妻「はーい。……どちらさまですか?」
妹「……」
妹「……兄さんは何処?」
妻「兄さん?」
妻「男さんなら、会社ですが……」
妹「そうですか」
妹「あなたは、男さんの奥様ですか?」
妻「えっ、ええ、そうですが……」
子供「ママー、だれかきたのー?」
妹「あらあら」
妹「兄さんにそっくり」
妻「あの」
妻「貴女は、もしかして」
妹「ええ」
妹「男さんの、兄さんの、妹です」
元スレ
妹「えへへ、ここに帰ってくるのもいつくらいだろう」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1237232450/
妻「……あの」
妹「昨日、刑期を終えたんですよ」
妹「……兄さんは、元気ですか?」
妻「ええ、主人は元気ですけど……」
妹「そうですか。それは良かった」
妹「今日は、兄さんに会いに来たんですが、残念です」
妹「では」
妻「あの……」
妻「もう少しすれば、帰って来ると」
妻「それまで、ウチでお待ち下さい」
妹「……」
妹「そうですね」
妹「では、お言葉に甘えさせて頂きますね」
子供「おねーちゃーん!! あそぼー」
妹「はいはい」
妹「じゃあ、お姉さんが絵本を読んであげますからね」
子供「わーい」
――リビング。
妻「あっ、あなた?」
妻「ええ、そうなのよ」
妻「いま? ……家に居るわ」
妻「分かったわ。ええ、早くにね」
妹「……兄さんに電話ですか?」ボソ
妻「!」
妻「えっ、ええ」
妻「今日は、早めに、帰るみたい」
妹「……そうですか」
妹(もう直ぐだよ。兄さん)
妻「あの」
妻「子供をみてきますね」
妻「どうぞ、座ってお待ち下さい」
妹「良く、寝てますよ」
妹「死んでるみたいに」ボソ
――会社。
男『はーい、もしもしっと』
男『今日の帰り?』
男『今日は残業で遅くなるって言ったろ?』
男『……え? ……妹? ……刑期?』
男『おい、何かの間違いじゃないのか?』
男『ああ、いや、お前も知ってるだろ?』
男『俺に、妹なんか、居ないぞ』
男『と、兎に角、直ぐに帰るわ』
男『で。その女は、何処に?』
男『ああ、気をつけろよ』ガチャ
男「……なんなんだよ」ボリボリ
男「……まさか」ハッ
――リビング。
妻「あらあら、本当に良く寝てるわ」
妻「ちゃんと、お布団を掛けて寝ないと、お風邪をひいちゃいますよー」スス
妻「?」
妻「……あら?」
妻「……」
妻「……え?」
妻「……死ん…でる……?」
「いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
妹「あらあら、ご近所の迷惑ですね」
妹「駄目な奥さんだこと」ニヤニヤ
妹「それにしても、豪華なお家」
妹「最新鋭のシステムキッチンに」
妹「調理器具もひと通り」ガチャガチャ
妹「メイド イン ドイツ?」
妹「良く分からないですが」
妹「たぶん、切れるんでしょうね」ギラリ
妻「子供ちゃん!!子供ちゃん!!」
妻「ああ、いや、いや、いやあああぁぁぁ!!」
妻「!」ハッ
妻「きゅ、救急車!!救急車!!」
妻「早く、救急車を呼ばないと!!」
電話「とぅるるるるるるる」
妻「はやく、はやく、はやく」
電話「とぅるるるるるるる」
電話「とぅるるるるるるる」
電話の向こう『はい、警察ですか? 救急ですか?』
妻「あっ、あの」
妻「息子が!!息子が!!」
電話の向こう『? 救急ですね?』
妻「息子が、こ―――」ザシュッ
妹「はい、すみません」スッ
妹「甥が、高熱を出したもので」
妹「いえ、夜間救急の病院の案内をして頂ければ」
妹「ええ、ウチの車で向かいますから」
妹「ああ、義姉さんは、少し混乱してしまって」
妹「いえ、少し落ち着けば」
妹「はい、市立病院ですね」
妹「はい。有難う御座いました」ガチャ
妹「……ふう」
妻「……」
妻「……あ、あなた」
妻「……や、やっぱり」
妹「……良いザマですね」ニヤニヤ
妹「……私の兄さんを奪ったメスイヌの末路としては、最高だと思いませんか?」
妻「……な、なんなのよ、あなた」
妻「……彼に、妹なんて、いないのに」
妹「……いいえ。兄さんは兄さんです」
妹「誰よりも優しくて、誰よりも逞しくて、誰よりも私の味方になってくれる」
妹「私だけの、兄さん」ウットリ
妻「……く、狂ってる」
妻「貴女は、狂ってるわ!!」
妻「子供を、私達の子供を返して!!」
妹「チ」
妹「五月蝿いですよ」ザシュッ
妹「兄さんの!!」ザシュッザシュッ
妹「子供は!!」ザシュッザシュッ
妹「私と兄さんで!!」ザシュッザシュッ
妹「つくるんです!!」ザシュッザシュッ
妹「ハァッハァッハァッハァッハァッ」
妻「……こ、子供……ちゃん……」
妻「……」
妹「ふふっ」
妹「あははっ」
妹「あはははははははははははひははははひははははははははははははははははははははは!!」ゲラゲラ
妹「……汚れてしまいました」ペトペト
妹「……お風呂に入りますか」ペトペト
妹「帰ってきた、兄さんと『する』ためにも」ウットリ
――会社。
俺「冷水機の水うめえ」ゴクゴク
俺「ウチにも欲しいな」ゴクゴク
男「おい」
俺「なんだよ」ゴクゴク
男「今日の残業さ、代わりに頼むわ」
俺「はああっ!?」ブーッ
男「頼むよ。な? な? このとーり」
男「明日の昼飯、奢ってやるからさ」
俺「しょうがねえな、もう」ゴクゴク
俺「貸しだからな」
男「サンキュー」
男(何事もなければ、良いんだが……)
シャワー「シャワーッ」ジャージャー
妹(あれは、中学生の頃でしたか)
妹(当時の私は、両親と、兄を、事故で無くして、何もかも、イヤになった)
妹(成績は落ち、部活は辞め)
妹(毎日の生活のために、身体を売った)
シャワー「シャワーッ」ジャージャー
妹(そんな生活に嫌気がさした頃)
妹(部活の先輩の彼が、兄さんが、助けてくれた)
シャワー「シャワー…うっ…」キュッキュッ
――学校。
男「おい、女!!」
女「……」
女「……なに?」
女「……ああ、先輩も『買う』の?」
女「手なら千円、口なら三千円」
女「ゴム有りは五千円で、ゴム無しは一万円」
女「アナルは、昨日の客のせいで使えないから」
男「……」
男「……どうしちまったんだよ」
男「……どうしちまったんだよ、お前!!」
女「……」
女「……お客じゃないなら、バイバイ」スタスタ
男「待て!!」ガシッ
女「……」
女「……何よ」イライラ
男「お前の家族が事故で死んだのは、後輩連中のウワサで聞いた」
男「部活を辞めたのも、そのせいなんだろ?」
女「……」
女「……で? それがどうかしました?」
男「……俺は、お前のプレーが好きだ」
男「……だから、俺に、何か、出来ることが――」
女「先輩に何が分かるっていうんですか?」
女「父さんも、母さんも、お兄ちゃんも、みんな、みんな死んじゃったんです」
女「毎日の生活費も、ままならないの」
女「同情や憐憫なら、ほかでやって下さい」スタスタ
男「分かったよ!!この馬鹿!!」ドン
女(みんな、みんな、同じだ)
女(誰も、助けてはくれない)
男「おい」
男「待てよ」
女「……?」
女「……離して下さい」イライラ
男「『分かった』って言ったろ?」
女「……」
女「……は?」キョトン
男「お前、今日からウチに来い」
女「は?」
女(は? 何を言ってるんだコイツ?)
