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◆国際親善試合 日本1―2コロンビア(28日・ヨドコウ桜スタジアム)

 明らかに、その言動には変化が生まれていた。コロンビア戦の試合後。途中出場した堂安は、敗因についてはっきりと自分の意見を述べた。

 「もっと縦パスを入れるべき。Jリーグを批判するわけじゃないですけど、(コロンビア戦は)Jリーグっぽい感じのサッカーをしている感覚があった。もっとヨーロッパは縦に速く、ゴールに向かっていくサッカーで、(サポーターの)歓声が常に響く。(チームとして)やりたいことはもちろんありますけど、その中でもプライオリティーを忘れてはいけない」

 ベスト16で力つきたカタールW杯の反省を踏まえ、森保ジャパンは再始動において、ボール保持率のアップを一つのテーマに掲げた。カタールでは「いい守備からいい攻撃」を合言葉に、粘り強い守備からのカウンターを生かし、ドイツ、スペインを破った。しかし“受け身”の戦いは、体力の消耗も激しい。ベスト8以上を目指す長丁場を戦うためには、ボールを保持して試合をコントロールし、相手を守備に走らせる時間が必要だと、森保監督も選手達も痛感したからだ。

 しかし堂安は「この2試合、シュートが少ない(ウルグアイ戦4本、コロンビア戦5本)。戦術はありますけど、もっと基本に立ち返るべき。ラスト15分ぐらいは強度が上がって、切り替えも速くなった。相手陣内でボールを奪えば、ビルドアップも必要ないので」と主張した。ボール保持に意識が傾けば、縦パスを送るチャンスがあっても『もしミスになれば相手ボールになる』という感覚が働く。するとチームは縦への推進力を欠き、自陣でのボール回しが増える。その現象を、ボールを大事にするスタイルが好まれるJリーグを例に「Jリーグっぽい感じのサッカー」と表現した。

 偽サイドバックなど立ち位置で相手守備を翻弄し、試合の流れを読んでボールを保持する時間帯を作ることを否定したわけではない。しかしそれに意識が傾きすぎて現代サッカーのベースといえる強度、スピードの土台が緩んでは、元も子もない。新たなチャレンジを進める中で、堂安の問題提起は明確だった。一方でW杯前までの彼なら、メディアの前でここまではっきりとチームの課題を訴えることはなかっただろう。「いい影響をチームに与えたい。厳しい意見も言わなきゃいけない。新戦力だけじゃなく、ずっといる選手にも。僕も言われなきゃいけない」とはき出した思いは、チームリーダーとして自覚の芽生えから出た言葉のはずだ。

 W杯後「エースになりたい、とずっと言っているが、リーダーにならなくちゃいけない」と語っていた堂安。今合宿では前キャプテンのDF吉田、長友らが選外となり、彼以外にも発言に変化の兆しを感じるカタール組が増えた。今の欧州基準を知り、勝つためには何が必要なのかをチームに落とし込む行動、言動は、今後もさらに活発化していくだろう。1分け1敗で終えた第2次森保ジャパンの再始動。結果は出なかったが、チームが進化へとつながる“つぼみ”は、膨らみ始めている。(金川 誉)

報知新聞社



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