男「・・・誰?」
死神「だから死神です」
男「いいから誰だよお前」
死神「今日はアナタの死期が近づいている事を知らせにきました」
男「話を聞け不審者」
死神「せいぜい自らの運命に足掻くがいい!!うわっはっはっは!!」
男「さてと・・・110番110番」
元スレ
死神「こんにちは死神です」
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1289044372/
死神「わー待って待って!通報ストップ!!」
男「待って欲しいなら名乗れ」
死神「だから死神ですってば」
男「わかった」
死神「やっとわかってくれましたか」
男「通報するわ」
死神「全然わかってないし!?」
死神「なんで信じてくれないんですか!?」
男「いや、死神なんているわけねぇし」
死神「ここにいますよ」
男「なら証拠見せろよ」
死神「う~ん・・・そうだ!触ってみてください」
男「おーけー」ワキワキ
死神「いやらしい所触ろうとしたら切りますよ」シャキン
男「おい、その鎌どっから取りだした」
死神「そりゃ、鎌は死神のトレードマークですから」
男「つーか、お前見るからに怪しいな・・・なんだよそのドクロの仮面」
死神「死神っぽくないですか?」
男「怖えぇよ」
死神「ほらほら、いいから触ってみてください」
男「あぁ、わかったよ」スッ
男「あれ?」スカッ
死神「ほらね」
男「すり抜け・・・た?」
死神「私は霊体なんで人間には触れませんので」
男「お前幽霊なの?」
死神「だから死神ですって。いい加減信じてください」
男「まぁ、幽霊にしてははっきりとしてるし・・・うん、まぁ信じよう」
死神「やったー!やっと信じてくれた!」
男「それで、その死神さんが俺に何の用なの?」
死神「男さん、アナタに死期がせまってます」
男「なん・・・だと・・・」
死神「それと、もうひとつ重大ヒント、実は・・・・」
男「じ、実は・・・?」ゴクリ
死神「あっ!!やっぱ秘密です」
男「おい!?ちゃんと言えよ!!」
死神「だからぁ~秘密だって言ったじゃん」
男「超ウゼェ・・・」
死神「ごめんちゃい♪」
男「殺してぇ・・・それで、俺はいつ死ぬんだ?」
死神「ごめんなさい。それも教えられません」
男「お前さ、もう少し融通きかせてくれるとかないの?」
死神「ごめんなさい・・・でも、むしろ死期が近づいてる事を知られるだけでも特別な事なんですよ」
男「・・・そっか、そうだな・・・わかったよ」
男「それとさ、一つ聞きたいんだけど・・・お前、女?」
死神「おやぁ・・・気になりますか」
男「不気味な仮面付けてるからだよ」
死神「そうですね。一応女です」
男「なんだよ、一応って」
死神「死神に性別とか関係ないですからね。ですから。一応分類するとしたら女ですかね」
男「ふーん・・・その仮面取らねぇの?」
死神「トレードマークですから」
男「あっそ」
男「まぁいいや、教えてくれてサンキューな・・・ん?・・・あぁ!!」
死神「どうかしましたか?」
男「やべぇ!もうこんな時間だ!早くいかなきゃ!!」
死神「どこかにおでかけですか?」
男「これからデートなんだよ!!」
死神「男さん彼女でもいるんですか?」
男「そうだよ!!って事でさよならー。仕事頑張れよー」ドタドタ
死神「・・・・・・」
男「・・・ん?」ピタ
死神「行ってらっしゃいです」フリフリ
男「あぁ・・・って!こんなことしてる場合じゃない!!」ガチャ、バタン
*駅前*
男「おーい!女ぁー!」
女「あー!!やっときたー!!」
男「わりぃわりぃ、遅れちまった」ハァハァ
女「いつも時間に正確な男君がめずらしいね」
男「あぁ、ちょっと変な奴相手しててな」
女「ふーん・・・もしかしてその人って女の人?」
男「ちがっ!!いや、違くは・・・ないか」
女「ふ~ん、そっかぁ~」
男「いやいや、待て女!これは別に浮気とかそういうものでは断じて!!」
女「うん。わかってるよ。男君は浮気なんて絶対にしないものね」ニコニコ
男「(やべぇ・・・笑ってるけどすげぇ怖ぇぇ・・・)」
男「ほらほら、遅れてきたお詫びに何かおごるから」
女「うん。行こ☆」ニコニコ
男「(とりあえずどうにかして機嫌取らないと・・・)」
カランカラン
アリガトウゴザイマシター
女「あー!おいしかった」
男「おいおい、いったい何個ケーキ食ったんだよ」
女「甘い物は別腹だから大丈ブイ!」
男「それでも食いすぎだろ・・・・フトルゾー」ボソッ
女「あれぇ~?なんか言ったぁ~!?」ニコニコ
男「いや、何も」
女「そっかぁ・・・そうだねぇー・・・ツギイッタラコロスゾー」ボソッ
男「・・・・・・ごめんなさい」
女「なんで謝ってるのかな?」ニコニコ
男「それで、これからどこに行くんだ?」
女「ん~とりあえず通りをブラブラと」
男「了解」スッ
女「うん♪」ギュ
死神「・・・・・・」コソコソ、ジー
男「・・・・・・ん?」
死神「Σ!!」スッ
女「♪~ん?どうかした?」
男「いや、なんでもない(なんか今変な視線を感じたような・・・)」
男「・・・・・・」テクテク
死神「・・・・・・」コソコソ、ジー
男「(なんだろ・・・後ろから視線を感じる・・・もしかしてつけられてる?)」
死神「フムフム、イマノトコロイジョウナシット」
男「(気になる・・・こうなったら)」
男「・・・・・・」テクテク
死神「・・・・・・」コソコソ
男「・・・・・・」テクテク、ピタッ!クルッ!!
死神「まずっΣ!!」サッ
女「ん?急にどうかした?」
男「いや、なんでもねぇ(今のは今朝の死神とか名乗ってた奴か?)」
男「すまん、ちょっとトイレ」
女「はーい、いってらっしゃ~」
男「さてと・・・」
死神「やばっ!こっち来る!?」ダッ
男「あっ!コラッ!!逃げるな!!」ダッシュ
死神「あわわ~なんで追ってくるのぉ!!」
男「お前が逃げるからだろうが!!」
死神「じゃぁ、逃げなければ追ってこないんですか?」
男「あぁ、約束する。追わない」
死神「わかりました」ピタッ
男「捕まえた」ガシッ
死神「酷い!!だましたな!!」
男「お前が止まった時点で追いかけてない。あと捕まえないとは言ってない」
死神「酷い詐欺師に会いました」
男「それで、なんでお前はこんな所にいるんだ」
死神「お散歩してました。たまたまです、たまたま」
男「つけてただろ?」
死神「なんの事ですか?」ヒューヒュー
男「口笛吹けてないぞ」
死神「うるさいですよ」
男「はぁ、まぁいいや・・・じゃぁ、俺は女のとこ戻るから」
死神「はい、いってらっしゃいです」ニコニコ
男「・・・もう付いてくるなよ」
死神「はい、もちろんです」ニコニコ
男「(すげー不安だ・・・)」
男君の姿が遠ざかっていく
とたんに強い焦燥感に駆られた
時間がない
足りない・・・圧倒的に足りない
理不尽だ・・・この世界は理不尽すぎる
死神「それでも・・・」
私はやらなくてはならないんだ
死神「気づいて・・・」
どうか私の存在を認めてください・・・私の言葉を思い出してください
私は、これから運命に飲み込まれようとする彼の小さな背中に願いをかけた
女「それじゃぁ、また明日ね」
男「あぁ・・・(あれから・・・視線は感じなかったか?)」
女「男君?」
男「ん!?何?」
女「今日のデート、楽しくなかった?」
男「いや、そんな事ないって!楽しかった楽しかった!!」
女「ホントに?」
男「お前と一緒にいて楽しくないなんてあるわけないだろ」
女「ん~じゃぁ、いつもの・・・ね」
男「あぁ、わかってるよ。顔上げて(見られてないよな・・・)」
女「んっ・・・」
チュッ
女「えへへっ・・・」
男「満足したか?」
女「うん♪じゃぁね!!」
男「じゃぁなー」
男「さて、俺も帰るか」
ガチャ
男「ただいま・・・っと」
死神「おかえりなさいアナタ」
死神「おぅ、今帰ったぞ」
死神「ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも、ワ・タ・シ?」
死神「当然お前だ」
死神「キャ!もう!アナタったらぁ!!」
男「・・・・・・・で、何してんの?」
死神「もちろん新婚さんゴッコ」
男「恥ずかしくないの?」
死神「ちょっと・・・(///」ポッ
男「てか、ここ俺ん家なんだけどなんでいるの?」
死神「夫婦なんですから・・・”私たちの家”ですよ。キャ♪」
男「いや、新婚さんゴッコはもういいから」
死神「男さんがいいのなら本当に結婚しても・・・」
男「いい加減にしないと通報するぞ」
死神「男さん・・・ア・イ・シ・テ・ル★」
男「もしもし警察ですか?」
死神「男さんてすぐそれですよね」
死神「悪いこと言わないんでやめた方がいいですぜダンナ」
男「だったらさっさと出て行け」
死神「イヤです」
男「もしもし警察ですか?」
死神「だからやめときなって」
男「なんでだよ?」
死神「イタズラだと思われますよ?恥ずかしい思いしたいのなら止めませんが」
男「なんで不審者の通報する事がイタズラになるんだよ」
死神「まぁ、論より証拠ですかね。見ててください」ガラッ
男「おい!何する気だよ!!」
死神「みなさーーーん!!!!こぉんばんわぁああぁぁあぁぁぁ!!!!!!」
男「ちょ、うるせぇ!!おい!やめろ!!ご近所迷惑だろうが!!!」
死神「そしてぇ!!男さんわぁー!!ロリコンでぇーーす!!!」
男「おいコラ!!何言ってるんだてめぇ!!」
死神「年端も!!いかないぃ!!少女がぁ!!大好きだそぉでぇーーーす!!!」
男「やめろぉーーー!!!!!」ガララッ、ピシャ!