男「ウチは、オヤジしか居ないから」
男「事情を話せば、何とかなるだろ」
女「は?」
男「ウチのオヤジさ、町工場の工場長なんだけどさ」
男「義理人情に暑いっつーか」
男「お前みたいな境遇のヤツは、ほっとけない性格なんだよ」
男「メシとフロは、これで良いだろ?」
男「借金に関しては、俺がバイトを――」
女「ちょ、ちょっと、ちょっと」
男「ああ? そうそう、お前もバイトしろよ?」
男「普通は、中学生はバイト禁止だけど」
男「お得意の弁当屋の手伝いなら、まあ、問題は無いだろ」
女「違うわよ!!そうじゃなくて!!」
女「……」
女「……なんで」
女「……なんで、そんなことするのよ」
男「? 言ったろ?」
男「俺は、お前のプレーが好きなんだ」
女「そんな理由で!!」
男「ただな」
男「俺は、お前も好きなんだよ」
女「!?」
男「ああー、いまのナシナシ!!」
男「記憶から消去しろ!!消去!!」
女「???」
男「ああ。そうそう。言っておくがな」
男「……別に、これを理由に、お前に恋人になってくれとは言わないからな」
女「……」
女「……当たり前よ」
女「せいぜい、アンタは『兄さん』ね」
男「おいおい」
男「『兄さん』なら、目上の人間に対して、敬語を使えよ、敬語を」
女「ふふっ。分かりましたよ」
男「うわ。きめえ。戻して戻して」
女「イ・ヤ・で・す・よ。兄さん」
俺「水道水うめえ」ゴクゴク
――男の実家。
男「――と言うわけなんだよ」
男「……頼む!!オヤジ!!」ドゲザッ
オヤジ「……」
オヤジ「……ふん」
オヤジ「この……」
オヤジ「馬ッ鹿ッ野ッ郎ォォォッ!!」バキッバキッバキッバキッ
男「ちょ、ちょ、まっ、痛てッ、死ぬ」
オヤジ「おい!!手前も野郎だろうが」
オヤジ「こんな、可哀想な、女の子を」
オヤジ「ナンで、もっと早くに助けねえんだッッッ!!」ドカッドカッドカッドカッ
女「あっ、あの、それぐらいで……」
オヤジ「おっ、いけねえいけねえ」
オヤジ「殺しちまうところだった」
オヤジ「それにしても」
オヤジ「お嬢ちゃん、アンタ、」ジロジロ
女「!」ハッ
女「……」
女「……はい」
オヤジ「本ッッ当ォォに、大変だったな」ポロポロ
女「!?」
オヤジ「こんな、若い身空でよォ」ポロポロ
オヤジ「本当に、本当に、大変だっだなぁぁぁ」ポロポロ
女「はあ……」
オヤジ「うおおおおおおお~いおいおいおいおい」ダラダラ
オヤジ「安心しろィ」キリッ
オヤジ「好きなだけ、ウチに居るんだな」キリッ
女「!」
女「あっ」
女「ありがとうございます!!」ポロポロ
風呂「フローい、お風呂、なんつって」
妹(それからは、本当に楽しかった)
妹(毎日毎日が、夢のようだった)
妹(――でも)
――ヤクザの事務所。
ヤクザ「おいィィ」
ヤクザ「おかねかえしてよォォォ」
舎弟「うす、アニキの言う通り」
ヤクザ「コレまでの利子を含めてサァ」
ヤクザ「300万よ、300万」
舎弟「うす、アニキの言う通り」
女「……そんな」
女「……私が借りたのは20万円で」
ヤクザ「あああああああああん!?」
ヤクザ「利子に決まってんだろ!?」
舎弟「うす、アニキの言う通り」
ヤクザ「おねーちゃんさあ」ニヤニヤ
ヤクザ「最近は『ウリ』してないよね」
女「……」
ヤクザ「で。僕達、調べたんだけどサ」
ヤクザ「なに? 町工場に住んでんの?」
女「!」
ヤクザ「あそこは立地が良いからねえ」
ヤクザ「僕達、土地の権利書が欲しいんだよねえ」
舎弟「うす、アニキの言う通り」
ヤクザ「どうよ? それで借金はチャラ」
女「……」
女「……でも」
ヤクザ「ま。ムリなら風呂行きだけど」
ヤクザ「よーく、考えよーね」ニヤニヤ
ヤクザ「オカネは大事だよー」ニヤニヤ
女(……どうしよう)ポロポロ
女「……」トボトボ
女「……」トボトボ
男「おーい」
男「借金は無事に返せたのか?」
女「……」トボト…
女「……え?」
女「……ああ。うん。全額返済」
男「そっかそっか」
男「今日は、お祝いにスキヤキにしようぜ」
男「ま。オヤジは、町内会の会合で居ないけどな」
女「……そう」
女(権利書と盗むとしたら)
女(今日が、最初で最後か)
男「……元気ないな? 大丈夫か?」
女「ええ。大丈夫」ニッコリ
女「少し、疲れただけですから」
男「そっかそっか」
男「じゃ。俺は夕飯の材料を買うから」
女「うん」
――スーパーの店内。
男「スキヤキ、スキヤキ」テクテク
俺「ポカリスエットが6本で98円!?」
俺「お一人様、1セット限りだと!?」
男「おい、俺。なにしてんだ?」
俺「おお、良い所におでましで」ニヤニヤ
俺「お前も買うのを手伝ってくれよ」
男「ああ? 何で?」
俺「親友だろ?友達だろ?」
俺「一生のお願いだからさ。な?な?」
男「お前、本当に飲み物が好きだな」
男(女の好きな お菓子も買っていくか)
――男の実家。
女「……」ガサゴソ
女「……」ガサゴソ
女(土地の権利書……)
女(ここに、あるハズ)
女「……」ガサゴソ
女「……」ガサゴソ
女「!」
女「……あった」
――男の実家。
男「ただいまーっと」ガラガラ
男「……」
男「……?」キョロキョロ
男「ただいまーっと!!」
男「……寝てるのかな?」
男「……?」
男「……手紙?」ガサガサ
男「!」
男「……なんだよ、コレ」ワナワナ
――ヤクザの事務所。
女「……」
女「……」
ヤクザ「へっへっへ。上出来上出来」
ヤクザ「なかなかに、やるじゃ~ん?」
舎弟「うす、アニキの言う通り」
女「……」
女「……これで」
女「……これで、借金は」
ヤクザ「ああ? ……ああ」
ヤクザ「『利子を含めた300万』は」
ヤクザ「権利書で、チャラにしてやる」
女「……」
女「……そうですか」
ヤクザ「ただ」
女「……?」
ヤクザ「それは、今日の夕方までの話」
女「……」
女「……は?」
ヤクザ「サブ!! あれから何時間だ?」舎弟「うす!! 4時間と25分っす!!」
ヤクザ「その時間の分の利子は」
