某日 765プロ
P「おはようございまーす」ガチャリ
春香「あ……お、おはようございます!」オロオロ
P「おはよう春香。どうした、何かあったのか?」
春香「あの、朝から真美の様子がちょっとおかしくて……」
P「……またか?」
真「またとか言わないであげてください。繊細な年頃なんです」
P「………」チラッ
真美「…………」ゴゴゴゴゴゴ
P「……目を血走らせた女の子がソファを独占してるんだがあれは何だ」
千早「真美です」
元スレ
真美「生きづらい世の中だなぁ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1352866807/
P「めちゃくちゃ怖いんだが。あんなの真美じゃないんだが」ガタガタ
美希「気持ちはわかるけど落ち着いて欲しいの」
P「真美は何をやってるんだが?」
貴音「わかりません。近づくこともはばかられる程の気迫なのです」
P「誰か何か知ってる人ー?」
一同「」フルフル
P「うーん……例によって亜美は竜宮の営業に行ってるし……。そもそも真美は今何をしてるんだ」
雪歩「えっと……私見ました」
春香「見た?」
雪歩「うん。さっき真美ちゃんに挨拶したときにちらっと」
真(挨拶したんだ……)
響(……雪歩、実はこの中で一番勇気あるんじゃないか?)
…………
雪歩「真美ちゃん、おはよう」
真美「おはよう……ごめん、今ちょっと集中してるから……」ガリガリガリガリガリ
雪歩「あ、うん……」
真美「……」ガリガリガリガリガリ
雪歩(? ノートに何か書いてる……)チラッ
『あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』
雪歩「」
…………
P「よし、真美を休ませよう」
千早「狂気しか感じません」
春香「怖すぎるよ……」
P「どうしちゃったんだよ……俺の可愛い真美はどこ行っちまったんだよ……」グスッ
響「別に真美はプロデューサーのものじゃないぞ」
真「後泣くのやめた方がいいですよ」
やよい「も、もうちょっと様子を見ましょう! ねっ?」
P(やよいは癒し系だなあ!)
一同「…………」
真美「」ガリガリガリガリガリ
P「まだ何か書いてるみたいだな……」
真美「」ガリガリガリガリ ピタッ
千早「止まった……」
真美「…………」ジー
真美「…………はぁ」
貴音「手のひらを眺めて溜め息をついているようですが」
美希「意味分からないの」
真美「……」コポコポコポ
春香「お茶を煎れ始めたね」
雪歩「言ってくれたら煎れてあげるのに……」
真美「……」モタモタ
やよい「? なんか変じゃないですか?」
貴音「変?」
響「確かに何かもたついてるけど……単に煎れ慣れてないだけじゃないか?」
やよい「いえ、それだけじゃなくて、さっき文字を書いてるときもなんていうか……違和感? みたいな……」
P(よくわからないけどやよいはかわいいなあ!)
真美「…………」スッ
真「あ、今度はハサミを取り出しましたよ!」
P「つ、ついに武力行使か!?」
春香「真美はそんなことしません!」
P「冗談だ」
真美「……」チョキチョキチョキチョキ
響「紙を切ってるみたいだなー」
千早(さっきの文字の羅列といい、無言の行動がなんとなく狂気じみてるのよね……)
やよい「切り絵かなぁ?」
美希「適当に切ってるようにしか見えないの」
真美「…………」ズーン
千早「覇気はなくなったけど今度は落ち込んじゃいましたね」
雪歩「美希ちゃんの言うとおり、紙も適当に切って終わりでしたね……」
P「よし。もうわからんから直接訊いてきてくれ春香」
春香「自分で訊けばいいじゃないですか……」
P「ほら、こういう問題は女同士の方が良いんだよ」
響「どういう問題だかわかってないけどね」
春香「お、おはよー、真美」
真美「ああ……はるるんおはよー……」
春香(目がいい感じに死んでる……)
春香「何かあったの? 徹夜明けみたいな顔だよ?」