男「はぁはぁ・・・マジやめてくれよ・・・」
死神「男さん、はぁはぁとかなんで興奮してるんですか?」
男「お前のせいだろ」
死神「私の体に興奮したんですか!?」
男「ちげぇーーーー!!!」
死神「まぁ、冗談はここらへんにしといて」
男「お前のその冗談のせいで明日からの俺の人生が終わりそうなんだが」
死神「ホントに?」
男「ご近所様にロリコンだとかいい振られて無事なわけないだろ」
死神「大丈夫ですよ。誰も聞いてないですから」
男「あんな大声で誰も聞いてないとか楽観視しすぎだろ」
死神「だったら」ガラッ
男「おい!もうやめろ!」
死神「なんでこんなに静かなんですかね?」シーン
男「・・・えっ!?」
死神「だれもうるさいだとか何も言ってきてませんし、そんな気配もないですよ」
男「そんなバカな・・・本当に誰も聞いてないって言うのかよ」
死神「聞いてないんではなくて聞こえてないんですよ」
男「そんなまさか」
死神「そのまさかなんですよ。私の声は今の所男さんしか聞こえませんし、姿も見えません」
男「おいおい・・・まさかお前は本当に死神だとでもいうのかよ」
死神「今朝、触れられなかった時点で信じてほしかったです」
男「いや、でもさ・・・」
死神「というわけで、通報しても無駄というわけです」
男「そんなバカなそんなバカな・・・」ブツブツ
男「そ、それで・・・死神が俺に何の用なんだよ・・・」
死神「男さんは鳥頭ですか?今朝に説明したでしょ?」
死神「男さんはもうすぐ死ぬんです!!だから私が来ました」
男「ウソだ!!!」
死神「どう思おうと結構ですよ。私の仕事には影響ないんで」
男「マジかよ・・・そんな、なんで・・・」
死神「残念ながら男さんの死を決めるのは私ではないので・・・ごめんなさいです」
男「イヤだよ・・・俺、まだ死にたくねぇよ」
死神「・・・ごめんなさい」
男「お前のせいじゃないんだろ?なんで謝るんだよ」
死神「・・・・・」
男「くそっ!どうしようもねえってのかよ!!」
死神「いえ、それは違います」
男「・・・えっ!?」
死神「実は男さんの死はまだ完全には確定してないんです」
男「ど、どういう事だよ」
死神「男さんはこのままでは死にますが、必ずしも死ぬわけではないんですよ」
死神「そうですね、わかりやすく言うとですねぇ・・・男さんは初訪問のピラミットで偶然発見したおうごんの爪を手に入れたという状況です」
死神「あっ、もちろんパーティに武闘家はいませんし、さらに、途中のひとくいばことの戦闘で僧侶が死んでます」
男「それ詰んでね?」
男「てか、なんだよその例え」
死神「あれ?わかりにくかったですか?では、別の言い方ですと・・・」
死神「嵐の山荘でこれ以上殺人犯といっしょにいられねぇ! 俺は部屋に戻らせてもらう・・・って言った人の状況ですか」
男「死亡フラグですね、わかります」
死神「まぁ、生存は絶望的ですが、これからの行動によっては生き残るという可能性もわずかに存在しないとは言い切れないって所です」
男「はじめからそう言えよ」
死神「がんばって生き足掻いてくださいね♪」
男「お前、ぜってー楽しんでるだろ」
死神「モチのロンに決まってるじゃないですか!いやだなー男さんは」
男「お前ほどウザイ奴はじめてだわ」
死神「というわけで、一応、応援してますので頑張って生きてくださいね」
男「おぉ、ありがと・・・で、いいのか?この場合?」
死神「何がです?」
男「死神としては俺が生き残るのは問題じゃないのか?」
死神「いえいえそんな事はありませんよ」
死神「先ほども言いましたが、私は男さんを殺しに来たのではないので」
死神「私としてはむしろ生き残ってくれた方がおもしろいので」
男「おもしろいって・・・まぁ、いいや。だったらせいぜい足掻いてみるよ」
死神「はい♪」
死神「それじゃ、お話はこれぐらいにして私はお風呂いってきますね」
男「おう」
ガチャ、バタン
男「・・・ん?」
シャァー
死神「あぁ~いいわぁ~・・・ねぇ、男さんも一緒にどうです~?」
男「なぁ、ちょっといいか?」
死神「えっ!?ちょ!まさかホントに来る気ですか!?」
男「ちげーよ!そんな事するか!」
男「お前、俺以外に姿も見えないし声も聞こえないし、あと今朝お前に触れられなかったよな?」
死神「えぇ、それが何か?」
男「でだ、お前は今お前はシャワーを浴びてる」
死神「乙女にお風呂入るなとか男さんはとんでもない人ですね。鬼畜です」
男「別に風呂に入るなとか言ってねぇよ」
死神「じゃぁ、いったい何なんです?」
男「お前、なんでシャワー浴びれるの?」
死神「はぁ?男さん意味わからないですよ?もしかして日本語が不自由なんですか?」
男「いや、別におかしくないだろ。いいか?お前はどうやってシャワーを浴びた?」
死神「どうやってって・・・蛇口をひねってお湯を出して」
男「それだよ!!なんで触れるんだよ!!」
男「俺は触れないのになんでお前はモノに触れるんだ?」
死神「必要に応じて実体化できるんで」
男「なんだそりゃ」
死神「まぁ、実体化は私の意思でやるので、私の許可なくオッパイは触れませんよ。残念でした」
男「別に残念じゃねぇよ」
死神「本当に?」
男「・・・当たり前だ」
死神「あっ!今ちょっとためらいましたね」
男「ウゼェ・・・」
死神「それよりも男さん」
男「あぁ?なんだ?」
死神「いつまで扉の前にいる気ですか?」
死神「できれば私のシャワーの音ではぁはぁするのはやめていただきたいのですが」
男「お前俺を変質者扱いしすぎだろ」
死神「いいからはやくどっか逝ってください」ニュ
男「うわっ!!アブな!なんだこりゃ!!」
死神「ほらほら、鎌で刈られたくなければ逝って逝って」
男「漢字違うから!!うひぃ!!」
死神「ふぅ・・・いいお湯でした。男さん次どうぞ」
男「んじゃ俺も入るか」
死神「死神タンの残り湯ゴクゴク、とかしないでくださいね」
男「はいはい、しませんしません」
死神「あらら、ずいぶんと淡白な・・・倦怠期なんでしょうか」
男「もとから俺とお前にそんな関係ないから」
死神「ぶーぶー!つまらないですよ男さん」
男「ウゼェ・・・」バタン
死神「あらら」
死神「ふふっ・・・じゃぁ準備しますかね」
男「ふぅ・・・」ザブン
男「(いったい何なんだよあの女・・・死神は)」
男「(やけに慣れ慣れしいし・・・)」
男「・・・・・・・」
男「(俺に死期が近づいてる・・・か)」
男「(バカバカしいって一蹴すりゃ終わりなんだけどな・・・)」
男「・・・まぁ、なるようになるか」ザバァ
ガチャ
男「ふぅ・・・」
死神「あっ、上がりましたね。お風呂どうでした」
男「いつもと変わんねぇよ・・・って、なんだよそりゃ?」
死神「何って、見ての通り夕ご飯ですよ。男さんもしかして盲目だったんですか?」
男「そうじゃなくてさ、なんで夕飯作ってるんだよ・・・しかも俺の好物ばかりだし」
死神「男さんとのラブラブ同棲生活初日ですからね。今日ばかりは特別です」
男「おい・・・今なっつった?」
死神「今日はト・ク・ベ・ツ・ヨ♪」
男「その前だ!てか、セリフ変わってるじゃねぇか!!」
死神「細かい事を気にする人ですね。だから短小なんですよ」
男「短小じゃねぇから!!いいからその前!」
死神「男さんとのラブラブ同棲生活?」
男「なんでお前と同棲しなくちゃならん」
死神「だって私男さんの最後を見届けるまで男さんの傍を離れられないので」
男「なん・・・だと・・・」
男「おい!どういう事だよ!!」
死神「ホント男さんは話を聞かない人ですね」