ヤクザ「別に頂きますからネ」ニヤニヤ
女「!?」
ヤクザ「さーて、さてさて」ニヤニヤ
ヤクザ「風呂に沈める前に、と」
ヤクザ「いっただっきまーす」ニヤニヤ
女「……」
女「……そう」ニヤ
女「やっぱり」
女「やっぱり、そうだと思った」ニヤニヤ
ヤクザ「ああ?」
女「権利書なんて、持ってないわ」
ヤクザ「ああ!?」
女「私が持ってきたのはね」シュシュッ
ドスッ
ヤクザ「ああ? ……ああああああ!?」ヤクザ「な、なんじゃこりゃあああ!!!!」ゴフッ
女「包丁よ」ギラッ
舎弟「アニキー!!」ガクガクブルブル
舎弟「アニキー!!」ガクガクブルブル
女(さよなら)
女(さよなら、兄さん)
――男の実家。
男「……」
男「……なんだよ」
男「……なんだよ、これ」
お義父さん、男さん、いや、兄さん、
いままで、わたしに優しくしてくれて、
本当に、本当に、有難う御座いました。
わたしを、助け出してくれたことには、
感謝の言葉もありません。ありがとう。
でも、わたしは、もう、この家には、
お世話になることは、できません。
きっと、ご迷惑を掛けてしまうから。
だから、さようなら。 女
――追伸。
兄さん、わたしもあなたが好きでした。
男「なんなんだよ、これは!!」ドーン
――車の中。
車「ブロロロロロー」
男(まさか)
男(まさか)
男(まさか、あいつ)
男(『妹』『兄さん』『刑期を終えた』)
男(そんな)
男(そんな、いまさら、どうして)
男(あいつは、あの日、あの時、)
男(俺達の前から、姿を消した……)
男「なんで、いまさら!!」ドン
カーナビ「右、右、ああーそこそこ」
――男の家の前。
男「ハァッハァッハァッハァッ」
男「……ふう」スーッハーッスーッハーッ
男「おーい、帰ったぞー」ポチポチ
チャイム「ピンポーン」
男「……?」
男「……変だな」
男「……?」
男「……カギが、開いてる?」カチャカチャ
男「……ったく。不用心だな」
男「ただいまーっと」ヌギヌギ
男「おーい。旦那様のお帰りだぞー」
男「……」
男「……何だ?」
男「……何か、生臭いニオイが」クンクン
妹「ああっ!!兄さん!!」ガチャ
男「!」
男「やっぱり」
男「やっぱり、お前は……」
妹「会いたかった!!会いたかった!!」ダキッ
男「女!!」
104 : 以下、名... - 2009/03/17(火) 08:02:39.24 /CvqmojhO 34/123で。オチをどうしようか。
Aルートは、ヤンデレEND
Bルートは、トゥルーEND
Cルートは、俺が助けに来る
>>110
110 : 以下、名... - 2009/03/17(火) 08:04:06.22 1/lhPv/7O 35/123Bで
妹「兄さん!!兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん」グリグリ
妹「ああ、兄さんのニオイだ」ウットリ
男「おっ、おい、お前、やめっ」
妹「お仕事、お疲れ様でしたね」
妹「お食事、出来てますよ」ニコニコ
妹「あっ、お風呂にしますか?」
妹「そ・れ・と・も――」
男「女!!」ユサユサ
男「どうして、どうして、いままで」
妹「?」キョトン
男「お前が、ヤクザの事務所に行って」
男「ヤクザを刺し殺したことは」ワナワナ
男「警察の事情聴取で聞いた」ワナワナ
妹「……」
男「どうしてだ!!どうしてだよ!!」
男「何故、俺達に相談しなかった!!」
妹「……」
男「あんな、ヤクザの借金なんて」
男「気にする必要、なかったのに」
妹「もう、いいじゃないですか」
妹「昔のことは、昔のことです」ニッコリ
男「お前!!」パーン
男「あれから、俺達が、どんなに心配をしたと思ってるんだ!!」ポロポロ
妹「……」
妹「……兄さんが、ぶった」ショボン
妹「……兄さんが、ぶった」ショボン
男「ああ、殴った。それが、どうした」
妹「……兄さんが、ぶってくれた」ニイッ
妹「えへ」
妹「えへへへへへへへへへへへへ」
男「!?」ゾクゥッ
妹「きもちいいです」
妹「きもちいいです。兄さん」ウットリ
男「……お前!?」
妹「うふふふふ」ヌギヌギ
妹「うへへへへ」ヌギヌギ
男「お、女!? 何を、何をしてるんだ!!」ガシッ
妹「兄さぁぁん」フーッ
妹「もっと、もっと、お仕置きして下さい」ヌギヌギ
妹「お尻でも、お乳でも、好きなだけ」
妹「兄さんの、お仕置き」ウットリ
妹「駄目な妹の私に」ヌギヌギ
妹「兄さんの、コレで」ギュッ
男「おっ、おい、冗談はやめろ!!」
男「殴ったことは悪かった。謝るよ」
妹「あはは……、もう、こんなに」ニギニギ
男「ああっ、馬鹿っ、ちょ、おま」ワナワナ
男「ううっ、あうっ、ああ、あっ」ワナワナ
妹「そうですか? 兄さんのココは」シコシコ
妹「もっともっとって、言ってますよ」シコシコ
男「や、やめ、やめ、こんな、やめ」キッ
男「やめろッッ!!!!!!」ドーン
妹「!」ドカァァッ
妹「……」
妹「……すみません。兄さん」
妹「……つい、興奮してしまいました」
男「ハァッハァッハァッハァッハァッ」
男「……」
男「……」
男「……そう言えば」キョロキョロ
男「……妻と子供の姿が見えないな」
男(本当に、女の様子が、オカシイ)
男(それに、部屋全体に漂う、この異臭)
男(……何が、あったんだ?)
妹「ああ」
妹「奥さんと、子供さんですか?」
妹「先程、奥さんのお父様が倒れられたそうで」
妹「今日は、実家に泊まるそうですよ」
男「……」
男「……そうなのか。心配だな」
男(嘘だ)
男(妻の父親は、三年前に死んでいる)
妹「ですが、別段、体調に心配は無いとのことですから」
妹「兄さんは、来なくていいそうです」
男(……)
男(……試してみるか)
男「流石に、電話くらいは……」
妹「だめです」
男「いっ、いや、しかしな……」
妹「だめです」
妹「実家の方々は、病院でしょうから」
男(……)
男(……何を隠している?)
