!」
リリス『……シャミ子よ、お主は夢魔だぞ。今こそその本領を発揮せずしてどうする?』
リリス『浮わついた桃色のあんにゃろうを夢魔の色香で魅了して、己の所に引き戻すのだっ!』
シャミ子「えっ、えええっ!?」
シャミ子「でででできませんごせんぞ! 魅了ってなんですか! つまりは、桃相手に、や、やらしいことさせようってんですかっ!」カァァァ
リリス『何を言うシャミ子! その立派な恵体はなんのためにある! どうせ遠からず桃にくれてやるのだ、せめて夢魔らしく、夢の中で桃相手に一度くらい役立ててみせろ!』
リリス『それにあいつはとびきりのムッツリ! ちょいと一発押してやれば簡単に爆発的な反応が帰ってくるだろう』
リリス『相手は所詮根拠を持たない幻のような妄想、本物との差は歴然だ! 桃色の妄想を超えたとびきりの刺激を叩き付けてやれ!』
シャミ子「……う、うぅ…でも……」
リリス『でももヘチマもない! 早くしないと桃が行ってしまうぞ!』
シャミ子「や、やるしかないんですか…?」
リリス『ここで今、桃を取り戻すにはそれしかないぞ! 躊躇ってる時間はない!』
リリス(まあここで取り戻せなかったからってもう会えなくなるとかじゃないんだが……このまま終わったら現実の二人が面倒なことになりそうだしな)
シャミ子「も、桃に…ぅぅぅ……」カァァァ
リリス『勇気を出せ! これは、桃の気持ちを本物のお主へと傾かせるチャンスだ! 一発かっ飛ばして来い!』
シャミ子「っ! そうです! 私は……」
シャミ子「私は! 桃にっ…!」
シャミ子「きっ、危機管理ー!」
桃「しゃ、シャミ子…?」
…ムギューーーッ
シャミ子「桃、行かないで……お願い」
桃「そ、そその、危機管理で布地の薄くなった胸が当たっ…てっ」
シャミ子「あ、当ててるんです! 桃のために!」カァァァ
(夢)シャミ子「なんですか! それくらいなら私だっていつも……!?」
桃「っ、こっ、これは…リアルな感触…が…ぁっ!」
シャミ子「~~っ!」ギューーッ
シャミ子(はずかしいはずかしいはずかしいぃ!!)
リリス『いいぞシャミ子よ! 夢の中で能動的に働きかけることができるのは夢魔の特権!』
リリス『所詮、妄想なんぞ幻にすぎん。そしてそれにはない実感を味わせてやれるのは夢魔だけだ! シャミ子のやつ、いつの間にかまぞくとしてなかなか成長しているではないか!』
桃「わ、私は…シャミ子と……あ、あれ?」
シャミ子「お願いします桃……戻ってきてください……」ギューーッ
(夢)シャミ子「ふんっ! それくらいでなんですか! 胸当てるくらいで!」
シャミ子「なっ!? これだってけっこう勇気出して…!」
(夢)シャミ子「ねっ、桃? こっち向いて?」
桃「え……?」
(夢)シャミ子「いつもの、してあげます♡」
チュッ
シャミ子「なっ、なぁっ!!?」
桃「ん……ぁ……」
(夢)シャミ子「ふふん、もーも♡ 早く行きましょう♡」
シャミ子「もも……?」
桃「…………」コクリ
桃「……そうだね。行こうか、シャミ子」
(夢)シャミ子「はい♡」
シャミ子「そんな! 待って! 行かないで桃!」
桃「シャミ子? 向こうに行ったらまず何からしようか?」
(夢)シャミ子「桃がしたいことなら、私はなんでも幸せです♡」
シャミ子「そ…そんな……」
シャミ子「うう……桃……っ!」
リリス『シャミ子…』
シャミ子「…………っ! 」
シャミ子「わっ、私は……! 諦めませんっ!」ダッ
シャミ子「桃!」
シャミ子「私はっ!」
シャミ子「ずっと! ずっとずっと! 桃のこと───」
桃「───えっ?」
ギュッ
シャミ子「すき、です」
チュッ
桃「ん、っ……!!?」
(夢)シャミ子「な、なっ!?」
リリス『!!』
シャミ子「だから、行かないで……私といてください……」ギュッ
桃「あ、え……シャミ子? え? なんて…?」
シャミ子「…………」ギューーッ
(夢)シャミ子「そ、そ…ん、え、……ガガ、モ……」
ゴゴゴゴ…
リリス『これは…余りに強烈な刺激に耐えられず、夢そのものがバグってしまった! もう夢が維持できないから、強制的に戻されるぞ!』
シャミ子「えっ、ごせんぞ!? あっ夢から引き戻される……! 」
桃「えっ、まっ、シャミ子……えっ、待って!」
リリス『まあ、この後のことは現実で……』
桃「現実で……って──」
ゴゴゴゴゴ…
(*翌朝・桃の部屋)
シャミ子「…………」ムスー!
桃「…………」ビクビク
シャミ子「…私、怒ってます」
桃「……」
シャミ子「無意識の中で、あんなに私じゃない私を侍らせるなんて、節操とかないんですか」
桃「…いやあれは…決して他のシャミ子に浮気してたとかあれだけ侍らせたいとかじゃ…」
シャミ子「何股ですか、他にもいるんですか」
桃「だから、あれを浮気呼ばわりはひどくない? こっちもかなり傷負ってるんだけど…」
シャミ子「……これ、ベッドに置いといてください」
桃「え? これ、シャミ子のドーナツ型枕?」
桃「…? なんで枕を私の部屋に持ってきたの?」
シャミ子「これからは、桃が浮気してないから夢の中で張り込みします」
桃「え……」
シャミ子「そして桃の夢にチャンネルを繋ぎやすくするため、毎日横で寝ます」
桃「えっ、毎日?」
シャミ子「また浮気しないよう毎日監視するってことです!」
桃「あ、そ、そっか…」
シャミ子「…なんでちょっと嬉しそうなんですか」
シャミ子「わかったら置いといてください。 もう学校行かないと遅刻します」
桃「……ところでシャミ子?夢の中でさ、その……好きとか、き、キス……したりとか……」
シャミ子「い、いいからっ、学校行きますよ! あとこれ今日のお弁当です!」
桃「う、うん」
桃「……ふふっ」
シャミ子「……ほんとに怒ってるんですからね」
桃「……ごめん」
(*吉田家)
リリス「それにしても、昨晩は大変だったな…」
リリス「なにやら今朝はシャミ子が家で一番早起きしてたみたいだが…」
リリス「気合い入れて弁当も作ってたみたいだし……仲直りのために頑張ってたのか?」
リリス「まあ、不仲になるなんて心配はないし。 放っておいてもなるようになるだろう」
リリス「さて、今日のゴミ拾いノルマも終わったし…良子に教わったパソコンで何か通販でも物色するか…」
リリス「……あれ、履歴があるぞ? 耳かきと、 猫耳? なんで? それに…ピンク色の下着…? 」
頑張れシャミ子! 人の願望は無尽蔵だから桃さんのお望みも多分キリがないぞ!
おわり
65 : 以下、?... - 2019/12/10 00:31:30.321 pdtcqVBe0 39/39夢魔の力で記憶とか心理的な部分とかいろんな所入ってるのでごせんぞの解説的にも多分できるんじゃないかと思って書いた