死神「だーかーらー、私は男さんが死ぬまで帰れないんです」
男「俺が死ななかったらどうするんだよ・・・」
死神「ふつつかものですが」ペコリ
男「おい!!」
死神「男さんは子供は何人ほしいですか?私は男さんとの子なら何人でも・・・」ポッ
男「頬を赤らめるな。頬を」
男「てか、おいおい・・・まじかよ。勘弁してくれよ」
死神「一定の期日過ぎても男さんが生きてたら帰りますので安心してください」
男「てめぇ!!!」
死神「あっ、ちなみに本当に結婚してもいいですよ」
男「しねぇよ!!」
死神「何怒ってるんですか?カルシウム足りてます?」
男「怒らせてるのは誰だよ・・・」
死神「それより、早くご飯食べましょうよ!冷めちゃいますよ」
男「ちっ!・・・いただきます」
死神「いっただきまーす!」
パクッ
男「・・・・・」モグモグ
死神「お味どうですか?」
男「ん~」ゴクン
男「・・・・・・」
死神「ねぇねぇ、どうですか!?」
男「・・・うめぇじゃねぇか」
死神「えへへ、やりました!ブイ!!」
男「ちっ!!」
死神「ちょっとー!なんが気にくわないんですか!」
男「なんでもねーよ」モグモグ
死神「・・・・・・」
男「なんだよ?じっと見て。食わないのか?」
死神「ツンデレ?」
男「どこがだよ!!意味わかんねぇよ!!」
死神「さっきからツッコミばかりでつかれませんか?交代しましょうか?」
男「いいからもう黙っててください」
死神「さて、そろそろ寝ましょう」
男「ちなみに、予備の布団なんてねぇぞ」
死神「いえ、ご心配なく」
男「???まぁいいや、寝るか」ゴソゴソ
死神「はい、寝ましょう」ゴソゴソ
男「・・・おい」
死神「はい?どうしました?」
男「自然な動作で俺の布団にもぐりこむな」
死神「いっしょに寝ましょうよ」
男「無理」
死神「ちなみに、私強いですから襲いかかってきても無駄ですよ」
男「いいから布団から出ろ」
死神「いいですか男さん。この場面で女の子に床で寝ろとか言う男は最低ですよ」
男「だからって俺が床で寝ろとでもいうのかよ」
死神「私も鬼じゃないんで、だから一緒に寝ようと」
男「お断りします」
死神「男さんてもしかしてアッチ系の趣味の人?女の子に興味ないんですか?」
男「違げぇよ」
死神「なら、むしろ男の子としては是非にでも一緒に寝たいはずですよね」
男「これでも彼女持ちだし。あと紳士ですから」
死神「紳士とかwww恥ずかしwww」
男「うるせぇよ」
死神「そうですねぇ・・・でしたらお風呂場はどうです?」
男「はぁ!?風呂場で寝ろとか更に酷くなってねぇか?」
死神「どっかの幻想ばっか殺したがる貧乏学生紳士さんもやってますから大丈夫じゃないですか?」
男「しゃぁねぇな・・・風呂場で寝るわ」
死神「行ってら~」フリフリ
◆
男「・・・・・・(やっぱ眠れるわけねぇし)」
死神「ぐがーぐごー」
男「ホント勘弁してくれよ・・・」
死神「男さ~ん・・・むにゃむにゃ」
◆
*次の日*
死神「おっはよぉーございまーす!!」バァン
男「んひぃ!!」ガタン
死神「んひぃだってwww」
男「な、なんだ?」
死神「ほらほらもう朝ですよ。希望の朝が来ましたよ」
男「朝・・・か・・・(結局夜明け頃まで眠れなかったし・・・)」
死神「朝食はもうできてるんでさっさと起きてくださいねー」バタン
男「・・・・・・」
男「ふわぁ・・・朝からホントうるさい奴だ」
死神「いただきまーす!」
男「いただきます」
死神「ん~デリシャ~ス」モグモグ
男「そういやさ」
死神「はぁい?」ムシャムシャ
男「この飯どうしたんだよ」
死神「出前じゃないですよ」
男「見りゃだいたいわかるから。じゃなくて材料」
男「自慢じゃないが、俺は一人暮らしの男にありがちな料理しない人だから」
男「食材とかどっから調達してきたんだよ」
死神「そりゃ買ってきたに決まってます」
男「金は?」
死神「男さんの財布からちょちょいと」
男「おいコラ!!」
死神「必要経費ですよ」
男「余計なもの買ってないだろうな」
死神「あはは、子供じゃないんですから大丈夫ですよー」
男「・・・・・・」ガチャ
男「・・・・・・おい」
死神「どうかしました?」
男「冷蔵庫の惨状について説明を要求する」
死神「必要だから買いました。以上」
男「ふざけんな!!なんだよ!このケーキの箱は!!」
死神「ケチくさいですねぇー、いいじゃないですかケーキぐらい」
男「俺もケーキの一つや二つぐらいなら怒らねぇよ!!」
死神「だったらなんで怒るんですか!?」
男「一段まるまるケーキで埋め尽くされてなければな」
死神「心配しなくてもちゃんと消費しますよ」
男「これ全部食う気か!!」
死神「その程度の量今日中に完食とか余裕です!!エヘン」
男「バケモノめ・・・あっ、ホントにバケモノだったわ」
死神「まぁまぁ、ちゃんと毎食ごはん作って上げますし、我慢してください」
男「いきなし押しかけてきやがってずうずうしい奴め」
死神「ちゃんとお昼のお弁当も作ってありますよ」
男「何?」
死神「はい」
男「おぉ・・・って、なんで二つ?」
男「まさかお前・・・学校まで付いてくる気か?」
死神「やだなー違いますよー。お昼、彼女さんと食べるんでしょ?」
男「ならこれ女の分なのか?」
死神「はい♪」
男「・・・・・・」
死神「それより、早く朝ごはん食べちゃいましょうよ」
男「あ、あぁ・・・」
男「ごちそうさん」
死神「お粗末さまです」
男「少し早いけど学校行ってくるわ」
死神「はい、かばん」
男「おう、サンキュー」
死神「えへへ、これ、まるで旦那様を会社に送り出す新婚さんみたいですね」
男「はいはいそうですねー・・・付いてくるなよ」
死神「だからちゃんと御留守番してますって」
男「・・・・・・いってきます」
死神「いってらっしゃーい!」フリフリ
バタン
死神「・・・・・・男君」
*学校*
ガラッ
女「あれ?男?」
男「よう」
女「今日は早いんだね」
男「あぁ、早起きしちまったからな」
女「ふ~ん」ギュッ
男「お、おい!!」
女「えへへ、いいじゃんいじゃん!!全然人いないんだし」
男「こ、これから一気にくるだろ」
女「恥ずかしがってる男君かぁわいい~」
男「勘弁してくれよ」
ガラッ
女友「はよーお二人さん!朝から見せつけてくれるねぇー」
男「Σ!!」バッ
女「あっ!!・・・もぉ~」
女友「あらら、別にそのままでもよかったのに」
男「いいわけないだろ」
女「女友おはよー」
女友「おはよー、そうだ女さー」
女「ん~何々?」
キャッキャ
男「はぁ・・・(ホント朝から疲れるわ・・・)」
*昼*
女友「お昼だー!お腹すいたー!!」
女友「それじゃぁねーお二人さん」
男「おい、女友」
女友「何?私は今食欲の権化と化してるから近づくと危ないわよ」
男「別に毎回遠慮する必要ないんだぞ」
女「そうだよー、私たちはお昼3人でもいいんだよ」
女友「いやいや、別に私はアンタ達に気を使ってるわけじゃないのよ」
女友「授業はともかく、ラブラブランチタイムのイチャイチャぶりを直視しろとかないですよ」
男「おいおい、ラブラブランチタイムって・・・」
女友「そんなわけで一人身の寂しいワタクシめは学食へダッシュ!!じゃぁね!!」ダッシュ
男「・・・行くか」
女「そうだね」
女「今日は何食べようかなぁ・・・」
男「ちょっといいか?」
女「何か食べたいのでもあった?」
男「そうじゃなくて、弁当あるんだけど・・・お前の分も」スッ
女「わぉ!!どうしたのこれ?」
男「いや、ちょっとな・・・」
女「男君、料理できたんだっけ?」
男「あっ・・・いや・・・さ、最近な」