男「……そうだな。それもそうか」
妹「そうですよ」
男「会社の残業が気になるんだが」
男「電話をするから、退いてくれ」スッ
妹「どうぞどうぞ」テクテク
男「……」スタスタ
女「……」テクテク
男「……」
男「……ついて来るな」ギロッ
妹「……」
男「……」ピッピッピッ
男「……」
携帯電話「とぅるるるるるるるん」
俺『はいはい。残業中ですが何か?』
男「ああ、スマンスマン」チラッ
男(女は、リビングに行ったのか?)
男(会社の電話は、問題が無いと?)
男「頼みがある」ボソボソ
俺『ああ、お前の頼みで残業してるよ』
男「ウチのカミサンの実家の電話番号、知ってるよな」ボソボソ
俺『ああ? ……それが、どうしたよ?』
男「確かめて欲しいことがある」ボソボソ
男「実家に、カミサンと子供が行っているか」ボソボソ
俺『ええ? そりゃないぜ、男』
俺『お前、大方、浮気がバレたんだろ』
俺『お前の家庭の問題に、俺を巻き込まないで欲しいね』
男「頼む」ボソボソ
男「本当に、大切なことなんだ」ボソボソ
俺『……ポカリスエット、3ダース』
男「分かった。5ダース」
俺『……承知した』ブツン
男「……」
男「……ふう。これで――」
妹「『これで』なんですか」ボソッ
男「!!」
男「あっ、ああ、驚かすなよ……」ドキドキ
男「……何時から、そこに居たんだ?」
妹「5ダースの辺りですが」
妹「お食事の準備が出来ていますから」
妹「リビングにいらして下さいね」スタスタ
男(……)
男(……何を怯えているんだ、俺は)
男「……」スタスタ
妹(……無駄ですよ。兄さん)
妹(……もう、いないんです)
――リビング。
男「……こいつは、豪勢な料理だな」
男「……まるで、レストランみたいだ」
妹「ふふ。そうですか?」ニッコリ
妹「今日は、久し振りに、兄さんとお夕飯を食べることが出来ますからね」
妹「腕にヨリをかけて作りました」
男「……スキヤキか」
妹「ああ、兄さん、好きでしたからね」
妹「お肉を切るのに難儀したんですよ」
男「……ああ、大変だったな」
男(料理に不審な点は見受けられない)
男(ただ。何だか、イヤな予感がする)
妹「取り分けますね」カチャカチャ
男「……ああ、悪いな」
男(何故だ?)
男(何故、悪寒がする?)
妹「はい。どうぞ。兄さん」ニッコリ
男「……これは、なんなんだ?」
妹「鴨肉のローストですよ」
妹「鴨の血のソースが掛けてあります」
男「……」
男「……そう、か」
男「凄いもんだな、女は」
男「こんな料理は、妻でも作れないぞ」
妹「ええ。そうでしょうね」ニッコリ
妹「豪華なシステムキッチンなのに」
妹「全然、料理に使用した形跡が、ありませんでしたからね」
男「ははは」
男「妻は、料理が苦手なんだよ」
妹「……駄目な奥さんですね」ボソ
男「……」
男「……そんなことは、ないぞ」
男「子供に食べさせるための料理は」
男「妻が、毎朝毎晩、手作りしてる」
男「俺の昼飯の弁当も」
男「ほら」フリフリ
バシン
弁当箱「いってーな」
男「……え?」ヒリヒリ
男「……何を」ヒリヒリ
妹「そんな汚いもの、触らないで下さい」
妹「……料理が冷めてしまいますよ」
男「……あっ、ああ」
男「……食べるぞ」
妹「……」ジーッ
男「……」ソーッ
男「……」クンクン
男(血のニオイだ)
男(血のニオイがする)
男(これは、これは、ただのソースだ)
男(そうだ。そうに、決まってる)
パク
男「……」モグモグ
男「……」モグモグ
男「……何か、生臭いな、これ」ゴクン
妹「……」ニコニコ
妹「そうですか? ごめんなさい」
妹「血抜きが不十分だったのかも……」
妹「廃棄寸前の、老いた鴨肉でしたし」
男「……」
男「……ワインを、いや、水でいい」
妹「はい」ニコニコ
男「……やっぱり、自分で取るよ」
男「ゴクゴク」
男「ぷはーっ」
妹「お次は、シーフードサラダです」
男「おお、これは美味そうだな」
男(シーフードサラダなら……)
妹「私の特製のドレッシングですよ」タラーリ
男「美味い美味い」シャキシャキ
男「酸味と塩味が利いてて、美味いぞ」シャキシャキ
妹「そうですか」
妹「兄さんに褒めて頂けるなんて、嬉しいです。ふふふふ」ニコニコ
男「ドレッシングの秘訣は?」
妹「ああ。それはですね」
妹「『私の愛の雫』です」ニコニコ
男「愛の雫?」シャキシャキ
男「隠し味は『愛』ってことか?」シャキシャキ
妹「ふふふふ」
男「スープ? ミネステローネか?」
妹「いえ、豚の臓物のスープです」
妹「黒人のソウルフードだそうで」
男「……臓物か」
男「……何か、気持ちが悪いな」
妹「そうですか?」
妹「兄さんは、焼肉店に行きますよね」
妹「モツやタンやレバーは、食べないんですか?」
男「それとこれとは」
妹「同じです」
男「……」
男「……しかしな、流石に臓物は」
妹「食べて頂けないんですね」
妹「……兄さんの…ために」ポロポロ
妹「一生懸命に作ったのに」ポロポロ
男「分かった分かった」
男「……食えばいいんだろ」
男「……」グニグニ
男「……」グニグニ
男「おえっ」ベシャッ
男「噛み切れないぞ」
男「生臭くて生臭くて、食えたもんじゃない」ペッペッ
妹「……そうですか」
妹「……そうでしょうね」
妹「これは、捨てましょうか」
妹「いいですよね? 兄さん?」
男「……」
男「……ああ」ゲンナリ
男「水、水」
男「ゴクゴク」
男「ぷはーっ」
妹「さて、今日のメインディッシュです」
男「おおっ」
男「スキヤキか」ニマニマ
妹「兄さん。ご飯は、どうしますか?」
男「そりゃお前」ニヤ
男「丼に大盛り」妹「丼に大盛り」
男「はっはっはっ」
妹「うふふふふふ」
男「玉子をかき混ぜて」チャッチャッチャッ
男「白滝と、お肉は、近くに置かない」
男「よしよし」ニマニマ
男(……それにしても……)
男(……妙に、赤い肉だな)
男「なあ」
男「これ、何の肉なんだ?」
男「こう、妙に、赤い気がするんだが」
妹「……」
妹「子牛のお肉ですよ」
妹「人間で言えば、3歳か4歳だとか」
男「ふーん」
男(3歳か4歳か)
男(ウチの子供と同じくらいだな)
男(……)
男(……何だ?)