真美「大丈夫……」
春香「悩みがあるなら聞かせて欲しいな」
真美「……」フルフル
真美「話してもはるるんにはわからないよ……」
春香「真美……」
真美「はるるんだけじゃなくて……事務所の誰も、真美の悩みはわかってくれないよ……」
…………
P「わかった。中二病だな」
響「安直すぎるぞ」
真「安直すぎます」
春香「結局話してもらえなかったけど……真美、ホントに辛そうでしたよ?」
雪歩「なんとかして力になれないかなぁ……?」
千早「…………」
貴音「千早? どうしたのです?」
千早「……一つだけ思い当たる節があります」
P「本当か千早!」
千早「文字を書く、お茶を煎れる、ハサミで紙を切る……たどたどしいそれぞれの行動……そしてみんなにはわからない真美の悩み……」
千早「これらが示す結論はただ一つ……!」キリッ
貴音「して、その心は?」
千早「……高槻さん、一つ訊きたいんだけど真美って確か……」
…………
真美「はぁ……」
千早「やっほ、真美」
真美「……」
千早「な、なに?」
真美「千早お姉ちゃんが、『やっほ』って……」
千早「べ、別にいいでしょう挨拶くらいなんだって」
真美「ぷふっ……なんか、おかしくて……あははは」
千早「もう……」
千早「ねえ、真美」
真美「?」
千早「悩み、まだ話す気はない?」
真美「う……」
千早「……なら、その悩みが何なのか私が当てちゃおうかしら」
真美「!?」
千早「って言ってもそんな大げさなことじゃないけれど」
千早「実はさっきみんなでずっと真美の様子を見てたんだけど……」
真美「うそ!?」
千早(どれだけ集中してたのよ……)
千早「まずノートに『あ』を羅列してた件だけど、あれは文字の練習をしてたのよね?」
千早(みんなが怖がってたことは黙っておきましょう)
真美「……」
千早「次にあなたはお茶を煎れた。あれもまあ"練習"ってところかしら? でも正確にはお茶を煎れる練習じゃなくて、別の意図があった」
千早「紙を切っていたのもそう。重要なのはペン、急須、はさみ、この三つのアイテム」
真美「なんか名探偵みたいだね、千早お姉ちゃん」
千早「なんだかノってきたわ」
千早「そして高槻さんはその様子を見て違和感を感じていた」
千早「私も言われるまで気づかなかった。思い返してみると、確かに違和感があった」
千早「そしてたどり着いたの。誰もが一度気にしたことはあったけど、みんな忘れていた事実に」
真美「…………」
千早「真美、あなた……」
千早「左利きなのを気にしてるのね?」
真美「そこに気づくとは……やはり千早お姉ちゃん」
千早「みんな見慣れすぎてて忘れてただけよ。違和感の正体は、真美が"右手を使っていた"ことね」
真美「やっぱダメだねー。そんなにすぐに右利きにはなれないや」
千早「無理に矯正する必要はないと思うけど……ご両親に言われてるとか? たまにそういう親御さんもいるって聞くし……」
真美「ううん、別に誰かにやめろって言われたわけじゃないよ」
千早「じゃあどうしてそんなに必死に……」
真美「だって……だって……」
真美「…………」
千早「……?」
真美「……」ブワッ
千早「!?」
真美「う……うわぁぁぁん! 千早お姉ぢゃぁぁん!」ギュッ
千早「わわっ! ど、どうしたの真美?」
真美「ま、真美ね、聞いちゃったんだ……ぐすっ……!」
千早「う、うん、落ち着いて話してみて?」
真美「う……ひっく……」
真美「ひ、左利きの人って……左利きの人って……」
真美「寿命が短いんだって!」ブワッ
千早「…………はい?」
真美「だから、左利きの人は寿命が……」
千早「いや、聞き取れなかったわけじゃないの。ただどこからツッコんでいいのかわからなくて……」
真美「!」ガーン
真美「ひどい! 千早お姉ちゃんならマジメに聞いてくれると思ったのにぃ!」
千早「ち、違うの真美。ちゃんと聞いて、その上でどうツッコミをいれるべきか考えて……」