女「ふ~ん・・・じゃぁ、今日は男君のお弁当~」
男「(い、言えねぇよなぁ・・・)」
男「(でも、せっかく作ってもらった弁当無駄にするわけにはいかないよな・・・)」
女「さぁて・・・出来栄えは・・・と」パカッ
女「わぁお!!」
男「どうだ?」
女「・・・これ、本当に男君が作ったの?」
男「あ、あぁ・・・(マズ、ばれたか?)」
女「(まるで女の子が作ったようなお弁当・・・)」クンクン
女「(他の女の匂いは・・・なし。でも油断できない)」
女「・・・いただきます」
男「おう」
パクッ
女「っ!!Σ」
男「ど、どうした!!!」
女「う・・・うますぎる」
女「アナタが神か」
男「無理して食う必要ないんだぞ」
女「いやいや、ご謙遜を。こんなおいしいのわたしゃ初めてですさ」
男「そ、そうか」
女「(こりゃ間違いなく男君が作ったものではないな・・・でも、いったいだれが・・・)」
女「ねぇ、男君」
男「な、なんだよ」
女「私の事好き?」
男「はぁ!?と、突然なんだよ!?」
女「お願い。答えて」
男「あ、当たり前だろ・・・彼氏なんだから」テレッ
女「なら、チュー」ズイッ
男「お、おいおい・・・こんな所でかよ」
女「イヤなの?」
男「せめて別の場所で」
女「ダメ!!ここで」
男「っ!!」バッ
チュッ
男「・・・これでいいのかよ」
女「うん♪(よかった。お弁当は気になったけどこれなら大丈夫そう)」
男「(くそっ、やっぱり弁当やめとければよかった・・・)」
*帰宅*
男「ただいまーっと」
死神「おふぁふぇりー」ムシャムシャ
男「・・・そういや家にはコイツがいたんだっけな」
男「って、なんだこりゃ」
死神「ふぁい?んぐんぐ」ゴクン
死神「男さんどうかしましたか?」
男「どうかしましたかじゃない!!なんだよこの食い散らかした後は!!」
死神「あー・・・男さんもケーキ食べます?」
男「ごまかしてんじゃねーよ」
死神「いやーお腹すいちゃいまして」
男「この量を一人で食ったのかよ・・・しかもケーキばっかり」
死神「女の子にとっては甘い物は別腹といいまして」
男「太るぞ」
死神「何かいいました?」シャキン
男「いえ・・・何も・・・あのー危ないんでその物騒な刃物下ろしていただけませんか?」
スッ
死神「ちなみに、私の体は霊体なんで太りません」
男「それ、飯食う必要あるのか?」
死神「死神だってお腹減ります」
男「もうどうでもいいや」
死神「ちなみに、ただ無駄に食っちゃ寝してたわけじゃありませんから」
死神「家事は完璧です!!」
男「おぉ!マジだ!!溜まっていた洗い物の山がキレイさっぱり!!」
死神「男さーん、いくら一人暮らしでも台所はキレイにしなきゃいけませんよ」
男「よくみたら食い散らかしたゴミ以外は掃除が」
死神「洗濯も完璧です!、あっ!ご心配なく、ちゃんと男さんのパンツも洗っておきました」
男「おい!それは必要ねぇ!」
死神「あと、男さんパンツでオナったりしてないんで安心してください」
死神「・・・クンカクンカはしましたが(ボソッ」
男「少しでも見直した俺がバカだったわ」
死神「それよりも、ご飯にしましょう」
男「これだけ食っておきながらまだ食うのかよ」
死神「私オヤツ食べたからって夕飯食べられないような子供じゃないです」
男「これがオヤツレベルなのかよ」
死神「ほらほら、準備はできてますよ」
男「あぁ・・・いただきます」
死神「いただきまーす!」
モグモグ
男「そうだ、死神」
死神「ふぁい?」
死神「弁当ありがとな、ほら」
死神「はい。どうでしたか?」
男「あぁ、女もうまいって言ってたよ」
死神「男さんは」
男「あん?」
死神「私は・・・男さんお感想が聞きたいです」
男「・・・(///」
男「えと・・・う、うまかった・・・ぞ」
死神「そうですか。よかったです」
男「・・・なぁ、その仮面どうしても外せないのか?」
死神「えっ!?あっ・・・その・・・ごめんなさい」
男「そっか(一瞬でも仮面外したらかわいいんじゃないかとか思っちまった)」
死神「おっふろ!おっふろ!」
男「ガキみたいにはしゃいでないでさっさと入ってこいよ」
死神「はーい!」ガチャ
男「うるさいのがいないうちに課題でも済ませるか」
死神「男さん男さーん」ガチャ
男「うるせぇ!大人しく風呂入ってろ!!」
死神「私のパンツいりますぅ?脱ぎたてホカホカですよ」
男「いらねぇよ!!」
死神「男さんてやっぱりアッチ系の趣味」
男「やめてください。不愉快です」
死神「じゃぁ、なんでパンツいらないんですか!?」
死神「インポなんですか!?オ○ニーしないんですか!!?」
男「女の子がそういう事言わないの」
死神「別に恥ずかしがる事はないんですよ。私ちゃんとわかってますから」
男「何をだよ」
死神「どうせ男さんも平静を装いながらも心の中では」
死神「死神タンのオパンチュクンカクンカ、ペロペロしたいよぉ~」
死神「・・・とか思ってるんでしょ!!この変態!!男さんのムッツリーニ!!」
男「変態はてめぇの事だろうが・・・」
死神「ほらほらいいんですよ。シャワーで聞こえませんし」
死神「私は男さんが部屋でナニしてようが気にしませんから」
死神「さぁ!存分にオナってください!!!」
男「さっさと風呂はいってこいやーぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」ドカン
死神「きゃぁ!!暴力反対!!!」
男「くそっ、あの変態死神め・・・」
男「・・・・・・」モンモン
男「くっ!変な事いうから意識しちまったじゃねぇか」
男「でも、するわけにはいかねぇし・・・」
prrrrrrr
男「ん?電話か、助かった!話でもして紛わせよう・・・はい」pi
女「こんばんわ~男く~ん!!」
男「おぉ、女か。どうした?」
女「えへへ、声、聞きたくなっちゃった(///」
男「そ、そうか(///」
女「ん、でもね・・・残念ながら用事があるの」
男「あ、そうなんだ」ショボーン
女「あわわ、ごめんね。別に用事がなければ電話しないんじゃないからね」
女「声、聞きたくなったってのはホントだもん・・・」
男「そっか、うれしいよ」
女「えへへ(///」
男「それで、用事ってどうしたんだ?」
女「うん、ねぇ男君」
女「海へ行こう!!」
男「海?」
女「もうすぐ海開きでしょ?今日その事で女友ちゃんと盛り上がっちゃって」
男「へぇ・・・海かぁ・・・いいな、それ」
女「でしょでしょー!今度のお休みにでも3人で行こうよ!」
女「それとももうすぐ夏休みだしそれまで待った方がいいのかな?う~ん・・・」
男「次の連休でいいんじゃないか?」
女「そう?そっかぁー、もうしょうがないなー。そんなに海に行きたいの?」
男「そうそう、海ちょー行きてー」
女「うんうん。だったら、男君のために次の連休に決定!!」
男「あぁ、それでいこう」
女「あとね、男君」
男「ん?何?」
女「後ででいいから、二人きりでもう一度行こうね」
男「あぁ、わかった」
女「えへへ、それじゃ女友に予定聞いてくるからまた明日ねー」
男「あぁ、また明日な」Pi
男「やれやれ海か・・・海なんていつ以来だろ」ガチャ
死神「男さーん!オ○ニーがんばってますかぁー?」
男「してません」
死神「ウソはよくないですよウソは」クンカクンカ
男「何・・・してんだ?」
死神「いえ、イカ臭いにおいはするかなぁ・・・と」
男「だからしてないって」
死神「うーん・・・対策済みか・・・完璧な消臭ですね。御見それしやした」
男「さて、俺も風呂入ってくっか」
*次の日*
ガラッ
男「はよー」