男(この肉は、食べては、いけない)
男(何故か、何故か、そう、思った)
男(……)
男(……食べては、いけない)
男(この肉は、絶対に食べては、いけない)
男「……」
男「……あの、」
妹「はい。火か通りましたよ」ニコニコ
男(嫌だ)
男(食べたくない)
妹「兄さん、どうかしましたか?」
男(嫌だ)
男(食べたくない)
妹「ああっ。そうですか!!」キラキラ
妹「私に、食べさせて欲しいんですね」
男(嫌だ)
男(嫌だ)
男(嫌だ)
男(嫌だ)
男(イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ)
男「うわああっ!!」ガターン
204 : 以下、名... - 2009/03/17(火) 10:01:56.36 /CvqmojhO 56/123で。男は肉を食べるべきか。
A・食べる
B・食べない
>>120
211 : 以下、名... - 2009/03/17(火) 10:04:37.42 NrbvKZr4O 57/123食べない
>>210に近い >>211の食べないにします
男「うわああああああああっ」ガシャーン
男「イヤだあああああああっ」ドシャーン
妹「に、兄さん!?」
妹「兄さん、兄さん、落ち着いて」
男「来るなあああっ」バシーン
妹「きゃっ」ズデーン
男「うぷっ」
男「おええええっ」ビタビタ
男「おぶええええええええっ」ビタビタ
男「ハアッハアッハアッハアッハアッ」
男「ハアッハアッハアッハアッハアッ」
妹「兄さん、兄さん、大丈夫ですか」
妹「お背中、さすりましょうか」サスサス
男「おうっぷ」
携帯電話「とぅるるるるるるるん」
携帯電話「とぅるるるるるるるん」
男「?」
携帯電話「早く出ろよ」
男「はい」
男「……」
男「……もしもし?」
俺『ニンニクマシマ~シ。なんつって』
俺『実家に電話をしてみたんだけどな』
俺『かみさんも、子供も、』
俺『戻ってないみたいだぞ。実家』
男「え?」
俺『大方、友達の家にでも、居るんじゃないか?』
俺『せいぜい、これからは、家族サービスに励むんだな』
俺『じゃ、ポカリスエット、ヨロシク』
男「おい!!どういうことだよ!!」
男「おい!!おい!!……くそっ!!」
妹「……」
妹「……ふふっ」
男「!」ハッ
男「お前ッッ!!」ドーン
男「俺の妻と子供に、何をしたんだ!!」
妹「……」
妹「……ふふ、痛いですよ。兄さん」
妹「そう言うことは、寝室で――」
男「答えろッッ!!」ドゴッ
男「良いから、良いから、答えろ!!」ユサユサ
妹「……知りませんよ」フン
男「嘘を」
男「嘘を、吐くなッ!!」ドゴーン
妹「!」
ガッシャーン
ドシーン ガタガタ
シンクの引き戸「開けちゃらめぇ」ギギ
ドサッ ドサドサッ ドサッ
男「……」
男「……?」
妹「……うーん」クラクラ
男(……に……く……?)
男(今日の料理に使った、にく)
男(なんのにく? だれのにく?)
男(だれ? だれって? ……ひと?)
男(手と、足と、首と、)
男(アレは、俺が、買ってやった、指、輪?)
男(つまに、かって、やった、)
男(けっこんゆびわが、なぜ?)
男「……」
男「……え?」ガクガク
男「……あれ?」ガクガク
男「……なんで」ガクガクガクガクガクガク
男「……なんで、つまが、ばらばら?」
妹「……見付けてしまいましたか」ニコ
男「おい」ユサユサ
男「妻を何処に隠したんだ」ユサユサ
男「教えろ。はやく。教えろよ」ユサユサ
妹「……」フッ
妹「……『ある』じゃないですか。」
妹「……兄さんの、目の、前に」ニッコリ
男「嘘を吐くな」
男「妻は、あんなに、バラバラじゃ」
妹「……そもそも」
妹「……兄さんも、食べたじゃないですか」
男「え?」
妹「……血抜きに難儀しましたよ」
男「……!?」
男「……!!」
男「まさか」
男「まさか、あの、料理の」
妹「やはり。年増は駄目ですね」スタスタ
妹「肉質も、食感も、最悪です」スタスタ
男「ひゃあああっ」
妹「もう、クサくてクサくて」ゲンナリ
妹「臓物を解体する作業なんて、もう」
男「……あ、ああ、ああああっ」ガクガク
男「こっ、こっちに、くるな」
男「こっ、こっちに、くるなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」ダッ
グチャッ
男「……」
男「……」
男「こどもだ」
男「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
男「……」
男「……あ…あ…?」オロオロ
男「……え…え…?」オロオロ
男「ご、ごめんな、パパ、踏んじまった」
妹「あらあら、いけませんよ」
妹「パパが、子供を、踏んだりしては」
妹「流行りの、ドメスティックバイオレンスですか?」
妹「それにしても、残念です」フウ
妹「私が、丹精を込めて作った料理」
妹「奥さんは、食べたのに」
妹「コドモは、タベナイナンテ」
妹「好き嫌いは、駄目ですよ。兄さん」
男「……」
男「……お前が、やったのか」
妹「はい」
妹「兄さんのため、ですから」ニッコリ
男「……」
男「……何故」
妹「兄さん」
妹「兄さんの『妹』は、私ですよ」
妹「もう、ほかの、誰にも、」ススッ
妹「兄さんを、渡したりは、しません」
妹「ずーっと」ナデナデ
妹「ずーっと」ナデナデ
妹「何処か、遠い場所で、二人きり」
妹「一緒に、暮らしましょう」
妹「ね?」
妹「兄さん」
男「……」
男「……俺は、理由を訊いているんだ」
男「知らなければ、ならないんだ」
男「……お前を、」
男「……お前を、殺す前に」
妹「理由?」
妹「簡単ですよ」
妹「兄さんの隣に居て良いのは、」
妹「『妹』の『わたしだけ』です」
妹「あんな、年増で、邪魔な、オンナは、兄さんのそばに居るべきでは、無い」
妹「まして」
妹「その、オンナとの、穢れた交尾で、産まれた、子供なんて」ワナワナ
妹「ああ、可哀想な、兄さん」ダキッ
妹「あの、薄汚いメスイヌに、ココロも、カラダも、全部、穢されたんですね」
妹「でも」
妹「もう、だいじょうぶ」ニッコリ
妹「これから、私の胎内で」
妹「兄さんを、浄化してあげますから」
妹「ね?」
男「……」
男「……そんな」
男「……そんな、理由で、殺したのか?」
妹「はい」ニッコリ
妹「兄さん。褒めて下さい」///
男「……」スッ
妹「あっ」