真美「一緒だよ! うわぁぁぁん! 千早お姉ちゃんのアホー! 子ども向け番組のオファー来て困れぇ!」ダダッ
千早「ちょ、ちょっと真美!」
ガチャッ バタン
千早「…………」
P「犯人を取り逃がしてしまったな、千早探偵」ドヤァ
千早「見てたんなら助け船くらい出してください」ビシッ
春香「というかこの流れすごくデジャヴです、プロデューサーさん」
P「……しゃーない、探しに行くか」
貴音「そう遠くには行ってないはずです」
響「……なあ、竜宮以外誰も仕事に行ってないことに疑問持ってるのは自分だけか?」
P「響、細かいこと気にしてると大きくなれないぞ?」
響「ええぇ……」
…………
真美「…………はぁ」トボトボ
真美「せっかく心配してくれた千早お姉ちゃんに酷いこと言っちゃったなぁ……」
真美「戻って謝ろうかな……」
「あー、すみません。あなた、もしかしてアイドルの双海真美さんですかー? サインくださーい」
真美「!」ビクッ
真美「い、いえ! 違います! 人違いです!」アセアセ
「……ぷっ……くすくす……」
真美「?」
亜美「あははは、慌てすぎだよー」
真美「あ、亜美……」
真美「あれ? りっちゃんたちと営業に行ってるはずじゃ?」
亜美「もう終わったよ。これから事務所に帰るとこ」
真美「あ、もうそんな時間だったんだ……」
亜美「どっか行くとこだったの? 一緒に事務所行こうよー」
真美「うん……」
亜美「? なんかあったの?」
真美「別に何もないよ」
亜美「嘘はいけませんなぁ真美さんや」
真美「う……」
亜美「誰かと喧嘩した……っていうより、一方的に怒鳴って出てきたはいいけど今更になって後悔してます、って顔だね」
真美「…………」
亜美「よくやるよね、真美」
真美「ねえ、亜美。なんで亜美と真美って双子なのに利き腕が違うんだろうね」
亜美「? うん、不思議だよねー」
真美「はぁ……左利き直したいなぁ……」
亜美「なんで?」
真美「だって、色々不便すぎるもん。ハサミは切れないしお茶は注ぎにくいし国語以外でノート取るとき手が汚れまくるし」
亜美「あー……」
真美「駅の改札は通りづらいし、ご飯の時一番左に座らないと迷惑かかるし、連打ゲーで亜美に勝てたことないし」
亜美「……」
真美「何より……ひ、左利きは早死にするって……ぐすっ」
亜美(ええぇ……)
真美「真美……もしかしたらもうすぐ死ぬかも……」
亜美「死なんがな」
真美「左利きなんて一個もいいことないよ……生きづらいだけで……ちょっと友達にちやほやされてそれで終わりだよ……うぅ」
亜美「……いいこと、あるよ」
真美「?」
亜美「手出して」
真美「??」スッ
亜美「こうやって手繋いでもさ……」ギュッ
亜美「亜美の右手と真美の左手は空いてるわけだから、色んなことできるじゃん?」
真美「おぉ……」
亜美「合体ロボ的な? 亜美と真美は二人で一つなんだから。真美が左利きに生まれてきたのも、このためだよきっと」
真美「そう、かな……」
亜美「そうそう! さ、このまま帰るよ! 千早お姉ちゃんに謝るんでしょ?」ギュッ
真美「う、うん…………あれ?」
…………
P「なるほど、そういうことだったか」
美希「そういえば左利きって真美だけだったっけ。全然覚えがなかったの」
亜美「ところで千早お姉ちゃんがソファで頭を抱えてるけどどうしたの?」
春香「なんか子ども向け番組のオファーが来たらしくて……」
真美「そ、そう……」
貴音「真美、もう大丈夫なのですか?」
真美「……うん」チラッ
亜美「へへー♪」
真美「もう気にしないよ」
真美「あーあ、生きづらい世の中だなぁ……えへへ」
終わり
50 : 以下、名... - 2012/11/14(水) 14:59:10.75 IF+HQHPu0 27/27終わったので解散していただいてかまいません
なんか何が書きたかったのかわからんかったけど、かくいう私も左利きでね
とにかく急須は不便