女「男君おはよー」
女友「あれ?男だ。昨日といい今日といいなんでこんなに早いの?」
男「なんか急に早起きに目覚めてな(死神に叩き起こされるからな)」
女友「へぇー・・・以前、あれだけ朝の貴重な睡眠時間がうんたら言ってた男がねぇ・・・」
男「それでもお前らよりは遅いじゃないか」
女「男君の家の方が学園からは遠いから仕方ないよ」
男「まぁ、それはそうだけどよー」
俺の家は彼女達の家に比べ離れた場所にある
といっても、電車で30分もかからない距離なので通学が大変というわけではない
また、残念な事に女の家は学園から俺の家に対して反対方向にある
付き合い始めた最初の頃は俺の家まで迎えに行きたいと言っていた女だが
わざわざ家まで迎えに来てもらうには大変だし、正直この前までは朝はギリギリまで惰眠を貪りたい派である俺に付き合わせて万が一遅刻させてしまうのを避けたかった
そんなわけで、女との一緒の登校や下校ができないのは残念だが・・・
まぁ、家に変なのが転がり込んでいる今となってはある意味助かったのかもしれない
男「(いくら見えなくてもごまかすのがめんどくさそうだしな)」
女「それと男君、女友ちゃんいけるって!やったね!!」
男「ん?何の話だ?」
女友「3人で海行くっていう話」
男「あぁ、あれか」
女「えへへー、すごい楽しみだよ。今夜はワクワクして眠れないかも」
男「おいおい。ガキじゃあるまいし・・・」
女「ぶー!子供じゃないもん!!いくら男君でもそれは聞き捨てならないよ!」
男「悪かった悪かった、いい子だから怒るなって!な?」
女「むきー!バカにしてー」ポカポカ
男「いてっ!ちょ!やめろって!!」
女友「はぁ、やれやれ・・・」
男「いたた・・・ん?女友。どうかしたか?」
女友「んー?なんもぉ~。ただ、目の前でイチャイチャされてうざったいなぁー・・・なんて欠片も思ってませんよ」
男「・・・すまん」
女友「こんな調子で海でも私そっちのけでイチャつかれるのかぁー。やっぱり行くのやめようかなぁー・・・なんてホント思ってませんから」
男「・・・ごめんなさい。これからは自重します」
女友「ま、女が幸せそうだから別に構わないけどね」
女「ありがとー!女友ちゃん!!」
*帰宅*
男「ただいまー」
死神「あっ!お帰りなさーい!ごはん今作ってるところなんで少し待っててくださいねー」
男「おう!・・・・ぶふぉ!!」
死神「キャ!汚な!?」
男「ちょ!おまっ!!なんだそのかっこは!?」
死神「んー?どこか変です?このエプロン」
男「エ、エプロンがどどうとか、そ、そそそういう問題じゃないだろ!!!」
死神「なんでキョドってるんですか?キモイですよ」
男「いいから早く着替えろぉ!!」
死神「ふ~む・・・はだエプは男さんには少々早すぎましたか・・・」
やっぱりコイツ女だったんだな
男にしては小さいから女なんかじゃないかとは思ったけど
こうして直接肌を見れば一目瞭然だ
それにしても残念だ
とてつもなくエロい光景なのに・・・
男「その仮面は邪魔だよなぁ・・・」
死神「仮面を取れだとか男さんはどれだけ変態なんですか!!」
男「裸エプロンはよくて仮面はダメなのかよ。基準おかしくね?」
死神「着替えろとか威勢が良かったのは最初だけで、いまではすっかりがん見の男さん」
男「はっ!?いや、こ、これは違うんだ」
死神「どこが違うんですか?あんな熱視線を送っておきながら」
男「いや・・・その・・・それは・・・」
死神「ほらほら、正直に言っちゃってくださいよ! 私のオッパイ触りたいんでしょ?舐めたいんでしょ?むしゃぶりつきたいんでしょ?」
死神「その下衆な欲望丸出しの棒で乳首こねくり回して射精したいんでしょ?この変態!?」
男「アホか!!」
死神「でも残念でした!!」
男「な、何がだよ?」
死神「私、オッパイ小さいですので」
男「あ、いや・・・気にするなよ」
死神「気にしますよ・・・さすがにここまで凹凸少ないのは・・・はぁ・・・」
男「お、俺は大きさなんてこだわったりなんかしないぞ」
男「いやま、世の中には大きい方が好きって奴もいるけどさ・・・まぁ、中には俺みたいな物好・・・すまん、小さくてもいいって奴もいるから」
死神「男さんは小さいのが好きなんですか?」
男「いやま、俺の彼女もお前みたくペチャだしな・・・うん」
死神「これはロリコンですね。通報しなきゃ」
男「小さいのもいけるだけでロリコンではありません」
男「てか、なんで俺達はこんな変態トークしてるんだ・・・」
死神「男さんが私のオッパイではぁはぁしだしたからですよ」
男「はぁはぁなんてしてません」
死神「シコシコ?」
男「さらに酷くなってるがな」
死神「ドピュドピュ?」
男「さ、着替えてくるか・・・飯できたら呼んでくれ」
死神「賢者モードですね。わかります」
*数日後*
男「あっ・・・そういや水着とかどこにやったっけか?」
男「う~んと・・・・」ガサゴサ
男「・・・ねぇな。新しいの買ってくるか」
死神「あれ?男さんお出掛ですか?」
男「あぁ、ちゃんと留守番してろよ」
死神「また女さんとデートですか?うらやましいですね」
男「今日は俺一人だ」
死神「振wらwれwたwwwww」
男「振られてねぇよ!!」
死神「男さんいったいどんな変態プレーを強要したんですか?」
男「話し聞けよ」
死神「AVじゃないんですから、夜中の首輪オンリーお散歩プレイとかやっちゃダメですよ。現実を見つめてください」
男「いってきます」ガチャ
死神「わー待ってくださいよ!!いつもの冗談じゃないですか!?」
男「お前はついて来るな」
死神「まぁまぁ、固い事は言わずに。今日はどこに行くんですか?」
男「街に水着を買いにな。だからついて来るな」
死神「・・・・・・水着」ピタッ
男「ん?どうかしたか?」
死神「水着とか・・・海にでも行くんですか?」
男「まぁな」
死神「そう・・・ですか・・・」
男「おいおい。どうしたんだよ。なんか変だぞお前」
死神「いえ・・・なんでもないですよ、なんでも」
男「・・・・・・」
死神「さ、それより早く行きましょうよ!ほらほら!!」グイッ
男「ちょ!!おまっ!急につかむなよ!!」
*ショッピングモール内*
死神「うわぁ・・・いつ見ても広いですね、ここは」
男「まぁ、基本田舎なうちの県の中でも唯一の都心だからな」
死神「わぁ・・・あの服かわいい!!男さん見てくださいよほらほら!!」
男「はしゃぐなみっともない。それに今日はお前の買い物に来たんじゃないからな」
死神「わ~い!!」トタタタタタ
男「おい!!どこ行・・・はぁ、まぁ別にいいか」
男「この隙に買い物済ませ・・・」
女「あれ?男君?」
男「ん?」
女友「ホントだ!!やっほぉー!男!!」
男「女と女友か?」
女「うんそうだよー♪今日は女友ちゃんとお買いもの」
女友「悪いわね男、今日は女を借りてるわよ」
男「問題ないよ。女の手綱をしっかり握っててやってくれ」
女友「任せて!!迷子にならないようにしっかりと手を握ってるから!!」
女「二人ともぉ~それはどういう意味なのかなぁ?」ゴゴゴゴゴ
男「今日は何を買いに来たんだ?」
女「コラー!無視するな!!」
女友「水着だよ」
女友「うわ~ん!女友ちゃんにまで無視されたぁ~」
男「水着か、奇遇だな。ちょうど俺も水着買いに来てたんだ」
女「もぉー!ダメだよ女友ちゃん!!ばらしちゃ!!」
女友「え!?なんで?」
女「男君には当日になってお披露目してビックリさせる予定だったのに!!」
女「これじゃ男君が私たちの水着姿を意識して感動が半減しちゃうでしょ!?」