男「……」スタスタ
男「……」スタスタ
妹「兄さん、何処に行くんですか?」
男「……」スタスタ
男「……」スタスタ
男「……」ヒョイ
包丁「なんや、まーた、人殺しかいな」
男「……」スタスタ
男「……」スタスタ
妹「……」
妹「……私を、殺しますか」
男「……」
男「……」
男「……ああ」ギラ
妹「……そうですか」
男「……」
男「……」
男「……こわいか?」
妹「……はい」
男「……俺の、」
男「……俺の、妻と、子供は」
男「……もっと、こわかった」
男「……もっと、いたかった」
男「お前も、それを、味わえ」シュッ
男「死ね」
ザシュッ
妹(これで、わたしは、えいえんに、)
妹(にいさんの、こころのなかに……)
妹「……」ドキドキ
妹「……」ドキドキ
妹「……?」
壁「ほ、包丁が刺さった!!死ぬ!!」
男「……」
男「……お前は、」
男「……お前は、こう、考えているな」
男「『此処で、俺に、殺されれば、』」
男「『お前は、永遠に、永久に、』」
男「『俺の、心の中に、残る』……と」
妹「!」
男「……」
男「……それならば」
男「……それならば、俺は」
男「俺は、お前を、殺さない」ゴトン
妹「……」
妹「……それじゃあ」
妹「……それじゃあ、私と一緒に――」
男「駄目だ」
男「お前は、償わなければ、ならない」
妹「えっ」サーッ
男「……」
男「……」ピッピッピッ
携帯電話「とぅるるるるるるるるん」
警察官『はい、○○○○警察です』
警察官『どうかなさいましたか?』
男「……」
男「……妻と、子供が」
男「……殺されました」
警察官『ツマ? ……刺身のですか?』
男「……家内です」
警察官『ささささ、殺人ですか!?』
警察官『分かりました。犯人は!?』
男「家に居ます」
警察官『に、逃げて、逃げて下さい』
男「大丈夫です」
警察官『大丈夫!? 大丈夫じゃないよ!!』
男「住所は、カクカクの、シカジカで、」
男「ええ、マルマルの、そうですね」
男「では」ピッ
警察官『ちょ――』
妹「……」
妹「……兄さん」
妹「……兄さん。いまの、冗談ですよね」
男「……」
男「……5分後に、パトカーが来る」
男「……終わりだ」
妹「……」サーッ
妹「……助けてくれますよね?」
妹「……助けてくれますよね? 兄さん」
男「……」
妹「な、なんでも、なんでもします」
妹「私、兄さんの、奴隷になります」
妹「お口も、お乳も、あそこも、」
妹「あの時は、使えなかった、お尻も」
妹「だから」
妹「だから」
妹「だから、もう」
妹「兄さんと、離れ離れになるのだけは……」ポロポロ
男「……お前は、」
男「……お前は、俺の、妹だ」
妹「!」
妹「そうです!!その通りです!!」
妹「ですから――」
男「『妹』は、」
男「『妹』は、兄と結ばれては、いけないんだよ」
妹「!」
パトカー「ピーポーピーポー」
男「そろそろ、警察が来るな」
妹「いや」ブンブン
妹「いや」ブンブン
妹「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
妹「兄さんと」
妹「兄さんと、離れるのは」
妹「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
男「……」スタスタ
男「……」スタスタ
男「さよなら」
……それから、一年の歳月が過ぎた。
家族の葬儀と、事態の説明に追われ続け
正直、詳しくは覚えていないのだけれど
男「……ふう」
男「……引越の準備も、これで良し」
……妹は、……女は、警察に逮捕された
精神鑑定の結果は、極度の心神喪失状態
死刑には、ならなかった。
男「……」
男「……煙草うめえ」スパスパ
男「……」
男「……以前は、吸えなかったからな」
男「子供の健康に悪いとか言われてさ」
男「あいつ、自分が、嫌いだからって」
男「……ふふっ」ポロポロ
男「懐かしいな」ポロポロ
妹は。女は。これからの生涯を、
特別な牢獄で暮らすことになる。
それに、特別な感慨は無い。
あの日、あの時、あの瞬間から、
俺の心は、壊れてしまったのだろう。
男「……」
男「……」
男「……俺は、食べなかった」フーッ
俺は、自分の子供を、食べずに済んだ。
あの瞬間、誰かが、教えてくれたのだ。
もし、あの肉を、食べていたとしたら。
きっと、俺は、耐えられなかっただろう
だが。
男「……俺は、」
男「……俺は、」
男「……俺は、妻の肉を食べた」ギリッ
男「……本当に、償うべきは」
男「……俺だ」
妻『そんなに、思い詰めないの』
男「!?」
男「……」キョロキョロ
男「……」キョロキョロ
男「……幻覚か」
妻『あなた』
妻『生きて』
妻『私は、あなたの妻で、幸せだった』
妻『私達のぶんまで、生きて下さいね』
子供『パパー』
男「……」
男「……うっ」ポロポロ
男「……うっ、うっ、うっ」ポロポロ
男「うわあああああああん」
男「……」
男「……俺は、」
男「……俺は、生きる」
トゥルーエンド 完
――エピローグ。
俺「ええっ!?」
俺「俺が、大塚製薬に転職成功!?」
大塚製薬の人事「喜んでくれたまえ」
大塚製薬の人事「スポーツドリンク部門に配属だ」
381 : 以下、名... - 2009/03/17(火) 12:09:28.29 /CvqmojhO 86/123グロテスクなヤンデレSSを書く仕事は、もうイヤだお。
大塚製薬の社員さん、
ここを見てたらポカリスエット下さい。
386 : 以下、名... - 2009/03/17(火) 12:13:40.20 /CvqmojhO 87/123因みに。
ヤンデレエンドは、
睡眠薬ワインを飲んで昏睡→セッ○ス。
適当な新居で、監禁生活の予定でした。
俺エンドは、途中で俺が乱入してきて、
奥さんも、子供も、助かるストーリー。
読んで頂いた皆さん、有難う御座います
388 : 以下、名... - 2009/03/17(火) 12:15:12.10 C9yim/ukO 88/123俺エンドがよかた
395 : 以下、名... - 2009/03/17(火) 12:17:20.02 PXFBdcmpO 89/123俺エンドみて救われたい
>>15 からの分岐ルートです。
俺「外回りの営業は疲れるな」
俺「喉が、渇いて渇いて……」
俺「!」
俺「あっ」
俺「自動販売機」スタスタ
俺「アクエリアスか……」
俺「背に腹は、代えられないのよね」
自動販売機「うっ、でるうぅぅっ」ガタン
俺「ゴクゴク」
俺「ぷはーっ」
携帯電話「とぅるるるるるるるるん」
俺「はいはい」
俺「ああ、何だ、男か」
俺「ああ? 自宅を見てきてくれ?」
俺「あのねえ。俺は営業で外回り……」
俺「5ダース」
俺「4ダース」
俺「3ダースと6本」
俺「交渉成立。畏まりました」ピッ
俺「さて、行くか」シュッ
ガコン
ゴミ箱「なかなかの腕前とみた」
俺「さて」
俺「此処が、あの男の、ハウスね」ポチ
インターホン「ピンポーン」
俺「……」
俺「……」
俺「……」ポチポチポチポチポチポチポチ
インターホン「ピピピピピピピンポーン」
妻「悪戯は止めて下さい!!」ガチャッ
妻「……? ……あら、俺さん?」
俺「どーもどーも」
俺「お邪魔します」ズカズカ
妻「あの、ちょ、あの、ちょっと」
子供「あっ」
子供「おじさーん」トテトテ
俺「あらあら」ナデナデ
俺「まあまあ」ナデナデ
俺「随分と大きく育ちまちたねえ」
俺「今年で何歳でちゅかあ?」ナデナデ
子供「うーんとね」
子供「うーんとね」
妻「ふふ。4歳になります」ニッコリ
妹「さーて」
妹「絵本を読んであげま……」
妹「……いない?」ポツーン
妻「そう言えば……」
妻「どうして、俺さんが、私達の家に?」
俺「ああ」
俺「実は、男の仕事に必要な資料を」
俺「男が、忘れたそうなんですよね」
俺「で。営業で外回りの俺が……」
俺(奥さん、お尻がデカいよな……)
俺(これは、禁断の関係の始まりの予感)
妹「……」
妹「……こんにちは」
妹「……兄さんの、同僚の方ですか?」
俺(……)
俺(……こいつか)
俺「どーもどーも。俺と申します」
俺(……)
俺(……こいつ)
俺(……何処かで…見たような…)
俺(……)
俺(……ひとつ、カマを掛けてみるか)
俺「いや。それにしても、懐かしい」
俺「随分と綺麗になりましたねえ!!」
妹「……いえ、そんなことは」
俺「覚えてます? 俺、男の親友の、俺」
妹「……ええ」
妹「……まあ」
俺(大丈夫。大丈夫。)
俺(俺が来たからには、もう、安心)キリッ
妻(用事が済んだら、帰って下さい)チラッ
俺(奥さん、俺に気があるな)ニヤニヤ
妹(……)
妹(……何、何か、大幅に予定がズレて来ているような……)
電話「とぅるるるるるるるるん」
電話「とぅるるるるるるるるん」
子供「あっ、でんわー」トコトコ
子供「パパー?」
妹「!」 妻「!」 俺「!」
子供「ママー、パパー」
妻「はい。もしもし、あなた?」
妻「ええ、そうです。うん、うん」
妻「えっ」
妻「俺さん」
妻「主人が」
俺「はいはい」
俺「ああ、そうそう、『資料』だけど」
俺「うん。そうそう。『恐らくは』ね」
俺「いや。これから」
俺「……分かったよ」ガチャ
妻「あの、主人は…何と…?」
俺「ああ、それなんですけどね」
俺「今日は資料は必要無いから」
俺「夕飯を食べていってくれと」ニンマリ
妻(ああ、あなた……)
妻(恨むわよ)
妹「……」
妹「……」
妹(……この隙に、子供だけでも)
妹「ねえ、子供くん」
妹「夕飯の献立は何が良いかな?」
子供「ハンバーグ」
妹「じゃあ、お姉さんと、いっしょに」
妹「冷蔵庫の材料を見てみようか」
子供「はーい」
俺「いや、それにしても」
俺「電話の会話は、喉が渇くなあ」スタスタ
冷蔵庫「ばっ、ばか、勝手に開くな」
俺「おっ」
俺「ポカリスエット発見であります」
俺「ゴクゴク」
俺「ぷはーっ」
妹「……」イライラ
妻「……」イライラ
子供「おねえちゃーん」トコトコ
子供「ひきにくー」トコトコ
子供「あっ」コケ
俺「おおうっ!?」ビシャビシャ
俺「何だ、挽き肉が降ってきたぞ!?」
妹(ざまあ)
妻(ざまあ)
子供「……」
子供「……ごめんなさい」ヒックヒック
俺「おいおい。仕様がねえなあ」
俺「子供。怪我は、無いのか?」
子供「……」
子供「……うん」コクリ
俺「そうかそうか。それなら良い」
俺(子供の失敗に優しい俺)ニヤニヤ
俺(なんてカッコイイんだ)ニヤニヤ
妻「……あの」
妻「お風呂、どうぞ」
俺(おいおいおいおいおいおい)
俺(ええのか? ええのんか?)
俺(お風呂→夕飯→今日は泊まって)
俺(なんという、なんというコンボ)
俺「ええ」
俺「助かります」キリッ
妻(……)
妻(……あとで、お風呂の掃除をしなきゃ)
妹「……」
妹「……」
妹(邪魔な人間の居ない、この状況)
妹(厄介な人間が現れはしましたが)
妹(むしろ、この状況はチャンスです)
妹(私の犯行をヤツに擦り付けることが、出来るかも知れないのだから)
妹「ねえ、子供くん」
妹「お姉さんと、ゲームで遊ばない?」
子供「あそぶー」
プレステ「プレイステーション!!」
子供「……」ピコピコ
子供「……」ピコピコ
妹「……」
妹(子供は、ゲームに集中しています)
妹(さてと。そろそろ、片付けますか)
俺「すいませーん」
俺「バスタオル、貸して下さーい」
妹「!?」
俺「あれ」
俺「奥さんは?」
妹(それ以前に、前を隠して下さい)
妹(……兄さんより、小さいですね)
妹「夕飯の材料の買い出しだそうです」
俺「ああ、挽き肉ね」
俺「タオルちゃん、タオルちゃん」
俺「何処に隠れているのかなー」スタスタ
――商店街。
妻(……)
妻(……帰りたくない)
妻「……はあ」
主婦A「あらあらあらあら」
主婦B「奥さん奥さん奥さん」
主婦C「ねえ、知ってます?」
妻「……」
妻「……はい?」
――20分が経過。
主婦A「氷川きよしの裸体がね……」
――40分が経過。
主婦B「西川きよしの眼鏡がね……」
――1時間が経過。
主婦C「ビートたけしの顔面がね……」
妻「……」
妻「……」
妻(……帰りたい)
妹(……)
妹(……このままでは)
妹(……)
妹(……仕方が、無いですね)
妹(……)
妹(……あの、俺を、最初に殺します)
俺「風呂上がりには、ポカリスエット」
俺「うめえ」
玄関マット「俺タオルじゃねえし」
妹「……」
妹「……すみません」
妹「……少し、お話、宜しいですか」
俺「……」
俺「……ああ、うん」
俺「これ飲んだらね」ゴクゴク
妹「……」
妹「……」
シーン
俺「……」
俺「……」
俺(きまずい)
妹「……」
妹「……あの」
妹「……俺さんは、本当に、兄さんの、親友なんですか?」
俺「……ああ」
俺「……男とは、中学以来の親友でね」