女友「いやま・・・大丈夫じゃない?」
男「「はははっ・・・なら仕方がないな。ならべく意識しないようにするから許してくれ」
男「それじゃ、俺はこのあたりで退散するよ・・・またな二人とも」
女「ばいばい~またね~男く~ん!!」ブンブン
男「あぁ、じゃあな」
男「さてあのバカ<死神>はどこにいるやら」
死神「ふんふふ~ん♪」
男「おっ、見つけたぞバカ」
死神「もぉ、バカとか酷いですよ男さん」ニコニコ
男「機嫌いいな・・・ん?その袋は?」
死神「買っちゃいましたぁ☆」
男「どうやって」
死神「どうやってって・・・普通に実体化してお買いものしただけですよ」
男「その不気味な仮面付けて?」
死神「こんなものつけてたら通報されちゃいますよ」
男「俺の前ではあれだけ取ろうとしないのに・・・ホントわけわかんねぇよお前」
死神「さ、帰りましょう男さん」
男「まてまて、まだ俺の買い物が済んでない」
死神「男さんに水着なんて必要ないですよ!!いいじゃないですか、真っ裸で泳げば」
男「アホな事言ってないでさっさと買いに行くぞ」
死神「まったくしょうがない男ですねぇ・・・仕方ないから付き合ってあげます」
男「さって、どれにすっかなぁ・・・」
死神「男さんのスルースキル成長しましたよねぇ・・・」
男「ん~」カチャカチャ
死神「男さ~ん!これなんてどうです~?」
男「ん?どれどれ?」
死神「じゃ~ん!白鳥パンツー!!」
男「アホかー!てか、どこからそんなもの持ってきた!!」
死神「え~?ダメですか?これなら男さんの矮小な素チンも凶暴な鬼に進化するのに」
男「素チンとか言うな。一応、女の子なんだろうが」
死神「隠さなくてもいいんですよ。確かこれぐらいでしたっけ?」ニギニギ
男「・・・・・・なぜ知ってる」
死神「夜、男さんが寝て・・・いえ、なんでもありません」
男「ついでに風呂場のカギ買ってくか」
*帰り道*
死神「ふんふふ~ん♪」
男「はぁ、疲れた」
死神「歳ですか?」
男「全部お前のせいだよ」
死神「男さんが白鳥パンツ買わないからじゃないですか?」
男「全然関係ねぇよ」
死神「まったくつまらない男です」
男「・・・・・なぁ?」
死神「はい?なんですか?」
男「悩みがあるなら相談に乗るぞ」
死神「はい?急いどうしたんですか?」
男「・・・・・・やっぱ、なんでもねぇ」
死神「まったく、変な男さんです。あぁ、男さんが変なのはいつもの事でしたか」
男「・・・でもよ、無理はすんなよ」
死神「・・・・・・だから意味わかんないですよ」
男「早く帰って飯にするか」
死神「今日も頑張っておいしいご飯作りますんで期待しててくださいね」
男「あぁ、期待してるよ」
死神「今日の男さん、優しすぎて気持ち悪いです。ホント変です」
男「そうだな・・・なんでだろろうな」
男「(ホントなんでだろ・・・でもさ、なんかすごく寂しそうに見えたんだよ・・・)」
最近、死神の様子がおかしい
この前、水着を買いに行った時から、そう、どこか寂しげな雰囲気を見せるようになった
表面上ははしゃいで元気にしているが、なんだか最初の頃より空回りしてる気がする
まぁ、死神にも人間みたいな悩みとか色々あるのだろう
でも、不思議なのが、それがやけに気になる事だ
一緒に暮らしてる内に情でも沸いたのだろうか?
仮面の下に隠された顔が泣きだしているように思えて最近は死神の事ばかり気にしている
男「さて、そろそろ行くか」
でも、いつまでも気にしてはいられない
今日は女達と海に行く約束している
死神は相変わらずごまかそうとしてるし、今日ばかりは自分の彼女の事を考えなければな
死神「どこに行く気ですか男さん!!今日は私と暑中ガマン大会をする約束ですよ!!」
死神「ホラホラ!コタツとドテラと鍋は用意済みですよ!!」
男「そんな約束してないだろ」
男「それに、すで言ってあるだろ。今日は女達と海に行くって」
死神「どうしても行くんですか」
男「当たり前だろ」
死神「これでもですか?」チラリ
男「ちょ!!何脱いでるんだよ!?」
死神「男さんがいいのなら・・・いいんですよ」チラチラ
男「っ!(///」
男「行ってきます!!」ガチャ
死神「あっ!!待って!!」ギュ
男「えっ!?」
死神「お願い・・・行かないで・・・」
男「えっ!?え?」
死神「・・・・・・」
男「(な、なんなんだこのシチュエーションは?わけがわからん)」
死神「・・・ごめんなさい」スッ
死神「行ってらっしゃい」
男「・・・・・・行ってきます」バタン
死神「・・・うぅ・・・行っちゃったよぉ・・・男君」
*海*
男「・・・・・」
女「男君?」
男「・・・女」
女「もしかしてつまらなかったかな?」
男「そんなわけないだろ、女と一緒だったらどんな事でも楽しいよ」
女「だったらどうして・・・」
男「・・・・・・」
女「男君、ちょっとこっち向いて」
男「あぁ、なん・・・ん!!?」
チュ
女「元気だしてね」
男「・・・・・・」
女「むむっ・・・もう一回」
男「いやいや、大丈夫!!元気出たって!!」
女「ホントに?」
男「ホント、ホント。今のはちょっと急だったかビックリしただけってか」
女「そっか、ならよかったぁ~」
男「女、ありがとな」
女「えへへ、これでも男君の彼女ですから!!」
まったく・・・女に心配かえるなんて俺は彼氏失格だな
死神の事は気になるけど、今日は女の事を考えるって決めたんだから
男「よっしゃ!!復活!!行くぞ女!!突撃だぁ!!」
女「イエッサー!!!」
男「うおおおぉぉぉおぉ!!!」
女友「わっ!!男が暴走した!?」
男「何をしてる女友!!今日という日の貴重な時間を無駄にするんじゃない」
女「そうそう、遊ぼぉーう!!」
女友「なんなの?このテンション差?」
*日暮れ*
男「いやぁ・・・今日は遊んだなぁ・・・」
女「真っ白に燃え尽きましたぜ・・・」
女友「そりゃあれだけはしゃいでればね」
男「さて、帰りますか」
女「そうだねー」ダラー
男「やれやれ・・・俺、なんか飲み物でも買ってくるわ」
女友「もう海の家終わったわよ」
男「着替えもすんですし、向うのコンビニにでもいってくるよ」
女友「うん、行ってらっしゃい」
ウィーン
アリガトウゴザイマシター
男「さて、お疲れのお姫様をお待たせしてるし急ぐか」
女「お~い!!男く~ん!!」
男「あれは女か?お~い!!」
女「私もジュース持つよ~」ブンブン
男「たく、大した数でもないんだから大人しく待ってればいいものを・・・っと」カランカラン
男「とと、やば、落とした」タタタッ
女「Σ!!****!!!!」
男「ん?女?」
女「男君ーー!!!ダメェーーー!!!」
男「え!?」
ブロロロロロロ
なぜ気づかなかったのだろうか?
疲れていて集中力がかけていたからなのだろう
でも、それでも普通、ここまで接近するまで気がつかないものなのだろうか?
まるで仕組まれたかのように切り取られた音が突如として復活する
世界が停滞する。歪曲し、色あせていく・・・
廻る廻る廻る
ぐにゃりと溶けてぐにゃぐにゃになる
ここにあった世界がいずこかへ飛ばされ、ここじゃない世界がここにある
男「あぁ、そういう事か・・・理解したよ死神」
切り取られた世界の向こう側から”死”がやってきた
◆
ドロドロ
気持ちが悪い
俺の体はドロドロなコ-ルタールのような海にゆっくりと沈んでいた
それがあまりにもゆっくりで、まるで拷問のようだった
じわじわと、体の隅から俺の自由が奪われていく
海の中は真っ黒で、見方を変えれば俺の体は沈んでいるのではなく浮上してるのかもしれない
呼吸は・・・してるのだろうか?