俺「竹馬の友と、言うヤツになるかな」
俺(竹馬の友の、意味は知らないけど)
俺「アイツとは、中学の同級生でさ」
俺「アイツ、部活で活躍をしてただろ?」
俺「俺は、水道研究会だったんだけど」
俺「……何か、憧れっていうのかな」
俺「或る意味、嫉妬っていうのかな」
俺「最初は、アイツのことが、大嫌いでさ」
俺「アイツの水筒に、ドブの水を入れたりしたんだよ」
妹「……」
妹「……」ドンビキ
俺「で。アイツが本気で怒ってさ」
俺「殺されるかと思ったんだけど」
俺「突然。『もういい』って言うのよ」
俺「当然、俺は、恐る恐る理由を訊く」
俺「……そしたらさ」
俺「……アイツ、何て言ったと思う?」
妹「……」
妹「……」
妹「……わかりません」
俺「『人間、一度や二度の間違いは』」
俺「『誰でもするもんだろ?』……と」
妹「……」
俺「痺れたね。ああ、痺れたともさ」
俺「別に、感電したわけじゃないよ」
妹「……」
俺「それ以来、俺は、アイツのことを」
俺「その、何だ、認めるようになった」
俺「で。ある日のある時さ」
俺「アイツの顔色が異様に悪いわけよ」
俺「で。俺は、聞いたのよ」シミジミ
俺「悩み相談は、得意なほうだからさ」
俺「相手はウチの金魚とかだけだけど」
妹「……」
俺「そしたらさ」
俺「部活の後輩についての悩みだとかで」
妹「……」ピクッ
俺「正直。当時のアイツは」
俺「精神的にも、肉体的にも、限界ギリギリで、死にそうだった」
妹「……」
妹「……それで?」
俺「ああ、詳しくは聞いてないけどな」
俺「俺は、アイツに言ってやったのよ」
俺「いや、やっぱり言ってなかったわ」
妹「……」
俺「でも、しばらくしたらさ……」
俺「何か、元気を取り戻してるわけ」
俺「俺は、思ったね」シミジミ
俺「良かったなって」シミジミ
俺「……」
俺「……だからさ」
俺「馬鹿なことを考えるのは」
俺「もう、止めたほうが良いと思うぜ」
俺「そうは思わない?」
俺「女」
妹「!?」
妹「……」
妹「……何時から」
妹「……何時から、気付いてました?」
俺「いや。最初は気付かなかったよ」
俺「風呂の水道で、水を飲んでたら」
俺「こう、過去の記憶が蘇ってさ」
俺「そう言えば、俺さ」
俺「あの日、あの時、近くに居たんだよ」
俺「体育館の裏手の水道水は、キンキンに冷たくて美味いもんだからさ」
俺「俺、飲んでたのよ。水」
妹「……」
妹「……」
俺「実際、お前らの関係が何なのか」
俺「当時のお前らに何があったのか」
俺「それは、知らないけどさ」
妹「……」
俺「この家庭を壊したところで」
俺「アイツが喜ぶとは思わないだろ?」
妹「……」
妹「……」
俺「それにさ」
俺「お前は知らないだろうけど」
俺「アイツ。刑務所に何度か面会の申請をしていたみたいなんだよな」
妹「!」
妹「……」
妹「……嘘」
妹「……嘘です」
妹「だって」
妹「兄さんは、兄さんは、一度だって」
妹「私に、会いに来てくれたりは……」
俺「……」
俺「……ま。その理由は、直接、本人に訊いてみればいいんじゃないの」
妹「えっ」キョトン
俺「……」
俺「……出て来いよ。男」
シーン
俺「……」スタスタ
俺「……」スタスタ
俺「……あれ? 居ねえや」ガチャ
妹「……」
――30分後。
玄関のドア「ダァが開きます」
男「ただいまーっと」
俺「……」
俺「……帰るのが遅いんじゃないの?」
男「……」
俺「……」
男「……妹、いや、女」
男「……すまなかった」ドゲザ
妹「!?」
妹「兄さん!?」
男「……本当に、本当に、すまなかった」
男「俺は、刑務所に、何度も、何度も、面会の申請をしていたんだ」
男「だが」
男「結果的に、お前と、面会をすることが出来なかった」
男「すまない」ガンガン
男「すまない」ガンガン
男「許してくれ」ガンガン
男「許してくれ」ガンガン
妹「兄さん、兄さん、もう止めて!!」
男「本当に、ごめん……」ボロボロ
妹「兄さん、私こそ……」ポロポロ
俺(きまずい)
妹「私、兄さんに、会いたかった」
妹「とっても、とっても、会いたかった」
妹「私、兄さんが、好き」
妹「兄妹だとか、恋人だとか、」ポロポロ
妹「そんなこと、どうでもいい」ポロポロ
男「女……」
俺(あれ? 俺の活躍が奪われてない?)
妹「……」
妹「……ごめんなさい。兄さん」
妹「わたし、わたし、兄さんの、」
妹「たいせつな、かぞくを、」
妹「ころ――」
俺「はっくしょん!!」
俺「まもの」ダラー
男「……」
男「……良いんだ。良いんだよ」
男「人間、一度や二度の間違いなら」
男「誰でもするもんだろ」ニッコリ
妹「にっ、兄さん!!」ダキッ
妹「うっ、うっ、うわあああああん」
俺「ティッシュティッシュ」ブビー
ティッシュ「ヌルヌルが、いやぁぁ」
――数時間後。リビング。
子供「わーいわーい」ニコニコ
子供「スキヤキだー」ニコニコ
妻「ほらほら、慌てないのっ」
妻「お肉が、喉に詰まるわよ」
妹「はい。兄さん。春菊ですよ」ヒョイ
妹「あーんして。ほら、あーん」ヒョイ
男「おいおい。恥ずかしいから止めろ」
妹「良いんですよ」ニコニコ
妹「私は、兄さんの『妹』ですからね」
妹「これは、兄妹のスキンシップです」
男「おいおい」
男「あちっ、あちちち、熱いって」
男(良かった)
男(平穏で無事な日常の素晴らしさを)
男(俺は、何処か忘れていたのかもな)
男(妻と、子供と、妹と、親友)
男(みんな、掛け替えのないものだ)
男(……)
男(……あれ?)
男(……何か、忘れているような)
――近所の公園。
俺「……」
俺「……水飲み場の水うめえ」ゴクゴク
俺「……水飲み場の水うめえ」ゴクゴク
俺「……」ゴクゴク
俺「……」ゴクゴク
俺「……しょっぱいな。なんでだろ」ポロポロ
俺エンド 完
――エピローグ。
男「~~♪」スタスタ
俺「おい」
俺「待て」
俺「約束のアレ。どうしたよ」
男「アレ? ああ、ポカリスエットか」
男「何か、楽天で安売りしてたからな」
男「お前の住所で頼んでおいたぞ」
男「ペットボトルで10箱」キリッ
俺「おお、心の友よ!!」
ポカリスエット「イオンサプライ」
520 : 以下、名... - 2009/03/17(火) 15:02:12.38 /CvqmojhO 123/123今後こそ、本当に終わり。
読んで頂きまして、有難う御座います。
大塚製薬さん。ポカリスエット下さい。