わからない
ここではそんな事関係ないような気がした
男「あぁ・・・ここはあまりにも冷たくて寒い」
俺は少しでも熱を求めて腕を伸ばした
◆
男「・・・・・」
目が覚めると俺は見知らぬ場所に寝かされていた
男「ここは・・・どこだ?」
ここが死後の世界なのだろうか?
体の感触とかは生きてる時と変わらない。まったく同じだ
ガラッ
男「Σ!!」
女友「男!!目が覚めたの!!」
男「女友?」
女友「よかった・・・男が無事で本当によかった」
男「俺は生きてる・・・のか」
女友「当たり前でしょ!!どこかおかしい所はない」
男「あぁ・・・大丈夫そうだけど」
女友「そっか、よかった・・・」
男「なぁ、何があったんだ?」
女友「・・・・・・覚えてないの?」
男「確か・・・」
そう、あの時俺は横から猛スピードで突っ込んでくるトラックに引かれかけて
男「ここは病院か?」
女友「うん」
男「という事は俺は引かれかけて・・・いや引かれたけど助かったのか?」
女友「・・・・うん」
男「女友?」
女友「そう、アンタ”達”はトラックに引かれたの」
男「達?」
女友「そして、男”は”助かった」
男「なぁ、そういえば女はどこにいるんだ?」
さっきから女友の言葉に違和感があった
男「(そんな・・・そんなわけ・・・ないよな?)」
男「女友、女に合わせてくれないか?」
女友「それは無理」
男「な・・・なんで・・・だ?」
女友「だって・・・グスッ・・・だってぇ・・・ヒック・・・女は死んだじゃったんだもん」
男「はぁ!?」
男「な・・・何言ってるんだよ・・・女が死んだ?冗談きついぜ」
女友「うわああぁぁあぁぁん!!!!」
男「クソ!!どいてくれ!!」ダッ
男「ぐっ!!!」
事故の傷が痛む
でも、それよりも女の事が気がかりだった
男「はぁはぁ・・・ウソだ・・・そんなのウソだ」
走った。走って走って走った。
そして見つけた
そこにあってほしくなかった場所に
静かに横たわる、かつて”彼女だったモノ”が
*帰宅*
あれから、俺は女の傍で茫然と立ち尽くしていた所を探しに来た看護師さんに連れられて病室にもどった
それから、軽く検査をして
あまり大きな傷もなかった俺は病院を後に帰宅した
死神「・・・男さん」
男「・・・何?」
死神「・・・いえ、なんでもありません」
男「・・・・・・お前はさ」
死神「はい」
男「知ってたのか?」
死神「・・・はい。知ってました。こうなる事は全部」
男「っつΣ!!!てめぇ!!」ダッ ガシッ
死神「うぐっ!!」
男「なんでだよ!!なんで黙ってた!!」
死神「・・・・・・」
男「何とか言えよ!!おい!!」
死神「・・・・・・」
男「お前のせいで、おまえのせいだ!!」
死神「・・・ごめんなさい」
男「はぁ!?謝ってすむ問題かよ?」
死神「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
男「あっ・・・」パッ
男「・・・悪い」
死神「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
男「もういい、もういいから」
死神「で、でも・・・私のせいで女さんが」
男「そんなわけないだろ、さっき俺が言った事は忘れろ。お前のせいなわけがないだろ」
死神「それでも・・・」
男「気が動転してたんだ。お前は悪くない。全部俺が悪いんだ」
死神「そんな事ないです!!そんな事・・・」
男「思えば、最近お前の態度怪しかったもんな」
男「出かける前も俺を行かせたくないような感じだったし」
死神「・・・はい」
男「事情があったんだろ?お前は助けようとしてた」
死神「はい」
男「だから、そんなお前の変化に気付けなかった俺が悪い」
死神「そんな・・・無理ですよ・・・あんなんで気づくわけ」
男「いいんだもう・・・それに、今更あーだこーだ言ってももう遅い」
男「女は・・・もういないんだから・・・」
死神「うぅ・・・どうして・・・どうして」
男「どうして・・・か」
男「さてね、これが運命だったんだろ?しょうがないさ」
死神「諦めないでください」
男「えっ!?」
死神「私はまだ諦めてません」
死神「運命だから仕方がないなんて理由で諦めないでください」
死神「幸せを求め続ける事を諦めないでください」
死神「何度挫けたって・・・その”想い”が本物ばらば諦めちゃいけないんです」
男「なら・・・どうすればいいんだよ」
男「女は死んだ!!この目ではっきりと見た!!」
男「死んだ人間はもう戻らない。なら俺にどうしろっていうんだよ!!」
死神「・・・・・・」
男「俺だって諦めたくなんかないよ・・・」
男「でもどうしようもないじゃないか・・・」
死神「・・・・・・もしも」
男「???」
死神「死んだ人間が生き返れるとしたらどうします?」
男「はぁ!?そんな事できるわけ・・・」
死神「私は死神です。人の生き死にを司る神です」
男「そんなまさか・・・」
死神「その、まさかだとしたら」
男「女は・・・生き返る・・・のか?」
死神「・・・・・・」
男「おい!どうなんだよ!!できるのかよ!?」
死神「はい。可能です」
男「マジかよ・・・おいおい!!あはっ、マジかよぉ!!!」
死神「・・・ただし」
男「あっ・・・もしかして」
死神「条件がクリアできればです」
男「まぁ、ありきたりだわな」
男「・・・いいぜ、俺は女が生き返るというなら何だってする」
死神「何だって・・・か・・・」
死神「その言葉に二言はないですか?」
男「おう!!」
死神「でしたら・・・人を・・・」
死神「人を殺して下さい」
男「・・・は?」
男「すまん、今、なんて言った」
死神「人を殺して下さいと言いました」
男「なんだよ・・・それ・・・」
死神「女さんを生き返らせる代償として必要なものは人間一人分の魂です」
死神「殺す人間の指定はありません。必要なのは一人分の魂」
死神「ですから、アナタの大切な人が生贄ですとかはいいません」
死神「その辺にあるいてる見知らぬ他人で結構ですので」
男「ふざけるなよ・・・俺に人殺しをしろとか・・・ふざけんなよ!!!」
死神「ふざけてなんかいませんよ」
死神「代価としては正当だと思います」
男「で、でも・・・」
死神「男さんが直接手を汚したくないというなら私が代わりましょうか?」
死神「男さんは殺す人間を指定するだけでいいです。後は私がサクッと終わらせますので」
男「あっ・・・あぁっ・・・」
死神「選んでください。愛か、罪か」
死神「迷う必要なんかないんじゃないですか?」
死神「男さんの人生に欠片も影響しないような他人を生贄に捧げるだけで女さんが戻ってくるんですよ?」
死神「あっ!そうだ!犯罪者とかどうですか?」
死神「どうしようもないクズを始末できて同時に恋人が帰ってくる。最高じゃないですか!!」
死神「そうしましょうそうしましょう!!よかったですね男さん」
男「なんで・・・」
死神「はい?どうかしました?」
男「なんでそんなに楽しそうなんだよ?」
死神「えー、だって、女さんが生き返るんですよ? クズ人間を処分するだけなんて簡単な方法で。男さんはうれしくないんですか?」
男「俺は人間だ。お前なんかとは違う」
死神「どういう意味ですか?」
男「例え女が生き返るとしても。人殺しなんて人として間違ってる」
死神「詭弁ですね。反吐が出るような正論です。ドラマとかじゃないんですよ?」
死神「もしかして自分に酔っちゃったりしてます?俺カッコイイとか思ちゃってますぅ?」
男「なんとでも言え。とにかくそんな方法で女を生き返らせるつもりはないからな」
死神「でも、悪いですけど、これしか方法はないですよ」
男「・・・・・」
死神「気が変わったら言ってくださいね」
男「もしも、気が変わるなんてありえたらな」
死神「あと、いつまでも待てませんから」
男「どういう事だ?」
死神「ぶっちゃけると、女さんを生き返らせる期日があるって所です」
男「いつまでなんだ?」
死神「明日の正午までです」
男「なっ!!」
死神「というわけで、時間もないんでちゃっちゃと決断してくださいねぇ~」
男「くそっ!!」
*次の日*
男「・・・はぁ」
死神「男さ~ん。まーだーでーすーかー?」
男「うるせぇ!!少し黙ってろ!!」
男「(くそっ・・・時間がない・・・)」
残り時間はあとわずか2時間にせまっていた
あれから、一晩悩みに悩んだ
答えは・・・変わっていない
人を殺すなんて間違ってるんだ。誰に言われようとこれは正しいはずだ
でも・・・心の奥底に沈む俺の悪魔の囁きにより俺の心が苛む
男「くそっ!!どうすればいいんだ」
死神「ねぇねぇ男さ~ん・・・もう時間ないですよ~」
男「うるせぇ!!!」
男「うっ・・・暑っ・・・」
死神があまりにもうざったいので思わず外に飛び出してきた
気温はあまり高くはないと思ったが、太陽が真夏のように俺を照らす
男「・・・・・・」テクテク
宛てもなくさまよい歩く
その姿は傍から見るとまるで生贄を求めて動き出したかようにも見えた
どれだけ歩いたのか
俺は暑さから逃れるように川辺まで来ていた
残り時間はもう1時間もない
女を生き返らせるならばもう決断をしなければならない時間だろう
男「ダメだダメだ!!!」ブンブン
もう俺にはどうすればいいのかわからなかった
男「もう俺はダメだよ・・・なぁ、助けてくれよ・・・」
それは誰に向けた言葉だったか
救いを求めて俺は天を仰ごうと顔を上げた
男「ん?」
その途中、川にかかる橋の上に人影が見えた
男「なんだ?」
目を凝らす
男「なっ!!」
その人物は・・・遠目からははっきりとしないが
少女と思しき人物が橋の手すりの上に立っていた
急いで視線を下げる
川は浅く、橋の下はちょうど岩がむき出しになっている
高さはかなりある・・・打ち所が悪ければ死んでもおかしくはない
男「くそっ!!」ガシッ
走り出そうとした俺の腕を何者かが掴んだ
死神「行っちゃダメです男さん」
男「死神か!放せ!!」
死神「行ってどうするんですか?」
男「どうするって・・・助けるに決まってるだろ」
死神「なぜ?なぜ助けるんですか?」
男「なぜって・・・普通助けるだろ」
死神「いいじゃないですか?死にたがってるみたいですし。死なせてあげては」
死神「あぁ、そうだ。ちょうどいいじゃないですか!! あの子が自殺する前に殺しましょう!そうすれば女さんも生き返りますよ!!」
男「・・・ふざけんなよ」
男「ふざけんじゃねぇよ!!」ガシッ
男「お前は人の命を何だと思ってやがるんだ!!!」
死神「・・・・・・」
男「・・・ちっ!!」バッ タッタッタ
死神「やっぱり・・・・死んじゃうんだね。男君」
男「おい!お前!!」
少女「だ、だれ!!?」
男「そこにいると落ちちまうぞ、コッチにこい!!」
少女「いいの」
男「何言ってんだ、早く!!」
少女「私にかまわないで!!」
男「っく!!」
少女「もうヤダ・・・イヤなの・・・」
少女「もう死んじゃいたい・・・」
男「ダメだ!!!!」
少女「なんで、なんでそんな事言うの?」
男「キミはまだ生きてるじゃないか・・・こうして生きている」
男「まだ生きているのに・・・生きるのを諦めるなんて事はいけない事なんだ」
少女「なんで!!いいじゃない!!どうしてダメなの!?」
男「キミが死んだら悲しむ人達がいるはずだから」
男「だから、キミはその人達のためにも行きなければならないんだよ」
少女「そんな人いないよ・・・みんなみんな私に酷い事ばかりする」
少女「みんな私なんて死んじゃえばいいとか思ってるんだ!!悲しむ人なんていないの!!」
男「それはキミが気づいていないだけじゃないかな?」
少女「えっ!?」
男「大丈夫、俺が保障するから。キミの周りにはキミを大切に思ってくれている人達が必ずいるから」
少女「なんでそんな事言えるの・・・アンタだれよ・・・すごい偉そう」
男「まぁ、俺の事なんてどうでもいいじゃないか・・・っと」ガシッ
少女「あっ!!」
男「よっしゃ!!捕まえたっと」
少女「あっ・・・」
男「震えてる。本当は怖かったんだろ?」
少女「あ、当たり前じゃない」
男「ふふっ、さ、降り・・・」グラッ
男「あれ?」
景色が回転する
とっさに掴んでいた少女を突き飛ばす
ドサリという音が聞こえた
青い
目の前には真っ青な空が広がっていた
浮遊感
四肢の感覚が失われる
金縛りにでもあったかのように全身の自由が奪われた俺の体は
ゆっくりと・・・そして一瞬のうちに
墜ちていった
男「しぶと・・・いなぁ・・・俺」
死神「・・・・・・」
全身が鉛のように重かった
何がどうなったのか、俺の体は近くの岸辺に打ち上げられていた
死神の奴が助けてくれたのだろうか?
男「悪いな・・・たす・・・かったよ」
口がうまく動かない
それにものすごく寒かった
いくら季節が初夏になろうとしてても、長時間水につかっているのは悪いのだろう
死神「時間だよ、男君」
男「なに・・・が?」
死神「生き返りのタイムリミット」
あぁ・・・もう正午になるのか・・・
死神「決まった?」ギュ
死神の手が俺の握る
もう逃げられない
でも、もう逃げる必要なんてない
男「決ま・・った」
死神「そう」
慈愛に満ちた声
死神の想いが・・・心が・・・彼女の手を介して俺に伝わってくる
そうか・・・そうだったのか・・・
大変だったんだなお前も・・・
男「なぁ・・・」
死神「なんですか?」
男「最後に・・・一つだけ。仮面を・・・とって・・・くれないか?」
死神「はい」スッ
男「なんだ・・・泣いて・・・るのかよ」
死神「だって・・・だって・・・」
男「泣くな・・・ほら」スッ
死神「んっ・・・んっ」
死神「・・・んはぁ・・・男君のキス・・・」
男「泣きやんだかよ。女」
死神「うん」
男「それにしても・・・いいのかよ」
死神「大丈夫だよ。心配しないで」
死神「言ったでしょ?必要なのは”人間一人分の魂”」
死神「男君はまだ死んでないから」
男「そっか・・・そういや・・・そんな事・・・いってたな」
男「死ぬ前に・・・殺せばいい・・・か」
死神「また明日ね、男君」
男「あぁ、また・・・明日」
男「・・・・・・」
死神「今回も失敗・・・か」
???「まだ続けるのかね?」
死神「うん。私は何度だって言うよ」
死神「何度挫けたって・・・この”想い”は本物だから・・・」
死神「だから、私は絶対に諦めない」
???「そうか。ではまた行ってくるといい」
死神「行ってきます。神様」
私は鏡に向かって身支度を整える
何度も何度も念入りにおかしな所がないかチェックする
死神「ん~よし!!オッケー!!今日もバッチシV」
トントントン
足音が聞こえる
男君が帰ってきたようだ
カ゛チャ
男「ただいま~っと」
死神「お帰りなさ~い!!」
男「・・・は?どちら様?」
死神「こんにちは死神です」
FIN
そなたの魂と未来を引き換えに、ここに契約の締結を示す
契約により、そなたに望む未来を探す権利を与える
ただし、契約の履行に際して以下の制限を設けることとする
一つ、女への接触を禁ず
一つ、未来の事実を述べる事を禁ず
一つ、人物および物体に対する直接的操作による改変を禁ず
一つ、女の死亡の後、反魂の儀について黙秘することを禁ず
以上の制約に反した場合、即座に契約執行の権利を失うものとする
また、契約の執行が終了した時点で債務の取り立てが開始される
221 : 以下、名... - 2010/11/07(日) 03:51:23.98 OhJAre5OO 128/129以上です。
解説いりますかね?
225 : 以下、名... - 2010/11/07(日) 04:01:38.53 OhJAre5OO 129/129簡単に解説しますと
女(=死神)は神様との契約をして
自身の魂と契約終了後は死神として働きますという未来を引き換えに死神となって二人共生き残って幸せになれる世界を目指しましたと
ただし、それには四つの制約があって、かつての自分とあったり、これから起こる事を話したり
男や女を引いたトラックとかに実体化してあれこれしたりするのが禁じられてます
つまり、なんとかうまい具合に男を誘導したりして二人を助けようとする物語だったわけです